所得と幸福感には、どんな関係があると思われますか?【人を残すvol.45】

経営者向けメールマガジン「人を残す」fromJAIC

所得と幸福感には、どんな関係があると思われますか?

ジェイックの知見寺(ちけんじ)でございます。

 

先月末は、久しぶりに出張しました。

飛行機で移動したのですが、1回はJAL、もう1回はANAを利用しました。

 

混み具合が関係するのかもしれませんが、共に、空席を設けるわけではなく

隣席にも乗客を入れていました。

チェックインの際にお願いすると、隣が空いている席に変更してもらえましたが。

 

飛行機内では、電車内以上に話す人がいないので、そこまで気にする必要は

ないのかもしれません。

 

また、機内誌の取り扱いが両社で異なりました。

JALは、これまで通り座席のポケットに機内誌が入れてあります。

ANAは、機内誌が置かれていなくて、欲しい場合には、CAさんに

お願いして、持ってきてもらいます。

 

どちらが良い悪いと言うつもりはありません。

どちらかというと、両社が違っていて頼もしく感じます。

 

〇〇が××しているので、うちも××しようという思考放棄をしていない感じが

プラスに感じさせるのでしょうか。

 

さて、9月の頭に、ICCというイベントに参加しました。

ベンチャー企業がプレゼンを行い、大手企業や投資家と出会う場となっています。

 

その中のイベントのひとつに、「組織のWell-Beingとは何か?」というテーマがありました。

スピーカーは、

石川 善樹氏 株式会社Campus for H 共同創業者

出雲 充氏 株式会社ユーグレナ 代表取締役

伊藤 羊一氏 ヤフー株式会社 Yahoo!アカデミア学長

佐藤 光紀氏 株式会社セプテーニ・ホールディングス 代表取締役

の4名

 

75分の中で、刺激的なお話がたくさんあったのですが

その中から、ひとつご紹介させていただきます。

 

まずは、「Well-Being」を理解するためのお話。

 

Well-Beingとは、身体的、精神的、社会的に良好な状態

にあることを意味する概念で、「幸福」と翻訳されることも

多い言葉です。

 

1800年、人類全体の平均寿命29歳だったのが、2016年には72歳へ。

寿命は圧倒的に伸びているが、人類の暮らしは

実感としてよくなっているのかを調べたのが

アメリカ・ミシガン大学のロナルド・イングルハート教授で

世界価値観調査を行います。

 

日本人の一人当たりGDPと生活満足度の有名なグラフがあります。

1978年から2008年にかけて、一人当たりGDPは、ほぼ倍増しますが

生活満足度は低下傾向にあります。

 

「幸福のパラドックス」

と呼ばれています。

 

更に、石川氏より以下の説明がありました。

 

主観的なWell-Beingへと至る道は、2つあると言われています。

 

ひとつは、現世への期待を下げ、来世への期待を高める。

苦悩は必然と思い込み、来世の幸福に向けて、今をいきる。

 

もうひとつが、近代化。

近代化とは、「経済発展」「民主化」「高い社会的寛容度」

この3つが揃うと、生き方の選択肢が増え、自己決定できる。

その結果として、幸せ・満足が増す。

 

(私見)企業・組織においてのWell-Beingもこれが類推適用できるように

思います。

 

「経済発展」・・・業績的な成長、所得の向上

「民主化」・・・決定への参画、合議での決定

「高い社会的寛容度」・・・多様な価値観の受入れ、ダイバーシティ

が、進むと企業・組織においてのWell-Beingが高まると推察できます。

 

また、コロナ禍で、Well-Beingはどうなっているのか?

 

イギリスは、毎週1回、無作為抽出の国民2000人からアンケートを取り

Well-Beingの推移をみています。

 

それによると、コロナの感染が広がり、ずっと落ちていたWell-Beingが

ロックダウンで上がります。

 

それはなぜか、現時点では明確な理由はわかっていません。

 

ただ、国民全体のWell-Beingが落ちると、政治的混乱が起きると

されています。

 

(私見)ということは、企業・組織においても

社員全体のWell-Beingが落ちると、組織的な混乱が起きる可能性が

高まるのではないでしょうか?

 

Well-Beingについて、学会では既に長年研究されていますが、これから

ビジネスの世界でもどんどん適用されるように感じています。

 

お薦めのお店は、京都にある居酒屋「富久家」

創業80年。女将さんがひとりでやっている、落ち着いたお店です。

https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260201/26021327/

著者情報

知見寺 直樹

株式会社ジェイック 執行役員|上海杰意可邁伊茲企業管理咨詢有限公司 副董事長

知見寺 直樹

東北大学を卒業後、大手コンサルティング会社へ入社。その後、株式会社エフアンドエム副本部長、チャレンジャー・グレイ・クリスマス常務取締役等を経て、2009年ジェイック常務取締役に就任。総経理として上海法人(上海杰意可邁伊茲企業管理咨詢有限公司 )の立ち上げ等を経て、現在はHumanResourceおよび事業開発を担当する。

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