原田メソッドは、ビジネスリーダーや日本で誰もが知るトップアスリートに活用されており、大手企業をはじめとした約500社で導入され、累計10万人以上の人々が実践してきました。
「原田メソッド」は、原田教育研究所の社長である原田隆史氏が考案した教育手法です。誰でも目標達成できるようになるとともに、目標達成のプロセスを通じて人間性と仕事力の双方を磨いていけることが特徴です。
また、目標達成に必要な要素を、いくつかのツールを使って標準化し、誰でも実践できるよう体系化しています。
今回の記事では、原田メソッドの公式パートナーとしての知見を踏まえて、「原田メソッド」の基本的な考え方や特徴、また原田メソッドの根幹となるツールを紹介します。
<目次>
原田メソッドとは?
最初に原田メソッドの理念と目的、また、原田メソッド提唱者の原田隆史氏について紹介します。
原田メソッドの目的
原田メソッドが目指すのは、「自立型人間・自立型組織」を育成するというものです。自立型人間とは「自分で考えて行動し、自分で責任を取る人」のことで、自立型組織とは「自立的に動くメンバーで構成され、組織全体で目標に向かって努力する組織」です。
自立型人間・自立型組織を実現するために、原田メソッドでは長期的な目標や理想を明確にする。そして、長期目標や理想の実現に必要な行動やスキルを具体的に計画し、自分自身で振り返りや評価を行って改善するという一連のプロセスを標準化して、誰もが実践できるようにしています。
上記の「標準化して誰もができる」という特徴を表現しているのが、原田メソッドの「成功は技術である」という考え方です。原田メソッドでは、ツールを活用して練習することで「誰もが目標達成できるようになる」という再現性ある成功を重視しています。
HRドクターを運営する研修会社ジェイックは「原田メソッド」研修を公式提供していますので、ご興味あれば下記より資料をご覧ください。
原田メソッドの成り立ち
原田メソッドは、教育者として、実業界・スポーツ界の人材育成者として、現在も幅広く活躍している原田隆史氏が提唱した手法です。
原田氏は大学を卒業後、大阪市内の松虫中学校で保健体育や生徒指導、陸上部の顧問として勤務。松虫中学校は当時、関西エリアでも有数の「荒れた中学校」としてネガティブな評判のあった学校でした。
原田氏は、松虫中において、「態度教育」「価値観教育」「自立型人間の育成」といった教育理念を自ら考案して、監督していた陸上部の部員たちの育成に献身します。
結果、松虫中学校の陸上部は、「公立中学の陸上部が7年間で13回の日本一を記録する」という誰もが予想できなかった成果を生み出します。公立中学校による13回の日本一という記録は“松虫中の奇跡”とも呼ばれました。
奇跡的な成果をあげた松虫中学校を見学にくる企業経営者やスポーツ選手は後を絶たず、原田氏は松虫中学での取り組みを「原田メソッド」としてまとめあげました。そして、現在は原田メソッドを用いて、教育講演や企業研修、プロスポーツ選手の指導などに当たっています。
原田メソッドの特徴
本章では原田メソッドの特徴を紹介します。
特徴① 目標達成の技術が身に付く
原田メソッドを実践することで、目標達成の技術を身につけることができます。
原田メソッドでは、目標達成までの方法を体系化しています。そもそもどのように目標設定すべきか、そこからどのように計画を立てるべきか、そして、実行力をいかに高めるかなどが、すべてツールとして標準化され、どのようにすれば目標達成できるかを学び、身に付けることができます。
特徴② ツール利用で誰でも取り組める
原田メソッドでは、ツールを活用することで、誰もが目標達成の技術を効率的に身に付け、日々の仕事や生活の中で人格と能力を高められるように工夫されています。
3大ツール「長期目的・目標設定用紙」「ルーティンチェック表」「日誌」や「オープンウィンドウ64(マンダラチャート・マンダラート)」によって、目標達成に必要な思考や行動を誰でも導き出せます。
ツールを活用して記入していくだけなので誰でも取り組めますし、それを繰り返すことで、原田氏がハイパフォーマーたちを研究した結果明らかになった成功者たちの成功プロセスを身につけることができます。
特徴③ 組織づくりにも活用できる
原田メソッドは組織づくりにも活用できます。
目標達成の手法というと、個人の目標達成や成果創出をイメージする方が多いかもしれません。しかし、原田メソッドは個人だけでなく、組織の目標達成力向上にも活用することが可能です。
3大ツールの中核である「長期目的・目標設定用紙」や「オープンウィンドゥ64(マンダラチャート・マンダラート)は、組織内で活用できます。さらに、原田メソッドはひとつの体系となっており、管理職がメンバーを指導する際にも効果を発揮します。
また、目標達成力が高いメンバーが作成したツールを他メンバーに共有して、目標達成に向けた計画づくりや施策のアイディアなど、実務的なノウハウを組織内に広げることもできるのです。原田メソッドでは、このように、トッププレイヤーやベテランの知恵を組織全体に広げていくことを“知の移植”と呼び、推奨しています。
特徴④ 自分に必要な要素を洗い出せる
原田メソッドでは、自分に必要な要素を洗い出せます。
たとえば、原田メソッドで計画を作成する際には、「この目標に取り組むうえで誰から支援をもらう必要があるか?」、また、「自分の過去の目標達成、また、上手くいかなかった経験を振り返って、成功パターンや失敗パターンを洗い出す」といったプロセスが組み込まれています。
単に行動計画を作成するというだけではなく、計画を確実に実行していく、計画が“絵に描いた餅”で終わらないように、自分向けの精度アップをするプロセスが組み込まれているからこそ、原田メソッドで作成する達成計画は実現精度が高くなるのです。
原田メソッドの考え方
考え方① 目標達成や成功は技術である
原田メソッドでは、「成功は技術である」と考えます。
正しい手順で成功者が行っている考え方や習慣を身につければ、目標達成に必要な知識やスキルが磨かれ、運や偶然に頼ることなく誰でも成功することができると考えています。
そして、原田メソッドでは、成功者たちのプロセスが落とし込まれたツールを活用することで、その技術を身に付けることができるのです。
考え方② 人格と能力を同時に高める
原田メソッドでは、人格と能力の2つを同時に高めることを重視しています。
目標を達成したり成果を上げ続けたりするためにスキルや能力はもちろん必要ですが、より大きな成果、大きな自己成長を実現するためには、スキルや能力だけでなく、人格が備わっていなくてはなりません。
大きな成功をおさめるには、真摯に学ぼうとする姿勢、周りの協力を得られる人間性、目標達成への強い決意と覚悟といった磨かれた人格が不可欠としているのです。
原田隆史氏は、「人格の土台があって、はじめて能力が発揮される」と表現しています。だからこそ、原田メソッドは目標達成の「スキル」だけに寄らず、自分の「人格」を高めるプロセスが組み込まれており、能力と人格を同時に磨くことが出来ます。
考え方③ 目標に意味づけする
原田メソッドでは、「目標」に意味づけすることを、非常に大切にしています。
通常、「目標」は「目的」と混同されがちですが、原田メソッドでは目的と目標を明確に区別します。
「目的」とは何を実現したいのかという、自分がなりたい姿や得たいもののことで、「目標」は目的を達成するための具体的な数値や途中指標など、目的を実現するうえでの道標です。
私たちは目標を設定しても、目的は明確にしていないことが意外と多くあります。目標の先で、自分が何を得たいのか、どうなりたいのかなどが、曖昧な状態であったり、言語化されていなかったりします。
結果として、目標設定した時や計画作成した時は強いモチベーションがあったものが、徐々に何のためにするのかを忘れてしまい、熱意が下がっていく、壁にぶつかったときに計画を投げ出してしまうといったことが生じます。
原田メソッドでは、目標を複数の視点からしっかりと意味づけすることで、達成意欲を高め、かつ作成した計画を実行するうえでのモチベーションを維持する仕組みが盛り込まれています。
原田メソッドのツール
本章では、原田メソッドの根幹をなすツールである、3大ツールと「オープンウインドウ64」について紹介します。
原田メソッド3大ツール①「長期目的・目標設定用紙」
「長期目的・目標設定用紙」は、自分が達成したい目的や目標を具体的に定め、そのために必要な行動計画や自己分析を行うためのツールです。
原田メソッドの実践において、長期目的・目標設定用紙は、確実な目標達成をサポートするために不可欠なツールです。
長期目的・目標設定用紙は以下のような構成になっています。
(1) 目的・目標の設定
自分が達成したいと思う目標を明確にして、達成期日を決めます。目標は、具体的かつ測定可能なSMARTなものにすることが重要です。
(2) 目的・目標の4観点
「目的・目標の4観点」では、「自分/他者」、「有形/無形」の2つの軸、4つのカテゴリーで目標に意味づけをします。
例えば、「今期中に50件の新規契約を決める」という目標なら、自分×有形「評価されて昇進昇格する」、自分×無形「自信がつく」、他者×有形「会社の売上が増える」、他者×無形「同僚のモチベーションが上がる」などがあげられるかもしれません。
4観点で目標をとらえなおすことで、想いが高まり、目標達成を目指すモチベーションが大きく向上し、達成を後押しします。
(3) 行動計画
「行動計画」では、達成したい目標に向けて、具体的にどんな行動をするかを設定します。行動は「期日行動」と「ルーティン行動」の2種類に分けられます。
期日行動とは、特定の日付に達成するべき目標で、例えば「6月30日までに宅建の試験に合格する」「5月31日までに過去問集を1回やり終える」などです。
また、ルーティン行動は、毎日繰り返す習慣的な行動で、例えば「毎営業日、見込み先10件に電話する」などです。
行動計画を作ることには、以下のようなメリットがあります。
- 目標を小さくブレイクダウンし、実現可能な行動に落とし込むことができる
- 行動の優先順位や期限を明確にすることができる
- 行動の成果測定、改善点を見つけることができる
(4) 支援者・支援内容
支援者・支援内容のブロックでは、目標達成のために協力して欲しい人や具体的にサポートして欲しい内容を記述します。書き出した内容はサポートを得るために自分がどんな関わりをしたらいいかの視点で行動計画に追記します。
高い目標であればあるほど、目標達成するためには周囲の支援や協力が必要です。支援者をあらかじめ明確にしておくことで、よりスムーズに目標を達成することができます。
(5) 自己分析
自己分析では、過去の成功・失敗を振り返り、自分の成功パターンや失敗パターンを洗い出します。
自己分析の目的は、今回の目標達成プロセスを、成功パターンにはめるための要素を盛り込む、また失敗パターンに陥らないようにするための予防策を盛り込むことです。
例えば、「仲間と協力しながら進めることで、モチベーションが途切れずに継続できた」という成功パターンがあれば、改めて支援者を見直し、上司や部下を目標達成に巻き込むためのルーティン行動を設定するといったことがポイントです。
また、「壁にぶつかったときに気持ちが折れてしまった」というのがよくある失敗パターンであれば、「予想される壁をすべて書き出して心の準備をしておく」「壁にぶつかったときに相談できるように、上司に定期面談を依頼する」といったことが有効かも知れません。
原田メソッド3大ツール②「ルーティンチェックシート」
ルーティンチェックシートは、目標達成に必要なルーティン行動を毎日実践し、進捗を記録するためのツールです。
ルーティンチェックシートには、目標達成に必要なルーティン行動を具体的に記入します。日々のルーティンを実践できたら「〇」、実践できなかったら「×」を記入して運用していきます。
ルーティンチェックシートで日々のルーティンに取り組むことで、以下のような効果が得られます。
- 目標達成に向けたプラスの習慣形成
- 目標達成に効果のあるアクションの明確化と見極め
- 「目標達成のために行動をやり切った!」という自信の醸成
定期的、1か月に1回を目安としてルーティンの達成率や効果を振り返って、ルーティンは見直し、必要に応じて修正することが大切です。
原田氏は、「正しく設定されたルーティンの達成率が86%になれば、目標達成がほぼ見えてくる」と話し、ルーティンの達成率にこだわることが重要だとしています。
原田メソッド3大ツール③「日誌」
「日誌」は、目標達成に向けた日々の行動や結果や振り返りを記録するツールです。
日誌を書くことは、自分自身に対するセルフコーチングです。日誌を書くことで、自分の行動や結果を客観的に見て、改善点や気付きが生まれます。また、自分の成功体験や成長を実感することで、自信やモチベーションを高めることができます。
原田氏は「成功の最小単位は1日である」として、毎日の行動が目標達成に大きく影響してくることを強調しています。日々の効果性を最大限に高めるのが、原田メソッドの日誌フォーマットです。
原田メソッドの日誌に記入する項目は、以下のようなものです。
- タイムスケジュール:前日に記入して、翌日の行動予定を時間単位で記入します。また、当日の夜には予定と実績を振り返ります。
- 今日必ずやること:タイムスケジュールの内容も踏まえて翌日必ず達成することを記入します。
- 自己効力感(仕事効力感):今日の良かったことや気づいたことを記入します。自己効力感には、どんなに小さなことでもかまいませんので、その日うまくいったこと、成果があがったこと、そして、そこで感じるポジティブな感情を振り返ります。
- 自己肯定感(自尊感情):自己肯定感の項目には「沈んだ表情の同僚を元気付けた」「通勤電車の中でお年寄りに席を譲った」など、人間的成長につながったと思える行動や体験を記入します。
- 今日をもう一度やり直せるなら:うまくいかなかったこと、期待通りの結果にならなかったことを振り返ります。たんに「失敗してしまった」「これが原因」と振り返るのではなく、「こうやれば上手くいったかもしれない」とイメージすることで、失敗を精神的に完了し、次実施するときの成功イメージを持つことがポイントです。
- ヒントになった言葉や出来事:目標達成に役立ちそうな気づきや思いついたアイディア、参考になった同僚や顧客の言葉などを記入します。これらが蓄積されることで、達成を後押しするヒント集になるでしょう。
原田メソッドのツール④「オープンウインドウ64」
「オープンウィンドウ64」は、達成するための具体的なアクションや必要な知識やスキルなどを洗い出すことを目的としたツールです。
マンダラートやマンダラチャートとも呼ばれ、日本人なら誰もが知るメジャーリーガーの大谷翔平選手が高校時代に作ったオープンウィンドウ64をご覧になったことがある方も多いかもしれません。
全81マスからなるツールで、使うことで名前の通り、目標を達成するための64個のアイデア(目標達成に向けた窓)が出てきます。
最初に中央のマスに自分が達成したい目標を書き込み、周りの8マスに目標達成に向けて重要なキーワード、取り組む分野を書き込んでいきます。そして、8つのキーワードやテーマ毎に関連する具体的な行動を考えることで、思考がどんどん広がり、最終的に目標を達成するための64の具体的アイディアが導き出されます。
HRドクターでは、オープンウィンドウ64の詳細と活用の仕方を分かりやすく解説した記事も用意していますので、ご興味あれば以下のリンクよりご覧ください。
原田メソッドを学ぶ方法
ここまで、原田メソッドについて解説してきましたが、原田メソッドを学びたい場合にはどのようにすればいいでしょうか?原田メソッドを学ぶ方法を紹介します。
書籍を購入する
原田メソッドは書籍から学ぶことができます。原田隆史氏が代表を務める株式会社原田教育研究所からは、原田メソッドを解説した多くの書籍が出ています。
書籍の中には紹介した3大ツールやオープンウィンドウ64のテンプレートがついているものもあるので、原田メソッドを自分で実践することができます。
ただ、多くの書籍があるのでどれを選んでよいかわからないかもしれませんし、自分だけで概念を全て取り込んでツールを使いこなすのは難しいかもしれせん。そんな人は次に紹介する研修を受けるのがおすすめです。
研修を受ける
原田メソッドは、提唱者の原田隆史氏が主催している原田教育研究所、また、原田メソッドの公式パートナーで研修が受けられます。
研修を受けることで、独学では難しい内容も簡単に理解できますし、サポートしてもらいながらツール利用を進めることができるので、より効率よく確実にノウハウを習得することができます。
原田教育研究所がある大阪以外で研修を受けたい場合や、自社にカスタマイズした内容の研修を受けたいなどの場合には、提携している会社で受けるのもよいでしょう。
HRドクターを運営する研修会社ジェイックも「原田メソッド」研修を公式提供しています。研修会社としてのの知見を活かし、また、自社で活用しているからこそ知っているノウハウを活用しながら、原田メソッドを提供します。ご興味あれば、以下より詳細をご確認ください。
まとめ
記事では、目標達成のプロセスを通じて人間性と仕事力の双方を磨きながら、再現性のある目標達成を可能にする「原田メソッド」を紹介しました。
原田メソッドを実践することで、目標を達成するための具体的な計画や行動を立てたり、自分自身の強みや弱みを客観的に分析し改善したりすることが可能になります。仕事や組織はもちろん、プライベートでも活かすことができるので、会社での課題を感じられている方にもおすすめです。
HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、原田メソッドの公式パートナーとして、法人企業向けに原田メソッド研修を提供していますので、ご興味あれば下記でご確認ください。