新人営業が成長する目標設定の重要性と設定のポイントを解説!

更新:2023/09/06

作成:2021/12/28

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック執行役員

新人営業が成長する目標設定の重要性 設定のポイントを解説!

新人営業を育てるには、成長につながるような適切な目標設定が不可欠です。

 

企業利益に直結する営業。業界によっては採用した新人のほとんどが営業職に配属されています。

 

記事では、新人営業の成長に適切な目標設定が重要となる理由と、目標設定のポイントを解説します。また、効果的な目標設定のツールであるSMARTの原則やマンダラチャートなども紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

<目次>

新人営業を成長させるうえで目標設定が重要な理由とは?

まず、新人営業の目標設定が大切な3つの理由を解説します。

 

新人の目標達成力を高める

営業は企業内で売上を担う部門であり、営業の成果が企業の利益に直結します。新人にも企業目標の一部を割り当てることで企業の一員であるという実感や仕事に対する責任感を持たせることが可能です。

 

また、目標設定は、達成する意識の醸成や、達成に向けた行動計画を立てる技術の習得を促します。目標を具体的な行動計画まで落とし込めば、何をすべきかが明確になり、日々のモチベーションも保てるでしょう。原因の分析・発見もしやすく、実践の軌道修正もスムーズになるはずです。

 

新人営業の場合、適切な難易度の目標を設定することが成長意欲を刺激します。そして、目標をクリアできれば達成感、未達であれば悔しい思いを味わってもらえるのです。

 

掲げた目標に対する実績と経験が、次の目標設定や行動計画の基準となり、不足部分を改善しよう、補おうといった意識を生み、達成力を高めていけるでしょう。

 

新人の主体性を引き出すため

自分で目標を設定し行動計画を立てる行為は、新人のモチベーションを高めると同時に、主体性を引き出す効果もあります。単純に上から降りてくる目標や行動指示ではない点がポイントです。

 

目標が、企業(上司)の目標としっかりリンクしていれば、プロセスや行動を任せていくことも可能です。自ら考えて実践できる自由度が、受け身の指示待ち姿勢を回避して、新人の主体性を促します。

 

自分で考えた行動や手に入れた成果に対する評価は、本人の自信につながります。達成したときの喜びはより大きくなり、より高い目標を目指すモチベーションも喚起するでしょう。

 

上司が目標達成に向けたサポートを行なうため

目標と行動計画が明確になれば、上司による進捗確認やフィードバックもしやすくなります。

 

目標達成までの行動と実績を照らし合わせることで、本人に足りないスキルや課題も見つけられるでしょう。また、目標達成に近付くための適切なサポートや評価すべき点も見出しやすくなります。的確なアドバイスやサポートを通じて、達成確率も高められます。

 

確度の高い取り組みを通して、新人は自己肯定感や達成感、自信を感じられるようになるでしょう。

 

新人営業を伸ばす目標設定のポイント

新人営業の目標設定におけるポイントを見ていきましょう。

 

SMARTの原則に則る

目標を達成するためには、適切な目標値を設定する意識が欠かせません。適切な目標設定を行なうにはSMARTの原則に基づいた目標値の設定が基本となります。

 

SMARTの原則とは、効果的な目標設定のために用いられている原則です。Specific、Measurable、Achievable、Related、Time-boundの頭文字を表しています。

 

・Specific    …… 具体的である

・Measurable    …… 測定できる

・Achievable    …… 達成できる

・Related      …… 上位の目標達成にリンクする

・Time-bound    …… 明確な期限がある

 

営業職の場合、数値化できる目標が多いため、比較的SMARTを活用しやすいでしょう。目標達成のための重要な原則になるので、新人のうちに必ず習得させておきたいスキルです。

 

「R」のRelatedの上位とは、チームや部門、あるいは企業全体を指します。個々の営業担当が目標を達成することで、チームや部門の目標達成が実現する状態になっている必要があります。

 

「A」のAchievableでは、新人の性格や能力を踏まえた設定が求められます。標準的な数値に加えて、個人の性格に合わせて、例えば、はじめは達成感を積ませることを重視する、少し大きな数字にチャレンジさせてやりがいを持たせるといった調整をするとよいでしょう。

 

行動計画や行動目標を作成する

新人の場合、SMARTのなかでもAchievable(達成できる)は大切な要素です。

 

どのようにして目標を達成するのかわからない新人営業にとって、売上目標は非常に大きな数字に見えることも少なくありません。必要なのは、目標を達成するための具体的な行動を洗い出し、何をすればいいかに気付くことです。

 

目標に対して何をすべきかが見えてくれば、どのように(流れや数・量)実践するかという計画が立てられます。計画立案を通じて、実現可能な数字であることが徐々にイメージできるようになります。また、計画を立てれば日々の行動目標にも落とし込みやすくなるでしょう。

 

新人営業本人にとって「達成可能」と思えるようにすることが、行動を促すためにも、モチベーションを喚起するうえでも重要です。

 

目標を自分事にする

組織全体の数値目標から割り当てられる目標に対して、新人はなかなか自分事としてとらえられません。

 

所詮、組織(企業)のためと考えている間は、モチベーションも湧きにくいでしょう。特に営業職の目標は、基本的に売上目標となるため、目標がプレッシャーに直結しやすく、自分にとっての意義や価値といったものを見失いがちです。

 

自分事ととらえてもらうためには、目標達成することが自身の願望や欲求も満たすことにつながるという認識が大切です。設定した目標を個々の自己成長や評価、将来のキャリアなどと紐付けられるようにしましょう。

 

一つひとつの行動が自分事化できれば、より高いモチベーションを持って取り組めますし、より高いパフォーマンスにもつながります。

 

定量目標に加えて、定性目標を作成する

定量目標とは具体的な数値で表せる目標のことで、定性目標は具体的な数値で表せない目標を指します。営業職は、定量目標が設定しやすいこともあり、基本的に売上数値などが目標として設定されます。

 

新人の場合は、定性目標を使って、目標の意味を深掘りしておくことが有効です。定量目標(数値)の達成に対して、○○○な営業になる、○○○のスキルを習得するなどの実現したい定性目標の設定を促しましょう。

 

例:〇年〇月末までに売上目標〇〇万円を達成して、5人の顧客から感謝の言葉をもらうとともに、営業として活躍する自信を身に付ける!

 

上記の目標の場合、5人の顧客から感謝の言葉をもらう、営業として活躍する自信を身に付ける!などが定性目標にあたります。定性目標をうまく設定することで、前述の目標の自分事化が起こりやすくなるでしょう。

 

進捗確認・振り返りの体制を作る

目標に対する進捗確認は、上司が新人を適切にサポートするために重要となります。そこで必要になるのが、的確に高頻度でPDCAを回す仕組み作りです。

 

目標の期限が過ぎてから振り返るような体制では、新人が目標を達成する確率は低くなってしまいます。

 

毎週のレビューを設定するなど、高頻度で進捗を確認することが大切です。目標と現状、計画した施策の実行状況、効果などを目標達成に向かう適切な段階で振り返り、軌道修正していきます。

 

PDCAを回すなかで、どのようなサポートがあれば実行しやすいのか、あるいは達成に近付きやすくなるのかも見えてくるでしょう。

新人営業の目標設定の設定例・サンプル

では、新人営業の目標設定と目標達成のための計画の立て方を、例も交えながら解説します。

 

目標

先述したように、効果的な目標設定にはSMARTの原則に則って目標を設定するのが基本です。

例えば、以下のような設定が考えられます。

 

例)売上目標250万円を達成して、一人で商談・受注できる自信を身に付ける

 

目標達成のための計画

設定した目標を達成するためには、どのような行動計画を立てるかが重要です。

 

行動計画を立てる方法としては、マンダラチャートの活用もおススメです。マンダラチャートはオープンウィンドウ64やマンダラートとも呼ばれ、目標達成のための思考法・発想法です。

 

<マンダラチャートの例>

マンダラチャート完成形

【マンダラチャート作成の流れ】
  • 9×9マスを用意し、中心に一番達成したい目標を記入
  • 中心の周りの8つのマスに取り組みの大テーマとなる基礎思考を記入
  • 8つの基礎思考を外側の8マス、それぞれの中心に転記
  • 各基礎思考の周りに実際のアクションアイデア(実践思考)を記入

 

【マンダラチャートを使った行動計画の例】

上記の目標を実際のマンダラチャートにあてはめて考えてみましょう。

 

中心の達成したい目標:

売上目標250万円を達成して、一人で商談・受注できる自信を身に付ける

 

周りの8マス(基礎思考)

  • 成約数〇件
  • 新規顧客獲得〇件
  • 営業力スキルアップ
  • 商品研究
  • 既存顧客フォローアップ
  • 〇〇〇
  • △△△
  • □□□

 

一つ目の成約数〇件という基礎思考の達成に必要な実践思考

  • 商談数〇件
  • アポ●件
  • 商品提案〇件
  • 訪問企業フォローアップ
  • 提案資料のブラッシュアップ
  • マーケティング施策の理解と連携
  • 週2で計画の振り返り
  • 上司・先輩への報告・相談

まとめ

目標設定は、新人営業の主体性を引き出します。自ら効果的なアクションを考えるようになり、成果にも責任を持てるようになるでしょう。

 

明確な目標と具体的な行動計画を立てることで、PDCAが回しやすくなるのも利点です。不足や課題に対して、的確な改善や修正ができるようになり、結果的に営業としての成長も促します。

 

目標設定するうえでは、SMARTの原則に則った目標設定とともに、定性目標を使った内発的動機付けも大切です。また、設定した目標を行動計画に落とし込むツールとして、マンダラチャートの活用も有効です。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック執行役員

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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