スケジュール管理には「日時の約束を管理する」と「タスクの納期や進捗、実施を管理する」という2つの意味があります。どちらもビジネスで成果をあげるうえでは不可欠です。
記事では、現代のスケジュール管理に不可欠な手法やアプリ、また、スケジュール管理のポイントを紹介します。
<目次>
- スケジュール管理とは?
- スケジュール管理アプリ・ツールの種類
- グループウェア一体型のスケジュール管理ツール3選
- 個人でも使えるカレンダー型のスケジュール管理ツール3選
- タスク管理型のスケジュール管理ツール3選
- 番外編:エクセル・スプレッドシート
- スケジュール管理アプリの選び方
- スケジュール管理の目的と重要性
- スケジュール管理の基本とポイント
- まとめ
スケジュール管理とは?
スケジュール管理とは、まず「会議」や「商談」「打ち合わせ」など、自分以外の人とのアポイントを管理することを指します。また、日時の約束だけでなく、自分自身や部下のタスク、プロジェクト全体の進捗など、周囲の状況を管理することを「スケジュール管理」と定義することが多いです。
つまり、スケジュール管理には「日時の約束」と「タスクの納期や進捗、実施」の2つの役割があるわけです。最終的には、いずれもカレンダー上に落とし込み、連動させて管理させることで、仕事の進捗がスムーズになるでしょう。
スケジュール管理ができていないと、日時の約束をすっぽかしてしまうようなこともあり得ますし、タスクの納期やプロジェクトの進捗を把握できなくなり、周囲との信頼関係の悪化につながりかねません。そのため、スケジュール管理は仕事で成果を上げるためには必要不可欠なことと言えます。
スケジュール管理アプリ・ツールの種類
スケジュール管理を行うツール・アプリは大きく分けると、グループウェアのひとつとして組み込まれて、カレンダー機能と連携して動くようなタイプ、そして、タスク管理を中心としたタイプの2つに分けられます。
ビジネスパーソンの場合、勤務している組織でグループウェアが導入されていることも多いでしょう。従って、自分の組織でどんなグループウェアが導入されており、標準のタスク管理ツールがどんなものかを確認したうえで、ツールを検討するとよいでしょう。
グループウェア一体型のスケジュール管理ツール3選
グループウェア一体型のスケジュール管理ツールでおすすめなのは、以下の3つです。
- Google Workspace
- Microsoft 365
- サイボウズOffice
順番に見ていきましょう。
Google Workspace
Googleのグループウェア「Google Workspace」には、ToDo管理機能が搭載されています。Google WorkSpaceの特徴は、Googleカレンダーを軸にして、Gmailとの連携などをスムーズに行えることです。
最近では、カレンダーに入力したスケジュールを自動で分析し、自分の時間配分などを分析してくれる機能も搭載されています。うまく活用すれば、時間の使い方を見直すうえで参考になるでしょう。
また、Googleドキュメント、Googleスプレッドシート、Googleプレゼンテーションなど、業務の進捗などに深く関連する各種ツールともシームレスに連携できるのは非常に便利です。
GoogleWorkspaceは個人利用は無料ですが、法人などで複数人と共有する場合は、有料プランを契約する必要があります。
Microsoft 365
「Microsoft 365」ではMicrosoftが提供するグループウェアであり、Outlookというカレンダー機能、そして、MicrosoftToDoというタスク管理機能の2つを組み合わせて、スケジュール管理を行えます。
Microsoftの各種ソフトウェアと連携し、スケジュールの共有やプロジェクト・タスクなどの管理も可能です。
【Microsoft365と連携するソフトウェアの一例】
- Outlook:受信トレイ・スケジュールの共有
- Microsoft ToDo:To Doリスト
- Microsoft Planner:チームのタスク管理
- Microsoft Teams:ビデオ通話・チャット
ビデオ通話やチャットなどができるコミュニケーションツール「Microsoft Teams」にも同期されるため、オンラインミーティングなどでスケジュールを立てたいときに活用できます。
サイボウズOffice
中小企業におすすめのグループウェア一体型のスケジュール管理ツールが「サイボウズOffice」です。
サイボウズOfficeはGoogleWorkspaceやMicrosoft365とは異なり、ドキュメントや表計算などの機能は搭載しておらず、純粋なグループウェア機能に特化しています。その分、GoogleWorkspaceやMicrosoft365よりも安くなっている点は魅力です。
【サイボウズOfficeの機能】
- スケジュール
- メッセージ
- ファイル
- プロジェクト
- To Doリスト
モバイルとパソコンの両方に対応しているので、オフィスでも外出先でも場所を選ばずにアクセスできます。費用は1ユーザー当たり月額500円となっており、1カ月単位で解約やユーザー変更など、柔軟な対応が可能です。
個人でも使えるカレンダー型のスケジュール管理ツール3選
組織単位だけでなく個人としても使いたい場合は、以下3つのツールがおすすめです。
- Yahoo!カレンダー
- ジョルテカレンダー
- Time Tree
ひとつずつ見ていきましょう。
Yahoo!カレンダー
無料で利用したい方におすすめしたいのが、Yahoo!カレンダーです。タスクごとに色分けができるので、ビジュアル面で見やすいことが特徴です。
宅配や新幹線の予約も自動でスケジュール帳へ反映してくれるので、管理の手間がかからずに済みます。また、Yahoo!天気サービスとも連携しており天気予報がスケジュール帳へ反映されるので、天気を見ながらスケジュールが組めるようになります。
なお、チームメンバーと共有する機能を活用したいときは、Yahoo!IDを持っていなければならない点には、注意が必要です。
ジョルテカレンダー
手帳の使用感にこだわりたい方におすすめなのが、システム手帳でも有名なジョルテブランドの「ジョルテカレンダー」です。To Doリストやスケジュールの管理はもちろん、複数のカレンダーを運用できるので、プロジェクトやシーンごとに分けて使うこともできます。
パスワードロック機能も搭載しているので、セキュリティ面も安心です。
また、ジョルテカレンダーには着せ替え機能も搭載されており、自分好みのデザインに仕上げられます。プライベートとビジネスのスケジュールを区別しながら、1つのツールでまとめて管理したい人におすすめです。
TimeTree
スケジュールを共有できるツールの多くは有料のものが多いですが、Time Treeは無料のスケジュール管理ツールです。スケジュール帳に入力した時間が来たら通知してくれる機能があるので、予定を見逃す心配がありません。
年額3,000円のプレミアムプランに加入すれば、予定ごとにPDFなどのファイル添付やバーチカル表示機能を追加で利用できます。個人やプライベート利用でコストを重視したい方には、Time Treeもおススメです。
タスク管理型のスケジュール管理ツール3選
タスク管理を中心に据えてスケジュールを管理したい方におすすめのツールが、以下の3つです。
- Trello
- Asana
- Notion
ひとつずつ解説します。
Trello
Trelloは、タスク管理に特化したビジネスツールです。付箋を張り付けたり、動かしたりするような形で、直感的・視覚的な管理ができることが大きな魅了です。
複数のボード(タスクを管理する固まり)を作れるため、例えば、「Aプロジェクト」「自分のタスク」「メンバーに依頼しているタスク」といった形で、タスク管理できることも魅力です。
また、複数メンバーで共有するボードを作るような形でプロジェクトやチームのタスク管理ができる、また、SlcakやGithub、Salesforceなど多数の外部ツールとの連携なども無料で使えることが大きな魅力です。
Asana
ワークマネジメントツールのAsanaはタスクのスケジュール管理はもちろん、プロジェクトの計画やプロセスを関係者全員で共有できます。プロジェクトを一元管理することを目的に作られているので、とくにチーム等でスケジュール管理、プロジェクト管理をしたい人にはお勧めです。
プランは全部で4つありますが、部署・チームで共有する場合は、有料プランの中でも低級のPremiumから利用しましょう。必要な機能が出てきたタイミングで上級のプランに切り替えれば、コスパよく利用できます。
Notion
Notionはスケジュール管理に限らずタスク管理やドキュメント作成など、さまざまな機能を無料で利用できるオンラインツールです。ユーザー以外の人も閲覧可能なうえに、無料プランでも10人までであれば編集作業ができます。
Notionの主な機能は、以下のとおりです。
- スケジュール管理
- ドキュメント作成
- タスク管理
- ファイル共有
- 社内Wiki(社内情報の管理ページ)
Notionはタスク管理がメインのツールなので、スケジュール管理目的で利用すると、機能面で物足りないと感じる場面もあるでしょう。しかし、ファイル共有や社内Wikiなどの機能があるころから、プロジェクト管理などには非常に有効です。
番外編:エクセル・スプレッドシート
普段の業務で使う機会が多いエクセルやスプレッドシートなどの表計算ソフトも、スケジュール管理に活用できます。表計算ソフトを使うメリットは、誰もが使い慣れているので使い方に戸惑う人が少ないことです。
エクセル・スプレッドシートともにスケジュールのテンプレートがあるので、わざわざ編集してカレンダーを自作する必要はありません。普通のスケジュール帳と同様に利用できるでしょう。
また、Microsoft365やGoogleスプレッドシートなどであれば、オンラインで運用できますので、パソコンとスマフォで同期させる、チームメンバーと共有して動かすといったことも可能です。
非常に便利で、お手軽に使えますが、スケジュール管理やタスク管理用のツールではありませんので、カレンダーとの連携、視覚的な見やすさなどは若干劣る部分があります。
スケジュール管理アプリの選び方
スケジュール管理アプリには数多くの種類があるので、選び方を間違えると必要な機能が搭載されていないことも十分にあり得ます。スケジュール管理アプリを選ぶポイントは、以下の3つです。
- 月額費用
- 目的に沿った機能がある
- 直感的に使える
順番に見ていきましょう。
月額費用
複数人で共有する機能を使う、また、グループウェアに組み込まれたタイプのスケジュール管理ツールを利用すると、多くの場合、月額費用が発生します。
料金体系で多いのは、3つぐらいの料金プラン(月額費用)があり、それに利用ユーザー数を掛け合わせるような形のものです。費用相場は1人あたり月額300~1,000円程度です。
あらかじめユーザー数を把握してから、月額費用を比較するようにしましょう。なお、費用がかかるアプリであっても個人で利用する分には無料であるケースも多いです。
目的に沿った機能がある
スケジュール管理アプリと言ってもスケジュール管理機能だけでなく、To Doリスト管理やファイル共有など、機能を豊富に搭載しているアプリもあります。アプリによってコンセプトが異なるので、いくら機能が豊富だったとしても、目的に沿っていない場合も十分に考えられます。
カレンダーとの連携、タスク管理機能の便利さ、他メンバーとの共有などのうち、どこに重点をおくか、どれを必須と考えるかによって、ツール選びの基準が変わってくるでしょう。
直感的に使える
スケジュール管理ツールの使い勝手も重要なポイントです。個人で選ぶ場合は、個人の好みで選べばいいでしょう。
また、組織で導入する場合、メンバーの中にITシステムに苦手意識を持っている人がいることもあるでしょう。そうした場合には、直感的に使えるツールなどを選ぶことも大切です。
たとえば、ジョルテカレンダーはシステム手帳を作っていたノウハウを反映させることで、昔ながらの手帳と同じ感覚で使えるようにしています。また、Torelloは紹介した通り、壁のボードに付箋を貼って剥がすようなUIになっています。
スケジュール管理の目的と重要性
スケジュール管理ができていないと、仕事のパフォーマンスや信頼関係、また、プロジェクト進行などに支障をきたす恐れがあります。スケジュールを管理する目的と重要性を改めて確認しておきます。
- 仕事を円滑に進められる
- チームの連携を高められる
- マネジメントに活かす
順番に見ていきましょう。
1. 仕事を円滑に進められる
スケジュール管理ができれば仕事の全体像が見えるようになり、タスクごとに実施の優先順位を付け、円滑に進められます。仕事の漏れや遅れも防止でき、次に取り組むべきタスクに対して悩む時間も省けるので、生産性の向上にもつながるでしょう。
2. チームの連携を高められる
チームでスケジュールやTo Doリストを共有していれば進捗状況を適宜把握できるので、仕事を効率よく進められます。
仮に進捗遅れが発覚した場合は、大きな問題になる前にフォローに回ることもできます。逆に進捗を把握できていない状況だと、気づかないところでクレームや大きな問題が発生し、カバーするのに時間を取られてしまうでしょう。
3. マネジメントに活かす
マネジメントするうえでも、スケジュール管理によって知り得た時間の使い方から、有効なアプローチが可能です。
ホワイトカラーの仕事は「時間の切り売りではない」と言われますが、現実問題として定時の中で最大のパフォーマンスを発揮することが重要となります。とくに近年では働き方改革により、残業時間をゼロに近づけることが求められています。
メンバーの時間の使い方を確認することが出来れば、パフォーマンス改善に向けて具体的なアドバイスをしたり、ボトルネックになっている場所を効率よく確認したりできるでしょう。
スケジュール管理の基本とポイント
スケジュール管理は、いくつかの基本を押さえておくことが大切です。スケジュール管理に苦手意識を持っている方、改善したい方は、以下のポイントを押さえましょう。
- 日時の予定+タスクの管理
- 優先順位の設定
- 納期の管理
- 必要工数の見積もり
- バッファ(余白)の確保
- 振り返り
ひとつずつ解説します。
スケジュール+タスクの管理
冒頭でも紹介した通り、スケジュール管理は「日時の予定」だけでなく、「タスク」も連動して管理していくことが大切です。タスクを実行するうえでも時間が必要であり、どこで進行するのかをカレンダーに落とし込んで管理することが大切です。
仕事のパフォーマンスが悪い人の中には、「スケジュール管理はできているけど、タスク管理をきちんとできていない」というのがよく見られます。タスク管理を予定管理と連携させて実施することを忘れないようにしましょう。
優先順位の設定
誰もが1日は等しく24時間です。その中で、仕事につかえる時間というのは限定的です。
とくに働き方改革なども進む中で、残業で何とかカバーする、無茶な労働時間でカバーするといったことは出来なくなっています。上記はもちろん正しいことですが、その分スケジュール管理、そして、スケジュールの優先順位付けをキチンとすることが求められる時代になっています。
優先順位をきちんと決めてスケジュールに落としこむことで、きちんと納期を守り、また成果を創出することが出来るでしょう。
優先順位を決めるポイントは、各タスクを2つの軸、「重要度」と「優先度」で考えて、4つのマトリックス、時間管理のマトリックスに当てはめることです。
そして、「重要度」が高い領域に時間を使う、逆にいうと、重要でない領域の仕事を削減することが大切です。
優先順位を設定する具体的な方法については「時間管理のマトリックスとは?緊急度×重要度の整理で生産性UPを実現する方法を解説」の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
納期の管理
仕事の基本は納期を守ることです。納期に遅れてしまうとクライアント・取引先に迷惑がかかり、今後の取引が打ち切られる事態も十分に考えられます。社内であっても、次工程の人に迷惑が掛かりますし、信頼を失っていくことになります。
従って、タスク管理をする際には、必ず「納期」を考慮して優先順位を決めることが大切です。
時間管理のマトリックスでは、「緊急度」、すなわち納期の緊急度などで安易に優先度を決めることを戒めています。ただし、短期的には納期は守れるように優先度を決める、中長期的には重要度の高い領域で仕事できるように調整していくという両方が大切です。
必要工数の見積もり
納期を守り、また、タスクをスケジュールに当てはめるうえでは、各タスクの必要工数を適切に見積もることが大切です。必要工数の見積もりが不正確だと時間が不足して終わらなかったり、納期に間に合わなかったりしてしまいます。
タスクは、15分以下で終わる仕事、30分~1時間程度の仕事、1時間以上かかる仕事、集中力が必要な仕事といったイメージで分類しておき、
- 15分以下で終わる仕事…隙間時間に端から片付ける
- 30分~1時間程度の仕事…MTGの合間などで時間を確保する
- 1時間以上かかる仕事…きちんとスケジューリングする
- 集中力が必要な仕事…朝やまとまった時間を確保する
といった形で、取り組むことがおススメです。
バッファ(余白)の確保
仕事ではトラブルの発生や急な依頼・打ち合わせなど、さまざまな要因で計画からのズレが必ず生じます。また、メールの返信や雑務処理など、スケジュールに入れられない業務や計画が原因でズレることも少なくありません。
そのため、予定していたスケジュールがズレることを前提にして、はじめからスケジュールにバッファ(余白)を持たせることが大切です。
目安として1日の15%程度を余白として確保しておくと、予定外のタスクなどを消化でき、全体として計画通りに進行できるでしょう。
振り返り
スケジュールは立てたら終わりではなく、定期的に振り返りをして、全体の進捗に問題がないか常に確認しましょう。
短期的には「今日一日が予定していたスケジュール通りに進行できたか?」という振り返りが大切です。計画に対するズレがあった場合はタスクにかかる工数の見積もりが誤っていたり、確保すべきバッファ量が間違っていたり、入ってくるタスクを予期できていなかったりしたなどの原因があるでしょう。振り返りを通じてスケジューリングの精度を高めていきましょう。
また、中長期的に振り返る場合は自分の時間の使い方を振り返ることが大切です。時間管理のマトリックスで紹介した通り、「重要ではないこと」に時間を使い過ぎていないか?考えてみましょう。
まとめ
スケジュール管理には、人との予定を管理することだけではなく、タスクを管理する、また、メンバーやプロジェクトの進捗を管理することも含まれます。とくにビジネスで限られた時間で高い成果をあげるためには、スケジュール管理の能力が不可欠です。
スケジュール管理ツール・アプリは、グループウェアに組み込まれたタイプ、タスク管理を中心に据えたタイプの2種類があります。自社で既に導入されているグループウェア、また、ひとりで使うのか複数人で共有したいかなども確認して、利用目的に応じて適切なツールを選びましょう。
スケジュール管理能力を高めるためには、
- 日時の予定+タスクの管理
- 優先順位の設定
- 納期の管理
- 必要工数の見積もり
- バッファ(余白)の確保
- 振り返り
などが大切です。
スケジュールを管理の効果性を高めるために不可欠な時間管理のマトリックスの考え方については、下記の記事で紹介しています。
また、時間管理のマトリックスを踏まえて、スケジュール管理の効果性を高めるためには、以下の資料が参考になります。
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