新入社員研修は、「学生から社会人への意識の切り替え」と「部門配属に向けた基礎的な基礎知識・スキルの習得」等を目的とした研修です。
記事では新入社員研修の選定や実施に向けて、
- 新入社員研修の3つの目的
- 主な研修内容
- 研修を成功させる4つのポイント
を解説します。また、オススメの新入社員研修もご紹介します。
<目次>
- 新入社員研修の目的とは?研修を行う3つの目的
- 新入社員研修で学ぶ主な研修内容【研修例】
- 新入社員アンケート結果を踏まえた新人研修のポイント
- 新入社員研修の企画・実施フロー
- 新入社員研修のスケジュール例
- 新入社員研修の実践方法4選
- 新入社員研修を成功させるために押さえたい4つのポイント
- 新入社員研修を外部委託する場合の選ぶポイント
- 【事例】HRドクターの新入社員研修コンテンツの特徴・ポイント
- まとめ
新入社員研修の目的とは?研修を行う3つの目的
新入社員研修の目的として、主に以下の3つが挙げられます。
- 企業理念・事業を学び、求められる役割や行動規範を理解する
- 社会人として仕事や成長に必要なマインドセットを学ぶ
- 敬語や電話応対などの基礎的なビジネスマナーを身につける
以下に詳しく解説します。
企業理念・事業を学び、求められる役割や行動規範を理解する
新卒社員に入社後早く活躍してもらうには、「自社の組織に馴染ませる」ことが必要です。
新入社員研修を通して、組織の沿革、企業理念、事業内容、社内の人、社内用語といったものを理解していくことでビジネスパーソンである、また自社の一員である自覚を強く持ってもらうことが大切です。
こうしたプロセスを通じて、
- 組織における自分が求められること、位置づけなどを理解する
- 企業理念・事業を学ぶことで企業の考え方や価値観、取るべき行動を把握し行動できるようになる
- 目標が明確化されることでモチベーションが高まり能力を発揮する
ようになるでしょう。
新入社員研修を行うことで、新入社員は事業全体を理解し、自分の業務の位置づけを把握し、どのように貢献していくか求められる役割を理解できます。また、企業理念を浸透させることで、理念に基づいて行動する思考や判断の土台を作ることが出来ます。
社会人として仕事や成長に必要なマインドセットを学ぶ
新入社員は、つい昨日まで学生だった若者です。正社員経験のない新人は、ビジネスパーソンの感覚よりも消費者感覚、学生感覚がまだ強いでしょう。
従って、新入社員研修の大きな役割の一つに、新卒社員に社会人としての自覚を持ってもらい、学生気分ではなくビジネスパーソン、プロフェッショナルとしてのマインドセットを学んでもらうことがあります。
これまでの消費者意識、与えられる側の感覚から「与える側の意識(価値を生み出す側)」に、マインドを変える必要があります。
敬語や電話応対などの基礎的なビジネスマナーを身につける
社会人になると、社内外の関係者と協力しながら仕事をしていくことになります。また、社外の人と接する時は、新入社員といえども会社を代表する“顔”となります。従って、社会人としての最低限のビジネスマナーを身に付ける必要があります。
名刺交換や電話対応、挨拶、身だしなみなど、場所や状況に応じて言葉づかい、対応ができるようビジネスマナーの「型」を新入社員研修で身に付けてもらいます。また、コンプライアンスなど信頼関係にかかわる知識を学ぶことも重要です。
SNSが発達した現在、学生時代には社会人としての敬語を身に付ける機会は少なくなっています。また、コロナ禍を経て、対面の場におけるビジネスマナーを苦手とする新入社員も増えています。新入社員研修を通じて、社会人としてのマナーを習得することは、業務スキルを学んでいくうえでの前提となる部分です。
新入社員研修で学ぶ主な研修内容【研修例】
新入社員研修では、主に以下のような内容を学び、社会人として働く上で必要な知識、マナーなどを身に付けます。
- 社会人のマインドセット
- 基礎的なビジネスマナー
- PCスキル・ITスキル
- コミュニケーションスキル
- コンプライアンス
- 業務に必要な基礎知識・スキル
以下に詳しく解説します。
社会人のマインドセット
マインドセットとは、「無意識の思考や行動パターン」「物事を見るときの思考の癖」といったことを指します。マインドセットはこれまでの経験や環境、学校で受けた教育などに大きく影響を受け形成されるため、社会人になったばかりの新入社員は「社会人としてのマインドセット」を習得し直すことが重要です。
また、新入社員の長期的な成長を図るために、成長マインドセットを意識した研修内容とすることが大切です。失敗を恐れず挑戦し、経験から学ぶことが大切であることを理解してもらいましょう。
これまでの学生としての思考から、社会人、ビジネスのプロフェッショナルとしての思考に切り替え、仕事をする中で生じる困難や失敗を成長の機会と捉えられるよう、意識改革を目指すことがマインドセット研修の目的です。
社会人のマインドセット研修を行う場合、以下のような内容を取り入れるとよいでしょう。
- プロのビジネスパーソンとしての姿勢
- 仕事を教わるうえでの姿勢
- 仕事を進める主体性
- 研修が終わった後も学び続ける自律性
- 論理的思考力
- ポジティブ思考
こうした内容を研修で学び新入社員の意識改革を促すことで、主体的に仕事に取り組む姿勢、失敗を糧として成長につなげていくポジティブ思考、コミュニケーションへの積極性が生まれやすくなり、成長スピードの向上が期待できます。
基礎的なビジネスマナー
新入社員研修では社会人として必要なビジネスマナーを学ぶことも大切です。新入社員といえども顧客対応する時には「企業の顔」です。新人の振る舞いや対応、身だしなみによって企業イメージが左右されたり、お客様の満足度や信頼関係に影響したりします、
最近は業界・会社によって日常的なビジネスマナーは違いますが、新人研修では以下のような基本マナーの「型」は教えた方がよいでしょう。
- 服装や身だしなみ
- 敬語
- 名刺交換
- 来客対応
- 訪問時のマナー
ビジネスマナーの定着率を高めるには、ロールプレイングやケース学習を入れた実践的内容にすることがポイントです。
テレワークが普及した近年では、お客様と直接会う機会も少なくなり、電話やメール、チャットなどのテキストコミュニケーションの重要性も高まっています。お客様や取引先などに失礼な対応をしないためにも、以下の内容は新人研修のうちに教えることが大切です。
- 電話の受け方・かけ方・取り次ぎ方
- ビジネスメールのマナーや使い方
- ビジネスチャットにおけるマナー
ある程度実務的な慣れが必要な部分もありますが、ロールプレイングや研修期間内での実践を通じて、身に付けさせていきましょう。
PCスキル・ITスキル
デジタル化が進む現在、あらゆる職種において業務を行う上でPCスキルは必須だといえます。特に近年はDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進によって、ますますデジタル化が進んでいます。
新入社員の早期戦力化、生産性UPを望む場合には、PCスキルは実施しておくべき研修内容になるでしょう。意外と最近の新入社員は、スマフォやタブレット、生成AI等には慣れている一方で、PCスキルは高くないことも多いものです。
PCスキルは業務効率や正確性に直結します。職種によりますが、PCスキル研修では以下のようなスキルを身に付けてもらう必要があるでしょう。
- タッチタイピング (ブラインドタッチ)
- ショートカット
- Excel、Word、PowerPointの操作
- 基礎的なセキュリティに関するリテラシー
PCを扱い業務を進めていく中で、最も基礎となるのがタイピング力です。ブラインドタッチができるかどうかで業務スピードが大きく変わってきます。ショートカットキーを把握することも同様に、業務スピードを改善することに重要です。
Excelの関数や機能を理解することができれば、ルーチン業務を効率化することが可能となります。PCスキル研修は可能であれば業種・職種に応じて、どこまでのスキルを学ぶ必要があるかを検討するとよいでしょう。
また、社内の殆どの情報がネットワーク上にある現在、社員一人のウイルス感染やPC紛失が大きな事態につながる可能性もあります。メールやWebアクセス、個人情報、パスワード管理等に関する基礎的なセキュリティのリテラシーは必須です。
コミュニケーションスキル
業務をスムーズに進めるためには、職場での上司や先輩との連携が欠かせません。また、人によっては顧客やパートナー等、社外とのコミュニケーションも多々発生します。
早い時期の新入社員研修でコミュニケーション能力を磨くことで、職場において円滑に業務を進行することができるようになります。
なお、新入社員研修で実施すべきコミュニケーションスキルとして重要なことの一つに、報連相(報告・連絡・相談)があります。
報連相の重要性を理解し徹底して行うことができれば、周囲と状況を共有しながら仕事を進めていくことができます。新人が進めている仕事の状況を上司や先輩がきちんと把握できるため、問題を抱えている際にも早期に気づきフォローをしやすくなります。結果としてトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
また、新入社員にとって報連相は上司や先輩の力を借りる方法でもあります。報連相をキチンと実施できる新入社員は、上司や先輩のアドバイスをもらって早期に成果をあげる、また、成長できます。
さらに周囲とのコミュニケーションが円滑になれば、分からないことがあっても質問しやすくなり、人間関係の構築もしやすくなります。社会人の離職理由の大部分は人間関係です。円滑なコミュニケーションは離職を防ぐことにもつながります。
コンプライアンス
コンプライアンスは「法令遵守」と訳されますが、最近は法令だけでなく、就業規則などの社内規定、また社会規範や社会倫理を守ることも含めて指すことが増えています。
新入社員の場合、入社するまでは「個人」として活動していますが、社会人になるとビジネスマナーでも記載した通り、「組織を代表する一人」になります。不祥事を防ぎ、企業や社員の信用などを守るために、コンプライアンス研修も新入社員研修で学ぶべき重要なテーマです。
新入社員を対象とするコンプライアンス研修では、特に以下の内容を学ぶことが重要といえるでしょう。
- 情報セキュリティ(個人情報や社内情報の取り扱い、SNS使用
- ハラスメント
- 社内規定、就業規則
- 関連法令
- 期待されている社会倫理
まず個人情報や社内情報の取り扱い、SNS使用時の注意など、情報セキュリティに関する注意事項は現在に必須のコンプライアンス研修と言えるでしょう。とくに現在の新入社員は何らかのSNSを利用している人も多いでしょう。SNSへの投稿で個人情報や機密情報が漏洩してしまわないよう、情報セキュリティについての理解を深めることは必要不可欠だといえます。SNSでの炎上などトラブルを未然に防ぐことは非常に重要です。
またハラスメントについても理解を深めておくことが大切です。ハラスメントは上司から部下に対してというイメージがあるかもしれませんが、新入社員であってもハラスメントを起こし得る可能性があります。取引先に対しての何気ない発言がハラスメントになる、といった可能性もあるのです。
また、守るべき社内規定や就業規則、また業界や仕事内容に関連する法令の注意点、社会から期待される社会倫理などは新入社員にもしっかりと教えておくことが大切です。
業務に必要な基礎知識・スキル
新入社員を戦力化するためには、業務に必要な基礎知識・技術・スキルに関する研修も行う必要があります。業界知識、取引先、業務フローなど、実際に現場に配属される前に知っておくべきことはたくさんあります。
必要とされる知識やスキルなどは配属される部署ごとに異なりますが、営業の場合にはアポイントの取り方、営業のロールプレイング研修などの内容があります。例えば、経理であれば貸借対照表や損益計算書、会計ソフトの使用方法などを学ぶなどで、実際に現場に配属された後に業務がしやすくなるでしょう。
なお、業務に必要な基礎知識やスキルは新入社員研修で教える必要があるものですが、どこまで集合研修や初期研修で教えて、どこからを部門配属後のOff-JT、またOJTで教えるべきかは検討が必要です。
新入社員アンケート結果を踏まえた新人研修のポイント
HRドクターを運営する株式会社ジェイックでは、新人研修サービスを提供しています。新入社員研修を成功させるためには、新人の特徴を認識しておくことも、研修を企画するうえで重要な材料になります。
まずは新入社員800名にとったアンケート結果、その直近3年分の推移も比較しながら、新入社員の特徴を見ていきましょう。
入社の決め手
アンケートを振り返ると、
2位:成長できる環境があると感じた
3位:面接してくれた社員が魅力的だった
上記が『入社を決めた理由』のTOP3の回答です。
次に、新人が思う『キャリアで実現したいこと』のアンケートを見てみましょう。
今後のキャリアで実現したいこと
新入社員がキャリアで実現したいことのTOP3は
2位:今の会社で出世して、年収を高める
3位:ワークライフバランスを確立する
といった内容でした。
2024年度の新入社員の特徴
『入社の決め手』のアンケートを振り返ると、「成長できる環境がある」や「面接してくれた社員が魅力的」という入社の理由は、面接官に左右されることが多く、入社後・配属後ギャップに繋がります。
理由としては、面接官は活躍している社員が担当となるケースがほとんどのため、入社した理由が面接官である場合は、新入社員は「キラキラした社会人(面接官)」を思い浮かべます。
一方で、社会人となれば、「成果」をあげるために上司や先輩とうまくコミュニケーションをとりつつ、泥臭い業務や自分が興味のなかった実務をこなしていくことが現実です。そういった新入社員が思い描いていた「キラキラ」とは違った仕事内容や職場から、入社後・配属後ギャップが生まれるリスクが生じます。
次に、『キャリアで実現したいこと』のアンケート結果を紐解くと、新入社員は、AIの台頭など、キャリアの不確実性や危機感を抱いていることから、「自己成長」への関心が高まっています。
2024年には「年収を上げる」希望が増加し、「ワークライフバランス」を重視しながら副業での収入増も視野に入れる傾向が強まっています。
こういったアンケート結果から、新入社員の特徴を把握して、新入社員研修の企画や内容を詰めていくことが研修効果を上げるポイントとなります。
新入社員研修の企画・実施フロー
新入社員研修の企画・実施フローはたとえば、以下のような流れとなります。
1.企画や方針を決め、研修内容をまとめる
まず新入社員研修の目的・目標を明確にすることが大切です。その上で、目的・目標を達成するための研修の企画や方針を決め、研修内容(カリキュラム)をまとめます。
経営陣やマネージャー層、現場社員にヒアリングし、新入社員に求める人物像、スキルなどを把握し研修内容に反映するのも方法の一つです。
新入社員研修は、教えるべき内容が多岐にわたることから目的や目標を考えずに、教えるべきコンテンツを並べると研修プログラムが出来上がってしまう側面もあります。しかし、自社の配属職種や部門配属のスケジュールなどをしっかりと勘案して、目的やゴール設定して作成することが大切です。
なお、研修で成果を出すには、研修後のフォローも大切です。そのため企画・方針をまとめる際には研修後のフォローも含めて計画を立てるようにすることが必要です。
2.新入社員研修を実施する
新入社員研修を実施します。初期研修の期間は企業・配属先などによっても異なりますが、一般的には1-3か月程度です。初期研修のみで業務スキルの研修などをしない場合は期間は短く1カ月程度。
営業や販売職などに全員が配属される等で職種の初期研修が実施される、またエンジニア等で開発言語の研修などが実施される、製造業などで各部署をジョブローテーションで体験してから配属されるといった場合には2-3カ月程度になることが多くなります。
3.研修のフォローアップをする
研修の効果性を高めるには、研修後のフォローアップが大切です。受講者に研修終了後のアクションプランを作成してもらい、一定期間後に状況を報告させるということも有効です。
また、フォローアップ研修を実施するのも効果的です。フォローアップ研修では「課題や問題点」「今後のアクションプラン」などをまとめてもらうと、さらに研修の成果につながりやすいでしょう。
4.研修の振り返りをする
新入社員研修を実施した後、研修の効果を測定し、課題があるようであれば次回の研修に反映するために振り返りを行います。
研修の振り返り方法としては、
・アンケート
・レポート
が一般的です。
また、ゴールとして設定した姿勢や行動に対するチェックリスト等を作成して、部門配属後にOJT指導者等にチェックしてもらう等もひとつのやり方です。
5.課題を抽出して次回の研修に反映する
新入社員研修は、基本的に毎年繰り返すものとなります。従って研修の品質を高めるために課題を抽出して翌年の設計・運営に反映することが大切です。
新入社員研修のスケジュール例
例えば、HRドクターを運営する研修会社ジェイックが提供する新入社員研修「仕事の基礎の基礎」のスケジュールは以下のようになります。
4月 1日目 | オリエンテーション 身だしなみとマナー 挨拶と話し方 敬語と言葉遣い 電話対応 まとめ&レポート作成 |
2日目 | 報連相 時間の使い方 目的と目標の違い 目標設定 決意表明 まとめ&レポート作成 |
3か月 | 職場実践 |
7月 | 入社3か月の振り返り ビジネスマナーの復習 悩みごとの共有 時間・タスク管理 目標設定と決意表明 |
*内容は研修内容の一部を掲載
「仕事の基礎の基礎」は学生気分から脱却し社会人としての心構えを持たせる「意識変革」に重点を置いた新人研修プログラムです。入社3ヵ月後のフォロー研修もセットになっており、意識の定着をサポートする内容となっています。
4月の入社時点は、意識変革とビジネスマナーの習得に重きを置き、初期研修を終えて部門配属されて必要性を感じてくるタイミングで、時間管理やタスク管理などの実務的な内容を研修します。また、入社3カ月後になると、其々の悩みも生じていますので、一度悩みの吐き出し・解消をすることで、OJTの吸収率を高める効果もあります。
新入社員研修といっても全てを4月にすると、詰め込みになってしまいますので、このようにタイミングを分けて研修を実施するようなスケジュールも有効です。
関連サービス資料を
ダウンロードする
...
新入社員研修の期間は?
新入社員の研修期間は、企業や職種、研修内容によって異なりますが、1-3か月程度の期間で実施されることが多いです。
ビジネスマナーや自社事業の理解、コンプライアンス、配属先の実務で必要な最低限の知識・スキルの学習等をして、その後は配属先でのOJTとなるケースは、1-2週間で研修を終えることもあります。
一方で、配属先が集中するようなケースは、初期研修の期間内である程度OJTに近い研修を実施したり、また、エンジニアや技術職の場合は職種で必要な専門知識の研修を実施したりすることで、2-3カ月の研修期間となることも多いでしょう。
新入社員研修の実践方法4選
新入社員に業務に必要な知識・スキルを身に付けてもらい、早期に活躍してもらうためにも、新入社員研修はとても重要なものです。せっかく実施する新入社員研修の効果を高めるためには、実践する方法が重要となります。
以下に新入社員研修の実践方法を4つ紹介します。研修内容に応じた実践方法を取り入れることで、高い研修効果を得ることができます。
OFF-JT
OFF-JTとはOff The job trainingの略称であり、職場以外での研修(セミナー)を指します。いわゆる集合研修と呼ばれるものです。
OFF-JTのメリットは複数の社員に同時に実施できる、体系的・均質的な知識を身に付けさせられる、実務から離れて思考や学習・内省ができるといった点です。
初期研修のみをOFF-JTで実施して、現場配属等でOJTに入ると、その後はOFF-JTを実施しないケースもありますが、
- 振り返り研修
- 実務を経験し始めたタイミングで教えたい内容
- 内省や目標設定
などはOFF-JTが向いていますので、うまく組み合わせて実施していくことが大切です。
グループワーク
グループワークを新入社員研修に導入することで、以下の効果を得ることができます。
- アイスブレイク
- チームビルディング
新入社員研修は入社後すぐに実施されることが多く、新入社員もお互いを理解しておらず、緊張感や不安を持っているでしょう。グループワークを取り入れることで、必然的にメンバー間でコミュニケーションが発生し、打ち解けやすくなります。
また、グループワークでは与えられた課題に対して、チームで議論・検討、答えを導き発表までを行います。その過程で、以下の能力も身に付けることができるでしょう。
- コミュニケーション能力
- 課題解決力
- 意思決定力
実際の業務もチームで対応していくことが多く、グループワークを通して他のメンバーと協力し課題解決や意思決定のスキルを身に付けることができます。
グループワークで扱うテーマとしては、様々なものがありますが、新入社員が主体となって取り組むことで学んだことの定着率を高めることができます。
たとえば、事前に座学である程度の知識インプットをしたうえで、ケーススタディを実施するようなことも良いでしょう。ケーススタディでは、過去に起きた事例、現実に起こりそうなケースの分析・検討を行い、原因や対処法を考えていきます。その中で、リスク回避やアイディア創出などが身につくでしょう。ケーススタディを通じ、研修のなかで、さまざまな「現実に起こり得るケース」に触れておくことで、実際に生じる課題への対処もしやすくなります。
ロールプレイング
ロールプレイングの目的は実践力の強化です。とくに顧客対応、販売、営業など、対面でのコミュニケーションが必要な業務では、とくにロールプレイングが有効です。
ロールプレイングでは配属後の現場や業務において、実際に起こり得る場面を想定して「顧客と社員」など役割を演じ、知識の定着、スキルアップなど実践力を強化します。
また、初期研修であれば電話対応、上司との報連相などもロールプレイングが有効です。
繰り返し実施する、口に出す、身体を動かすことで、現実に似たような場面に遭遇した場合、必要な対応ができるようになるでしょう。
OJT
OJTは、座学で学んだことを実践によって身に付けるものです。新人研修のOJTは、会社によって「人事部門が主導するOJT」と「現場配属後のOJT」に分けられます。
効果的なOJTを実施するときには、最終ゴールの設定、必要なスキルの洗い出し、ミニゴールの整理などの設計・準備を行なう必要があります。
現場配属後のOJTも、現場に任せきりにしてしまうのではなく、人事が計画づくりのテンプレート提供や作成指示などを行なって、OJT品質の担保&底上げを行なっていくことが大切です。
新入社員研修を成功させるために押さえたい4つのポイント
新入社員研修を成功させるためには、以下のような4つのポイントがあります。
- 新入社員のレベルとゴールを把握する
- 目的や内容によって研修形式を使い分ける
- 研修後のフォロー制度や環境を整える
- 新卒採用と中途採用で研修内容を変える
詳しく解説します。
新入社員のレベルとゴールを把握する
新入社員研修を成功させるためには、「誰に、何を、なぜ研修するのか」を明確にしましょう。他者の事例等を取り入れる際にも、まずは新入社員のスキルやレベルを踏まえて検討することが大切です。
たとえば、仕事に対してどれぐらい意欲的なのか、学生時代にどんな経験をしているのか、知識レベルはどれぐらいか、といったことを踏まえて、研修を設計する必要があります。
新入社員のレベルや状態に合わない研修を実施してしまうと、高い研修効果は得られません。たとえば、東大生に中学生向けの講座を実施したら詰まらないと思われてしまいますし、逆に小学生に高校の授業内容をそのまま実施したら理解できないでしょう。
現状を把握したうえで、新人研修後のゴールを設定し、ゴールと現状とのGAPをどうやって埋めていくかを考える必要があります。
目的や内容によって研修形式を使い分ける
コロナ禍前の集合研修はオフライン(対面)が基本でしたが、近年ではコロナ禍を経てオンライン研修も盛んになっています。
オフライン(対面)研修とオンライン研修は、それぞれ異なる良さがあります。新入社員研修を実施する場合も、研修内容によって形式を使い分けるとよいでしょう。研修形式によって、テーマの向き・不向きがあります。
例えば研修形式ごとに見ると、向いている研修内容は次のようになります。
・オフライン研修 … 人間関係を深める、ロールプレイングやグループワーク中心
・オンライン研修 … 知識のインプットや座学が中心、短時間の集合研修
オフライン研修は受講者同士、講師と受講者間でコミュニケーションが取りやすいことが大きなメリットです。グループワークなどでもコミュニケーションを取る機会があり、休憩中や終了後も会話の時間を持ちやすく、実際に顔を合わせているからこそ人間関係を形成しやすい側面があります。
グループワークにおいても、話している人以外は聞く状態、1:nになりやすいオンライン研修とは異なり、オフライン研修ではグループ内で分かれて話し合いを進めることができるなど、柔軟性にも優れています。
一方で、オンライン研修は知識インプット型の研修に向いています。また内容を録画しておけば、受講者が繰り返し学習することも可能です。また、フォローアップ研修などで物理的に点在しているメンバーに集合研修する際などは、移動が必要ないオンライン研修の良さが生きるでしょう。
このように初期の人間関係の構築、コミュニケーション関連の研修はオフライン研修、知識インプット系の研修や配属後のフォローアップ研修や個別面談はオンライン研修といったように使い分けていくことが有効です。
研修後のフォロー制度や環境を整える
新入社員研修で学んだ知識、スキルは一度だけの学習では定着させることは難しいです。研修で学んだ内容をしっかりと定着させるためには、研修後に振り返る時間を取る、何度も繰り返し実践する、実践度を確認して出来ていない部分を修正するといったことが必要不可欠です。
新入社員研修に限らず、大切なのは研修内容を実務に生かすことです。しかし、新入社員研修は、インプットする知識量が多いため、実践に課題を抱えてしまっているケースもあるでしょう。
学びっぱなしにならないように、新入社員研修の中でとくに実践レベルを高めたい姿勢や行動が何かを特定し、そこに関しての実践を促す。朝礼や日報なども活用して、実践の振り返り機会を提供するといったことが大切です。
また、OJTの指導者に対して重点テーマは共有し、フィードバックや指摘をしてもらうように連携することが大切です。
新卒と中途未経験者、中途経験者採で研修内容を変える
新入社員研修というと、新卒の新人を思い浮かべる人が多いかも知れません。しかし、新入社員研修は、中途の未経験者・中途の経験者にも必要なプログラムです。
もちろん新卒社員と中途入社の社員では入社時点で持っている知識・スキルが異なりますので、研修プログラムはアレンジする必要があります。
新卒の場合は、研修内容として基本的なビジネスマナーやマインドセット研修が必要です。以下の4つを通じて新人の成長、戦力化を促進することが目的となるでしょう。
- 社会人としての自覚を持たせる
- 自社の組織に馴染ませる(組織社会化)
- ビジネスパーソンとして必要な基礎的なスキルを身に付けさせる
- 職種や業務に応じた「成果を上げるために必要なスキル」を身に付けさせる
企業によっては、中途社員には研修などを行なわず、いきなり部門でのOJTになるケースもあります。しかし、自社の組織に馴染み、力を発揮するための受け入れプロセスは、中途社員の経験値に関わらず必要です。
中途社員の場合、受け入れプロセスは新人研修ではなく、オンボーディングと呼ばれることが多くなります。中途新人の定着と即戦力を後押しするオンボーディングは、以下の記事で詳しく解説しています。
なお、入社した中途社員の経験値によっては、基礎的なスキル研修や座学も大切です。同職種の経験がある場合でも、異業界出身などであれば、OJTだけでは力を発揮できないケースも多くなります。
中途社員に対する業務研修で重要なのは、その企業での業務の進め方を理解してもらうことです。考え方に違いがあると、経験や能力を発揮できず職場にも馴染めない可能性が生じてしまいます。
新入社員研修を外部委託する場合の選ぶポイント
新入社員研修は、集中的に研修を実施する分、準備や実施工数なども非常に多くかかります。そのため、一定規模の企業でないと研修は外部に委託する場合も多いでしょう。また、中堅大手企業でも、自社内で内製できるプログラムと外部委託するプログラムを区分して運用していることも多くあります。
新入社員研修を外部委託するメリットとして、次のようなものが挙げられます。
- 人事の負担が軽減される
- 研修準備の手間がかからない
- 研修の質を担保できる
- 社内では提供できないプログラムがある
- 雇用側ではない「第三者」の視点で伝えられる
新入社員研修を外部委託することで、研修費用は発生しますが、企業によってはメリットも大きいでしょう。
新入社員研修を外部委託する場合、事前に確認すべきポイントや気をつけることとしては、
- 価格帯を比較する
- 開催実績や事例を確認する
- 自社が求めているプログラム内容かを確認する
といったことが挙げられます。次に詳しく解説します。
価格帯を比較する
新人研修を外部依頼する場合、料金相場は公開講座であれば1人1日あたり2~3万円程度、講師を招く場合は1日あたり20~50万円程度が相場です。あまりに安すぎる研修は品質に不安があるケースも多く、避けたほうが良いでしょう。
品質が安定していると判断できるラインとしては、「2日間の公開講座で5万円以上、講師を招く場合は1日20万円以上」程度です。
開催実績や事例を確認する
研修の開催実績も依頼先を選ぶ際の確認ポイントです。開催実績が多ければ良いというものではありませんが、年間数百人以上程度の実績があったほうが、改善のPDCAが回しやすく、品質が安定しますし、時代による新入社員の傾向変化などを捉えてプログラムに反映できます。
また、提供している顧客企業の事例などを聞くことで、カスタマイズやアレンジの可否、また研修のコンセプトやプログラムと、自社との一致度などもイメージしやすくなります。
自社が求めているプログラム内容かを確認する
もちろんプログラムの内容もチェックが必要です。プログラム内容のチェックポイントは、大きくは3点です。
- 想定されている新人像と自社の新人レベル、プログラムのコンセプトや重視するポイントと自社が育成したい点が一致しているか?
- マインドセットや心構えのプログラムがしっかり入っているか?
- 学習効果を高めるためにアクティブラーニングやフォローアップ研修等があるか?
【事例】HRドクターの新入社員研修コンテンツの特徴・ポイント
HRドクターを運営する研修会社ジェイックが提供する新入社員研修コンテンツの特徴・ポイントを紹介します。
ジェイックでは、中小企業を中心に利用されている「学生から社会人へのマインドチェンジ」に最適な【仕事の基礎の基礎】、大手企業やスタートアップなどに導入されている成長意欲の高い新人を「自ら考え自ら行動できる主体性の高いプロ人材」に育てる、7つの習慣®を基にした【新入社員研修PRO】、2つの新入社員研修を提供しています。
学生から社会人へのマインドチェンジに最適!【仕事の基礎の基礎】
■研修の特徴
学生気分から脱却し、社会人としての心構えを持たせる「意識変革」と「ビジネスマナー」の習得に重点を置いた新人研修プログラムです。入社3ヵ月後のフォロー研修もセットになっており、意識の定着をサポートします。
「仕事の基礎の基礎」の特徴3つを紹介します。
特徴① 学生気分・お客様気分を払拭し、会社に貢献する社会人マインドに切り替え
特徴② 社会人の基礎、社会人の当たり前を習得し、目に見える変化を約束
特徴③ 他にはない3か月後フォロー研修を標準装備
表面的な「やり方」だけではなく『何故やるか?』『何のためにやるか?』まで徹底指導します。新入社員の社会人への意識の切り替え、行動変容をお約束する新入社員研修です。
■実施内容
研修内容の一部を紹介します。
【1日目 初期研修】
オリエンテーション
身だしなみとマナー
挨拶と話し方
敬語と言葉づかい
電話対応
まとめ&レポート作成
【2日目 初期研修】
1日目の振り返り
理解度チェック
報連相
時間の使い方
目的と目標の違い
目標設定
決意表明
まとめ&レポート作成
【3日目 フォロー研修】
入社3か月を振り返る
ビジネスマナーの復習
悩みごとの共有
時間管理・タスク管理
目標設定と決意表明
■期間
4月(1日目、2日目) 初期研修
7月(3日目) フォロー研修
「仕事の基礎の基礎」について、詳しくは以下の資料をご覧ください。
関連サービス資料を
ダウンロードする
...
「7つの習慣®」を基にした新入社員研修PRO
■研修の特徴
「7つの習慣®」に基づいた新人研修プログラムです。成長意欲高い人材を「自ら考え自ら行動できる主体性の高いプロ人材」に育て、プロとして成果を上げるための考え方と行動を身に付けられるプログラムです。
今の時代にフィットした、学びを加速させる動画とファシリテーションによるインプットとアウトプットを組み合わせた研修設計になっており、自律・自走できる社員へと育てます。
「新入社員研修PRO」のポイントを3つ紹介します。
ポイント① 全世界4,000万部のベストセラー『7つの習慣』を基にしたプログラム
ポイント② 新しい環境や時代の中で求められる“プロ意識”を徹底的に醸成
ポイント③ 厳選された動画コンテンツ
「新入社員研修PRO」は研修後の行動変容が継続するよう、研修の前後までを含めてプログラム設計。社内、社外両方で認定を取得した講師の登壇により徹底的に醸成します。
■実施内容
「新入社員研修PRO」の流れ、研修内容の一部を紹介します。
【1日目】
◆ワークセッションPart.1
・「プロフェッショナル」とは
・「能力と人格」について
・「パラダイム®」
・「相互協力」
◆ワークセッションPart.2
・「自律」
・「オーナーシップ」
◆まとめ
・レポート作成
・宿題の確認
【2日目】
◆ワークセッションPart.3
・「目的と意義」
・「チームとして成果を生み出す」
◆ワークセッションPart.4
・「信頼」
・「自分を磨く」
・相互アセスメント
・決意表明
◆まとめ
・レポート作成
・宿題の確認
■期間
2日間
「新入社員研修PRO」について、詳しくは以下の資料をご覧ください。
関連サービス資料を
ダウンロードする
...
まとめ
新人研修は、新人のマインドセットを行なったうえで、組織になじませ、業務遂行に必要な基礎知識やスキルを学ぶ大切なものです。研修で学生気分、消費者感覚から社会人として意識の切り替えをしっかり行うことで、業務に必要な知識・スキルを能動的に学ぶなど行動変容が生じ、早い時期に戦力として活躍してくれるようになるでしょう。
一方で、効果的に研修が実施されていないと、部門配属後に「新人研修の意味がない」「もっとちゃんと研修で教えて欲しい」という声が上がりがちです。研修効果を高めるために重要なフォロー研修も含め、しっかりとプログラム内容が自社に合ったものかを検討することも必要です。
効果的な新人研修を行なうためには、研修のゴール設定や当たり前の基準作り、習慣形成など、「教わる姿勢」と「教わる技術」を現場で求められる実践レベルまで高めるための取り組みが重要です。こうした研修の質を担保するには、新入社員研修を外部委託する方法がオススメです。
HRドクターを運営している研修会社ジェイックでは、新入社員研修コンテンツとして、
・学生から社会人へのマインドチェンジに最適な【仕事の基礎の基礎】
・「7つの習慣®」を基にした【新入社員研修PRO】
を提供しています。それぞれ、以下のリンク先から詳細な資料をダウンロードしていただけますので、ぜひご覧になってみてください。
関連サービス資料を
ダウンロードする
...
関連サービス資料を
ダウンロードする
...