報連相(ホウレンソウ)の意味とは?重要性と実行の基本ポイントを解説

更新:2023/09/06

作成:2021/06/22

高嶋 阿由里

高嶋 阿由里

株式会社ジェイック

「報告・連絡・相談」、いわゆる「報連相(ホウレンソウ)」は、新人に必ず身に付けてもらいたいビジネススキルの一つです。

 

報連相は、大勢の人が協力して成果を生み出していく組織で、スムーズな連携や意思決定、他者の力を上手く借りるために必須のコミュニケーションです。

 

一方、上手な活用方法を知らず、報連相(ホウレンソウ)の効果を最大化できない場面もあります。

 

記事では、新人社員として「報連相」をの仕方や重要性、研修等で新人の「報連相」を指導するポイント、報連相を受ける上司や先輩が身に付けたい言動や態度の2つの軸で解説します。

 

<目次>

「報連相(ホウレンソウ)」とは?

感覚的に理解している方がほとんどだと思いますが、改めてまずは最初に報連相(ホウレンソウ)とは具体的に何を指しているのか理解しましょう。

 

報告

報告とは、その名の通り、自分が担当している業務の進行状況や結果を、依頼者など、おもに上司や関連するチームメンバーに伝えることを指します。報告は計画通りに進んでいること、遅れが生じていること、予想外の出来事が起きたことなど、仕事の状況に関する重要な情報を他の人々と共有するために重要な行動であり「義務」です。報告をこまめに行うことによって、進捗管理や問題の早期発見につながります。

 

連絡

連絡とは、誰かにとって有益かもしれない予定、行動、情報などを関係者に伝えることを意味します。こまめに連絡を行うことで、チームメンバーの理解や思考も加速し、チームとしての成果が最大化されます。連絡は報告と違い、義務ではありませんが、周囲の必要性やニーズを考えて実施すべき「配慮」といえます。逆に、連絡を蔑ろにすると、不信感に繋がったり信頼欠如に繋がってしまうこともあるでしょう。

 

相談

相談とは、自分で解決できない問題や意思決定を行う必要がある場合に、上司や関係者に意見や助言を求めることを指します。相談を活用することによって自分自身のアウトプットの質も上がり、成果を出すことに繋がります。相談は「問題解決」であり、相談を使いこなせる人は周囲の力を借りて成果をあげられる人です。
 

新人の「報連相(ホウレンソウ)」を鍛える重要性

業務効率が改善される

チームとして報連相(ホウレンソウ)を鍛えることによって、チーム間での無駄な議論のすれ違いや遠慮がなくなり、業務効率が改善されます。必要な情報を誰もがしっかりと知っている状態、また、プラスアルファの情報が有効に使える人の手元に届くことで、個々人の業務効率、また、チーム内の連携もスムーズになるでしょう。

 

問題の早期発見へ

チームとして報連相(ホウレンソウ)を鍛えることによって、一人一人の仕事の進捗や課題が浮き彫りになり、問題の早期発見にも繋がります。

 

個人で問題を抱えているとき、ムダな遠慮や気遣い、また自分の面子を守ろうとするなどして、報告を怠り、問題が肥大化することはよくあります。報連相(ホウレンソウ)がスムーズに実施されていれば、問題を速やかに報告される、また、問題となる兆候が出てきた段階で周囲に相談して解決する等、問題を未然に防ぐ、また、早期に解決することが可能です。

研修で新人に教えたい「報連相(ホウレンソウ)」の正しいやり方

本章では報連相のポイントを、「報告」「連絡」「相談」それぞれに分けて解説します。研修やOJT等で報連相を指導する際の参考にしていただければ幸いです。

 

「報告」の正しいやり方

「報告」を指導する際には、義務であること、そして、「スピード」と「量」の2点がポイントです。

 

報告は、受けた依頼や任された業務に関して、依頼者や責任者に対して必要な情報を伝えるという「義務」です。依頼者や責任者は、報告をもとに対応を考えたり、意思決定したり、方向修正したりします。報告が遅れたり滞ったりすれば、適切な判断や意思決定ができず、仕事に支障をきたしてしまいます。

 

上記の観点からすると、「報告」で大事なことは、漏らさず欠かさすに実施すること、そして、スピードです。従って、新人に報告を指導する際には、

  • 報告したほうが良いか迷ったら報告する(量)
  • なるべく早く報告する(スピード)

ことがポイントです。

 

また、報告に関して、上司や先輩、顧客から「あの件はどうなっていますか?」と確認された時点で、報告が足りていません。報告は多すぎるぐらいでちょうど良いのです。

 

最近では、e-mailやビジネスチャット等、相手の時間を煩わせないツールも多々あります。緊急なものは電話で、急がない場合はe-mailやビジネスチャット等と使い分けながら、物事が動いた時、逆に動かない時も、相手にきちんと報告するように指導しましょう。

 

「端的に伝える」「事実と意見を区分ける」等も報告の大切なポイントです。ただし、報告のスピードや量が足りないと、いくらちゃんとした報告ができていたとしても、全体としては義務を果たせていません。従って、 “スピード感”を持って、相手に催促されない“量”や“頻度”で報告することが“義務”であることを新人には指導しましょう。

「連絡」の正しいやり方

「連絡」は気配り・心配りであり、「必要とする関係者に漏れなくする」こと、「連絡内容を明確にする」ことがポイントです。

 

連絡は報告と違って、必ずしも義務ではありません。連絡は仕事やプロジェクトに関係する人がスムーズに仕事できるようにするための気配り・心配りです。従って、仕事を依頼された上長や顧客以外にも、関係する同僚や先輩、他部門のメンバー、パートナー等に対して実施することが多いでしょう。「必要とする関係者に漏れなくする」ことが重要です。

 

連絡を上手く行ううえで大事なことは「想像力」です。「この仕事を実際に進めるうえで、〇〇〇について知っておいたほうがいい人は誰か?」「相手はどんな情報を必要としているだろうか?」など、少し先の未来や相手の目線を想像する気配りや心配りが、連絡を上手に行うためのポイントです。

 

例えば、仕事を上手く進める営業職のメンバーは、製造部門の仕事に影響を与える大型案件や急ぎの納品が必要となる仕事は、製造部門や制作部門に事前に連絡・相談しているものです。また、実際に受注できた場合に協力が必要となる上司やパートナー等に進捗を共有したりもします。

 

こういった少し先の未来、相手の都合を考えて情報共有することが連絡のポイントです。最近ではe-mailのCCやビジネスチャットのメンション(相手を指名する)機能等を使うことで、情報共有することは容易になっています。上手い連絡が仕事の順調な進捗に繋がることを、新人にしっかり指導しましょう。

 

また、連絡を実施するうえでは「連絡内容を明確にする」ことも大切です。報告と違って、連絡は相手がいま必要としていない余計な情報等が含まれることもあります。相手に確実に知っておいて欲しいことなのか、参考や念のための情報なのか、相手に何らかのアクションを依頼したいのか等を明確にして共有することも指導のポイントです。

「相談」の正しいやり方

相談は、自分が抱えている課題や問題について、解決するためのアドバイスを求める行為です。従って、相談を使いこなせる新人は、上司や周囲の力を使って成果をあげることができます。経験や能力が未熟な新人にとって、相談は成果をあげるために大切な能力です。

 

この時、大切なことは、「適切な相手」に相談することです。新人の場合、「相談しやすい相手に相談する」傾向があります。しかし「商談がどうやったら上手くいくか?」について、自分と同じ程度の経験しかない同期に相談しても適切な回答は返ってこないでしょう。

 

まず基本的には相談先は「OJTの指導者」や「上司」です。OJTの指導者や上司が適切ではないかもしれないという場合も、誰に相談したらいいかを判断できるようになるまでは、「こういうことを相談したいのですが、誰に相談したらいいでしょうか?」と“誰に相談することが適切かを相談する”ことがおススメです。

 

適切な相手を選んだうえで、相手から適切な助言を得るために大切なことは、「上司や先輩に相談内容がきちんと伝わるように整理しておくこと」です。以下の4つの観点で整理すると分かりやすくまとまりますので、新人に「相談の仕方」を指導する際には参考にしてください。

 

1)相談のテーマ

何の件で、何を相談したいのかを端的に伝える

ex)「A社との商談で次の提案をどうすればいいか」相談させてください

2)相談事の状況

相手が状況を把握するための「経緯」と「現状」を端的に伝える。

事実と意見をしっかりと区分けすることが大切

3)望むゴール

相談することで自分がどんな状態にしたいのか?を明確に伝える

4)自分の意見

可能な限り、自分なりに考えた意見を持って相談する。

相手に答えを求めるだけの相談が習慣になってしまうと、考える癖が付かない。

「自分としてはどうするのがいいと思っているか、それはなぜか?」を伝える

「報連相(ホウレンソウ)」を教える研修のポイント

ここまで、なぜ報連相(ホウレンソウ)を鍛えるべきか?を紹介してきました。ここからは報連相(ホウレンソウ)を実際に部下やメンバーに教える場合に重要な研修のポイントを解説していきます。

 

ポイント1 速やかに実行する

報連相(ホウレンソウ)の研修で、まず初めに教えるべきポイントの1つ目は「速やかに実行する」です。

 

報連相(ホウレンソウ)のやり方や内容のコツは教えるべきものですが、形式的に正しい報連相(ホウレンソウ)を手遅れのタイミングでされても意味がありません。報連相(ホウレンソウ)すべき事象が起こったら、躊躇わず速やかに実行する。その点をまずはしっかりと教えましょう。

 

ポイント2 報連相それぞれの意味

続いて教えるべきポイントは、報連相(ホウレンソウ)それぞれの意味です。

 

報連相(ホウレンソウ)について、何となく「大切だよね」「こういうものだよね」とは知りながらも、じつは意外と意味を説明できない人は多くいます。報告は義務。連絡は配慮。相談は問題解決。報連相(ホウレンソウ)それぞれの意味をしっかりと伝えることで、実施することの意味を理解して、主体的に行動できるようにしましょう。

 

ポイント3 報連相のフォーマット

報研修で教えるべきポイントの最後は「事実と意見を分ける」ことです。報連相(ホウレンソウ)の中で、「事実(ファクト)」と「意見(解釈)」が混じってしまうと報連相(ホウレンソウ)された側は、判断やアドバイスを誤ってしまいます。まずは「客観的・具体的な事実」と「自分の解釈や推測、意見」をきちんと区分けて報連相(ホウレンソウ)できるように指導しましょう。

 

新人の報連相(ホウレンソウ)を鍛えるうえで大事な先輩・上司の言動

ここまでは新人に研修等で報連相を指導するポイントを解説してきました。新人の報連相を鍛えるうえでは、新人への指導も大切ですが、報連相を受ける上司や先輩の対応も大切です。本章では、新人の報連相を鍛えるうえで大事な上司や先輩社員の態度・言動を解説しておきます。OJTの指導者研修などの中で、必ず触れておきたいポイントです。

 

 

上司・先輩の報連相(ホウレンソウ)を受ける姿勢

新人が報連相を身に付けるうえでは、報連相を受ける上司や先輩の対応も大切です。報連相を受ける側として2つの姿勢を大切にしましょう。

 

1点目は、「新人たちから声をかけてもらいやすい雰囲気でいる」ことです。もし、上司や先輩が怖い顔でパソコンをにらんで作業していたり、話しかける隙を見せずに忙しそうにしていたりすると、新人はなかなか声をかけることができません。

 

組織のリーダーになったり、多くのメンバーがいたりすれば、業務量や責任が増えて忙しいことは増えるでしょう。しかし、態度や雰囲気に余裕がなくなってしまうと、新人やメンバーは報連相しにくくなってしまいます。特に経験が浅い新人や若手メンバーがいる時には、話しかけやすい雰囲気を身にまとうことが大切です。

 

どうしても、仕事に集中したり話しかけられると困ったりする時には、事前に「今から●時まではちょっと集中させてもらうので、何か報告があればメールで入れておいてもらってもいいかな」「何時以降に電話してもらってもいいかな」等と宣言しておくことも有効です。また、ゆっくり時間が取れない時には、「5分しか聞けないけどいいかな?」など、最初に時間の提示をすると良いでしょう。

 

大切にしたい姿勢の2点目は、「報連相を受ける時は作業を止めて相手の顔を見る」ことです。作業の手を止めて相手に視線を移すことで、「話を聞く準備ができている」と相手に伝わります。パソコンを打ちながら耳だけで聞いている相手には、新人は報連相しにくいものです。

 

報連相を受ける時は「相手におへそを向ける」ことを意識しましょう。相手におへそを向けると、自然と手を止めて相手と向き合うことになります。新人も話しやすくなりますし、上司や先輩側も相手の表情等をきちんと捉えて、内容をきちんと深掘りしやすくなります。

先輩・上司から報連相(ホウレンソウ)を取りにいく重要性

上司・先輩社員は、新人や部下の報連相をただ待つのではなく、必要に応じて自分から声をかけたり、進捗状況を把握したりすることも大切です。

 

忙しい上司は何の悪気もなく、むしろ善意で「困ったら声かけて」「いつでも声がけして」と言いがちです。上司は新人よりも仕事を抱えており、新人につきっきりでいるわけにもいきませんので、困った時にフォローすればいいと考える人は多いでしょう。

 

しかし、新人からすると『困ったら声かけて』と言われても、どのタイミングで声をかければいいのかを掴めずにいる場合も多いです。また、忙しそうな上司に「こんなことで質問したらマズいんじゃないか」と報連相をためらってしまう新人も多くいます。

 

上司としては、“気軽に声をかけられるようにしている”つもりでも、新人から見ると“声をかけにくい”という状況は多々あります。従って、新人の報連相を指導することはもちろん大切ですが、一方で上司や先輩は新人の報連相に期待しすぎないことも大切です。

 

上司や先輩は「報連相されていないことがあるもの」という認識で、朝礼や夕礼、またこちらから声がけすることで、報連相を取り逃がさないようにしたほうが良いでしょう。そして、上司や先輩からの確認を通じて、「どんな頻度やタイミングで報連相しないといけないか」を新人に掴んでもらえるようにしましょう。

おわりに

大勢の人が協力して成果を生み出していく組織において、「報連相」は欠かせないスキルです。特に、仕事の経験や能力が未熟な新人にとって、報連相はミスやトラブルを防ぎ、成果をあげるための習慣です。報連相のスキルは、「仕事をできるようになる」上で不可欠ですので、新人のうちに習慣化できるように指導していきましょう。

 

記事でご紹介した報告・連絡・相談の正しいやり方は、端的には以下の3つです。

 

報告は、義務であり、スピードと量・頻度が重要。

相談は、気配り・心配りであり、関係者に漏れなく、そして、連絡内容を明確に。

相談は、問題解決であり、適切な相手を選ぶ。

 

また、報連相を指導するうえでは、目的と意義を伝える、事実と意見を分ける、報連相のフォーマットを準備する等がポイントです。新人や若手の報連相が向上することは、上司や先輩にとっても業務の生産性や成果に繋がります。記事の内容を参考にして、ぜひ新人の「報連相」する力を研修やOJT等で鍛えてください。

著者情報

高嶋 阿由里

株式会社ジェイック

高嶋 阿由里

明治学院大学卒業後、精密機器メーカーに勤務。新規事業をPJとして立ち上げから収益化までを行い、事業部にまで発展させる。その後、住生活関連のベンチャー企業に入社し、人事として社長直下で働いた後、ジェイックに入社。ジェイックでは、講師として受講者に寄り添い、現場でチームメンバーと協働して動ける「自立型人材」を育てる研修に特徴がある。

保有資格

「7つの習慣®」担当インストラクター、アンガーマネジメントファシリテーター、EQPI®トレーナー等

関連記事

  • HRドクターについて

    HRドクターについて 採用×教育チャンネル 【採用】と【社員教育】のお役立ち情報と情報を発信します。
  • 運営企業

  • 採用と社員教育のお役立ち資料

  • ジェイックの提供サービス

pagetop