マタハラとは?原因や4つのタイプ、企業が行うべき対策方法

更新:2023/07/28

作成:2023/04/07

マタハラとは?原因や4つのタイプ、企業が行うべき対策方法

妊娠中の女性社員に対して嫌がらせを行う「マタニティハラスメント」。嫌がらせの自覚を持って行うマタハラは論外ですが、中には自覚なしにマタハラを行っている場合もあります。

 

今回はマタハラのタイプや原因を解説します。

<目次>

マタハラとは?

マタハラは「マタニティハラスメント」の略で、妊娠中の女性に対する嫌がらせのことです。

 

英語では「プレグナンシー・ディスクリミネーション」と呼ばれますが、日本特有の現象として「マタニティハラスメント」の言葉が使われます。

 

マタハラは妊娠に関して業務の制限が生まれる、産休や育休によって業務に支障があるという理由で行われる嫌がらせです。マタハラには精神的、肉体的な嫌がらせの両方が含まれます。

 

そのほかにも、妊娠を理由にした降格や配置転換、解雇もマタハラに当たります。

 

2012年に日本労働組合総連合会が行った調査によると、マタハラはセクハラされた経験を上回る被害が報告されています。

 

法律的には、2014年の最高裁の判断で、妊娠を理由に降格が行われることは違法であることが明言されています。しかし、現実的にはマタハラは後を絶ちません。

マタハラの原因

マタハラの原因

 

職場でマタハラが発生する原因には、様々なものがあります。

長時間労働の状態化

ひとつが長時間労働。日本の企業風土では、長時間労働が常態化しています。さらに長時間労働する従業員こそ模範的な存在だと考える傾向もあり、長時間労働の是正は非常に困難。

 

残業だけでなく、有給休暇の取得も職場によっては難しい環境です。そういった環境では妊娠した女性は従来と同様の、時間労働ができなくなります。

 

また、いずれは産休や育休を取得することになるため、長時間労働をよしとする価値観の中では、どうしても妊娠した女性に対する風当たりが強くなってしまうのです。

知識の不足

マタハラが発生する原因には出産や妊娠の知識が圧倒的に不足していることが挙げられます。

 

男性社員はもちろん、長時間労働が常識となっている環境で出世してきた女性上司の中には、妊娠や出産の経験がなく、知識が不足していることも少なくありません。

制度上の不備

マタハラは個人の問題ではなく、会社の制度の問題と考えることも可能です。これまで、日本の社会では男性が働き、女性が家庭を守るというのがあるべき姿とされてきました。

 

そのため、会社の人事制度の設計や運営も、妊娠や出産を想定したものではありません。

 

結果、部署の女性が妊娠したときには、仕事を軽減したり、不足する人員を補充したりといった体制自体が整っていません。

 

さらに産休や育休の制度は設けられているものの、実際に取得した人がいないといったケースもあります。

マタハラ4つのタイプ

マタハラには、いくつかのタイプに分類することができます。NPO法人である「マタハラNet」によれば、マタニティハラスメントは以下の4つに分けられると言われています。

①昭和の価値観押しつけ型

これは「男性は外で働き、女性は家庭を守る」という、昭和の価値観を引きずっているタイプのマタハラです。

 

多くは自分も父親が外で働き、母親は専業主婦という家庭で育ち、さらに現在も妻が専業主婦という家庭を築いているため、それ以外の家庭モデルを想定することができません。

 

そのため、「女性は子育てという仕事がある」「妊娠した妻を働かせるのは夫の甲斐性がないから」といった発言につながります。

 

さらにこの「昭和の価値観押しつけ型」のマタハラには2つの種類があります。

 

ひとつは、相手に対して嫌がらせをしてやろうと考えているタイプ。これは妊娠した女性が産休・育休を取得することで人員が不足する、または会社の不利益になると考えている人です。

 

このタイプは、妊娠した女性が職場にいることがマイナスになると考えているため、積極的に女性を職場から追い出そうとします。

 

もうひとつが「無自覚タイプ」。こちらのタイプは、本人としてはマタハラをしているという自覚はありません。

 

「女性は家庭を守るべき」という発言も、嫌がらせをしている意識はなく、理想を語っているだけという認識です。

 

さらに女性に退職を進めるのも、女性のため、子どものためという親切心からの発言だと考えています。

いじめ型

妊娠した女性の場合、長時間労働や職種によっては立ち仕事・力仕事が困難になります。

 

本来であれば、会社はその不足した労働力を補うため、人員を補充するなどのフォローが必要になりますが、多くの職場ではそれは実現していません。

 

そうなると、周囲は妊娠した女性の分も仕事が増えることになります。その怒りが、会社の体制ではなく、妊娠した女性に向かってしまうのが「いじめ型」です。

 

これは妊娠した女性に対して嫌味を言う、物理的な嫌がらせを行うといった形で表れます。男性ではなく、女性から行われることが多いというのもこのタイプの特徴です。

③パワハラ型

妊娠した女性に対して、より露骨な嫌がらせを行うのがパワハラ型です。

 

このタイプの場合、産休や育休の取得を認めない、時短勤務や欠勤を許さない、長時間労働を強要するといったことが特徴です。さらに体調不良の健康診断などを許さないという特徴もあります。

④追い出し型

妊娠した女性を職場から追い出そうとするのが「追い出し型」です。

 

そもそも、産休や育休の制度を設けていない会社に多く、マタハラの被害の中でももっとも多いのがこのパターンだと言われています。

 

産休や育休がないという会社の場合、妊娠した女性は仕事を続けることが不可能となるため、退職に追い込まれる、仕事を辞めなければなくなるという結果になってしまいます。

マタハラへの対処

マタハラへの対処

 

マタハラは中小企業だけでなく、大企業でも起きている問題です。

 

マタハラの問題は、会社側の制度に問題がある場合と、社員の認識や知識、考え方に問題がある場合、それらがまじりあっている場合に分けることができます。

 

まず必要なのは、会社側が利用しやすい産休・育休の制度を設けること。そして、産休・育休、時短勤務などで不足する人員を速やかに補充できる体制づくりです。

 

さらに社員に対しては、積極的にマタハラに対する教育を行い、何がマタハラに相当するのかといったことを伝える必要があります。

おわりに

今後、さらに人手不足が激しくなることが予想される昨今の経済状況。

 

そういった時代に置いて、マタニティハラスメントを行い、女性社員を追い出すようなことは倫理的な面だけでなく、企業にとって大きな損害となります。

 

企業として安定的な経営を行うという意味でも、女性社員を活用するためのマタハラ根絶は急務と言えるでしょう。

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