キャリア相談とは、自分のキャリアについてキャリアコンサルタントなどのキャリア形成に精通した人に相談することです。雇用の流動化、定年延長、ジョブ型人事制度など、働き方が変わる中で個人が主体的にキャリアを作るキャリア自律の必要性が増しており、キャリア相談のニーズも増えています。
近年では、企業側も従業員のキャリア自律の支援、そして、エンゲージメント向上や離職防止を目的として、キャリア相談サービスを導入するケースが増えています。
本記事では、キャリア相談の概要を説明したうえで、企業内で導入する方法について解説します。記事の後半ではおすすめのキャリア相談サービスも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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<目次>
- キャリア相談とは?
- キャリア相談を導入する企業が増えている背景
- キャリア相談を導入したほうが良い企業の状況や階層
- キャリア相談の導入方法とメリット・デメリット
- キャリア相談サービスとは?
- キャリア相談でよくある悩み・ニーズを階層別に解説
- キャリア相談サービスを導入するメリット
- キャリア相談サービスを選ぶポイント
- 企業向けキャリア相談サービスおすすめ9選
- 従業員のキャリア相談を実施する重要性
- まとめ
キャリア相談とは?
キャリア相談は、自分のキャリアについてキャリアコンサルタントなどのキャリア形成に精通した人に相談することです。カウンセラーは質問を通じて、相談者から今の仕事内容や現状の悩み、今後取り組みたいことなどを整理し、また、客観的な視点からアドバイスを提供してくれます。
カウンセラーのアドバイスにより転職や独立、ときには今の会社に残るなどの選択肢を取ることになるでしょう。
一般的なキャリア相談では、労働者自らがキャリアコンサルタントに相談し、自身のキャリア形成を支援してもらいます。しかし、近年は企業によるキャリア相談サービスの導入も増加傾向にあります。
なお、キャリアコンサルタントは、もともと複数の民間資格がありましたが、現在では国家資格のキャリアコンサルタントとして統一されています
キャリア相談を導入する企業が増えている背景
キャリア相談は、個人が主体的に活用するイメージが強いかもしれませんが、最近は企業が「従業員向けのキャリア相談サービス」を導入するケースも増えています。キャリア相談を従業員向けに導入する企業が増えている背景としては、以下のようなことがあります。
まず終身雇用が崩壊し、賃金体系も成果主義やジョブ型が主流となる中で、雇用の流動化はどんどん進んでいます。業務内容も知識労働が主となるなかで、従業員のモチベーションやエンゲージメントが仕事のパフォーマンスに大きな影響を及ぼすようになりました。
最近は仕事に対しての価値観も多様化しています。「プライベートや家族を優先して働きたい」「子育てと仕事の両立を目指したい」「もっと自分が成長できる環境に身を置きたい」など、リモートワークや副業解禁の流れなどもあり、会社でのキャリアアップを優先する考え方以外の価値観を持つ人材が増えました。
一方でキャリアの悩みは転職や時短勤務といった要望に関連することも多く、人事評価等を気にして社内では相談しにくいテーマでもあります。表面化していないだけで、今の勤務先での働き方に疑問や悩み、モヤモヤを抱えている従業員が増えている可能性は多分にあります。
こうした従業員のキャリア形成に対する悩みを放置してしまうと、モチベーションや生産性の低下につながりますし、また、若手や優秀層の離職にもつながりかねません。
キャリア形成の道筋を見出すことができると、いまの仕事に意味付けされ、モチベーション(内発的動機)が強化されます。また、社内におけるキャリア構築の可能性が見いだせれば離職も防ぐことができます。
上記のような背景などがあり、従業員一人ひとりのキャリア形成を後押しし、エンゲージメント向上や離職防止を目的として、社内にキャリア相談窓口を設けたり、キャリアカウンセリング、キャリア相談サービスを導入したりする企業が増えてます。
キャリア相談を導入したほうが良い企業の状況や階層
キャリア相談を導入したほうが良い企業としては、次のような悩みを抱えている場合などが挙げられます。
- 従業員のモチベーション、エンゲージメントが低い
- 若手や優秀層の離職率が高い
- ジョブ型の導入等に伴って従業員のキャリア自律を促したい
例えば、厚生労働省の「令和4年度 能力開発基本調査」によると、キャリアコンサルティングを行った結果、「労働者の意欲が高まった」「自己啓発する労働者が増えた」「新入社員・若年労働者の定着率が向上した」といった効果が報告されており、キャリア相談を行った際には同様な効果が期待できるでしょう。
組織の中には幅広い年代の社員がいて、様々な悩みを抱えていますが、階層によって悩みがある程度共通化する傾向はあります。キャリア相談を実施する場合には、対象となる階層を念頭に置いて準備をするとよいでしょう。
なお、社内に専任でキャリアコンサルタントの窓口を設けることも良いですが、相談する際の心理的安全性を考えて、人事評価や異動に携わる人事とは明確に切り分けるといったことが大切です。
また、外部サービスにキャリア相談を委託する際には、自社のボリュームゾーンになっている階層や課題を感じている階層に対応できるキャリアコンサルタントが在籍しているか等を確認すると良いでしょう。
キャリア相談の階層や主な対象には以下のようなものがあるでしょう。
- 新入社員
- 入社数年の若手社員
- 30代の中堅社員
- 40代~50代のベテラン・シニア社員
- 女性社員
それぞれの階層によくある悩み、キャリア相談に対してのニーズは後ほど詳しく解説します。
キャリア相談の導入方法とメリット・デメリット
企業が、従業員向けにキャリア相談を導入する方法は、主に4つあります。
- キャリアコンサルタント資格を持つ人材を採用する
- 上司がキャリア相談を行う
- 人事がキャリア相談を行う
- キャリア相談サービスを導入する
企業の規模や状況に応じて適切な手段は異なるので、ひとつずつメリットやデメリットを確認していきましょう。
1.キャリアコンサルタント資格を持つ人材を採用する
企業が従業員向けのキャリア相談に対応する方法のひとつが、キャリアコンサルタント資格を持つ人材を採用することです。キャリアコンサルタント資格は国家資格であり、キャリアデザインやキャリア支援の専門的な知識と技術を証明するもので、従業員のキャリア形成を的確にサポートするために必要なスキルとなります。
キャリアコンサルタント資格を持つ人材をキャリア相談に専任させることで、社内にキャリア相談に関するノウハウが貯まります。専任してもらうことで、自社の事情やキャリアパスを理解してもらえることも大きなメリットです。企業内でのキャリア支援体制の構築や定着を図る際に、非常に役立つ存在となるでしょう。
ただし、人を雇用することになれば人件費として大きな金額がかかってきます。また、キャリア相談をする人が専任で必要なのかという点も検討事項として挙げられます。
2.上司がキャリア相談を行う
キャリアコンサルタント資格を持っていない人でも、キャリア相談に乗ること自体は可能です。とくに上司は対象となる従業員のことを知っており、長所や課題を把握しているため、従業員に対して的確なアドバイスを送れます。
ただし、そもそも「キャリアを相談できる信頼関係があるか?」という点に加え、信頼関係があったとしても従業員にとってレポートラインである上司は評価者であり、キャリアの悩みを相談しにくい相手であるという構造的な問題があります。
なお、上司が実施する際は定期的な1on1の中に組み込むなど、仕組みとして導入するとよいでしょう。
3.人事がキャリア相談を行う
上司ではなく、人事担当者がキャリア相談に対応することもひとつのやり方です。
人事に集約することで、人事にキャリアコンサルタント資格を取得してもらうということも可能になります。また、従業員から見ると人事は上司と比べると直接の利害関係者がないため、少し話しやすくなるものです。また、社内の人事制度などの把握度も非常に高いので、的確なアドバイスも可能でしょう。
ただし、上司と同じように人事も評価者側であり、また、人事権を握っている組織側の立場です。従って、従業員からすると、なかなか本音を話しにくい、警戒されるという可能性は拭い去れません。
また、対象人数が多くなってくれば、採用や教育、人事制度の運用などの業務もある中で、人事だけで対応できる工数があるかというリソース的な問題も考慮する必要があるでしょう。
4.キャリア相談サービスを導入する
社内の人間にはキャリア相談しにくい、また、工数的な問題があるという点を踏まえて、外部のキャリア相談サービスを導入する、また、人事によるキャリア相談と組み合わせるケースも増えています。
外部のキャリア相談サービスは、企業のニーズに合わせてカスタマイズされたプログラムを提供しており、従業員一人ひとりのキャリアニーズに対応してもらえます。
外部の人間だからこそ、従業員は安心して本音を言うことができ、また、第三者視点からの客観的な意見やアドバイスが得られるため、従業員の新しい視点や気づきを促進することも期待できます。
どのサービスもメリットデメリットはありますので、ベストは組み合わせることです。上司による1on1、人事による社内相談窓口の設置(ある程度規模が大きければ人事がキャリアコンサルタント資格を取得する形がおススメ)、そして、社外のキャリ相談サービスという組み合わせです。
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キャリア相談サービスとは?
キャリア相談サービスとは、組織の中で働く従業員のキャリア形成やキャリアチェンジをサポートするための外部サービスです。これまでのキャリア相談サービスは個人向けがメインでしたが、キャリア自律などが注目される中で法人向けに提供されるキャリア相談サービスも増えています。
キャリア相談とキャリア研修などを複合的に提供しているサービスもあり、従業員のキャリア意識向上やスキルアップにつながることが期待できます。
企業向けのキャリア相談サービスでよく提供されている内容は、以下のとおりです。
- 従業員のキャリア相談・キャリアプランニングの支援
- キャリア研修
- 個人情報が特定されない形での組織へのレポーティング
- 組織開発のコンサルティング
大半のキャリア相談サービスでは、国家資格であるキャリアコンサルティング資格を保有しているキャリアコンサルタントが対応し、プロの目線で従業員にアドバイスをしてくれます。
企業が自社内で専門的なキャリアサポート体制を構築するのが難しい場合や、新しい視点やアプローチを取り入れたいときに導入することで、従業員の満足度や業績向上に寄与することが期待されます。
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キャリア相談でよくある悩み・ニーズを階層別に解説
キャリアに関する悩みや不安は、階層や性別、そして、個人の置かれた状況や価値観によって千差万別です。ただ、階層などによる一定の傾向はありますので、以下4つの階層において、それぞれが抱えやすいキャリアの悩みを解説します。
- 新人・若手社員
- 中堅社員
- ベテラン・シニア社員
- 女性社員
ひとつずつ見ていきましょう。
新人・若手社員
新卒や若手社員のキャリア相談の内容は、自身のキャリアビジョンやスキルセットに関するものが多いです。
いまの新人・若手は、90年代の後半以降に生まれたZ世代と呼ばれ、終身雇用の概念がなく、転職が当たり前という感覚を持っています。そこから「自分の人生を保証してくれるのは自分の能力だけ」という意識も強く、自己成長やキャリア構築について不安や悩みを抱えがちな傾向があります。
また、新人のうちは入社前に持っていた理想のイメージと現実のギャップ、つまりリアリティショックに悩む人も多いものです。結果的に、上司や先輩との人間関係、自信の喪失、ワークライフバランスなど、わりと日常生活にリンクした内容が相談テーマとなることが多くなります。
一方で、入社して2~3年程度の若手になると仕事に対して慣れて一定のスキルがついてくると、中期的なキャリアのことを考える余裕が出てきます。
それによって、「自分に合った職種や役職は何か?」「どのようなスキルや経験を積めば目指しているキャリアに近づけるか?」「いまの仕事で成長できるのか?」といった疑問や不安も生じてきます。
前述の通り、Z世代に当たる新人・若手は「転職するのが当たり前」と言う価値観だからこそ、過去のような会社への忠誠心や愛着は薄く「今の仕事、この会社では成長できない」などと思うと、早期に“会社を見切って転職する”傾向にあります。
だからこそ、キャリアに関する不安や悩みも早期にきちんとケアすることが大切です。年収診断やダイレクトリクルーティング、キャリア面談など、オンラインで気軽に使える転職サービスがいくらでもあるからこそ、早期にケアしておかないと、いつの間にか本気で転職活動をする流れにつながります。
中堅社員
中堅社員の悩みやニーズは、キャリアの方向性やキャリアアップの方法に関する内容が中心となります。
20代後半~30代になってくると、すでに一定の実績や経験を持っています。一方で、同期との差もついてくるタイミングとなります。その中で「次のステージへのステップアップ方法」や「自分の強みを活かしたキャリアプランの策定」に関する相談が増えていく傾向にあります。
また、モチベーションがやや低めの従業員の場合、慣れた業務ばかりをこなし、仕事への取り組み姿勢が惰性になってしまっている場合もあります。そのため、仕事に対する意識の変革といった部分が必要になることもあります。
また、自分の家庭を持つ人が増えてくることから、ワークライフバランスなど自分に適した働き方といった、より複雑な悩みを抱えることも多いです。
ベテラン・シニア社員
40代後半から50代のベテラン、シニア社員のキャリア相談は、定年までの過ごし方や、再雇用、セカンドキャリアに向けたテーマが中心となってきます。
今のベテランやシニア社員はもともと終身雇用・年功序列がまだ色濃い時代に就職しており、社歴を積んだ中で待遇も向上しています。そこで企業側として、成果主義やジョブ型を加速される中でベテランやシニア社員にキャリア自律の意識を持ってもらいたい、改めて働きがいを見つけて主体的・意欲的に働いてほしいというニーズが出てきます。
長年の経験やノウハウを持っているベテラン・シニア層に、キャリア研修等と組み合わせて、「これまでのスキルや経験をどのように活かすか?」「定年までに何を成し遂げるか?」「後輩や組織にどう貢献するか?」といった視点を持ってもらいたいという要望です。
女性社員
女性社員もキャリア相談が必要なセグメントのひとつです。女性は結婚・出産・育児といったライフイベントがキャリアに与える影響が大きく、ワークライフバランスや仕事と家庭の両立といったテーマは昔から変わらぬ大きな悩みごとです。
女性の場合、結婚や出産予定の有無、子供の年齢や身体の強さなどによって、仕事やキャリアに対する感覚も大きく異なります。また、男性上司には相談できない、分かってもらえていないストレスなども抱えがちです。
最近は女性活躍の機運も高まっていますが、女性の場合、出産を経ると、キャリアアップに対する意識や仕事の位置づけも変わってきます。その中で個別のキャリア相談を通じたケアで、前向きにキャリア構築してもらう意識を生み出すことが大切です。
キャリア相談サービスを導入するメリット
企業がキャリア相談サービスを導入するメリットは、大きく以下の4つです。改めて整理しておきましょう。
- 離職率の改善
- 社員のキャリアプラン形成支援
- 社員のキャリア自律/キャリアオーナーシップの向上
- 社員の本音・組織課題の把握
ひとつずつ見ていきましょう。
離職率の改善
キャリア相談サービスを導入することは、従業員の離職率低下につながります。キャリア相談を通じてストレスや悩みが消化・昇華されることに加え、自身のキャリアパスや今後の目標を明確にする機会が得られることで、仕事に対する意味付けなどが促進されます。結果として、離職率の低下につながる形です。
「キャリア相談は退職につながるのではないか?」と懸念される経営陣の方などもいます。しかし、そもそもオンライン上の転職サービスがこれだけ発達して、WebやSNSなどにもキャリアに関する情報が溢れる中で“隣の芝生が青く見える”状態を防ぐことは不可能です。
だからこそ、積極的に企業が従業員に対してキャリアカウンセリングなどを実施することに価値があります。人材紹介会社の転職相談やダイレクトリクルーティングなどに登録される前に、キャリア相談を通じて従業員の潜在的な悩みや不安を早期にキャッチして適切なサポートを提供し、いまの仕事に対する意味付け、社内におけるキャリア構築の可能性を見つけてもらうことが大切です。実際に「キャリア相談・キャリア自律は転職意向の向上にはつながらない」という調査結果もあります。
社員のキャリアプラン形成支援
キャリア相談サービスを受けることで作りたいキャリアが明確化し、今の仕事との紐づけが行われると、仕事へのエンゲージメントは向上します。従業員のキャリアプランの形成支援によって、それぞれが自分で定めた将来像やキャリアゴールに向かって取り組む意欲を持つことで、日々の業務における取り組み方や働く姿勢が変わることも期待できるでしょう。
目的、やりがい、将来のキャリアプランなどがないまま働いていると、従業員のモチベーションは低下します。キャリアの方向性や成長の機会を見出すことは、社員の仕事への情熱や意欲を向上させる要因となります。
社員のキャリア自律/キャリアオーナーシップの向上
キャリア自律/キャリアオーナーシップとは「自分のキャリアに対する責任を自身で持つ」という考え方や姿勢を指します。
終身雇用制度の崩壊、成果主義・ジョブ型の人事制度、副業など働き方・価値観も多様化しており、社会環境も大きく変化しています。現在、人も企業も急激な環境の変化に対応しなければ生き残っていけない時代といってよいでしょう。
自分のキャリア形成を会社任せにしていると、自分の持っているスキルや経験が、ビジネス環境の変化によって急に価値が無くなる可能性もあります。事実、生成AIの登場・急激な進化によって、影響が出始めている職種もあります。
こうした背景もあり、特に今の20代、30代は自身のキャリア自律を重要な課題として捉えています。つまり、「自らの成長につながる職場で働きたい」と考える人が多いということです。
だからこそ、企業は従業員に対してキャリアカウンセリングを実施し、従業員のキャリアプラン形成を支援し、仕事への意味付けなどをすることが重要になります。
キャリア自律/キャリアオーナーシップはあくまで社員個人が考えるもので、企業が支援するものではない、という考え方もあるかもしれません。しかし、ここまで見てきたように、従業員が自身のキャリアプランを考え、自主的に行動するようになると企業にもエンゲージメントの向上や定着率の向上など様々なメリットがあります。
社員の本音・組織課題の把握
外部のキャリア相談サービスやキャリア相談の専任窓口等であれば中立的な立場だからこそ、従業員の悩みやキャリアに対する考え、組織や職場に対する課題感などの本音を引き出すことができます。
上司や同僚には話しにくい本音や悩みも、外部のキャリアカウンセラーに対しては素直に伝えやすくなるものです。さらに、キャリア相談の場合は「対話」だからこそ言語化、また質問を通じて思考がどんどん深まっていきます。アンケートによる組織調査では分からない、深い本音が見えてきます。
個人を特定できない形でこうした情報をレポーティングしてもらうことで、企業側は従業員の本音や要望を把握でき、それをもとに組織の課題や改善点を見つけ、改善することができるでしょう。
また、外部のキャリア相談サービスだからこそ組織内の常識や既存の風土に縛られず、客観的な視点で職場の問題や課題を指摘してくれることも期待できるでしょう。内部の人間が対応すると「組織内での当たり前」に流されたり、状況に慣れてしまっていたりすることで、問題を見落としてしまうこともありがちです。
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キャリア相談サービスを選ぶポイント
キャリア相談の外部委託を考えるうえでは、以下の3点をしっかりチェックして選びましょう。
- 登録コンサルタントの人数、質
- レポーティングやコンサルティング
- 料金体系
順番に解説します。
登録コンサルタントの人数、質
企業向けキャリア相談サービスの質は、登録コンサルタントの人数や品質に依存します。コンサルタントは有資格者のみか、どんな基準で契約をしているかなどをしっかりと確認しましょう。
登録しているコンサルタントの過去の実績や専門分野、取得している資格や経験の傾向も確認し、企業のニーズや目的に合致するかどうかを見極めることも大切です。
キャリアコンサルタントはコーチングやカウンセリングに近いものなので、必ずしも自業界などに精通している必要はありません。ただし、利用者としては「自身と似た境遇のキャリアを歩んだ人」に相談したいと思う人が多いものです。
とくに、育児後のキャリアについて相談したい女性社員であれば出産・育児経験がある人に、セカンドキャリアなどであればそれなりの人生経験があるシニアのコンサルタントに、といった要望も強くなります。
このように、登録キャリアコンサルタントの属性と、提供対象となる従業員との親和性も大切です。
レポーティングやコンサルティング
基本的に外部のキャリア相談サービスは、個々の相談内容を組織にレポーティングすることはありません。個々の相談内容を組織にフィードバックしてしまうと、従業員からすると安心して相談できる場ではなくなってしまいます。
しかし、企業としてキャリア相談サービスを導入するうえで個々の悩み解決だけでなく、サービスを通じて組織開発、改善にもつなげていきたいと考えるものです。こうした組織開発に向けたレポーティングやコンサルティング部分のサービスもよく確認しましょう。
料金体系
キャリア相談サービスを導入するためには、当然ながら費用が発生します。料金体系は月額や年額制、回数や時間に応じて課せられる従量制など、サービス提供者ごとに異なります。
また、追加料金が発生する可能性や長期的な利用を想定した場合の割引などの特典があるかも、確認が必要です。予算内で最も効果的なサポートを受けられるサービスを選ぶため、料金の透明性と内容の詳細をしっかりと把握することが重要です。
企業向けキャリア相談サービスおすすめ9選
ここからは、企業向けのキャリア相談サービスを9つ紹介していきます。
- Kakedas
- セーフプレースメント・トータルサービス
- 企業向けキャリアコンサルティング
- 企業内キャリアコンサルティング
- Hanaseru
- smart相談室
- meetcareer
- yell
- オンラインキャリアコンサルティング
1. Kakedas
HRドクターを運営するジェイックグループが提供するKakedasは、企業向けキャリア相談サービスの先駆け的なサービスです。2024年10月1日時点で3,040人を超える国家資格キャリアコンサルタントが登録しており、日本トップクラスの規模感を誇ります。
特性診断も踏まえて、AIが契約キャリアコンサルタント個々の従業員と相性のいい相手を10人選定し、その中から相談者自らが相談相手のキャリアコンサルタントを選べます。また従業員がキーワード等でキャリアコンサルタントを検索することも可能です。だからこそ、従業員一人ひとりに最適なキャリアコンサルタントのマッチングが可能になっている点は大きな特徴です。
また、日程調整のサポートや相談までの運用はKakedas側が行うので、企業側は負担なく利用できます。
導入後も会社の組織改善のために、担当者がしっかりサポートを実施します。相談内容を分析したレポーティングと組織開発へのコンサルティング、キャリア研修などのサービスも提供しています。
トヨタグループやNTTグループをはじめ、従業員数にして数十~数万名規模の幅広い企業で導入実績があります。
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2. セーフプレースメント・トータルサービス
株式会社パソナが提供しているセーフプレースメント・トータルサービスでは、専門コンサルタントによる個別カウンセリングを通して、社員が自律的なキャリア形成を実現するための支援を提供しています。
今後のキャリアを考えるきっかけとするために、個別カウンセリングだけでなく、集合型研修の実施や社外のさまざまな働き方をしている人との交流の場が設けられています。人事担当者向けのプログラムも提供しており、一例として国家資格キャリアコンサルタントの養成講座や、適性適職診断PATを用いて人材の適正配置・人材育成に活かすためのプログラムなどもあります。
3. 企業向けキャリアコンサルティング
ワーズアンドキャリアのキャリアコンサルティングサービスでは、専門のキャリアコンサルタントが、従業員が不安を抱えることなく意欲的に業務に取り組めるように、個別面談と集団研修を交えたサービスを提供しています。
流れとしては、最初にグループワークも取り入れたキャリア研修を行い、キャリアを考える機会を提供します。その後、従業員との一対一の面談を行うことで各従業員が抱えている悩みや課題を整理し、解決できるように促してくれます。
面談後も組織全体で従業員および組織が課題を解決できるように、フォローアップによりアンケートによる継続的な振り返りを行ってくれます。キャリア相談は面談だけでなくメールでも対応可能なので、気になることがあったときにすぐに相談できるようになっています。
4. 企業内キャリアコンサルティング
あしあとみらい研究所が提供する企業内キャリアコンサルティングサービスでは、企業の理念やビジョンを把握したうえで、従業員に対して個別キャリアコンサルティングを実施してくれます。
キャリアコンサルティングではキャリア相談にあたって、自身のキャリアを振り返りやすくするために、ジョブ・カードを活用しています。ジョブ・カードとは厚生労働省が「働く人一人ひとりが定期的に自身のキャリアを振り返る機会を作ること」を目的として、普及・推進を図っている制度のことです。
事前打ち合わせに際して計画書も作成してくれるため、安心して進められるでしょう。またアフターフォローの一環として効果検証や顧問契約などにも対応しており、申し出がある社員に対しては、個別コンサルティングの実施も可能となっています。
5.hanaseru
株式会社パーソル総合研究所が提供しているキャリア相談サービス「hanaseru」では、デジタルアンケートとキャリアコーチングを組み合わせて従業員のキャリア形成を促しています。
デジタルアンケートを敵的に取ることで従業員のコンディションを可視化し、それを元に担当カウンセラーが従業員との面談で話を聞き出してくれます。hanaseruのプロコーチは社内の厳しい審査をクリアしており、企業向けチームビルディング研修やキャリア支援コンサルティング経験の豊富な人材です。
6.Smart相談室
株式会社Smart相談室が提供する同名のサービス「Smart相談室」のキャリア相談では、5年後10年後を見据えて向かうべき方向性を明確にするための相談やアドバイスを提供してくれます。また、キャリア相談だけでなく、管理職やチームリーダーを対象にコーチングスキルを習得する研修を行ってくれるオプションサービスもあります。
Smart相談室ではキャリア相談に限らず心理士や産業カウンセラーなど、さまざまなカウンセラーが在籍しています。そのため、精神的に不安定な従業員がいるなど、キャリア以外の面で相談を必要としていそうな従業員にとってもおすすめのサービスです。
7.meetcareer
株式会社fruorが提供する法人向けキャリアサービス「meetcareer」は、過去5,000人以上のキャリアカウンセリングを行った実績を基に、組織パフォーマンスが最大化するように支援してくれます。
meetcareerがとくに重点を置いていることが、個々の長所や特性を明確にすることです。キャリアコンサルタントが作成した独自コンテンツを自主学習するところから始め、その内容を踏まえてコンサルタントが深掘りすることで、強みや特性を明らかにするサポートをしてくれます。
8.yell
エール株式会社が提供するオンライン1on1サービス「Yell」では、自立型人材の育成を促すために、3,000人を超える副業人材が1on1を提供してくれます。さまざまな背景を持ったカウンセラーがおり、各従業員に最適な人材をAIによりマッチングしてくれるので、より効果的な1on1が期待できます。
マネージャーやリーダーの立場にいる人を対象としたサービスも提供しており、従業員個々に限らず、組織力形成の支援もしてくれます。
9.オンラインキャリアコンサルティング
株式会社日本マンパワーが提供するキャリア相談サービス「オンラインキャリアコンサルティング」は、キャリア支援の経験が豊富なキャリアカウンセラーとオンラインでカウンセリングを受けられるサービスです。
キャリアコンサルティングを通して明らかになった自社の従業員の傾向を報告書にまとめて提出してくれるので、社内でもどのように対策を取ればいいのかの参考にできます。
サービスを受けやすいように、料金体系は定額制と業務委託型の2種類に分けられていることも、大きな特徴です。サポートを依頼したい期間や、最終的なゴールに応じて決めればコスパよく利用できるようになるでしょう。
従業員のキャリア相談を実施する重要性
従業員に対してキャリア相談を提供することは、自己分析の機会を提供し、キャリア自律を促す支援になります。キャリア相談などの機会がないと、多くの従業員は今の働き方、将来のキャリアプランを言語化することは難しく、日常の仕事に追われてしまいがちです。
今の時代、若手や優秀層の定着・活躍には「心理的安全性」と並んで、「キャリア安全性」が重要とも言われます。企業が従業員のキャリア形成の悩みを見逃し続けると、優秀層の離職・転職、エンゲージメント低下につながってしまいます。労働力不足、さらに知識労働社会となる中、エンゲージメントの向上、優秀層の引き留めはとても重要です。
終身雇用や年功序列制度といった従来の日本型雇用制度が崩れ、成果主義とジョブ型の組み合わせ、転職を前提とした雇用慣習に変わっています。その中で、労働者一人ひとりにキャリア自律、主体的にキャリア形成していくことが求められるようになり、将来の自分のキャリアに不安を抱えている従業員は若手を中心に増えています。
キャリア相談を行うことで従業員のキャリア形成を支援、キャリア自律を促進することでエンゲージメント向上や離職低下などにつなげることができます。
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まとめ
キャリア相談を企業内で導入することで、従業員の社内でのキャリア形成を支援し、モチベーションの向上につなげられます。
社内で実施する場合は上司や人事担当者が行うのが最も手軽な方法です。社内で行うことのメリットは相談内容の理解や社内制度を踏まえた適切なアドバイスが可能となることですが、一方で、評価者である上司や、人事権を持っていたりする人事には本音の相談はしにくいという構造的な問題も生じます。
そこでおすすめなのが、外部のキャリア相談サービスと、社内でのキャリア支援をうまく組み合わせることです。
利害関係のない第三者だからこそ従業員は本音で話すことができ、感情や思考を整理し、前向きなきっかけを見出しやすくなります。また、本音を掴めるからこそ、社内の組織開発や制度整備にも生かすことができます。
外部のキャリア相談サービスを選ぶ際は、登録キャリアコンサルタントの人数や質はもちろん、さまざまな背景を持った人材が在籍しているかも、重要なポイントです。
HRドクターを運営するジェイックグループが提供するキャリア相談サービス「Kakedas」には、累計3,000人を超える国家資格キャリアコンサルタントが登録しており、対象者にとって最適な相談相手をアテンドできます。キャリア相談を通じて、離職防止やモチベーション向上、優秀人材の引き留め等を行い方は、お気軽にご相談ください。
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