外部面談サービスが求められる理由と利用上のポイント、お勧めサービスを紹介

更新:2025/01/15

作成:2025/01/15

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック執行役員

外部面談サービスが求められる理由と利用上のポイント、お勧めサービスを紹介

外部面談サービスは、従業員のケアをしたり、本音を把握したりするのに役立つものです。従業員にとって上司や人事との面談は、すべての本音を言える場所にはなりづらい側面があります。また、現場の本音が分からなければ、エンゲージメント向上や離職防止等の施策も有効になりづらいでしょう。

 

社内での面談も大切ですが、一方で心理的安全性を確保しきれず、表面上のやり取りだけで終わってしまうケースも多くなります。記事では、外部面談サービスが求められている背景や社内面談の強み・弱みを解説し、社外面談と社内面談をどう使い分けるか、適切な外部面談サービス選びのポイントも紹介します。

 

<目次>

外部面談サービスとは?

外部面談サービスとは、社内で上司や人事が実施している面談を外部の第三者が代わりに実施してくれるものです。面談を担当してくれる人としては、人事経験者のような実務経験を持っている人の他に国家資格キャリアコンサルタントやカウンセラーの資格を持った人がいます。

 

面談の中身を組織側にフィードバックするかはサービスによって異なります。

 

心理的安全性を確保したい場合には、個別のフィードバックは実施されず、個人を特定されないレポートが提出される方が良いでしょう。組織側に個別の面談内容がフィードバックされるようだと、従業員は本音を言いにくいものです。

 

一方で、あくまで上司や人事の工数を削減するという趣旨であれば、個別の面談内容をフィードバックして欲しいというニーズもあるでしょう。

 

「本音で話せる場所」として外部面談サービスが求められる背景

外部面談サービスの利用にあたって、「会社の実情や制度を知らない第三者の面談に意味があるのか?」と思う人もいるでしょう。一方で、「本音で話せる場所」として外部面談サービスが求められているのには、以下のような背景があります。

 

価値観や考え方の多様化

この数十年で多様性が認められる時代となり、働き方やキャリア観に関しても価値観は多様化しました。昔は「男性×正社員×終身雇用・年功序列×昇格・昇進」というステレオタイプ的なキャリア観がありましたが、現在は異なります。

 

とくに昭和世代と令和世代では、キャリア観や仕事に対する姿勢にも大きな隔たりがあり、マネジメント不全が起こる要因にもなっています。

 

終身雇用制度があり、日本経済が右肩上がりの時代をパワフルに生き抜いてきた昭和世代の経営陣や管理職にとって、終身雇用を前提とせず、日本経済がむしろ右肩下がりであろうという感覚を持ち、自身のキャリアや将来に漠然とした不安を抱えている今の若者の感覚は、理解するのが難しい側面もあるでしょう。

 

こうした価値観の多様化とズレが生じる中で、組織内の面談で従業員の本音を理解する、エンゲージメントを向上させる難易度は高まりつつあります。従業員からすると、上司が自分の価値観や考え方を理解してくれなければ、徐々にエンゲージメントは低下し、転職を考えるようになります。

 

また、本音を隠し、当たり障りないコミュニケーションだけを取るようにもなるでしょう。

 

こうしたことが起こらないようにするためには、「本音を話せる」安全・安心な場所を楷書として提供することが大切です。

 

従業員のメンタルケア

数十年に渡るITの発達、そして、今はAIの普及も進みつつあります。その中で、人間に求められる仕事のスピード感は上昇し、さらに仕事の内容も高度な知識労働や感情労働になりつつあります。仕事に求められるレベルが上がる中で、従業員が抱えるストレスもどんどん大きくなっています。

 

ネガティブなコメントは愚痴や甘えだと受け止められて評価を下げられる恐れもあり、なかなか社内では相談できずに抱え込んでしまう人も出てきます。誰にも相談できないままストレスを溜め続けてしまうと、どこかのタイミングでメンタルダウンしてしまう恐れもあります。

 

最初はネガティブな愚痴や甘えだとしても、それをきちんと吐き出すうちに理性が働き、前向きな思考も出てきます。職場のメンタルヘルス向上と、前向きな思考を醸成するためにも本音を言える場所の確保は大切です。

 

キャリア自律の促進

終身雇用の崩壊、ジョブ型人事の導入、求める業務の高度化等に伴って、キャリア自律とエンゲージメント向上に取り組む企業が増えています。キャリア形成に関するテーマは本音での対話が重要です。

 

一方で、キャリアに関する対話は、いまの職場や社内でのキャリア展望に関する不安や不満、転職や独立という選択肢との比較、ワークライフバランスやプライベートの事情や欲求など、とくに社内では話しにくい内容が多く含まれます。

 

一方で、従業員が「社内で話しにくいから…」と無料で使えるキャリア相談を探すと、転職支援会社での面談に行きつきがちです。

 

転職支援会社の面談ももちろん悪いものではありませんが、人材紹介会社は転職斡旋の成果報酬というビジネスモデルであり、客観的でフラットなキャリア相談が提供されるかは、面談対応するアドバイザーの職業倫理と経験によります。

 

会社として、フラットで本音で相談できる場を設けることが、安易な離職/転職を減らすことにつながります。

 

離職やメンタルダウンの理由を知る

職場で離職やメンタル不調が継続的に出ている、また、エンゲージメントが向上しない場合、職場に何らかの問題がある可能性が高いでしょう。改善のためには対策を打つ必要があります。

 

適切な対策を実施するためには、生じている課題をきちんと把握することが大切です。

 

ある会社では、外部面談サービスを使ったところ、じつはある部署で深刻なパワハラが生じていることが分かりました。面談者は「人事には名前を出したくない」「自分が直接の被害者ではない」といった理由で、ハラスメント窓口等には通報していませんでした。このように、従業員からすると、社内では本音を言いにくいのが実情です。

 

離職やストレス、職場の課題をきちんと把握するためには、従業員が評価や人間関係を気にせず、安心して本音を話せる場
が重要になります。
 

社内対応の限界

従業員の面談は社内で対応するのが良いという考え方もあり、実際に社内面談の強みも明らかにあります。一方で、社内面談には仕組みとしての限界もあります。

 

上司や人事との1on1では仕事や組織への不満に当たることは言いづらい

これまでも紹介した通り、従業員からすると、社内面談は遠慮なく話せるものではなく、身内であるがゆえに言いづらいことも出てきます。

 

上司は評価者であり、また、人事は直接の利害関係は無くとも組織側の人です。同じ組織の人が面談相手ともなると、どうしても仕事や会社に対する不平・不満と受け止められるようなことは言いづらくなります。

 

対話では、ネガティブも含んだ感情や思考をきちんと吐き出すことで気持ちが整理されていき、前向きで理性的な思考が働くようになる側面もあります。上司や人事が面談を担当すると、相談者には「ネガティブなことを口にすると、組織の中に居づらくなってしまうのではないか」という不安が生じやすく、心理的安全性を確保するのが難しいものです。

 

十分な心理的安全性を確保しないまま面談しても、本音は出てこなくなります。また、表面的なやり取りで終わってしまうと対話の効果も得られません。効果の低い面談になってしまうと、逆に従業員のエンゲージメントが下がってしまうことにもなりかねません。

 

クロス1on1の問題点

評価者である直属の上司、組織側の人間である人事が1on1を実施する心理的安全性の課題に比較的対応しやすいのが、他部署の人と面談するクロス1on1です。評価とは関係の無い他部署の人が面談を担当することで、上司や人事が担当する場合に比べ、心理的安全性を確保しやすくなります。

 

クロス1on1は直属の上司に比べれば思っていることを話しやすくなるという効果があります。一方で、業務への理解が不足しがちになり、また面談を担当してくれる人の力量が低く、更に影響力も行使できない状態になると、質の高い面談実施が難しい場合もあります。

 

そのような状態だと、「飲み屋の雑談」のようになってしまいやすく、無責任なアドバイス等になってしまうケースもあります。

 

相談内容が社内に知られることへの不安

質の高い面談を実施するには、面談内容が他者に知られないという保証が非常に大切です。上司や人事への相談はネガティブに評価されたり人間関係にマイナスの影響が生じたりする懸念に加えて、自分が話したことを社内の他の人に知られてしまうリスクを感じやすくなります。

 

上司、人事、他部署の人は、日常的に組織内で働き、組織内の人とコミュニケーションを持っている存在です。そうすると、相談者は社内の雑談等の中で相談内容が漏れてしまうリスクを感じがちです。

 

また、少し矛盾もあるのですが、相談者は「解決してほしい」というニーズを持つ一方で、「自分が話したとは言わないでほしい」といった欲求があります。上司や人事が、社内で対応に動くと必然的に「誰が何を言ったか」が関係者には多少なりとも共有されていくことになるでしょう。

 

社内面談は、こうした点の心理的安全性をどうしても担保しにくく、「話した内容がどこかで漏れてしまうのではないか」という不安があると、相談内容にも遠慮が生じます。

 

人事や上司の負荷

ここまでは社内面談に関する構造的な課題を紹介しましたが、実務的な課題として社内面談の実施に当たっては、人事や上司に負荷が生じます。例えば、1on1を通じて管理職に部下のキャリアやストレスケアまで責任を持たせることは、正直なところ限界があるでしょう。

 

もちろん今の時代の管理職にはウェルビーイングやキャリア自律に対する理解や配慮は必要です。しかし、研修等を実施して傾聴やコーチングスキルを身に付けさせるにも、誰でも同じように出来るものではなく、スキルとの相性があります。

 

また、管理職の最大のコミットメントは業績目標です。1on1などの施策を導入していくと優しい管理職ほど部下の声に耳を傾ける側に偏り、目線が内向きになってしまう傾向もあります。

 

また、人事等に集約して面談を実施する場合、実写者が限定される分、スキル向上は実現しやすい反面、社員数が多くなれば相当の工数負荷が発生します。

 

さらに、一人ひとりの悩みに丁寧に寄り添っていくとなると、対応者のストレス蓄積もかなりのものとなります。そして、特定の人に情報が集約されること自体がリスクであるという捉え方もあるでしょう。

 

多様性対応の限界

会社規模が大きくなると、社内には多様な年代・性別・職種・階層の従業員がいます。質の高い面談を実施するためには、こうした多様性への対応も大切です。

 

相談相手を選ばないテーマもありますが、例えばシニア層になると若すぎる相談相手には相談しにくい、女性であればワーキングマザーの経験者に相談したい、といったニーズが出てきます。また、仕事やキャリアの話になると、職種理解や経験の問題も出てきます。

 

期一般人事に集約して対応しようとなると、こうした多様性への対応に限界が生じてきます。

 

外部面談サービスを活用するメリット

外部面談サービスを通して専門家の力を借りることで、以下のようなメリットが得られます。

 

守秘義務を持った第三者なので安心して話せる

守秘義務を持った社外の第三者が面談を担当することで、従業員の心理的安全性が確保されやすくなります。社外の人が相手であれば、社内の人には相談しづらい人間関係の悩みや職場への不満といったことも話しやすくなります。

 

ネガティブな感情をきちんと吐き出して言語化することで感情の整理がつきます。相談内容を知られたり、自身の評価に影響してしまったりする心配がなく、本音で話せるようになることで内省を深めることができます。

 

傾聴のプロが本音の言語化をサポートしてくれる

外部面談サービスでは、国家資格キャリアコンサルタント等の傾聴や質問スキルを身に付けたプロが面談を担当するため、一方的なアドバイスや説教が生じません。

 

もちろん管理職にも傾聴やコーチングスキルのトレーニングをすることが大切ですが、どうしてもスキルとの相性もありますし、日常の業務に関する話はティーチングや指示が多くなりがちで、スキル向上にも限界があります。

 

外部のプロが面談の中で出てきた言葉をうまく拾いながら感情の言語化をサポートしてくれることで、従業員の内省や自己理解、理性的な思考が促されます。

 

レポートで従業員の本音を知ることができる

従業員の本音を把握して組織を改善するための施策につなげていくことは、組織の人事課題を解決するために非常に重要です。

 

外部面談サービスの中には、面談で得られた従業員の本音を、個人が特定されない形でレポートにまとめて組織側にフィードバックしてくれるものもあります。そうしたレポートを活用することで組織の状態を知ることができます。問題の実態がわかれば、施策も思考しやすくなるでしょう。

 

外部面談の有効性事例

社内の情報が外部に漏れ出てしまうことへの不安から、外部リソースを活用することに消極的である企業も多いものです。「わざわざ外部に面談を依頼せずとも、秘密が守られることを約束できれば社内の面談でも問題ないのではないか」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

 

しかし、上司や人事が「秘密はちゃんと守られる」と約束したとしても、従業員側としては「どこかで約束が破られてしまうのではないか」「関係者に共有される中で思わぬところで話しが漏れるのではないか」と疑心暗鬼になってしまう面があります。

 

ある大手IT企業で外部面談を導入したところ、「人事にも匿名である」ことを確認したうえで、何人もからハラスメントの告発が寄せられる事象がありました。従業員数千人規模の大手企業であり、当然各種ハラスメント等の窓口は整備されています。

 

そうした環境が整っていたにも関わらず社内の窓口には告発が行われない、「人事にも名前が出ないなら話す」という従業員が複数いることは、社内の人間には言えないという従業員の意識を浮き彫りにするものでした。

 

外部面談(社外)と内部面談(社内)の組み合わせ

先ほど内部面談の限界について言及しましたが、外部面談と内部面談には優劣があるというものではなく、それぞれに強みと弱みがあります。

 

外部面談の強みは、従業員にとって心理的安全性が確保されることであり、それによって本音で相談することができます。結果として内省や理性的な思考の促進が期待できます。

 

一方、内部面談は心理的安全性の面では限界が生じやすい一方で、社内制度の理解、相談に対する実務的なアドバイスや影響力の行使など、具体的な解決支援ができることが大きな強みです。

 

こうした強み・弱みを踏まえると、外部面談で本音の言語化や内省を促し、内部面談で解決を支援していくという組み合わせ、二階建て構造にすることが有効です。

 

外部面談サービス選びのポイント

適切な外部面談サービスを選ぶには、以下のポイントを確認しましょう。

 

従業員と担当者の相性

面談は人と人とのやり取りであるため、どういった人が面談を担当してくれるかは重要なポイントです。従業員から本音をうまく引き出せるかどうかは、面談担当者との相性によって大きく左右されます。

 

そのため、マッチングが上手くいくように気を付ける必要があります。いくら外部の第三者が面談を担当するといっても、相性が悪いと「なんだか合わない」「この人には話したくない」と思われてしまいます。

 

相談者である従業員が、担当者のプロフィールなどを確認して相談したい相手を指名できる等、マッチングがどのように行われるかはサービスを選ぶ上で確認したいポイントです。マッチングが上手くいくと、時間が限られる中でも冒頭から対話がスムーズに進み、面談の質を高めることができます。

 

担当者の専門性や実績

面談者の力量や経験も非常に重要な要素です。対象となる従業員の年代・性別・職種・階層等を踏まえて、従業員の気持ちや課題を理解できる人に面談を担当してもらえるかは重要です。

 

いわゆるコーチングやカウンセリングの本質としては、同じような経験をしているか等は関係ありません。とはいえ、現実的には相手のことを理解しやすい、共感しやすいといった面談の質につながります。

 

たとえば仕事と子育てで悩んでいる女性従業員に対しては、男性よりもワーキングマザーの経験がある女性の方が相談者も話しやすいですし、面談者も共感しやすく、アドバイス等をするにしても相談者に受け入れてもらいやすいでしょう。

 

面談者の質を担保するために、サービスとしてどんな採用方法、トレーニング、質の担保をしているか等はサービス選定の中で大切なポイントです。

 

組織に対するフィードバックが得られるか

外部面談サービスによっては、従業員に対する面談提供だけでなく、組織に対して面談結果をフィードバックしてくれます。従業員の本音の関するレポートは、組織の実態を知り、組織改善の施策を実行する上で有効なものです。

 

組織に対してどのようなフィードバックレポートが得られるかもサービス選択の際には確認しておきたいポイントです。

 

日本最大級の外部面談サービス「Kakedas」

簡単に導入することができ、質の高い面談を受けられるサービスとしてお勧めなのが、HRドクターを運営するジェイックグループが提供する日本最大級の外部面談サービス「Kakedas」です。

 

Kakedasの面談対応者は、全員が国家資格キャリアコンサルタントの有資格者であり、そこから面談経験、同時に業界や職種、キャリア経験等で審査、その上で選考を実施して選抜されています。

 

面談を担当するキャリアコンサルタントは、事前の診断テストの結果をもとにAIが相性の良い候補者が10人選び出されます。面談希望者は、10人の中からプロフィール等を確認して、自分が気に入った人を選ぶことができます。また、キーワード等で検索してキャリアコンサルタントを選択することも可能です。

 

傾聴等のプロでもあるキャリアコンサルタントは、相談者から本音を上手く引き出すとともに感情や思考の言語化をサポートしてくれます。それにより相談者は内省を深め、自分の価値観や方向性に気づき、アクションプランへの落とし込み等に進むことができます。

 

また、Kakedasでは、面談のレポートやアンケート、そして対話データを解析し、個人が特定されない形のレポートとして組織にフィードバックします。こうしたフィードバックからは、組織開発への有効な示唆が得られるでしょう。

関連サービス資料を
ダウンロードする

キャリア面談プラットフォーム|Kakedas(カケダス)...
キャリア面談プラットフォーム|Kakedas(カケダス)...

...

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック執行役員

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

⼤カテゴリ:

    関連記事

    • HRドクターについて

      HRドクターについて 採用×教育チャンネル 【採用】と【社員教育】のお役立ち情報と情報を発信します。
    • 運営企業

    • 採用と社員教育のお役立ち資料

    • ジェイックの提供サービス

    pagetop