社内公募制度とは?メリット・デメリットや富士通などの導入事例、手順を紹介

更新:2025/01/17

作成:2025/01/16

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック執行役員

社内公募制度とは?メリット・デメリットや富士通などの導入事例、手順を紹介

社内公募制度は、キャリア自律の促進やジョブ型人事制度に伴って、導入する企業が増加している仕組みです。

 

社内公募制度は上手く活用できれば、従業員のキャリア自律はもちろん組織の活性化にも役立ちますが、導入にあたっては適切な運用と管理職・従業員への啓もうが必要になります。

 

本記事では、社内公募制度のメリット・デメリットを解説すると共に、富士通などの企業における具体的な導入事例や運用の具体的な手順を紹介します。

<目次>

社内公募制度とは?

まず社内公募制度の概要を確認します。

 

社内公募制度とは?

社内公募制度とは、人材を必要とする部署が社内の従業員を対象に募集をかけ、興味を持った従業員が求人に応募するという制度です。最近はグループ全体で実施するような大手企業等も生まれています。

 

応募した従業員に対しては書類選考、面接等が行われます。選考の結果「採用」となれば、応募した従業員は部署を異動することになります。いわば各部署を「会社」として、社内を疑似的な求人/転職市場にするような仕組みです。

 

異動との違い

社内公募制度でも、結果的には異動が発生します。但し、従来の異動(人事異動)は、事業計画や人材育成計画等にもとづいて組織側が主導して行うものです。これに対して、社内公募制は従業員が自発的に応募する点が大きく異なります。

 

自己申告制度との違い

自己申告制度は、従業員が組織に対して自分のキャリアの希望を伝えて対応してもらうような制度であり、異動希望制度とも呼ばれています。

 

自己申告制度は「本人の希望」を先に募るものであるのに対し、社内公募制度では先行して「求人」があるという点で、プロセスの順序が異なります。但し、従来の組織主導型の異動から、従業員の意思によるキャリア自律・形成を支援するという点では、趣旨は同じだと言えるでしょう。

 

社内FA制度との違い

社内FA制度は、従業員自らが他部署に自分を売り込んでいく制度です。社内FA制度では、勤続年数や保有資格等の一定の基準を満たした人がFA権を獲得し、FA権を行使することで異動を実現させます。これに対して、社内公募制度では他部署からの募集に応じる形で異動が実現します。

 

社内FA制度は、自分から異動しようと働きかけるという点で自己申告制度/異動希望制度に近しいものです。但し、キャリア自律を促進するという意味での趣旨は社内公募制度と同じです。「自分で売り込む」という社内FA制度を、「求人の応募」という形に変えることで利用ハードルを引き下げたものが社内公募制度だとも表現できるでしょう。

 

社内公募制度の導入企業が増える背景

社内公募制度は昔からあったものですが、最近、導入企業が増えています。社内公募制度の導入企業が増える背景について紹介します。

 

従業員のキャリア自律を促す

自分の意思で、他部署の仕事に応募できる/異動を実現できる社内公募制度は、従業員のキャリア自律を支援する人事施策として注目を集めています。キャリア自律は、従業員の意欲や能力を最大限に引き出し、企業価値を高めていく人的資本経営の実現のためにも重要な施策となります。

 

キャリア自律を実現させるためには、どんなキャリアを歩みたいのかというキャリアプランを立て、描いたキャリアプランを実行に移してくことが必要になります。社内公募制度は、従業員がキャリアビジョンを描いた後に、それを実現するための手段になります。

 

また、社内公募制度があることで、“何となく今の仕事を続ける”のではなく、従業員自らがキャリアを考え、今の仕事を続けるか社内求人に応募するかと考えるきっかけになります。その意味では、社内公募制度は、社内で主体的にキャリア形成できる環境をつくるものであり、従業員は自分のキャリアを考えてもらうきっかけともなります。

 

ジョブ型人事制度との連携

仕事の分業や専門化が進む中で、ジョブ型の人事制度を導入する企業が増えています。ジョブ型の人事制度では、ジョブ毎に職務範囲や責任が規定され、これに紐づいて待遇も規定されることが一般的です。

 

従業員にとっては「待遇の向上」は「より上位のジョブの獲得」ということになり、管理職への昇格や上位ジョブへの異動も社内公募制度等を通じた「本人の応募」でなされることも増えています。

 

優秀人材の引き留め

転職が一般的になり、かつ、高度な知識労働者の採用ニーズが増す中で、優秀層の引き留めは企業にとって非常に重要な人事・経営課題となっています。

 

かつては「石の上にも三年」と言われましたが、今の若い世代は入社してから早い段階で仕事のやりがいや成長実感が得られなければ、すぐに転職を考え始めてしまう傾向が増しています。

 

「向いていないかもしれないと思うような仕事でも、粘り強く取り組んで結果を出す」という考え方ではなく、「自分に合った仕事や環境を早く見つけてそこで結果を出して成長や待遇UPをしたい」という考え方の人が多くいます。

 

社内公募制度を通じて社内を転職市場化することで、若手や優秀層にとって新しいこと、また自分のキャリアビジョンに沿ってチャレンジするチャンスが生まれます。これによって若手や優秀層の退職を防ぐことにつながります。

 

社内公募制度のメリット

従業員が自らの意思で社内の他部署の人材募集に応募する社内公募制度は、社内を転職市場化することで以下のようなメリットが得られます。

 

エンゲージメント向上と離職防止

社内公募制度では、どの部署のどんな仕事に応募するのかは従業員が自分の意思で決めることができます。自分でどんな仕事に取り組むのかを決めることは、仕事に対するやらされ感をなくし、主体性の発揮を後押しします。自分で仕事を選べることでエンゲージメントも高まり、持っている能力が最大限に発揮されやすくなります。

 

入社や異動したばかりの頃は目の前の仕事を覚えることで手一杯だった従業員も、知識や経験を積んで仕事に慣れてくると、新しいことにチャレンジしたいと思う人も出てきます。チャレンジ意欲のある従業員に対して、自分から新しい仕事に挑戦する機会を提供することで、挑戦や活躍の場を求めて転職していってしまうことを防げます。

 

管理職の意識向上

社内公募制度が導入されて、社内が疑似転職市場化すると、各部署のリーダーは、必要人材の獲得、またメンバーの流出防止に向けて「魅力的な職場」を作る必要が出てきます。

 

社内公募制度は、どの部署のどんな仕事に応募するかを従業員ひとりひとりが決められる制度であり、言い換えれば、誰のもとで働くか選ぶことができる制度でもあります。そのため、マネジメント能力の問題を抱えている管理職、魅力的な職場を作れない管理職の下からはメンバーが流出していくでしょう。

 

疑似的な人材獲得競争にさらされることで、管理職はマネジメント能力の強化や、魅力的な職場づくりに積極的に取り組むようになります。このように社内公募制度は、マネジメント能力の向上やビジョン発信、職場づくりに関する管理職の意識改革にもつながります。

 

適材適所による生産性の向上

社内公募制度においては、従業員が自らの意思で能力を最大限に発揮できる部署に移っていくことで、適材適所が実現されるようになります。

 

従来の組織主導の人事異動で従業員の最適配置を実現させようとするやり方では、意に沿わない人事によって不満を抱えてしまうという人も出てきてしまいます。

 

価値観や考え方が多様化している今の時代においては、人材が持つ力を最大限に引き出すためには、一人ひとりが自分の頭で考えて主体的に行動できるような環境を整えることが重要になります。

 

社内公募制度を導入することで仕事と従業員の最適なマッチングが進むようになり、組織全体の生産性も向上するでしょう。

 

社内公募制度のデメリット(注意点)

社内公募制度は、従業員の意欲や主体性を引き出すことにつながる制度ですが、以下のようなデメリット・注意点もあります。

 

不採用になった従業員のモチベーションの低下

社内公募制度においては、従業員が求人の応募条件を満たしていれば、やりたい求人を選んで応募できます。しかし、異動が実現するには募集を出した部署での選考を通過する必要があります。従って、応募しても選考で不採用となるケースも多々生じます。

 

せっかく応募したのに不採用になってしまうと、従業員側の挑戦意欲が削がれてしまったり、モチベーションの低下につながったりするリスクもあります。「挑戦したいのに挑戦させてもらえない」と捉えられると、目線は外を向いて、転職を考えるようになる可能性も出てきます。

 

詳細は後述しますが、モチベーションダウン等を起こさないためには不採用者へのフィードバックが非常に重要です。

 

人間関係の悪化や組織の弱体化

社内公募への応募は、従業員個人の挑戦心を満たし、キャリア自律とキャリアビジョンの実現を後押しするものです。一方で、今働く部署の同僚や上司からの印象が悪くなってしまうこともあり得ます。

 

社内求人への応募にあたっては事前に上司への相談は行われず、内定が出た時点で上司に知らされることが一般的です。そして、上司には異動の拒否権がないことも普通です。仮に何の相談もなく部下が他部署の求人に応募して抜けていくとなれば、その部下への印象が悪くなることもあるでしょう。

 

また、人材を引き留められない組織が一時的に弱体化してしまう恐れもあります。優秀な人材が他の部署へ移っていけば、生産性が落ちてしまうだけでなく、部署内の雰囲気が悪くなってしまうといった影響が出てしまうこともあります。

 

全体的なバランスを取るのが難しい

社内公募制度は、組織全体の視点で見ると、全体最適化が難しくなる側面もあります。社員それぞれの希望を聞いていけば、やはり人気がある部署や仕事もあれば、あまり人気が出ない部署、仕事もあるでしょう。

 

そうなると組織全体での人員配置の最適化が崩れてしまったり、事業計画に基づく人事異動や組織編制も若干やりづらくなったりする側面もあります。

 

社内公募制度の導入事例

社内公募制度について、実際の企業導入事例を紹介します。

 

ジェイック

HRドクターを運営するジェイックは幅広く事業を展開し、東京本社をはじめとする各エリアの拠点、また、グループ会社、国外の子会社も複数存在します。そうした中で、従業員が転勤や異動希望を出せる制度として運用しているのが、「マイキャリア」という一種の社内公募制度です。

 

マイキャリア制度では、年に一度のアンケートを実施し、結果は上司を通さずに人事と人事委員会(経営層)でのみ共有されます。そして、異動希望者やキャリア面談希望者に対して面談が実施され、面談結果などを踏まえて異動を決定します。

 

アンケートの質問項目は、本音を聞き出せるようにすること、また社員にネガティブな感情な感情を持たせないことに注意し、何度もブラッシュアップされています。たとえば、異動したい時期や定性的なキャリアイメージも質問することで、すぐの異動希望ではないものも拾えるようになっています。

 

年に1回は自分のキャリアを真剣に考えて欲しいというメッセージを込めて運用されており、マイキャリアの回答に前後して、社内で相手を指定してキャリア面談を実施できる、また、社外のキャリアコンサルタントに相談することも可能になっています。

 

 

富士通

富士通はジョブ型雇用導入とともに人事制度を刷新し、さまざまなキャリア自律の施策を成功させました。個人のパーパスを明確にする「Prupose Carving」や評価制度「Connect」と並び、社内ポスティング(社内公募)制度の活用もその一つです。

 

富士通では現在、社内ポスティングに常時1,000件以上の募集が出ており、常にキャリアの選択肢が用意されている状態になっています。キャリアの選択肢が見えるようにしておくことで、社員一人ひとりが自分のキャリアについて考える機運が高まり、キャリア自律を促すようになっています。

 

さらに、キャリア自律を促すだけではなく、マネジメントスキルの向上にも社内ポスティング制度が役立っています。ポスティング制度によってチームのメンバーがキャリアを選び取れる機会が得られると、上司側が何もしなければ優秀なメンバーがチームから抜けていくことになりかねません。

 

富士通の社内公募制度では、応募した求人の選考に通過して異動が決定すれば、上司側に拒否権はありません。社内を疑似的な転職市場にしたことで、管理職の意識が「必要人材を引き留め、ポスティングで優秀な人材を獲得できるようにしないければいけない」、そのためにビジョンを語ったり、魅力的な職場にしていったりする必要があると明確に変わっていく変化が見られたそうです。

 

 

 

ソニーグループ

ソニーグループは、創業当初から「自分のキャリアは自分で築く」というメッセージを掲げ、1960年代に社内公募制度を導入するなど、キャリア自律を当たり前の文化としてきた企業です。

 

ソニーグループで、従業員のキャリア自律を促していく上で特に意識して取り組まれているのが、自律=選択と捉え、従業員が適切な選択ができるように企業として選択肢を示したり、上司の1on1を通して有益な情報を提供したり相談に乗ったりすることです。

 

また、社外や他者の情報発信に対して自社内の発信が不足してしまうと、従業員は自社内で自律的なキャリアを築くチャンスや制度があることに気づかないまま転職してしまうことにもなりかねません。

 

社内公募制度を始めとして各種人事制度を、組織経営につなげるためには、人事が積極的に情報を発信し、従業員に選択肢を知ってもらうことが必要だと言います。

 

 

リクルート

株式会社リクルートには、全事業の社内求人がオンライン上にアップされ、従業員が自由に応募できるキャリアウェブ制度があります。

 

募集ポジションの数は、2024年3月末の時点で329と多く、選択肢が多いことで自分に合ったものを選べるようになっています。

 

リクルートの社内公募制度でも、元部署の上司に拒否権はなく、従業員の新しいチャレンジを後押しする仕組みとなっています。

 

積水ハウス

積水ハウスは、社内公募制度として、チャレンジ精神旺盛な従業員にさらなるチャレンジの機会を提供するキャリアアップ・チャレンジ制度、意欲ある人材に活躍の場を提供するとともに適材適所を実現させる人材公募制度の2つがあります。

 

積水ハウスでは、従業員は職種、職務内容、将来期待される職務に基づいて「営業技術職群」「生産技能職群」「一般事務職群」「地域勤務社員」というグループ分けがあります。キャリアアップ・チャレンジ制度は、「一般事務職群」「生産技能職群」「地域勤務社員」を対象とし、「営業技術職群」への職群転換を支援する制度です。制度を利用し、毎年10~20人前後がキャリアアップを実現させています。

 

また、人材公募制度は、特定の事業やプロジェクトで必要となる人材を社内で公募する制度です。公募案件は社内ホームページや社内文章で告知され、応募者は人事部へ応募します。また、応募~異動決定までの全てのプロセスにおいて応募情報は秘匿され、従業員が自らの意思で応募しやすいようになっています。

 

社内公募制度の運用や選考のやり方

社内公募制度では、一般に以下のようなフローで募集から応募、選考の実施・内定・異動が行われます。

 

公募内容の策定

一般的な募集と同様に、まずは求人を出したい部署で募集要項を作成するところから始まります。募集要項には、募集の背景、部署の説明、職務内容、必要スキル、応募条件等が明記されます。こうした情報を詳しく記載することで、興味を持った人は自分に合ったポジションかを検討しやすくなります。

 

社内広報による告知

求人内容が決まれば、全従業員が閲覧できるように掲載します。中堅中小であればグループウェア等の掲示板やスプレッドシート等、また、大手企業であればイントラネット上に専用スペースが作成されて、社内のどこからでも閲覧できるようにすることが一般的です。加えて新着求人等をメールや社内報で通知する形です。

 

応募の受付

応募はシステム上から応募し、人事部が窓口となることが一般的です。応募をオンライン化することで、周囲や上司に知られずに応募することも容易になります。

 

書類による選考

人事部から求人部署に情報を共有し、必要な知識や経験、スキル、資格といった要件を満たせているかどうか書類選考を実施します。場合によっては、これまでの社内実績といったことも加味されるでしょう。

 

面接による選考

書類選考を通過した応募者に対しては、一般的な採用プロセスと同じように面接による選考を実施します。面接において主に確認するのは、部署や業務との適合性・活躍可能性、また、応募者がイメージしている業務内容やキャリアプランとギャップが生じないようにすることも非常に大切です。

 

内定通知

選考を通過すれば、人事部側に合格を共有します。人事部にて、応募者に合格を通知、また異動タイミング等についても確認します。制度によりますが、一般的には異動が確定した時点で、上司に対しても通知されます。上司が社内公募に部下が応募していたことを知るのは、この時点です。上司にとっては知らないところで部下の異動が決まることになりますので、反発が生じる可能性もあります。そうした点には注意が必要です。

 

不合格者へのフォローアップ

社内公募制度を運用する際に注意が必要なのは、不合格となった応募者へのフォローです。不合格だけを通知して放置すると、モチベーションが低下して次にチャレンジする意欲がなくなったり、「この会社では自分のキャリアプランは実現できない」と転職してしまったりする可能性もあります。

 

モチベーションの低下を防ぎ、再チャレンジを促すためにも、なぜ不合格だったか、合格するためにはどんなスキルアップや経験が必要かをフィードバックして、次の機会につなげてもらうことが大切です。

 

一定期間以内の異動実施

内定が出てすぐに異動ではなく、現業務の引継ぎをする必要があります。

 

ただし、優秀であるほど業務を引き継げる人がおらず、引継ぎに時間がかかってしまうことも起こりえます。異動が確定したのに、いつまでも実現しない状態になると、本人の意欲も落ちますし、受け入れ部署も困ってしまいます。従って、制度内で「内定から何カ月以内には異動させる」といった条件を設定することが一般的です。

 

社内公募制度を成功させるためのポイント

社内公募制度の運用にあたって注意すべきポイントをいくつか紹介します。

 

キャリア自律の取り組み

社内公募制度の運用に際して、自らの責任でキャリア構築していくキャリア自律の意欲が従業員にないと、制度を作っても応募者が全然生じないことになりかねません。社内公募制度はキャリアプランを実現させるための手段です。社内公募制度の導入に当たっては、キャリア研修やキャリア面談を通じて、従業員のキャリアオーナーシップを育てることが大切になります。

 

管理職の理解と意識向上

社内公募制度の導入は、社内を疑似転職市場とする試みです。組織全体としては大きなメリットがありますが、一方で、現場の管理職からすると「自分の知らないところで部下の流出/異動が決定してしまう」という側面もあるわけです。制度の必要性やメリットに管理職の理解が無いと、「自部署の人間を取られる」という非協力的な感情が生じます。

 

管理職からすれば、人材が流出しないようにするためには、今まで以上にやりがいを感じられる魅力的な職場を作るという負荷も生じます。一方で、「業務を推し進めるために優秀な人材が欲しい」という部署にとっては、社内から優秀な人材を獲得するためのチャンスです。管理職に対するビジョン発信やマネジメント変革に関する支援も必要となるでしょう。

 

求人の応募条件や選考プロセス、評価基準を明確にする

社内公募で応募者を集める際、応募条件が不明瞭だと合わない人が大勢応募してくる状態もあり得ます。

 

興味を持った人が応募を検討しやすいように、応募条件は具体的に示すことが大切です。また、選考プロセスや評価基準が分からないと、不採用になった時にも納得しにくくなります。どういったプロセスで選考を進めるかや、評価基準を明確にしておくことも重要です。

 

所属部署の上司承認を不要にする

応募や異動に際して、現所属部署の上司承認が必要だと、優秀人材の引き留めや自由なチャレンジといった制度の効果は半減してしまいます。

 

「応募したことは所属部署の上司には明かさない」「所属部署の上司に異動の拒否権はない」といった仕組みも大切です。そうした仕組みがあることで、「上司に反対されて引き留められてしまうのではないか」といった心配も無くなり、積極的なチャレンジを後押しできます。組織の状態によっては最初からこうした仕組みを導入するか等はありますが、理想としては所属部署の上司に明かされない、拒否権が無い制度が有効です。

 

不合格者へのフィードバック

繰り返しになりますが、応募して不合格となった人に対するフォローアップが大切です。ここを誤るとモチベーションダウンや離職につながりかねません。「何が足りなかったのか?」「今の仕事で何をスキルアップする必要があるのか?」「どんな実績を残せていればチャンスが得られたのか?」等を建設的にフィードバックすることが大切です。

 

きちんとフィードバックをすることで、不合格になったとしても気持ちを前向きに切り替え、次のチャレンジに向けて仕事に取り組みやすいでしょう。

 

社内公募制度に役立つキャリア自律サービス

HRドクターを運営するジェイックグループでは、従業員のキャリア自律を促し、社内公募制度の運用をサポートするサービスを提供しています。

 

キャリア相談プラットフォーム「Kakedas」

キャリア自律を促すには、1対多の研修や、キャリア設計シートの作成等だけでなく、他社との対話が重要です。対話を通じて、自らの価値観や意思が明確化し、方向性が具体化していきます。社外キャリアコンサルタントによるキャリア面談を通じて、キャリア自律を促すのが日本最大級のキャリア相談プラットフォーム「Kakedas」です。

 

Kakedasでは、外部の第三者であるキャリアコンサルタントが面談することで上司や人事等には言いづらいことも安心して話せます。自分の気持ちや曖昧な思考を率直に話すことで、内省を深め、前向きな思考が働いていきます。

 

面談では、傾聴のプロである国家資格キャリアコンサルタントが、言語化や具体化をサポートしてくれます。「今の仕事では何か物足りない。でも、すぐに異動したいというわけでもない」という仕事に対するモヤモヤした気持ちを整理することができ、前向きな一歩を踏み出せるようになるでしょう。

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強みを活かしたキャリア形成を後押しする「キャリア自律支援プログラム」

キャリア自律の促す第一歩になるのがキャリア研修です。キャリア研修は、キャリアビジョンを描くだけでなく、積極的なチャレンジができるように自分の経験や強みを理解することも大切です。先ほどのKakedasにキャリア研修を組み合わせたのが「キャリア自律支援プログラム」です。

 

プログラムでは、ストレングス・ファインダー®(現クリフトンストレングス®)を活用した研修で自分の強みを自覚し、自己効力感を向上させ、また強みを活かすキャリアプランを描いていきます。その上で、研修後にキャリアコンサルタントに面談を実施することで、キャリアプランを具体化、アクションにつなげていけるようにサポートします。

 

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック執行役員

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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