イノベーションを起こしたい人がとる３つのステップ
皆様、ジェイックの知見寺（ちけんじ）でございます。
上海は、１１日の月曜日、風と雨がすごい、ひどい天気でしたが、
そこから数日、とても過ごしやすい気候が続いています。
早く仕事を片付けて、オープンエアの席で冷えたビールを
飲みたい気分になります。
さて、今回は、４月２１日に上海で講演をしていただいた、
東色日化の田村副総経理のお話しをご紹介したいと思います。
田村副総経理は、設立１９９９年以来、７年連続赤字を出し続けていた、
上海子会社の立て直しのために赴任します。
翌年には、見事、黒字転換を実現します。
その後は、日本親会社に配当を続け、親孝行な子会社となっています。
そんな偉業をどうやって、成し遂げたのかを、語っていただきました。
とにかく、最初は、現実を理解する、ということに徹したそうです。
２ヶ月くらいは、会社にこもりきりで、各種財務資料、
売上データや仕入れ、生産に関わるデータ。
売上伝票、支払伝票を隈なく、目を通しました。
次に、実際の最終消費者が購入している場所、
使っている場所に出向いて、観察しました。
東色日化さんの事業は、化粧品のＯＥＭ供給です。
上海市内のデパートの化粧品売り場で、どんな商品が
いくらで売られているのかメモを取ったり、
どんなお客さんが買いにきているのか観察したり、
更には売り子さんに直接インタビューもしたそうです。
その結果、デパートの警備員がすっ飛んできて拘束され、
警備室まで連れていかれ、詰問された経験をもっています。
また、実際にどれくらいの人が、どんな化粧をしているのか、
観察するために地下鉄やバスに乗ったり、
上海郊外の住宅街にあるドラックストアを観て歩いたりしました。
更には、実際の中国人の生活を知らないと、どんな商品が良いのか
わからないと思い、そのエリアには日本人がたった一人しかいない、
家賃2,500元（約５万円）のアパートに住むようになります。
そのうちに、そこに住む中国人の方々とトランプしたり、
麻雀したり、食事をご馳走になったりしたそうです。
私には、想像がつかないです。
多くの日本人駐在員は、日本人が多くいるエリアに、
単身マンションで家賃10,000元（20万円）前後のところに住んでいます。
マーケットを理解するために、ここまでの活動をしている日本人赴任者を
聞いたことがありません。
その後、ＳＷＯＴ分析をして、ひとつの結論に行きつきます。
中国ローカル企業との取引拡大以外に、この会社が業績を
回復することはない、ということです。
着任当初、総取引社数１１社、内日系７社でした。
そこから、ローカル企業を開拓するという方針を掲げ、
中国の化粧品会社トップ１００社に的を絞り営業活動をスタートします。
自らが先頭に立って、片言の中国語で顧客開拓を進めました。
その結果、昨年２０１４年度は、取引社数１００社以上、
内日系企業は１０社のみ。
取引社数をみるだけでも、業績が急拡大していることが想像できます。
田村さんのお話をお聞きしていて、「Ｕ理論」のことを
思い出しました。
Ｕ理論については、以下のＵＲＬをご覧ください。
http://shuchi.php.co.jp/article/1809
Ｕ理論に精通している、中土井氏は、以下のように定義しています。
Ｕ理論とは、一言でいえば「過去の延長線上にない変容や
イノベーションを個人、ペア、チーム、組織やコミュニティ、
そして社会で起こすための原理と実践手法を明示した理論」です。
具体的には、Ｕ理論では、イノベーションを生み出すには
３つのプロセスがある。
1 センシング：ただ、ひたすら観察する
2 プレゼンシング：１歩下がって、内省する。
内なる「知」が現れるに任せる
3 クリエイティング：素早く、即興的に行動に移す
まさに、田村さんがされたアクションの順番だと感じました。
自分に置き換えてみると、１のセンシング、観察が足りないと
実感させられました。
皆さんが、これまでの経験・ノウハウででは解決することが難しく、
イノベーションが必要な課題・目標をお持ちでしたら、一度、
Ｕ理論のプロセスに則って、検討してみては如何ですか？
