「中国の経済~現地の肌感覚:バブルははじけない」【知見メール227号】

中国の経済~現地の肌感覚:バブルははじけない

 

 

皆様、ジェイックの知見寺(ちけんじ)でございます。

 

 

 

先週、中国は9月3日(木)から祝日で、3連休でした。

その代り、9月6日の日曜日が休日ではなくなるという、

変則的な感じです。

(中国では、大型連休の際に、日曜日が出勤日になることは、

よくあります。)

 

その休みの期間中に、前々から行こうと思っていた「ニトリ」に

足を運びました。

 

上海で日本人赴任者が多く住む、中山公園の駅から

すぐ近くの便利な場所にお店はありました。

 

日本であまりニトリに行ったことがないので、品揃えやレイアウト、

陳列などを日本と比較することはできませんが、

通路スペースは広く取られ、買い物がしやすい印象です。

 

一番良かったのは、値ごろ感です。

 

今は、元に対しても大幅な円安です。日本円に直すときには、

20倍します。

赤い100元札が1枚で、2,000円の感覚ですね。

 

私が初めて2012年に上海に来た時には12倍で、

赴任した2014年は16倍でした。

2012年と比べると、円換算で50%以上高くなった

ことになります。

 

ですから、大抵の日本の商品(日本製とは限らず)は高く感じます。

 

ところが、ニトリでは、

 

「安いじゃん!」

 

と思うことが多々ありました。

 

使い勝手のよさそうな小ぶりのグラスが4脚で、500円しませんでした。

思わず、衝動買い。

 

これであれば、中国でもヒットするだろうと感じました。

 

が、休日にも関わらず、お客さんはまばら。

日本人と思われるお客さんが3,4組、中国人がぱらぱらという具合で、

少なかったですね。

 

ただ、レジに行くと大量買いしている、中国人がいました。

同じサイズのどんぶりを5色それぞれ10個くらい、パイプいすを

30脚くらい、など他にも食器類をたくさん買っていました。

買っているものから、飲食店を始めるのではと想像します。

商売を始める人は、初期投資をできるだけ抑えようとするはずですので、

その人たちが買いに来るのであれば、コストパフォーマンスが良いと

感じているのではと推察します。

 

連休明け、中国人社員に中山公園にニトリがあることを話すと、

みんな知りませんでしたので、中国人に向けてのプロモーションは

これからなのかもしれません。

 

ニトリさんが、中国で成功されることを期待しています。

 

 

さて、今回は、中国の経済についてです。

 

人民元の切り下げを発端とした、上海発の世界株価下落がおき、

その後、メールでやり取りした何人かの方から、

 

「中国の経済はどうなの?大丈夫?」

 

という質問をいただきました。

 

確かに、日本の新聞やテレビなどは、

 

「中国バブル崩壊!」

 

のようなコピーで、危機感を前面に出している印象です。

 

マクロのデータなどは、マスコミで報道されていると思いますので、

私は、直接やり取りをしている方からの、現地の肌感覚の情報を

ご提供します。

 

化粧品のOEM製造を行い、顧客の90%は中国ローカル企業である

S社のU総経理に聞いたお話です。

U総経理は、中国の2級、3級都市を飛び回り、

中国人老板(社長)とも多数パイプをもつ方です。

 

「化粧品のような一般消費財では、株価が落ちてからも

購買動向は落ちていない。」

 

「トレンドとしては、高級品は好調。

中、低級品の中途半端なゾーンは落ちている。」

 

「OEMで供給しているので、業績を伸ばしている会社と

落ちている会社が2極化していることが、はっきりとわかる。」

 

 

また、中国全土に物流網をもつ運送会社のH総経理に伺うと、

 

「当社では、中国からの輸出も輸入も、

中国国内の物流もまったく影響はない。」

 

「天津の事故の関係で、化学系の品が動かなくなっている。」

 

 

日本への格安航空券を扱っているNさんからは、

 

「うちは、中国人は個人からの予約がメインなので、

6月の株価下落以降、キャンセルが多くなり大変です。

ただ、上海⇔東京間の搭乗率は悪くないようです。」

 

 

日系広告代理店で責任者を務めるSさんは、

 

「日系企業の広告予算が落ちているので、正直厳しいです。」

 

 

あるメガバンクに勤務するTさんは、

 

「今の共産党が方針にしている『新常態』とは、

急成長から安定成長に切り替えること。」

 

「量から質への転換がおきている。」

 

「競争は激化している。特に日系は、差別化ポイントを

明確に持たないと、生き残れない。」

 

「多くの産品で過剰生産設備を持っている。」

 

「一方、中国では人件費の高騰と労働者の確保が厳しく

なっているので、アセアンに進出するか、

自動化を進める選択をする中国人経営者が増えている。

事実、ロボットの生産台数は落ちていない。」

 

「年内は厳しいかもしれないが、全人代のある3月に向けて

年明けから回復すると思う。」

 

 

私なりに、考えをまとめると、

 

・年内は、厳しい状況が続くかもしれないが、

バブルがはじけるような事態にはならない

・ただし、何があるかわからないので、注視はする

 

となります。

 

2016年以降は、見通せるだけの見識がありません。

 

 

以上、中国を捉える際のご参考になれば幸いです。

 

 

 

 

著者情報

知見寺 直樹

株式会社ジェイック 執行役員|上海杰意可邁伊茲企業管理咨詢有限公司 副董事長

知見寺 直樹

東北大学を卒業後、大手コンサルティング会社へ入社。その後、株式会社エフアンドエム副本部長、チャレンジャー・グレイ・クリスマス常務取締役等を経て、2009年ジェイック常務取締役に就任。総経理として上海法人(上海杰意可邁伊茲企業管理咨詢有限公司 )の立ち上げ等を経て、現在はHumanResourceおよび事業開発を担当する。

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