「『上下関係』『定期的なMTG』『目標や予算』を必要としない組織」【知見メール267号】

「『上下関係』『定期的なMTG』『目標や予算』を必要としない組織」

 

皆様、ジェイックの知見寺(ちけんじ)でございます。

 

 

 

先日の日曜日、8月5日の夜、村上春樹さんが、初めてラジオで

パーソナリティーをされました。

その番組を聞いていて、強く印象に残ったことがあります。

 

以下、村上さんが話されていたことをそのまま記述します。

 

「下半身が安定しないと文章って書けないんですよ。

誰も信じてくれないけど。下半身がしっかりすると

上半身がやわらかくなる。

そうすると文章がうまく書けるようになるんですよね。

フィジカルな能力ってすごく大事なんです。

みんな椅子に座って字を書くのは体力いらないだろうと

思っているけど、体力がないと2時間も3時間も

机に向かって集中して文章を書くことなんて

できないんですよね。

だから、もう35年間、毎年1回はフルマラソンを

走っていますね。」

 

フィジカルな能力が、すごく大事というのは、私も実感しています。

マラソンやトライアスロンに取り組まれている経営者の割合は、

会社員が取り組んでいる割合より、多いですよね。

 

一度、ご自身のフィジカルの状況確認と、それをどう高めるのか

検討しては如何でしょうか?

 

 

さて、今回は、よく売れているビジネス書

「ティール組織」についてご紹介させていただきます。

 

一昨日の日経新聞3面にも、広告がでていました。

その広告のキャッチコピーは、

 

「上下関係も、売上目標も、予算もない!?」

 

「製造業、エネルギー、医療、教育……

業界を超え、国境を越え、新しいモデルで

成果をあげる組織が世界中に存在する。

日本でも大反響を呼んでいる新時代の組織論!」

 

です。

 

 

589ページある分厚い本ですので、購入することを

躊躇われている方もいらっしゃるかもしれません。

 

内容を一言で言うと、

「人の意識の変化に対応した、次世代の新しい組織モデルの紹介」

です。

 

その新しい組織モデルが、「ティール組織」です。

 

本書は、3部で構成されていて

第1部は、人の意識の進化とそれに応じた組織の進化を7段階に

分類して説明しています。

第2部は、次世代の組織モデルである「ティール組織」を

部分的にでも実践していると思われる組織とその分析結果の紹介。

第3部は、「ティール組織」の必要条件や作り方について

述べています。

 

特に、「達成型組織」と「ティール組織」を対比しています。

今、ビジネスでもっとも導入されている「達成型組織」について

多くのことを否定しています。

 

「ティール組織」では、

・組織内における階層的な上下関係や細かなルール

・定期的なミーティング

・売上目標や予算の設定

など、多くの「達成型組織」では、当たり前のことを廃棄して

意思決定に関する権限や責任を経営者や管理者から

従業員に委譲します。

このことにより、組織や人材に革新的変化をもたらし

結果的に高い業績を実現します。

 

端的に言うと、組織を組まず、上下を作らず、役割分担を決めず、

目標を決めず組織が運営されます。

 

きっと、

「本当に!そんなことできるの?」

と思われたのではないでしょうか?

 

 

「ティール組織」となるための、切り口として

3つの要素をあげています。

 

1)       存在目的

ティール組織では組織の目的を、

進化する目的(Evolutionary purpose)としています。

組織自身が、生命と方向性を持っているとみています。

そのため、従来の組織のように存在目的や

将来ビジョンを固定化しません。

組織が将来どうなりたいのか、どのような目的を達成したいのか、

個々のメンバーの声を拾い上げることを重視します。

 

一言で言うと、

「常に全メンバーが、組織の目的を問いかけ続ける」

 

 

2)       自主経営(セルフマネジメント)

自主経営とは、意思決定に関する権限と責任を

全メンバーに対して与えることをさします。

従って、ティール組織には固定化された役職や部署、

規律などの代わりに、その時の状況に合わせて流動的に

生まれる担当や階層、チーム、ルールが数多く存在します。

個々のメンバーが他者の指示を仰ぐことなく

自ら目標設定や動機付けを行うことによって力を生み出します。

 

一言で言うと、

「やった方が良いと思ったことは、その人がやる・やって良い」

 

 

3)       全体性(ホールネス)

全体性とは、個人としての全体性の発揮と記述されています。

メンバー全員の能力が存分に発揮されていることや

個人的な不安やメンバーとの関係性について組織が寄り添うことが

重要とされます。

全てのメンバーが自分の個性や長所を全面に出して

活動できる場を作ることにより、集合知が生み出す力を

最大化できるという考え方です。

 

一言で言うと、

「会社での自分と会社以外の自分を分けず、

仕事でも全人格で取り組む」

 

 

「ティール組織」を本当に実現できるのかと疑問に

思われる方もいらっしゃると思います。

本書では、複数の組織の事例を紹介していますが

完璧に実践できている組織はあまりないのかもしれません。

 

ただ、前提となる人の意識が変化していることを

肯定するのであればほとんどの組織は、

遅かれ早かれ「ティール組織」的になると思われます。

 

これからも組織の中で働くのであれば、

是非、ご一読ください。

 

「ティール組織」

フレデリック・ラルー著 英治出版 2500円+税

 

 

著者情報

知見寺 直樹

株式会社ジェイック 執行役員|上海杰意可邁伊茲企業管理咨詢有限公司 副董事長

知見寺 直樹

東北大学を卒業後、大手コンサルティング会社へ入社。その後、株式会社エフアンドエム副本部長、チャレンジャー・グレイ・クリスマス常務取締役等を経て、2009年ジェイック常務取締役に就任。総経理として上海法人(上海杰意可邁伊茲企業管理咨詢有限公司 )の立ち上げ等を経て、現在はHumanResourceおよび事業開発を担当する。

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