時間管理のマトリックスとは?緊急度×重要度の整理で生産性UPを実現する方法を解説

時間管理のマトリックスとは?緊急度×重要度の整理で生産性UPを実現する方法を解説

緊急度(緊急性)と重要度(重要性)のかけ合わせで優先順位を整理して、生産性を向上する手法が時間管理のマトリックスです。これは全世界で4000万部、日本国内でも240万部を売り上げ、ベストセラーとして有名になったビジネス書『7つの習慣』に出てくる概念です。

 

緊急性・重要性の軸の意味、マトリックス内の優先順位や「緊急ではないが重要なこと」の事例など、時間管理のマトリックスを使いこなすためのポイントを分かりやすく解説しました。

 

ちなみに、7つの習慣の内容や効果については以下の記事で要約していますので、まだ読んでいないという方は参考にしていただければと思います。

<目次>

時間管理のマトリックス(4象限)とは?

時間管理のマトリックスは、物事の優先順位を判断するためのフレームワークです。ビジネスシーンにおいては、決められた時間の中でどれだけ効率的に業務を行なえるかが大切であり、そのためにはタスクに適切な優先順位をつけることが重要です。

 

タスクを4つに分類して優先順位をつける

時間管理マトリックスは、書籍『7つの習慣』で紹介された時間管理の考え方です。時間管理をするためには、優先度の高い物事から順番に対応していく必要があります。

 

しかし、人は緊急なことや自分が得意なこと、目についたことを優先してしまう傾向があり、結果的にプロジェクト全体の進みが遅くなったり、納期に間に合わなくなったりするケースも少なくありません。そこで、物事の優先順位を適切に判断する方法として利用できるのが、時間管理マトリックスです。

時間管理のマトリックス

時間管理マトリックスでは、「重要性(物事の効果性や本質に関わるどうか)」と「緊急性(早急な対応が必要か)」の2軸を使って、タスクを以下4つの領域に分類します。

  • 緊急で重要なもの
  • 緊急ではないが重要なもの
  • 緊急だが重要ではないもの
  • 緊急でも重要でもないもの

時間管理のマトリックスを使うことでタスクに適切な優先順位を付けることができ、限られた時間の中で最大限の生産性を発揮することが可能です。

時間管理マトリックスが有効な理由

日頃、私たちはつい「緊急度」の軸で行動してしまいがちです。しかし、時間管理マトリックスを使用することで、自分が行なうべき仕事の優先順位を整理し、重要なことに時間を投資できるようになります。

 

ビジネスシーンでは、決められた時間内でどれだけ高いパフォーマンスを発揮できるかが求められます。高いパフォーマンスを出すには、時間管理のマトリックスを活用し、重要事項にしっかりと時間を割くことがポイントです。

 

また、時間管理マトリックスは自身のモチベーションやキャリアプランにも深く関連します。例えば、緊急度の高いタスクから対応していくようなワークスタイルでは常に時間に追われてしまい、人間関係の構築やスキルアップに時間を使うことが難しくなります。

 

飛び込みで入ってきた仕事やトラブルにも柔軟に対応できず、長時間労働や休日を返上しなければならない可能性も出てくるでしょう。時間管理マトリックスは仕事の生産性を上げるためだけではなく、将来的な価値を生み出すためにも必要だといえます。

時間管理のマトリックス(4象限)の詳細

本章では、時間管理のマトリックスと活用方法を詳しく紹介します。時間管理のマトリックスでは、すべてのタスクは緊急性・重要性の2軸で「必須」「効果性」「錯覚」「浪費・過剰」という4つの象限に分けられます。

<時間管理のマトリックスにおける4つの領域>
  • 第1領域:緊急かつ重要
  • 第2領域:緊急ではないが重要
  • 第3領域:緊急だが重要ではない
  • 第4領域:緊急でも重要でもない

 
時間のマトリックス

【第1領域】緊急かつ重要なこと

第1領域は別名「必須の領域」とも呼ばれ、クライアントからのクレーム、期日が迫っている仕事など、避けては通れない、必ず実行しないといけない活動が第1領域に当てはまります。第1領域は「必須」というだけに、当てはまるタスクは最優先に実施する必要があります。

<第1領域に入るタスクの例>
  • 締め切りのあるプロジェクト
  • 重要な会議への参加
  • 顧客向けの大切な提案書作成
  • トラブル対応

なお、第1領域は4象現の中で、たしかに最優先に取り組む必要があるタスクの領域です。しかし、第1領域の活動ばかりに追われてしまうと疲弊し、第4領域(最も優先順位が低い領域)へ逃げたくなってしまいます。
第1領域の活動を減らすためにも第2領域の活動が重要になります。

【第2領域】緊急ではないが重要なこと

第2領域は別名「効果性の領域」とも呼ばれ、人材育成、新規事業の計画、物事の準備など、緊急ではないが重要なタスクが入ります。

<第2領域に入るタスクの例>
  • 仕事の準備
  • トラブルの予防
  • 事業計画の作成
  • 人間関係づくり
  • 自分磨き・スキルアップ
  • 健康の維持など

第2領域は緊急性が低いので後回しにしてしまいがちですが、長い時間軸で考えた際、本当に時間を費やすべきなのは第2領域です。

 

第2領域を実施することで、自分自身を高いパフォーマンスを発揮できる状態に維持する、仕事しやすい環境をつくる、第1領域の仕事が減るといった効果があります。したがって、非常に重要度は高く、優先順位を高めて必ずスケジューリングするべき活動が第2領域に当てはまります。

 

【第3領域】重要ではないが緊急なこと

第3の領域は別名「錯覚の領域」とも呼ばれ、重要ではない電話やメール、多くの会議などが第3領域に当てはまります。

<第3領域に入るタスクの例>
  • 不必要な報告や業務の中断
  • 意味のない電話やメールの対応
  • 無駄な会議
  • 報告書の作成
  • 他人の些細な事柄など

私たちは日頃物事の優先順位を緊急性で判断してしまいがちであり、緊急性が高い第3領域のタスクを「重要」だと錯覚してしまう傾向があります。しかし、第3領域に時間を使っていても、生産性は上がりません。
第3領域のタスクを断る、発生しないように予防することが大切
です。

【第4領域】緊急でも重要でもないこと

第4領域は別名「浪費・過剰の領域」とも呼ばれ、暇つぶしや世間話、時間の浪費、無意味で時間の無駄遣いといえるような活動です。4象現の中で最も優先度が低い領域です。

<第4領域に入るタスクの例>
  • 暇つぶし
  • 時間の無駄遣い
  • 長時間の休憩・息抜き
  • 世間話
  • 長電話
  • 現実逃避
  • その他無意味な活動全般

なお前述のとおり、私たちは第1領域や第3領域に追われると肉体的・精神的に疲弊して、第4領域に逃げ込んでしまいがちです。「ひどく忙しかった週の週末、何もせずに一日を無駄にしてしまった」といったイメージです。

 

自分が第4領域に時間を使っている場合、緊急性の軸で優先順位を判断していないか、第1領域や第3領域に追われていないかチェックしましょう。

第2領域の活動に注力して生産性を高めよう

時間管理マトリックスにおける4つの領域で、最も重要なのは第2領域です。第2領域に入る具体的な活動は、以下のようなものです。

  • 仕事で継続的・長期的に成果をあげるための活動
  • 仕事の準備
  • 新規事業
  • 商品開発
  • 振り返り
  • 顧客構造づくり
  • 人材育成
  • 業務改善
  • 自分のミッションやビジョンを実現するための活動
  • 大切にしたい相手との交流
  • 人間関係の構築
  • 自らのコンディションを整えるための運動やメンテナンス
  • 自己成長に向けたインプットや学び

第2領域に入るタスクは望む結果を得るために重要な活動(最優先事項)であり、自分の人生で大切にしたいことばかりです。

 

しかし同時に、ほとんどが「今日やらなくても困らない(納期がない)」タスクでもあります。私たちは「納期があるタスク」を優先してしまう傾向があるため、納期がない第2領域の活動をつい後回しにしてしまいがちです。

また、第2領域の活動はすぐに効果を得られるものではないことも多いです。
第2領域の活動は根本的な問題解決や環境整備であることが多く、第1領域のタスクを減らす効果がありますが、「緊急ではないため後回しにされがちで、結局行なわれない」というケースがよくあります。

 

「緊急度>重要度」で物事を判断する癖がついてしまうと、緊急で降りかかってくるタスクに常に振り回されてしまい、いつまでたっても本当に重要なタスクに取り組むことができません。ビジネスにおいては、自分の時間を「重要」の領域(第1・第2領域)で使うことが大切です。

 

自分の時間を重要性の領域で使うための具体的な方法としては、以下を徹底することが効果的です。

<第2領域の活動に注力する方法>
  • 第3、4領域を減らすために、相手もしくは自分に対してきっぱりと「NO」を言う
  • 重要事項から先にスケジューリングをする
  • 他人に任せたほうが効果的なものは、勇気を持って任せる、権限委譲する

 
時間のマトリックス2

 

第3、4領域の活動を必要最低限まで減らしたら、第1領域の活動も減らしていくようにしましょう。第1、3、4領域の活動を減らすことで、第2領域の活動に最大限の時間を費やせるようになります。

「時間管理のマトリックス」でよくある質問

Q.「時間管理のマトリックスは誰が提唱したの?」

名著『7つの習慣』の著者である、スティーブン・コヴィー氏が提唱しました。

 

Q.「時間管理のマトリックスの優先順位は?」

状況によって優先度は変化しますが、最重要項目は「第2領域」です。

 

「第1領域」でスケジュールが埋まってしまうことがよくあるケースなので、「第2領域」に集中できる時間を作ることがポイントです。

 

Q.「緊急・重要のマトリックスの順番は?」

  • 「第1象限」:緊急・重要な必須の仕事
  • 「第2象限」:緊急でない・重要な効果性のある仕事
  • 「第3象限」:緊急・重要でなく、「第1領域」だと錯覚してしまう仕事
  • 「第4象限」:緊急でない・重要でない無駄な仕事

まとめ

時間管理マトリックスは、物事の優先順位を正しく判断するためのフレームワークです。「緊急性が高い・低い」と「重要度が高い・低い」という2軸を基準に、タスクを4つの領域に分類することで、優先すべきタスクを明確にすることが可能です。

 

時間管理マトリックスには第1~4までの領域があり、最も大切なのは第2領域です。第2領域には「重要だが緊急ではない」活動が当てはまり、将来に向けた計画や投資、仕事の準備や振り返り、自己投資、人間関係づくり、心身のメンテナンスなどが該当します。

 

私たちは「納期があるタスク」を優先してしまう傾向があるため、納期がない第2領域の活動をつい後回しにしてしまいがちです。しかし、ビジネスで成果をあげる、望む人生を作るためには、自分の時間を「重要」の領域で使うことが大切です。

 

株式会社ジェイックでは、7つの習慣を習得する研修を実施しています。フランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社と正式契約しており、認定資格を取得した講師が研修を行います。ご興味のある方はぜひ以下のページよりお問い合わせください。

著者情報

宮本 靖之

株式会社ジェイック シニアマネージャー

宮本 靖之

大手生命保険会社にて、営業スタッフの採用・教育担当、営業拠点長職に従事。ジェイック入社後、研修講師として、新入社員から管理職層に至るまで幅広い階層の研修に登壇している。また、大学での就活生の就職対策講座も担当。

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