『7つの習慣』第1の習慣「主体的である」とは?内容と実践のポイントを分かりやすく解説!

『7つの習慣』第1の習慣「主体的である」とは?内容と実践のポイントを分かりやすく解説!

『7つの習慣』は、スティーブン・R・コヴィー博士によって書かれた書籍です。1989年に初版が発行され、現在では全世界4000万部、日本国内でも240万部の売上げを誇る大ベストセラーです。

 

多くのビジネス雑誌で「非常に影響力がある」「役に立つ」「経営者が薦める」ビジネス書として度々取り上げられ、読んだことはなくても、「名前は聞いたことがある」という人もたくさんいることでしょう。

 

7つの習慣の内容や効果については以下の記事で要約しています。

 

 

『7つの習慣』の中で最初に登場する習慣が、第1の習慣「主体的である」*1です。記事では、主体的であるの意味、主体的である人と主体的でない人の違い、主体性を発揮するうえで大事になるポイントをお伝えします。

 

*1

書籍『7つの習慣』は、『7つの習慣 成功には原則があった! 』と『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』という2つのバージョンが存在します。前者が1996年に翻訳されて出版されたもの、後者が2013年により原著の内容に忠実な完訳版として出版されたものです。

 

旧訳と新訳で各習慣のタイトルも異なる部分があり、第一の習慣は旧訳では「主体性を発揮する」、新訳では「主体的である」と翻訳されています。もちろん本質的な内容は同じですので、記事内では新訳の表記に従って「主体的である」の表現で記載しています。ご了承ください。

<目次>

第1の習慣「主体的である」

まずは第1の習慣「主体的である」の内容を解説します。主体的であるとはどういうことか。そして、主体的であるを理解するポイントになる「刺激と反応」、また、私たちが主体性を発揮できる源となる4つの力を紹介します。

 

第1の習慣「主体的である」とはどういうことなのか?

一般に「主体的」というと、「自発的に率先して行動する」という意味で使われるケースが多いかもしれません。しかし『7つの習慣』では、上記とは少し違った意味で使われています。

 

著者であるコヴィー博士は、主体的であるということを「人間として自分の人生に対して自ら選択し、自ら責任をとるということ」と定義しています。ポイントになるのは「選択」です。主体性とは、自ら選択して、結果に対して自ら責任を取ることを指すのです。

 

 

主体性を理解するためのキーワード「刺激と反応」

第1の習慣「主体的である」をより深く理解するうえでは、「刺激」と「反応」という単語がキーワードになります。

 

まず「刺激」とは、自分の身に起こるさまざまな出来事です。

 

<刺激の一例>

・朝出かけようとしたら雨が降っていた

・お隣さんに「おはようございます」と挨拶された

・満員電車で足を踏まれた

・上司に挨拶したら無視された

・顧客から「君の所に発注するよ」と連絡をもらった

・製造部に連絡したら「納期が厳しい……」とイヤな顔をされた

 

など、良いことも悪いことも含めて私たちの日常は「刺激」の連続です。

 

そして、「反応」とは、刺激に対する私たちの思考や行動です。前述した刺激に対して、私たちはさまざまな反応を返しています。「笑顔で挨拶を返す」ことも「無視する」ことも、「なぜ挨拶を返してくれないんですか!?と上司に食って掛かる」ことも「挨拶ひとつできないんだよね……」と陰口を叩くこともすべてが反応です。

 

さまざまな刺激のなかには、自分にとってネガティブに思われる刺激もあります。それらの刺激に対して感情的に反応してしまうことが「反応的」であるといいます。

 

具体例を挙げてみましょう。満員電車の中で隣の人に足を踏まれてしまった状況を想像してみてください。足を踏まれてしまうのは、不快だと感じる方が大半でしょうし、相手がハイヒールなどであったら、かなりの痛みも生じるかもしれません。生じた痛みにイラっとした感情のままに相手を睨みつける、カバンで相手をぐっと押すといった行動が「反応的」な行動です。

 

反応的な行動のポイントは何をするかではなく、「刺激から生じた感情に流されて行動する」ということです。つまり、選択していないのです。

 

一方で、主体的な行動とは「選択する」ことです。例えば、満員電車で足を踏まれて痛かった、イラっとしたあと、「まあ相手もよろけたのだろうな」「自分も人の足を踏んだことはあるからお互いさまかな」と考えてやり過ごすといった反応を「選択する」ことが主体的な行動です。

 

コヴィー博士は『7つの習慣』において、「刺激と反応の間にはスペースがあり、選択の自由がある」といいます。日々の刺激と刺激にともなう生理的な反応は一種避けられないものです。しかし、「刺激に対してどう反応するか?」は自分の問題であり、自分がコントロールすることができるのです。

人間が生まれつき持っている4つの力で主体性を発揮する

コヴィー博士は、刺激に対する反応を選択できることの源には、人間がもともと持っている4つの能力が関係していると述べています。本能で行動する動物と異なり、人は生まれつき、自覚・想像力・良心・自由意志という4つの力を備えています。

 

4つの能力の詳細を、先ほどの満員電車で足を踏まれた事例とともに紹介しましょう。

 

・自覚:自分自身を客観的に見つめる力

Ex)足を踏まれて痛みとともに「イラッとした」感情が自分に生じていることを把握する

 

・想像力:現在の状況の先を考える力

Ex)足を踏んだ人に怒ったり足を踏み返したりしたらどうなるかを想像する

 

・良心:善悪を区別する力

Ex)足を踏まれた程度で声を荒げたり、踏み返したりすることが良いことなのか?を自問する

 

・自由意志:刺激や外的な影響に左右されず、自立して行動する力

Ex)自覚・想像・良心を踏まえて、自分が望む結果のためにどういう反応がふさわしいのかを選択する

 

 

自覚、想像力、良心、自由意志という誰もが生まれつき持っている4つの力に自覚的となることが、主体的に生きるためのポイントです。

主体性を発揮して、人生で最良の選択をするための3つのポイント

前章では、主体的であるの内容、そして、刺激に対して反応を選択することが主体性を発揮するポイントであることを説明しました。本章では、主体性を発揮するうえで大切な3つのポイントを紹介します。

 

ポイント① 刺激と反応の間で一時停止する

「主体的である」を実践するポイントの1つ目は「刺激と反応の間で一時停止する」ことです。自分の身に降りかかってくる刺激、特にトラブルや自分にとって不快な刺激に直面したとき、即座に反応するのではなく「一時停止」しましょう。自分の眉間に付いている「一時停止」ボタンを押すイメージです。

 

一時停止している間に、自覚・想像力・良心・自由意志という4つの力を使い、そして、望む結果のために自分がどう行動すれば良いかを考えることで、自ずと主体性を発揮できるようになります。

 

ポイント② 影響の輪に集中する

コヴィー博士は主体性を発揮する一つのポイントとして、「関心の輪」と「影響の輪」という概念を紹介しています。

影響の輪と関心の輪

 

私たちは、人間関係、収入、周囲からの評価、仕事の成果、娯楽、生活環境、恋愛、将来の夢などさまざまな事柄に関心を持って生活しています。私たちの関心事のうち、明日の天気、上司の機嫌、顧客の意思決定、好きなスポーツチームの勝敗、景気の動向など、自分の影響がおよばない事柄は「関心の輪」です。

 

一方で、「影響の輪」とは、関心の輪に入る事柄のうち、自分自身が影響できる事柄を指します。例えば、「折り畳み傘を持っていく」「待ち合わせ場所を屋内に変える」「上司に自分の強みと改善点を質問する」「顧客に懸念点を確認して情報提供する」といったことが影響の輪です。

 

上記の例で察した人もいると思いますが、究極的には影響の輪とは「自分の行動」です。したがって、影響の輪に集中することを意識すると、自ずと主体性の発揮、すなわち自分の反応を選択することにつながるのです。

 

 

ポイント③ 主体的な言葉遣いをする

私たちが使う言葉は、周囲にも影響を与えますが、私たち自身の思考にも影響を与えます。主体的な人と反応的な人では、使う言葉にも違いがあります。主体的な人が使う言葉を意識的に使っていくことで、自分の思考や姿勢を主体的にすることができます。

 

主体的な人と反応的な人が使う言葉の違いを具体的に見ていきましょう。

 

反応的な人は、「妻がもっと我慢強ければいいのに」「あなたが○○してくれないから……」「景気が悪いからしょうがないよね」など、「相手」や「環境」を主語にした言葉遣いをしがちです。反応的な人が相手や環境を主語にするのは、責任を相手や状況に転嫁しようとする無意識の思考があるかもしれません。

 

逆に、主体的な人は「私は〇〇と考えます」「私が▲▲で対応します」のように、「私」を主語にした言葉遣いをします。主体的な人が「私」を主語にした言葉遣いをするのは、影響の輪に集中して自分自身の選択に焦点を当てて物事を考えるからです。

 

前述したように、言葉を変えることで意識を変えることができます。「今の状況で、私にできることは何だろうか?」と自分に焦点を当てて物事を考える習慣が身に付くと、今まで影響の輪の外にあると思えていた事柄のなかにも、自分が影響できることが少しずつ見えてくるかもしれません。

まとめ

記事では、書籍『7つの習慣』における第1の習慣「主体的である」(旧訳では「主体性を発揮する」)を解説しました。『7つの習慣』における主体的であるとは、「刺激に対する反応を自分で選択して、結果の責任を自ら引き受けること」を指します。

 

ポイントになるのは「選択」です。人は刺激に対して、自覚・想像力・良心・自由意志という4つの力を使って、日々起こるさまざまな刺激に対する反応(自らの行動)を選択できます。

 

主体性を発揮する3つのポイント、
  • 刺激と反応の間で一時停止する
  • 影響の輪に集中する
  • 主体的な言葉遣いをする

を生かして、自分の人生を主体的に生きていくうえで、本記事が参考になれば幸いです。

株式会社ジェイックでは、7つの習慣を習得する研修を実施しています。フランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社と正式契約しており、認定資格を取得した講師が研修を行います。ご興味のある方はぜひ以下のページよりお問い合わせください。

著者情報

宮本 靖之

株式会社ジェイック シニアマネージャー

宮本 靖之

大手生命保険会社にて、営業スタッフの採用・教育担当、営業拠点長職に従事。ジェイック入社後、研修講師として、新入社員から管理職層に至るまで幅広い階層の研修に登壇している。また、大学での就活生の就職対策講座も担当。

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