キャリア研修とは?目的やキャリア自律への効果、事例を紹介

更新:2024/11/20

作成:2023/08/04

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック執行役員

キャリア研修・キャリア自律研修

近年、キャリア研修を導入して社員のキャリア構築・キャリア自律を支援する企業が増加しつつあります。

 

ただ、同時に「よくあるライフプラン研修を導入してみたが効果が上がらない…」と悩んでいる企業も少なくありません。

 

本記事では、キャリア研修やキャリア自律の意味や目的、実施企業が増えている背景を解説するとともに、キャリア研修の種類、実施する流れ、導入事例などを幅広く紹介します。事例では実際の企業をいくつかピックアップして紹介します。

<目次>

キャリア研修の概要とキャリア自律

最初に、キャリア研修やキャリア自律の意味や概要を説明します。

 

キャリア研修とは?

「キャリア研修」は、自分自身の将来に向けた夢やビジョンを描き、また、それを実現するためのプロセスを考える研修です。

 

キャリア研修では、自分のキャリアを振り返り、自分が今までどんな仕事をしてきたか、また、どんな強みやスキルを持っているかを把握し、どんな仕事に興味ややりがいを感じるかなどを考えます。そのうえで、自分が理想とする将来の姿やビジョンを描き、それを実現するために必要な行動や学習、計画を考えていきます。

 

こうしたプロセスを通じて、受講者は自分の興味や価値観、強みや弱みへの理解を深め、希望するキャリアや働き方などの実現に取り組めるようになります。

 

キャリア研修には、例えば、以下のようなものがあります。

  • 新入社員や中堅社員向けのキャリアデザイン研修
  • 管理者向けのキャリアマネジメント研修
  • 女性活躍支援を目的としたキャリア研修
  • シニア社員向けのキャリア自律研修

 

キャリア自律とは?

キャリア研修と共に、よく登場する言葉が「キャリア自律」です。

 

キャリア自律とは、自らのキャリア構築に向けて、主体的かつ継続的に取り組む姿勢や行動を指します。キャリア研修のゴールは、社員のキャリア自律であるといえるでしょう。

 

キャリア自律に取り組むうえでは、仕事において実現したいことだけではなく、ライフプランやワークライフバランスなどの私生活のビジョン、ライフプランも考える必要があります。

 

キャリア自律の促進を通じて、社員ひとりひとりが、自ら考え、主体的に行動できるようになり、結果として仕事で高いパフォーマンスを発揮することにつながると考えられています。

 

 

キャリア研修の目的と効果

キャリア研修の目的と、効果を確認しておきましょう。

1.エンゲージメントの向上

キャリア研修によって、従業員の会社に対するエンゲージメントを高めることができます。エンゲージメントとは、「従業員が会社や自分の仕事に対して抱いている愛着度や貢献意欲の高さといった精神的なつながり」を示す指標です。

 

エンゲージメントが高い組織では、従業員は仕事にワクワク感や幸福感、働きがいを感じ、自発的に成果を出そうとします。逆にエンゲージメントが低ければ、従業員は無気力、不満を抱き、生産性や定着率は低下してしまうでしょう。

 

キャリア研修は、自分が今までどんな仕事をしてきたか、どんなスキルや強みを持っているか、どんな仕事に興味ややりがいを感じているかなどを振り返ったうえで、自分が理想とする将来の姿や目標を描き、実現するためのアクションプランを立てるというのが基本的な流れです。

 

こうしたプロセスを通じて、研修受講者は、自分の興味や価値観、強みや弱みへの理解を深め、自分らしいキャリアや働き方を見つけることができます。これによって「仕事への意味付け」がされ、仕事に対するモチベーションやエンゲージメントの向上につながります。

 

2.若手や優秀層の離職防止、主体性向上

キャリア研修は、離職を防止する効果も期待でできます。

雇用の流動化が進む中で、若手や優秀層の離職率が上昇しつつあることは、多くの企業が抱え始めた課題です。企業における若手や優秀層の離職要因は、絶対的な待遇への不満などよりも、自分のキャリアに対する不満や不安、将来への不透明感などが挙げられます。

 

若手や優秀層ほど、自分のキャリア構築に対する意識が高く、情報感度と行動力も高いため、不満を抱き、「今の会社では解消できない」と感じると転職することを選ぶ傾向にあるのです。

 

キャリア研修によって、こうした若手・優秀層の離職防止を期待できます。キャリア研修を通じて、従業員が自身のキャリアプランを自ら考え設計することで、将来に対する希望や目標を持てるようになります。

 

研修と関連して、会社内で実現可能なキャリアに対する情報提供を行い、また、いまの仕事への紐づけや1on1を実施していくことで、キャリアに対する不満や不安の解消につなげられます。

 

なお、若手従業員の場合、社会人経験がまだ浅く、一人でこなせる業務も限られるため、仕事に対する姿勢が若干受け身になりがちな側面があります。しかし、組織の階層がフラット化、また産業がサービス化するなかで、現在は自ら考えて判断し、積極的に行動する能力が若手にも求められます。

 

その意味で、キャリア研修は、若手従業員の主体性向上にも貢献する研修ともいえます。研修の中で、自分の強みや弱みを理解し、理想とする将来の姿や目標を描き、それを実現するために必要な行動計画を立てることになります。

 

このことを通じて、若手従業員は、自分のキャリアと目の前の業務が結びつき、自分の仕事に対する意義や価値を感じられるようになるでしょう。結果として、日々の業務に今まで以上に主体的に取り組む原動力が生まれます。

 

3.女性活躍

最近は、女性活躍を目的としたキャリア研修のご相談も増えています。

 

少子高齢化や労働人口減少を背景に、女性の活躍、とくに女性管理職や女性リーダーの登用を支援する必要性は知られている通りであり、働き方改革におけるダイバーシティ構想の大きな柱のひとつにもなっています。企業としても、女性の労働環境の大幅な改善や、今まで相対的に少なかった女性の正社員登用など、女性活躍推進の動きは、企業の成長を考えるうえで欠かせない要素になりつつあります。

 

しかし、企業が女性に管理職・リーダーとしてキャリアアップして欲しいと望む一方で、自分のキャリアが見えづらくなったり、仕事と家庭の両立に悩んだりする女性は少なくありません。管理職やリーダーになることに対して抵抗感を感じる人の割合も、男性に比べると多い傾向にあります。

 

このような状況の中で、女性に自分のキャリアについて考えるもらう機会として、キャリア研修は重要な施策です。キャリア研修を受けることで、女性社員が自分の強みや魅力に気づき、仕事に対する意欲や主体性を一層高めることが出来ます。

 

4.主体的な学びの促進

理想とするキャリアに向けて、自ら主体的に学んでいける人材を育成することも、キャリア研修の目的のひとつです。

 

DXにも代表されるように技術革新によってあらゆる業務領域が大きな影響を受けるなか、主体的に学んでいける能力はますます重要度を増しています。主体的に学べる人は、自分の目標や意思に基づいて行動し、自ら問題を発見し解決し、新しい価値や知識の創造に力を発揮します。

 

それだけでなく、他者を巻き込み、社会とも関わり合って、共感や協働を通じて共に成長することもできるでしょう。

 

キャリア研修は、主体的に学び、行動するためのきっかけを与えることができます。

キャリア研修とキャリア自律の重要性

日本でキャリア研修やキャリア自律研修に取り組む企業が増えている背景を確認しておきましょう。

 

終身雇用制度の崩壊

終身雇用制度の崩壊は、キャリア研修が注目されることになった大きな要因です。

 

かつての日本は、終身雇用制度が一般的でした。しかし、バブル崩壊やグローバル化の進展を機に、日本企業では、また、人員削減や非正規雇用の増加、企業自体の民事再生やM&Aも珍しくなくなりました。

 

結果として、従業員は「企業にキャリア構築を委ねられる」、企業は「従業員に終身雇用を約束する代わりに、ある程度企業の意図に沿って人事配置等を動かせる」という時代は終わりました。個人は今までのように自分のキャリアを企業に任せることができなくなり、自ら主体的にキャリアを構築しなければならなくなったのです

 

企業側も、従業員に意識を切り替えてもらう必要があり、従業員のキャリア自律を支援する動きを取るようになりました。こうした終身雇用制度の崩壊に伴う、一連の動向が、キャリア研修が注目される背景の1つとして挙げられます。

 

成果主義・ジョブ型人事の導入と年功序列の崩壊

企業側が社員のキャリア自律を促進する背景のひとつとして、成果主義やジョブ型人事の導入と年功序列の崩壊もあります。

 

終身雇用と年個序列を前提とした数十年前に採用したミドルシニア層は、成果主義が広がる中で、受け身の姿勢では昇進・昇格できなくなっていますし、場合によっては降格や待遇が落ちる、居場所がなくなることもあり得ます。

 

その中で、改めてキャリア自律への意識改革を行い、キャリア自律してもらう必要が出てきているのです。

 

優秀層の引き留めとエンゲージメント

キャリア自律は優秀層の引き留めやエンゲージメントにも関わります。とくに最近はこの要素を背景としたキャリア研修の実施が増加しています。

 

先述の通り、終身雇用の崩壊によって日本の雇用は大きく流動化しました。つまり、「転職が当たり前」の時代です。そして、情報感度が高く行動力がある若手優秀層ほど、自らのキャリアを能動的に作ろうとする意識は高く、逆に、一社でずっと働く意識は薄くなっています。また、優秀層に限らず、いまの若手層は、終身雇用の概念が完全にありませんので、過去と比べると新卒入社した会社への帰属意識は低く、キャリアへの不安や不満を感じると、早期に会社を見切る傾向が強まっています。

 

こうした状況の中で、企業は自組織におけるキャリア構築の可能性を理解してもらう、また、仕事に対して意味付けしてもらうことで、若手層や優秀層の引き留めを図っています。

 

DX化やイノベーションへの対応

キャリア研修は、DXやイノベーションへの対応にも関連しています。

 

IT技術の発達やDX化、AI活用などの流れ、そして、日本の人口減少という大きなトレンドがある中で、既存事業を粛々と遂行するだけで日本企業が成長することは、もはや困難になりつつあります。従業員に求められることも、決められた業務をきちんと遂行することに加えて、コンサルティング的な仕事やイノベーションの創出となっています。

 

こうした知的労働、また定型化しにくい仕事でパフォーマンスするためには個人の意欲やモチベーションが非常に大切になってきます。

 

自分の仕事に意味付けしてもらう、そして、パフォーマンスUPしてもらうという視点もキャリア研修・キャリア自律を推進する企業が多くなっている一因です。

 

 

キャリア研修の対象と種類

キャリア研修は、年代や階層に応じた、それぞれ異なる課題や目標を想定して行われます。ここでは、主な対象別にキャリア研修の種類を紹介します。

 

新入社員向けキャリア研修

新入社員向けのキャリア研修は、主として自分の適性や志向性を知ることによって、仕事への意欲・モチベーションを向上させるために行われます。

 

自分がどんな仕事に向いているか、どんな仕事にやりがいや楽しさを感じるのかなどを探りながら、自分の価値観や役割を明確にしたうえで、キャリアビジョンに向けた能力開発計画を立てていきます。

 

20代・若手向けキャリア研修

入社数年が経過し仕事に慣れてきた若手社員は、マンネリ感や不満感が生じたり、社内外の同期、同年代と比較して自分のキャリアに不安を感じやすかったりする傾向があります。

 

前述の通り、今の若手世代は、終身雇用が完全に崩壊した中で大学時代を過ごし入社していますので、転職に対するためらいが非常に薄い傾向にあります。キャリアに関する不満等が社内で解消できないと感じると、「隣の青い芝」に憧れて転職する人も少なくありません。

 

若手向けキャリア研修では、エンゲージメント向上を主な目的として、自分の価値観や目指す方向性の再確認や、自分に合ったキャリアプラン作成などに取り組みます。

 

社内でのキャリア構築だけに誘導することは反発を生みますが、一方で社内でキャリア構築できる可能性が十分にあることに気づいてもらうことが大切です。また、若手は考える成長やキャリアが非常に短期で、「いま~数か月」で不満が解消されないと見切りをつける傾向もあります。従って、ある程度の時間軸を持ってキャリアを考えてもらうことも大切です。

 

30代向けキャリア研修

30代は、専門性が身に付いてくる一方で、家庭や子育てなどプライベート面でも変化が生じる時期です。

 

家庭や社会とのバランスを取ることが難しくなったり、ある程度同期との待遇等の差が付き始める中で受け身になってしまったりする人も少なくありません。

 

また、順調に進めば、30代は小組織のリーダーとして中心的役割を期待され始める時期でもあります。計画を立ててやり切る実行力や、自分の専門性や経験を他者と共有することも求められるでしょう。特定の専門性を磨くか、マネジメントしていきたいかなど、両方の可能性を残しつつも考え始めるタイミングです。

 

このようなキャリアの転換期とも言える30代のキャリア研修では、10数年働いて得た自身のキャリアを棚卸し、自分と組織の成長を結びつけながら、今後のキャリアデザインを明確にしていきます。

 

 

40代向けキャリア研修

40代はこれまでに培ってきたスキルや経験を生かし、組織の中核人材として活躍が期待される年代です。同時に、既婚・未婚、子供の有無、自身の健康状態、親の介護の有無など、プライベートのバックグラウンドも多様化する年代です。また社内の同世代を比較した時、役職・待遇等に大きな差がついていることも多く、今後のキャリア展望に関する捉え方も異なります。

 

従って、40代を活性化させることは組織の生産性向上・活力向上に重要となってきますが、前述の状況を踏まえて、業務に対するモチベーションに大きな差が生じていることも多いでしょう。

 

40代向けキャリア研修では、基本としては自分自身の強み・持ち味を再確認してもらう。そして、今後のキャリアの変化・方向性を考えるために幅広い視野を持ってキャリア形成を考えられるようにすることが大切です。

 

キャリア研修も受講者にあった内容を用意し、実施することが効果を高めるポイントになります。自分自身の強み・持ち味を再確認し、組織に貢献できることは何か、今後の自分のあり方、キャリアの方向性が見つけられるようなプログラム内容とすることが大切です。

また、状況が個別化していますので、1対多での研修ですべて解決することは難しく、個別のキャリア面談等との組み合わせが重要になるでしょう。

 

50〜60代向けキャリア研修

50代向け、60代向けのキャリア研修も今後、ますます重要となってくるでしょう。特に50代という年齢層は、少子高齢化の影響で働き手が減少しつつあり、労働力不足に悩む企業にとって重要な戦力です。

また60代も豊富な経験・知識・スキルを持ち、まだまだ活躍しつつ、後進の育成において指導的な役割を果たすことも期待できるでしょう。

 

50代~60代が就職し育ってきた環境は、終身雇用や年功序列の環境であることが多いでしょう。しかし、経済や社会環境が大きな変化を遂げる中で、終身雇用や年功序列は完全に崩れました。加えて、現在のミドルシニア世代の多くは、定年後も働き続けることを選択するものと見込まれています。

 

こうした状況においては、かつてのように自身のキャリアは会社に任せるのではなく、自ら主体的に切り拓いていくことが求められます。

 

50代~60代向けのキャリア研修では、自分の経験や能力、強みを再評価し、自分のキャリアを自律的に構築するマインドの醸成が主な目的になります。

 

自発的に成長意欲を持って知識や知見をアップデートし、時代の変化に柔軟に対応しながら、的確に目標を立てて計画を実現し組織をよい方向に導いていく・・・そんなシニア・ベテラン社員であれば、いくつになっても企業の成長にとって重要な人材であり続けるでしょう。

 

 

 

女性向けキャリア研修

女性向けのキャリア研修では、結婚・出産・育児などのライフステージ変化がある中で、どう自分のキャリアを構築していくかといったことが、主なテーマになります。

 

女性向けのキャリア研修では、自分の能力や可能性を最大限に発揮できる働き方を見つけることが大切です。また、育児からの復帰や管理職としてのキャリアに向けて、自信やモチベーションを高めてもらうことも重要な目的です。

 

こうした観点に沿って、女性向けのキャリア研修では、自分のライフプランやキャリアビジョンを明確にし、それに沿った行動計画やスキルアップの方法などを学んでいきます。

 

 

管理職向けキャリア研修

管理職は、部下・メンバーや上層部、クライアントと関わる業務が増え、裁量が大きくなる代わりに責任も重くなります。上級管理職への昇進には、より高度なスキルや知識も求められます。これに伴い、ストレスを感じるだけでなく、場合によっては管理職として長く働く中で、自分の仕事に対する情熱や目標が薄れてしまう人も少なくありません。

 

したがって、管理職向けのキャリア研修では、自分の仕事への価値観やモチベーターをしっかり見極めながら、新たな挑戦や変化への意欲を高めることが重要な目的の1つとなります。

 

管理職向けのキャリア研修では、マンネリ感の打破と上級管理職へのステップアップについて学びます。自分のキャリアゴールやロールモデルを設定し、それに向かって効果的に行動する方法を学ぶことができます。

 

なお、管理職層がキャリア自律していないと、若手層にとっても悪影響を及ぼします。若手にとって将来のロールモデルである管理職層がキャリア自律していない、憧れのキャリアになっていなければ、それは会社を見切る原因となります。その意味でも管理職層向けのキャリア研修は大切です。

 

リスキリング研修との組み合わせ

リスキリングとは、変化する社会や市場で求められる新しい技術や知識を身につけ、自分の価値や可能性を高めていくことを言います。

 

現在、AIの進展やDX化などの技術革新によって、仕事の内容や求められるスキルが劇的に変わりつつあります。こうした新しい仕事に対応するためには、今まで培ったスキルや知識に固執せず、好奇心を持って学び直しや挑戦をすることが不可欠です。

 

キャリア研修をリスキリング研修と組み合わせることで、なぜリスキリングが必要か、リスキリングすることでどんなキャリアが開けるかといったことをイメージしてもらったうえで、リスキリングに取り組んでもらえ、学ぶ意欲が醸成されやすいでしょう。

 

キャリア研修の効果を高めるポイント

効果的なキャリア研修を行うためには、以下のポイントを意識して実施することが大切です。

  • 社員主体でキャリアデザインを考えてもらう
  • 経営層の理解と協力を得る
  • アフターフォローと組み合わせる
  • 必要に応じ人事制度を見直す
  • Will-Can-Must型でライフプランを描くことにこだわらない
  • 外部サービスを活用する

以下で解説します。

 

社員主体でキャリアデザインを考えてもらう

 

キャリア研修を効果的にするためには、社員主体でキャリアデザインを考えてもらうことが必要不可欠です。

 

キャリア研修のゴールを、組織の都合やニーズに合わせようとしてはいけません。特に組織のキャリアパスに合わせる、組織に囲い込もうとするような誘導をすると、社員から大きな反発を受け研修の効果性が落ちてしまうため注意が必要です。

 

あくまで社員主体の研修プログラムを用意し、社員が自分事として捉え、将来をイメージできるようにすることがキャリア研修の効果を大きく高めることにつながります。

 

経営層の理解と協力を得る

キャリア研修を行うにあたり、経営層の理解と協力を得ることも重要です。キャリア研修のような人材育成・研修の意義を経営層に理解してもらうことで、研修実施のための資金も確保しやすくなりますし、人事担当者も動きやすくなるでしょう。

 

経営層には、いまのZ世代やミドル層の仕事やキャリアに対する価値観は昭和とは大きく異なっていることも理解してもらうことが重要です。Z世代やミドル層は、終身雇用、年功序列といった昭和の常識とは全く違う感覚を持っています。

 

だからこそ、社員が自らのキャリア・将来を主体的にデザインすることが必要であり、それが組織の活性化や事業の成長につながっていくことを経営層に理解してもらいましょう。

 

上述したように、社員のキャリア研修のゴール・目的を社内への囲い込みとしない、組織の都合に合わせた研修内容としないといったことも含めて、経営陣の理解と協力が大切です。

 

アフターフォローと組み合わせる

キャリア研修は、キャリア自律を考えてもらうはじめの一歩であり、きっかけとなるものです。社員に研修で設定したゴール・目標に向かって進んでもらうためには、個別化と継続した取り組みが重要となります。

 

現実的には、キャリア研修を受講するだけでは、キャリアビジョンを描き、行動するところまではいかない社員が大半でしょう。セミナーなどに参加したときに感じる「ためになる話が聞けた」と同様に、「自分のキャリアで良い目標ができた。キャリアが広がった」と感じて終わりになってしまいます。

 

キャリア研修を効果的なものにするためには、研修実施後の個別アフターフォローが必要不可欠です。研修に参加した社員に個別のキャリア面談やキャリアカウンセリング等のアフターフォローを組み合わせて実施し、キャリアビジョンや行動計画を自分ごとに落とし込んで具体化し、目標に向かって行動してもらうことが大切です。

 

必要に応じ人事制度を見直す

社員が思い描いたキャリアデザインを実現するためには、異動希望やキャリア公募、自己啓発の支援などが必要になることもあります。キャリア形成を考えた後、行動するところをサポートする役割は人事制度が大きな役割を担います。

 

キャリア研修を効果的なものとするためには、描いたキャリアを実現するための人事制度も必要になります。描いたキャリアデザインの実現可能性が低ければ、それこそ離職につながりかねません。自社の人事制度が整っていなければ、見直しも検討する必要があります。

 

社内に様々なキャリアの選択肢を用意しておくことは、社員の定着率向上を図る手段になります。また、人事異動により社内が活性化され、イノベーションも生まれやすくなる下地となるでしょう。

 

Will-Can-Must型でライフプランを描くことにこだわらない

キャリアデザインを考える際のフレームワークとしてWill-Can-Mustは王道であり、キャリア研修における古典的なコンテンツです。

  • Will(やりたいこと)
  • Can(自分にできること)
  • Must(自分の役割)

Will-Can-Mustそれ自体は非常に分かりやすい考え方です。しかし、社員個々の状況、ステージによってはWill-Can-Must型では、うまくプランを描けないケースがあります。

 

たとえば、人によっては、Canを上手く抽出できなかったり、そもそもWillを見出せなかったりします。また、Will-Can-Mustのフレームワークは、Mustが一番書きやすく、結果としてWillが「社内でのキャリアビジョン」に収斂してしまうようなケースもあります。

 

Z世代はいま働いている会社組織を中心にキャリアデザインをする、という考え方自体に拒否感を持つ人材もいます。また30代、40代も個々の生活環境、役職の有無、スキルなど含め、価値観も多様化してきています。そのため、対象層によっては、強みを軸にして抽象度を高めたキャリアビジョンを考えたり、パーツモデルの考え方からプランを作るといったやり方を取り入れることも大切になります。

 

外部サービスを活用する

キャリア研修を実施する際、外部の研修サービスを活用する方法も効果的です。大手企業以外は、専任で研修担当者を置いている会社は少ないでしょう。多くは兼任となり、本来業務がある担当者の負担は大きなものとなってしまいます。

 

無理に自社内で研修を内製化せず、外部の研修サービスを活用し、プロの講師に研修を実施してもらうこともお勧めです。外部の研修サービスは豊富な研修内容を用意しており、研修の参加者・目的に応じて適切な研修プログラムを組んでもらうことができます。

 

またキャリアのことを真剣に考え始めると、転職や副業、プライベートを優先するタイミングなど、上司や会社には相談しにくい本音が必ず出てくるものです。社内における1on1や人事制度の整備も有効ですが、同時に外部のキャリア面談サービスなどと組み合わせることも従業員のキャリアデザインの効果性を高めるポイントになります。

 

HRドクターを運営しているジェイックでもキャリア研修を提供しています。社員のキャリアデザイン、離職防止などに興味のある方は、ぜひ資料をご覧ください。

 

 

キャリア研修を実施する流れ

キャリア研修を実施するまでの一般的な流れを、5つのステップで解説します。

 

ステップ① 対象者と目的目標設定

前章でも触れたように、キャリア研修の対象者は、新入社員や若手社員、中堅社員、管理職などの職層や年代によって分けられるため、どの職層・年代の従業員を対象に実施するかを事前にしっかり検討することが重要です。

 

また、一般的にキャリア研修の目的は、従業員のキャリア自律を支援することですが、対象者に応じて具体的な目的やゴール、研修プログラムは変わってきます。

 

目的やゴールを設定する際には、組織のビジョンや課題、受講対象となる従業員のニーズなどを考慮する必要があります。

 

ステップ② 内容と方法の検討

キャリア研修の内容は、研修対象者の課題やニーズ、目標に応じて柔軟に設定することが大切です。対象者によって課題は異なりますし、求める内容は異なります。それぞれに合った内容、方法をとらなくては最大の効果は得られません。

 

研修内容としては前述のように新入社員や若手社員には自己分析やキャリアデザインの方法を教える、中堅社員や管理職には自己実現やリーダーシップの発揮を促す、などがあるでしょう。

 

まずはどのような対象者に向けて研修を行うのか、その人たちの課題は何かを考え、内容や方法を考えましょう。

 

ステップ③ キャリア研修の実施

研修内容を検討したあとには、キャリア研修を実施します。

 

研修対象となる従業員には、あらかじめ自分が参加する研修がどんな目的、内容で実施されるのかを、eラーニングや社内文書で共有しましょう。これにより、研修で何を学びたいか、何を得たいかを、受講生各自が明確に持った上で研修に参加できるようになります。

 

キャリア研修は基本的に、グループワークや個人ワーク、講義やディスカッションなどの方法を組み合わせて実施していきます。とくにグループワークや個人ワークは大切です。他の参加者と意見交換したりフィードバックを受けたりすることで、受講者は自分の視野や考え方を広げることができるでしょう。

 

キャリア研修は、知識を得ることを目的にするのではなく、自らのキャリアについて考えを深め、その後の行動変容や行動計画のヒントにしてもらうことが大切です。

 

なお、1対多で行われるキャリア研修はどうしても「自分のキャリアビジョンを形にして自分事にしてもらう」ことには限界があります。そこで、キャリア研修とキャリア面談を組み合わせて、ワーク等も通じながら「後日のキャリア面談でテーマに答えられるように準備してもらう」ことをゴールにするのもよいでしょう。

 

ステップ④ 研修後の個別キャリア面談

前述の通り、研修後には個別キャリア面談を行いましょう。人事が実施したり、社外のキャリアコンサルタントに委託したりして、対象者と1時間くらいかけて一対一で行う面談です。

 

キャリア研修を「キャリアを考え始めるきっかけをつくる場」、キャリア面談を「考えや意見、不安等を言葉にして、ビジョンを明確化し、行動計画を決めてもらう場」と位置付けて、研修から1ヶ月以内の実施を目安に、1対1のキャリア面談を設定すると非常に効果的です。

 

前述の通り、キャリア研修で、個人ワークやグループディスカッションを盛り込んでも、やはり1対多の研修でできることには限界があり、キャリアビジョンを実現するまでには至らないかもしれません。しかし、個別キャリア面談を行うことで、キャリアビジョン、およびキャリアビジョンを実現するための行動が明確になります。

 

ステップ⑤ 職場での実践行動

キャリア研修で学んだこと、立てたキャリアビジョンを実現するために、職場で実際の行動に移します。

 

キャリア研修では、受講者は、自分の強みや弱み、興味や価値観、目標や夢などを自己分析したり、キャリアプランを作成したりします。しかし、それだけでは意味がありません。自分自身のキャリアを形成するためには、学んだことを具体的な行動に落とし込み、新たな行動変容に繋げなければなりません。

 

実践行動としては、例えば以下のようなことが挙げられます。

・自分の得意なことや興味のあることを見つけるために、様々な業務やプロジェクトに積極的に参加する。

 

・自分の成長やキャリアの方向性を確認するために、上司や先輩、同僚などと定期的にフィードバックを交換する。

 

・自分のスキルや知識を向上させるために、社内外の研修やセミナー、資格取得などに挑戦する。

 

・自分のキャリアビジョンや将来の夢を具体化するために、ロールモデルやメンターを見つけて話す機会を作る。

 

実践行動は、受講した社員にとって自分のキャリアを自分でデザインするための重要なステップです。自分の強みや価値観を理解し、自信を持って仕事に取り組むことで、職場での満足度やパフォーマンスも向上します。

 

また、実践行動は一度だけではなく、継続的に行うことが大切です。自身のキャリアは常に変化し、成長し続けるものですから、その変化に合わせて自分の行動も見直す必要があります。

 

ステップ⑥ フォローアップ面談

実践行動に取り組んでもらった後、フォローアップ面談を実施することも非常に大切です。フォローアップ面談は、キャリア研修やキャリア面談で設定した目標や課題に対して、どのような成果や反省があったかを振り返り、次のアクションプランを立てる場です。

 

フォローアップ面談では、研修受講者に以下のような質問をすると良いでしょう。

  • 職場でどんな実践行動をしたか
  • 実践行動から何を学んだか
  • 実践行動でうまくいったことや困難だったことは何か
  • 実践行動で得た成果や感想は何か
  • 今後どんな実践行動をしていきたいか
  • 今後どんな支援が必要か

フォローアップ面談を通じて、受講者は自分の行動について客観的に振り返ることができます。そして、次の行動を決めていく。この「考える⇒行動する⇒振り返る⇒考えを磨く⇒行動する…」というサイクルを回してもらうことが何より大切です。

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キャリア研修とキャリア自律施策の導入事例

本章では、キャリア研修・キャリア支自律援に関する、実際の企業導入事例を紹介します。

 

以下で紹介する事例は、厚生労働省による、従業員の自律的なキャリア形成の支援に取り組む企業を表彰する「キャリア支援企業表彰」よりピックアップしています。それぞれの事例について、詳しく知りたい方は、各事例に記載したリンク先のURLをご覧ください。

 

事例1.株式会社 富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ

株式会社 富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ(以下、FSSL)は、ITサービスやシステムインテグレーション事業を行う富士通のグループ企業です。同社のキャリア研修は、以下の特徴があります。

 

■組織的な人材育成
FSSLは、求める人材像を明確化した自社独自のキャリア開発プログラムを2003年に設けました。これは現在では6職群、レベルも6ステージに体系化されています。同社はキャリア開発体系を基に、集合研修やeラーニングなど年間100コースの研修をはじめ、勉強会や資格取得支援を設けるなど、全社を挙げた組織的な人材育成に取り組んでいます。

 

■社員による自律的なキャリア開発
FSSLでは、社員が自らのキャリアを考える機会として、専門のキャリアコンサルタントによるキャリアコンサルティングを実施しています。キャリアコンサルティングを受けた社員からは、自分のキャリアに対する意識や主体性が高まり、キャリアの方向性が見えてきた、といった声が上がっています。

 

(参考:キャリア支援企業表彰 好事例集|株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ)

 

事例2.日本レーザー株式会社

日本レーザー株式会社は、世界最先端の光学関連製品やレーザー機器の輸入販売、製造を手掛ける企業です。同社では、以下のようなキャリア支援に取り組んでいます。

 

■個々の社員と向き合う
日本レーザーでは、社員満足度の強く重視しており、これを実現するために個々の社員と向き合う姿勢を大切にしています。言いたいことが言える職場かどうか、ワクワクした雰囲気かどうか、透明性の高い人事制度になっているかなど。これらが実現できていることが、社員のモチベーションに大きく影響すると同社は考えています。

 

■リストラなし生涯雇用
日本レーザーは、社員が安心して80歳まで長く働ける生涯雇用を目指しています。そのために大切なのは、社員自身がいくつになっても成長意欲を持ち続けること。同社の評価制度には、こうした生涯に渡る社員の成長意欲も反映されています。

 

■女性が輝くハイテク企業
同社では、パート社員を含め全社員の3分の1が女性社員です。女性管理職30%を目指す「2020計画」もすでに達成しており、女性管理職は社員を引っ張る「ロールモデル」として活躍しています。

 

(参考:キャリア支援企業表彰 好事例集|日本レーザー株式会社)

 

事例3.田辺三菱製薬株式会社

田辺三菱製薬株式会社は、田辺製薬と三菱ウェルファーマが合併してできた、三菱ケミカルホールディングスのヘルスケア中核企業です。「医薬品の創製を通じて、世界の人々の健康に貢献する」と言う企業理念を実現するために、同社では以下のようなキャリア支援に取り組んでいます。

 

■キャリア目標の設定
上司との年1回のキャリア面談に加え、年6回の目標管理面談を実施し、きめ細やかなキャリアを考える機会を設けています。また、目標設定を参考できるよう、必要なスキル要件や求められる行動もイントラネットで開示しています。

 

■キャリアデザイン研修を軸に据えた研修体系
入社5年目までの育成を確実なものにするため、入社1年目、3年目、5年目の節目となる時期に研修が組まれています。その後も30歳、40歳、50歳のライフステージの転換期になる時期にキャリア研修を実施し、それぞれで期待される役割・ステージに応じたキャリア形成のサポートに取り組んでいます。

 

■選択可能な働き方と等級制度
田辺三菱製薬では、フレックスや裁量労働制など、それぞれの働き方に応じた多様な勤務制度を設けています。また、個人の希望に応じて今後の等級(マネジメントコース/専門職コース)を選択できるのも特徴です。

 

(参考:キャリア支援企業表彰 事例集|田辺三菱製薬株式会社)

 

事例4.株式会社リコー

株式会社リコーは、コピー機やレーザープリンター、およびそれらの複合機などの事務機器や光学機器を製造するメーカーです。同社では、キャリア支援の取り組みとして以下のような取り組みを行っています。

 

■“7つの人材タイプ”に向けたキャリア形成
株式会社リコーでは、事業の中核を担う人材像を「ビジネスリーダー(事業トップ)」や「スペシャリスト(高度スペシャリスト)」といった7つの人材タイプとして定義し、各人材タイプに応じたキャリア開発制度を設けています。例えば、プロジェクトマネージャー(PM)であれば「PM コンピテンシー認定制度(PMC)」、プロフェッショナルであれば、専門分野別研修などがあります。

 

■目標統合プログラム
社員のキャリア開発と、上司・管理職の部下育成力の両方を強化する「目標統合プログラム」も同社のキャリア支援の特徴です。プログラムでは、部下と上司の間で積極的なコミュニケーションを交わしながら、仕事能力を開発するためのPDCAに取り組んでいきます。

 

■ダイバーシティ&ワークライフマネジメント
新しい価値や成果を出し続けられる環境を目指して、多様な属性を持った社員に持てる力を最大限に発揮してもらうための仕組みです。株式会社リコーは、育児休業法施行前の1990年に育児休業と短時間勤務制度を導入するなど、もともと多様な働き方の導入には積極でした。マネージャー向けのダイバーシティ研修や、全社員向けにダイバーシティ&ワークライフマネジメントの社内サイトを開設するなど、現在も全社を挙げて浸透を図っています。

 

(参考:キャリア支援企業表彰 事例集|株式会社リコー)

 

事例5.朝倉染布株式会社

朝倉染布株式会社は、1892年に創業した染色加工技術開発の老舗です。伝統的な染織技術を守りながらも、超撥水加工や吸水速乾加工といった最新技術でも高い評判があります。同社のキャリア支援の取り組みを以下にピックアップします。

 

■人事評価制度
朝倉染布株式会社では、人事評価に職能資格等級制度を取り入れており、資格要件を基にした等級の基準を明確にしています。現在運用されている人事考課表は、社員間でワイワイガヤガヤ意見交換しながら形にしたものとなっており、透明性・納得性の点でも社員達に受け入れられるものとなっています。実際の運用では、本人と考課者との間での「会話」を特に重視しており、納得いくまで話し合い、もし考課に不服があった時は申し立てられるルールがあるのも特徴です。

 

■プロジェクトを活用した人材育成
キャリア支援の一環として、同社では、社員から提案される様々なプロジェクトを活用しています。これまでにも、知識不足による加工事故を未然に防ぐことを目的とした「染料や撥水の勉強会、他社の工場見学」、原材料費削減の数値目標を決め、1年間削減活動に取り組み、成果報告会で特別賞与で表彰する、などがありました。他にも、メンバー同士意見を出し合いながら、各自の個性を活かした新商品開発も推進しており、実際に製品化されたプロジェクトもあるそうです。

 

(参考:キャリア支援企業表彰 事例集|朝倉染布株式会社)

 

ジェイックが提供するキャリア研修およびキャリア自律支援プログラム

HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、キャリア研修、またキャリア研修とキャリア面談をセットにしたキャリア自律支援プログラムを提供しています。

 

【このような課題をお持ちの企業様におすすめ】

  • 自分のキャリアを自分で切り拓こうとする意識が弱い
  • 会社がキャリア形成や学びの機会を提供しても、受け身の姿勢になりがち
  • シニア期以降の自身の働き方、キャリアに対する認識が甘い
  • 女性活躍に向けた女性のキャリア意識を高めたい
  • 若年層のエンゲージメント強化としてキャリア研修を実施したい

ジェイックのキャリア研修は、「受講者本人の持つ”強み”にフォーカスしたプログラム」になっています。強みを基盤とすることで、誰もがポジティブなイメージを持ってキャリアデザインに取り組むことが出来るようになっています。

 

「強み」を発見するアセスメント・ツールとして、研修では米ギャラップ社が開発、世界2,300万人以上が受けたストレングス・ファインダー®を活用しています。

 

ギャラップ社の調査では、「強みを活かす」ことができた人やチームは、

  • 生活の質が3倍高い
  • 強みを重視したチームは生産性が12.5%高い
  • エンゲージメント、仕事への積極性が6倍高い

といったように圧倒的なパフォーマンスやエンゲージメント向上が実現することが分かっています。「強み」を活用できるかどうかが、個人と組織の可能性を引き出す鍵と言っても過言ではありません。

 

研修では、診断を用いて強み抽出したうえで、過去の棚卸し、将来のキャリアデザインを考えます。参加者の自己肯定感・効力感を刺激し、計画作成、そして実際の行動変容へとつなげていきます。

 

また、ジェイックのキャリア自律支援プログラムでは、キャリア研修と組み合わせて、研修後に受講者との1on1「キャリア面談」を提供しています。キャリア面談は、国家資格キャリアコンサルタントが担当。1対1の面談を通じて、課題のすり合わせから、カウンセリング面談、今後の目標策定サポートを進めていきます。

 

外部の専門家である国家資格キャリアコンサルタントを使うことで、参加者は社内の人事や上司にはなかなか言えない本音や相談を気兼ねなくぶつけ、気持ちや思考を整理して、自分事へと落とし込むことができます。

 

さらに、面談でキャッチした受講者の「本音」を踏まえて、個人を特定しない形でのレポートも提供します。一連のレポートをもとに、人事担当者は、「組織として今後どう社員のキャリア開発をしていくか」といった組織開発・人事施策につなげていくことが可能です。

 

キャリア研修・キャリア面談は、それぞれ単独でもご利用いただけます。内製や他社に発注しているキャリア研修とキャリア面談を組み合わせる、また、管理職研修と組み合わせてキャリア面談を実施するようなケースもあります。ご興味あれば、以下より詳細をご覧ください。

 

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まとめ

記事では、キャリア研修の意味や目的、キャリア自律への効果、重要な理由、種類、流れ、事例まで、広く解説してきました。

 

近年、企業研修を提供する中でも、社員のキャリア教育・キャリア開発に関する問い合わせや反響は多くなっており、キャリア自律への注目の高まりを感じます。キャリア研修を行うことで、エンゲージメントの向上、離職防止、女性活躍など、企業に対してのメリットは多数あります。

 

HRドクターを運営するジェイックグループの提供するキャリア研修はは、ストレングス・ファインダー®を活用し、それぞれの強みを活かす内容となっています。さらに、研修後に国家資格キャリアコンサルタントが受講者との1on1「キャリア面談」も提供可能です。ぜひお問い合わせください。

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著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック執行役員

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

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