深刻な人手不足の中で優秀な人材を引き留め、組織の中で活躍してもらうために、1on1を導入する企業が増えています。しかし、管理職へのトレーニング等を実施したとしても、1on1の成否を管理職の力量に任せるのは危険です。そこで、1on1ツールや1on1サービスを導入する企業も多くあります。
今回は、1on1の代表的なツール18選、1on1ツールを導入した事例最近のトレンドとなっている社外1on1のトレンド、など、1on1を成功に導くためのポイントについて解説していきます。
<目次>
- 1on1ツールとは?
- 1on1ツールの導入メリット
- 1on1ツールの選び方
- 1on1ツール18選【目的別】
- 1on1ツールを導入検討する際のチェックポイント
- 1on1ツールの導入と社外1on1
- ジェイックが提供する1on1支援サービス
1on1ツールとは?
1on1が多くの企業で導入されていることに伴い、1on1を支援するさまざまな機能やコンセプトの1on1サポートツールが提供されています。具体的な1on1ツールの紹介に入る前に、まずは1on1ツールとは何か、どのような機能があるのかなど基本的な部分を紹介します。
なお、前提として1on1に関して詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
1on1ツールの種類や機能
1on1ツールとは、狭義には1on1の質を高めるためのクラウドツールを指します。様々なタイプのものが提供されていますが、共通する機能としては、以下のようなものがあります。
- カレンダー機能やリマインダー機能といった日程の調整や面談の実施をサポートする機能
- 事前のテーマ設定や振り返りメモ機能など質の高い面談になるようにサポートする機能
- 面談への評価・フィードバック、面談のAI分析など、面談のPDCAを回す機能
なお、広義の1on1ツールとしては、1on1の面談に特化したツールだけでなく目標設定やタレントマネジメント、パルスサーベイといったことも同時に行えるようにパッケージ化されているものも含まれます。これは、元々1on1支援ツールが、タレントマネジメントツールのベンダーによって付属機能として提供されていることが多いのが由縁です。
この他にも、1on1自体の外注や、実施者側の上司をトレーニングする研修サービスなども、広い意味での1on1支援ツールといえるかも知れません。
1on1ツールが必要な理由
1on1ツールを導入する企業が増えていることからも1on1ツール導入の有効性がわかりますが、なぜ1on1ツール導入は必要、また有効なのでしょうか。
1on1が部下の成長やパフォーマンス向上につながることは周知の事実となっており、多くの企業が1on1を導入しています。リクルートマネジメントソリューションズによる2022年の調査では、1on1ミーティングを導入している企業は約7割となっています。それだけ1on1の効果性は広く知られているといえるでしょう。
しかし、1on1を行うには課題もあります。上述の調査によると、1on1の導入や運用における課題は1位が「上司の面談スキルの不足」、2位が「上司負荷の高まり」となっています。実施する側の上司のスキル不足や負荷が運用のネックとなって、1on1で成果が出せなかったり、継続できなかったりしているわけです。
1on1ツールを活用することで、課題の1位と2位、つまり上司の面談スキルを補う、また、上司の実施負荷を軽減することができます。
たとえば、日程調整を自動化する、事前に部下から悩みや現状などを記入してもらうことで面談の質をあげる、1on1内容の評価や分析をすることで上司のスキルUPにつなげるといった形です。
1on1ツールの導入メリット
1on1自体は、ツールを使わなくても実行可能なものですが、1on1の支援サービスやツールを導入することで以下のようなメリットが得られます。
- 面談日程の調節を効率化できる
- リマインダー機能でやり忘れを防げる
- テーマ設定などの機能により、面談の質を高められる
- 集計や分析によっり1on1の質を高められる
- 過去の履歴を参照することで、誰に何を言ったのかを忘れてしまうのを防げる
- 部下の心理状態の把握ができる
これらのメリットについて解説します。
ミーティング調整の手間を削減
1on1ツールを利用することで、1on1ミーティングの調整の手間を削減できます。
1on1の日程調整に手間と時間がかかってしまうと、1on1へのモチベーションも下がってしまいますし、業務の忙しさに終われて徐々に実施されなくなってしまうこともあります。
カレンダー機能、スケジューリング機能が備わっている1on1ツールを使うことで日程調整の負担を減らすことができます。また、どうしても日々の業務に忙殺され、1on1を後回しにしがちになることがありますが、スケジューリング機能によって定期的なMTGの設定をすれば、徐々に実施しなくなるという事態を防げます。
ただ、これ自体はグループウェアを導入しているツールであれば、グループウェア等で代用可能な部分です。
1on1の質を高められる
ツールを利用することで、1on1の質を高めることができます。これが1on1導入企業の一番大きな目的といえるでしょう。
1on1は、上司と部下が定期的に行い、業務進捗ではなく部下の興味関心に応じて実施するところに価値があります。事前に部下の関心事や課題に感じていることなどを把握できれば、1on1の内容はより良いものとなるでしょう。
会話テンプレートや事前アンケート機能などがある1on1ツールであれば、部下側も事前にテーマを考えることができます。また、上司も部下の状態やテーマを把握することで、1on1をより有意義なものにすることができます。また、進捗管理などの機能があれば、継続的なテーマに関して、前回からの進捗を把握して、サポートしたりケアしたりすることもできます。
1on1ツールを利用することで、部下・上司ともに1on1をよりよいものにすることができるのです。
集計や分析ができる
1on1ツールの活用メリットとして、集計や分析機能もあげられます。
トピック分析機能がある1on1ツールであれば、1on1におけるテーマや課題を端的に知ることができます。また、1on1ツールのなかには面談の内容や質を可視化できるものもあります。やり取りをAIが分析し、上司が傾聴、承認、支援ができているかを分析・フィードバックしてくれます。
また、組織全体や上司による1on1実施率や頻度を集計・分析する機能があれば、1on1の実施と目標達成の関連を調べることもできます。社員のデータを集計・分析することで、会社全体の人事課題を知ることも可能です。
心理状態の把握
パルスサーベイのような機能がある1on1ツールであれば、ふだん見えにくい部下の心理状態の把握ができるようになります。
1on1ツールの中にはサーベイ機能を持つものもあり、アンケートや診断を通じて、エンゲージメントやモチベーション、幸福度、従業員満足度(ES)などの状態を見える化することができます。結果をもとに上司はコミュニケーションですることが出来ます。
上司が部下の状態を的確に把握し、1on1でミーティングを重ねれば信頼関係が強くなり、チームの生産性UPにもつながります。部下のエンゲージメントを高めることは離職を防ぐ効果も得られます。
1on1ツールの選び方
1on1支援のツールは、途中でサービス変更しようとすると、それまでの面談データの引継ぎなどで問題が生じてしまうことも考えられるため、導入に当たっては慎重に検討して決めることが大切です。以下の点に注意してツールを選ぶようにしましょう。
目的に合っているか
1on1ツールは種類が非常に豊富であるため、選ぶ際には自社の目的に合っているかどうかが重要になってきます。
1on1ツールには、様々な機能を持ったツールがあります。自社の目的に合ったものを選ばなければ、自社の行いたいことができない可能性があります。
1on1の実施を効率化したいのか、質を高めたいのか、分析をしたいのかなどの目的によって重視すべき機能は異なります。ツールの機能や特徴などを調べ、目的にあったものを選びましょう。
また、どのようなシーンで利用するか、誰が利用するかなども考える必要があります。多くの従業員が使うものとなることが多いと思いますが、誰でも簡単に操作できるという使いやすさも重要なポイントになってきます。契約前に実際に利用して操作性を確認しましょう。
外部ツールと連携ができるか
外部ツールとの連携も、ツールを選ぶときに重要なポイントです。
1on1を実施している企業であれば、既にスケジューリングツールや目標管理ツール、人事評価システム、チャットツールなどを導入していることも多いでしょう。こういったツールと1on1ツールを連携できないと、1on1の日程調整やデータの集計、分析作業に手間がかかります。自社が利用している外部ツールとの連携ができるかも検討もポイントになるかもしれません。
組織には人員の増減や人事異動も付きものですので、それにうまく対応できる柔軟性も必要になってきます。
サポートが充実しているか
サポートが充実しているかも重要なポイントです。1on1ツールの初期設定や運用においては、設定が煩雑だったり不明点が出てきたりといったことがあります。そういった場合にサポートしてもらえれば、よりスムーズに導入、運用を行うことができます。
また、導入後には実施状況をモニタリング、分析を行う必要などもあります。自社だけだと有効な運用方法がわからない場合もあるかもしれませんが、運用時のサポートがあるツールであれば、組織として1on1の実施・改善をより有効にサポートできるでしょう。
1on1ツール18選【目的別】
1on1ツールには、細かいニーズにも対応できるように様々なものが提供されています。
ここでは目的別に、
- 1on1の品質向上/定期実施
- 目標や評価管理
- 従業員のコンディション確認
の3つに分類し、代表的なツールを紹介していきます。
1on1の品質向上・定期実施におすすめの6選
1on1の質を向上させるための機能を備えたものや、定期的な1on1の実施をサポートしてくれる機能にウェイトを置いたものとしては、以下の6つがあります。
①カケアイ(株式会社KAKEAI)
対話の質を向上させるために様々な特許を基にした技術が組み込まれているツールが「カケアイ」です。
ミーティングの日程を調整した後で、事前準備として話したい「トピック」と「上司に求める対応」を選択するようになっています。部下が求める対応が明確になることで、上司の負担軽減につながります。
また、1on1中のメモ機能や宿題の設定といった、面談の質を高める機能も多数搭載されています。さらに部下から上司への匿名フィードバック機能も用意されており、上司自身の面談力の向上にも役立てられます。
②TeamUp(チームアップ株式会社)
「TeamUp」は、トピック事前提出機能や、ログの保存、スケジュールの繰り返し設定といった1on1効率化の基本的な機能に加え、ログごとに綿密な共有設定ができるようになっています。
会社全体でのメンバー育成をサポートするものとなり、360度フィードバック機能も備えています。また、導入・運用サポートのサービスも提供されており、設計段階から定着までをフォローしてもらえるという点が大きなメリットです。
③シナジーHR面談(Sharin株式会社)
https://synergyhr.jp/meetingtool/
「シナジーHR面談」は、シンプルなデザインで操作がしやすいのが特徴の1on1ツールです。
マニュアル不要で利用開始できるほど操作がわかりやすいため、ツールをうまく使いこなせるかどうか不安だという場合に向いているでしょう。
天気に例えてコンディションを把握するサーベイ機能のほか、チャット形式でのディスカッション機能といったコミュニケーション促進のための機能も用意されています。面談機能では、1on1などの面談を一元管理して見える化でき、関係者との面談内容の共有もスムーズに行えます。
④emochan(株式会社KOU)
emochanは、1on1の経験がない若手マネジャーやメンバーでも、効果的な対話を簡単にはじめられるサポートツールです。
対話の進行をまるっとツールにまかせて、効果的な1on1をチームにすばやく導入することができます。また、AIの力で現場の負担を軽減する様々な機能を搭載しています。
⑤COTOHA 1on1 Assistant(NTTコミュニケーションズ株式会社)
https://www.ntt.com/business/services/cotoha-1on1.html
AIによる表情・音声分析を利用して1on1をサポートしてくれるのが「COTOHA 1on1 Assistant」です。
1on1実施中の部下と上司の表情をAIが分析し、終了後すぐに課題を抽出して上司へ改善点をフィードバックしてくれます。
上司と部下のそれぞれの発話量の分析も可能で、上司の発話割合が多い場合にはアラートが表示されます。さらに音声分析等を通じて、1on1の失敗ケースとして一番多い「上司が一方的に喋り続けてしまう状況」を回避し、部下が話したいことを話せるようにサポートしてくれます。
⑥Wistant(株式会社フルート)
現場のマネジメント改善を支援してくれるのが「Wistant」です。
Wistantも1o1の事前アンケートによるアジェンダ生成機能、ガイドライン設定機能により1on1の対話の質を高めることもできます。また、属人化・ブラックボックス化しやすいマネジメントの状態を6項目でスコア化して可視化し、マネジメントで改善が必要なポイントが明確にわかるようにしてくれます。
自社のマネジメントスコアの推移をチェックできる「経営・人事向け分析機能」とメンバーの状態を可視化して必要なサポートを明確にする「マネージャー向け分析機能」を備えています。
目標や評価管理におすすめの7選
1on1の実施だけでなく、目標管理や評価の管理も行えるツールとしては、以下の7つがあります。
①Co:TEAM(コチーム)(株式会社O:)
バラバラに管理されていた目標設定や進捗、評価、1on1、社内の称賛やフィードバックのコミュニケーションを一元的に管理することで、組織の生産性向上と管理工数削減を同時に実現できるのが「Co:TEAM(コチーム)」です。
目標設定や進捗が更新されると即時にチームに共有され、上司や同僚からリアルタイムのフィードバックを実施できます。また、スタンプ付きの日報機能でメンバーのモチベーションや体調の異常に素早く気づくことができ、手を打てるようになります。これらと1on1機能を連携させることで、上司が部下の目標達成を支援しやすいようになっています。
②HRBrain(株式会社HRBrain)
https://www.hrbrain.jp/evaluation
株式会社HRBrainが提供するHRBrainシリーズは、人事・労務業務の効率化と人材データの管理分析をサポートする一元化されたタレントマネジメントシステムです。
その中でも「HRBrain人事評価」は、1on1の記録機能が備わっているほか、豊富な評価テンプレートがあり、評価項目や閲覧制限も自由にカスタマイズできるようになっています。シリーズ内の他のサービスと組み合わせて利用することで、自社に合わせた最適なタレントマネジメントの環境を構築できるようになっています。
③HRMOSタレントマネジメント(株式会社ビズリーチ)
株式会社ビズリーチが提供しているのが、従業員情報を一元管理し、管理業務を効率化してデータ活用による組織課題の解決をサポートしてくれる「HRMOSタレントマネジメント」です。
HRMOSタレントマネジメントでは、従業員データベースと連携した目標管理が可能であり、上司は目標の進捗に対してリアルタイムでフィードバックができます。会社・組織目標も表示可能で、自分の目標とどう関連するのかを理解でき、目標達成のサポートをしてくれます。
1on1の運用状況も管理画面からチェックでき、人事側で組織での実施率や頻度を把握してサポートできるようになっています。
④CYDAS(株式会社サイダス)
「CYDAS」は、豊富な導入実績を持つタレントマネジメントシステムで、人材情報の一元化だけでなく、評価や労務、キャリア開発までをまとめて管理することができます。
課題や目的に合わせて必要な機能をカスタマイズできるという柔軟性の高さも特徴の一つです。紙やExcel上で行っていた評価をそのままシステム上で再現することができるというのも、システム導入の上では大きなメリットです。
⑤カオナビ(株式会社カオナビ)
「カオナビ」は、株式会社カオナビが提供するタレントマネジメントシステムです。
評価運用・考課運用の機能の他にも、スキル管理や人材育成・研修、人材データ分析といった人材の力を引き出すための機能が多く備えられています。人材データベースも自由にカスタムでき、ユーザー画面もマニュアル不要なほどシンプルに作られています。
⑥あしたのクラウドHR(株式会社あしたのチーム)
https://cloud.ashita-team.com/m07/
「あしたのクラウド®HR」とは、社員データベースと評価制度の運用(目標管理・査定・給与決定)に特化したクラウドシステムです。
給与シミュレーション機能や、目標自動添削、評価の甘辛分析など、質の高い目標・評価を実現させる機能を多数搭載しています。HR関連の受賞実績も豊富で、導入企業は4,000社を突破し、中小企業シェアNo.1!*
*デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社「HRTechクラウド市場の実態と展望2022年度版」SMB向け人事・配置クラウド売上高より
⑦スマカン(スマカン株式会社)
「スマカン」は、スマカン株式会社が提供するタレントマネジメントシステムです。
人材情報の一元化やデータ分析・タレント分析といったことができるほか、インターフェースも使いやすく、誰でも人材データベースや評価シートの設計ができます。
アンケート機能も充実しており、取得したデータは様々なグラフで可視化できるため、分析も簡単に行えます。
従業員のコンディション確認におすすめの5選
1on1を行いながら従業員のコンディションの確認ができるツールとしては、以下の5つあります。
①INSIDES(株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)
https://www.ms.recruit-insides.net/
アンケートで部下との適切なコミュニケーションをサポートしてくれるのが、株式会社リクルートマネジメントソリューションズが提供する「INSIDES」です。
約3分間のアンケートで部下の状態と性格を測定し、結果はレポートやダッシュボードで確認することができます。部下の状態を的確に把握することで、悩んでいるメンバーに対して最適なやり取りをすることができます。接し方に困った場合には、専門家にオンライン相談できるサポートもあります。
②WAKUAS(株式会社アジャイルHR)
OKRの運用に強みを持っているのが、株式会社アジャイルHRが提供している「WAKUAS」です。
特許取得のOKR共有機能が搭載されており、共有者がOKRを変更すると自動的に同期されます。SNS感覚で振り返りの投稿ができるほか、フィードバックリクエストの機能もあり、必要なアドバイスや励ましをもらうことで、エンゲージメントを高めることができます。
③MotifyHR(株式会社アックスコンサルティング)
「MotifyHR」は、エンゲージメント向上・離職防止に特化したクラウドシステムです。
エンゲージメントサーベイ、オンボーディング、社内SNS、パルスサーベイといった機能を備えています。1on1についても質問のテンプレートが用意されており、実施スキルの属人化、バラつきを防げるようになっています。
④HiManager(ハイマネージャー株式会社)
「HiManager」は、ハイマネージャー株式会社が提供するパフォーマンスマネジメントに必要なオールインワンプラットフォームです。
リアルタイムフィードバックのほか、OKRツリーによる目標の見える化など、パフォーマンスを発揮するのに必要な機能が備えられています。また、10の質問に答えるだけでエンゲージメントを測定し、簡単に分析する機能も搭載されています。
⑤Pulse(ウォンテッドリー株式会社)
https://www.wantedly.com/about/engagement/pulse
「Pulse」は、ウォンテッドリー株式会社が提供しているツールで、その名の通りパルスサーベイが特徴です。
slackと連携することで、5秒で入力できる簡易なアンケートを通じて、コンディションの変化を把握します。週次サーベイの結果をトピックとして、定期的に1on1をスケジューリングし、退職を未然に防げるようにするとともに、パフォーマンスを発揮できるようにサポートしていけるようにします。
1on1ツールを導入検討する際のチェックポイント
1on1ツールは、途中で何度も変更するようなことになってしまうと、トラブルのもとになりかねません。そうならないためにも、導入前の精査が大切です。また、ツール以外の部分でも、話しやすい環境の確保や上司や部下の面談スキルの強化も必要になる場合があります。
1on1ツールを導入する前に、どのような点をチェックしておけばいいのかを見ていきましょう。
1on1ツールの導入目的を明確にする
まず大事なポイントが、自社の1on1運用に課題があり、それに対して1on1ツールを通してどのように解決につなげていくかという目的・ゴールを明確にしておくことです。
- 「実施率に課題がある」
- 「管理職によって実施レベル、メンバーの満足度にばらつきがある」
- 「全管理職が一定以上の1on1をできる状態にしたい」
- 「1on1をより目標達成やパフォーマンスに繋げていきたい」
- 「リモートワークの中でコンディションケアを強化したい」
といった形で解決したい課題、ゴールを具体的なレベルにすることが重要です。
多種多様で似たような機能も多い1on1ツールの中から自社に合ったものを選べるようにするためには、目的とゴールは具体的で明確なものである必要があります。
ツールの操作性やカスタマイズ性
1on1ツールはパソコンやスマホなどを通してやり取りしますし、人事だけでなく、1on1を実施する上司と部下、多くのメンバーが触ることになります。
従って、操作のやりやすさというのも大事なポイントになってきます。ITに不慣れな人は操作に戸惑ってしまうと、一旦進行を諦めてしまうことも少なくありません。また、ツールの導入直後は、操作に慣れないため不満も出やすいものです。
大きな組織になると、人の出入りやITスキルのバラつきも多くなりますので、それに対応できる分かりやすさ、また、設定の柔軟性やカスタマイズが可能というのも、ツール選びのポイントです。
実際に使ってみないと分からないということもあるため、トライアルで操作のやりやすさやカスタマイズが必要な部分について確認するようにしましょう。
話しやすい環境の確保
1on1の実施にあたっては、会話に集中することができ、本音で話し合える環境を整えることが大事です。
周囲の目線や雑音が気にならず話に集中できるように、面談環境に気を配るということが必要になってきます。また、何でも気兼ねなく話し合えるように心理的安全性が確保されているというのも必要です。
ツールによっては部下から上司への匿名フィードバック機能を備えているもの、また、音声分析による話す比率の分析や感情分析といった機能があるものもありますので、必要であればチェックしてみるといいでしょう。
上司の聴く力や部下の言語化力の強化
上司と部下の一対一での話し合いとなると、どうしても上司のコミュニケーションが指示、命令、説教に偏っていってしまう場合もあります。
1on1はこの10年ほどで注目・普及してきたコミュニケーションですので、現在、管理職をしている上司側は、過去に良質な1on1を受けた経験がないという人が大半です。従って、どうすればいいのかよく分からず、普段の業務レビューや評価フィードバックなどの感覚で一方的に話してしまうことがあります。そうならないためにも、上司の傾聴力などを強化しておくことが重要になってきます。
一方の部下の側も、自分が感じていることを言葉にするのが苦手で、「何を話せばいいのかわからない」というケースもあります。面談を有意義なものとするためにも、自分が抱えている課題を言語化して整理し、それをうまく上司に伝えられるようにトレーニングしておくということも必要になってきます。
ツールの導入だけでなく、こういった上司や部下のスキルを強化するための研修の実施も、1on1を導入する上で重要です。
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1on1ツールの導入と社外1on1
1on1の強化にあたって管理職や従業員への研修、また1on1ツールを導入することもひとつの有効なやり方です。しかし、1on1の実施目的や社内の状況によっては研修や1on1ツールを導入して対処するよりも、社外1on1の導入を検討する方が合理的であることもあります。どのような場合に社外1on1を検討した方がいいのかを見ていきましょう。
なお社外1on1について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
1on1実施に伴う上司負担の問題
ツールを導入すれば、1on1の管理を大幅に効率化することができます。そうは言っても、1on1は一対一の面談であるため、じっくり話し合っているとそれなりに時間がかかるものです。
管理職が管掌するメンバーの人数が多くなってくると、面談で多くの時間を取られてしまうようになってしまいます。そうなってくると、管理職が1on1の対応ばかりの状態になってしまい、自分の業務:とくに成果創出と人材育成になかなか手が回らないということになりかねません。
とくにプレイングマネージャーが多い組織になってくると、1on1を実施することが上司のパフォーマンスを落とすこともあります。1on1が上司にとって負担になり過ぎているようであれば、社外1on1を検討するというのも一つの手です。
「上司と部下の壁」の問題
直属の上司と部下になると、どうしても言いづらいことが生じます。心理的安全性を確保するように努力していたとしても、お互いに壁を感じてしまい、本音で話しにくいということもあるでしょう。
とくにキャリアの悩みや組織への不満、もやもや等は評価者である上司にはなかなか言いにくいものです。そのような場合には、社外1on1を導入するという方法があります。
社外1on1を使って個人が特定されない形でレポーティングをもらう形にすれば、部下は安心して本音を話すことができ、組織側も改善に向けた手を打てるようになります。
上司の面談力の問題
1on1の実施には、前述の通り、上司に一定の面談力が必要になってきます。対人スキルは人によってバラつきますし、やはり上司と部下の相性の問題もあります。
傾聴がうまくできないといった能力不足の場合には、研修でスキルを強化することが必要です。しかし、研修を実施したとしても、意図したとおりにスキルが身につかないということもあります。研修による面談力の改善の見込みが薄そうな場合には、無理に上司側を鍛えようとするよりも、社外1on1を導入した方がよいということもあります。
社内で完結するようにさせたいという企業も多いものですが、以上のように上司の負担の度合いやスキルによっては、社外1on1も視野に入れて検討するということも必要になってくるでしょう。
ジェイックが提供する1on1支援サービス
HRドクターを運営する株式会社ジェイックでは、広義での1on1、1on1の支援サービスを幾つか提供しています。
国家資格キャリアコンサルタントとの1on1サービス
まずご紹介するのが、グループ会社Kakedasを通じて提供する国家資格キャリアコンサルタントとの1on1サービスである「Kakedas(カケダス)」です。
外部の第三者であるキャリコンサルタントが上司に代わって面談を行うことで、上司や社内には言いづらい本音も安心して話すことができます。
Kakedasは累計3,040人(2024年10月1日時点)の国家資格キャリアコンサルタントが登録しています。その中で、AIが一人ひとりの従業員に相性の良い人を10人選び出し、若しくは従業員自身が検索して、その中から個々人がプロフィール等も踏まえて、一番相談したいと感じる人を選ぶ仕組みです。
また、面談を通じて、一人ひとりの悩みやもやもやを解消するだけでなく、対談だからこそ分かる従業員の「本音」を個人を特定できない形で分析したレポートを提供し、組織改善に向けた手を打てるようにサポートします。
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【社外1on1の導入事例】
非鉄金属の加工品の製造・販売を行っているU社では、1on1キャリア面談サービスの「Kakedas」を導入しました。Kakedasは、相談者一人一人にあったキャリアコンサルタントにオンラインで相談できるサービスです。
社内にキャリアの相談窓口を作ろうと考えたけれども、将来的に事業を拡大することを考えると外部リソースを活用するのが有効と判断して導入したとのことです。
初めての実施では8割以上が高評価だったとのことで、利用した人からは「やって良かった。ありがとう」という感謝の言葉をもらえたそう。その人が社内で思い悩んでいていることを解決して活躍に繋げられているとのことです。
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上司の1on1面談力向上に役立つ研修
上司の面談力向上にお勧めなのが、デール・カーネギーの「リーダーシップ&コミュニケーション研修」です。
体育会系的、管理統制型のマネジメントしか受けたことがなく、良質な1on1がどういったものなのかよくわからないという管理職にとっては、今の時代に合った人間関係構築の方法を体系的に学ぶことが重要です。
『人を動かす』で世界的に知られるデール・カーネギーが提唱する「人間関係の30の原則」を身につけることで、部下との良好な関係構築が可能になり、効果的な1on1を実施できるようになります。
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深刻な人手不足の中、優秀な人材を確保し、組織内で活躍してもらうために、今や1on1はマネジメントに欠かせないものとなってきています。本記事が効果的な1on1実施の参考になれば幸いです。