社外1on1とは、通常の上司等による社内での1on1とは異なり、従業員×社外人材で実施する1on1を指します。
近年、部下一人ひとりのエンゲージメントや成長を促す手法として、「1on1」が注目を集めています。1on1は、もともとシリコンバレーのネット企業を中心に実践されていた人材の育成・マネジメント手法です。日本においてもヤフー株式会社が導入したのをきっかけに多くの企業に広まっています。
1on1はエンゲージメント向上等につながることも確認されている有効な手法です。一方で、満足度が上司の面談スキルに依存する、また不満足の場合は逆にエンゲージメントが下がることも確認されているという部分もあります。
この点を補うために1on1ツール等も提供されていますし、社内での1on1と社外1on1を組み合わせるという手法も注目されています。
記事では、社外人材を活用した社外1on1について紹介し、社内1on1との効果的な組み合わせのポイント等も解説します。
<目次>
- 社外人材による1on1(社外1on1)とは?
- 社外人材による1on1(社外1on1)のメリット
- 社外人材による1on1(社外1on1)のデメリット
- 社外1on1の活用方法
- どういった人材に1on1を依頼するか
- 国家資格キャリアコンサルタントによる社外1on1を提供するKakedas(カケダス)
社外人材による1on1(社外1on1)とは?
まずは1on1とはどういうものなのか、社外1on1は通常の1on1と何が違うのかという点を確認しておきます。
1on1とは?
1on1とは、部下の成長をサポートし、エンゲージメントを高めること等を目的として、主に上司と部下による一対一の面談を指します。頻度としては、隔週に1回から月1回程度のペースで、30-60分程度で実施されます。
最大の特徴として、1on1のテーマは人間関係、ワークライフバランス、キャリア形成など多岐にわたり、また、部下が主体的に話したい/相談・共有したいテーマを選択するという点です。
通常の業務レビューと違い、上司が業務の進捗等を確認や指示する、また部下が業務の共有や相談をするというものではありません。また、人事評価面談とも異なり、パフォーマンスや評価について上司がフィードバックするものでもありません。
上司が主導する時間ではなく、上司は部下の声に耳を傾けながら内省が進むようにしたり、話を引き出したりするといったカウンセリングやコーチング的な関り方をします。
部下の内省や気づきにつなげ、自発的な成長や意欲を促す、上司-部下の相互理解や信頼関係を深めることが1on1の大きな目的です。
社外1on1とは?
1on1は、主には上司-部下で実施されます。場合によっては、斜めの関係で実施したり、上司の上司と実施したり、人事が実施したりすることもありますが、社内のメンバー同士で実施することが一般的です。
これに対して、社外1on1では、従業員と社外の人材で1on1を実施することを指します。社外の人材は、第三者として中立の立場を維持できる人が選ばれます。
上司が担当する場合と同様に業務レビューをすることはなく、キャリア形成や人間関係、ワークライフバランスといったテーマを中心に面談が行われます。話し合われるテーマは社内1on1と大きな違いはありませんが、社内1on1と比べると、実施頻度は少し低くなるケースが多くなります。
社外人材による1on1(社外1on1)のメリット
社外1on1は以下のようなメリットがあり、社内1on1との組み合わせが注目されています。
心理的安全性の確保による本音のアウトプット
1on1は、業務ビューや評価面談ではなく、部下のための時間とすることで、心理的安全性を確保して、また、プライベートや中長期のテーマなどを扱えるようにすることが目的です。
しかし、社内1on1の大半は上司-部下の関係で実施されます。上司は部下の働きぶりを身近で見ているため、仕事面で部下を一番よく理解できる存在です。一方で、上司は部下の仕事を監督し、評価する存在でもあります。
評価者である上司が相手だと、相当深い信頼関係がないと、部下は自身の評価に響いてしまうようなことは口に出しにくいものです。上司との関係や評価を悪くしたくないと思うあまり、本音を話しにくくなってしまいます。
とくに人間関係、キャリアやワークライフバランスなどのテーマは、「あの人と上手くいかない」「成長実感がない/待遇に不満で転職を考えている」「仕事量を減らしたい」など、上司には相談しにくいテーマが多くなりがちです。
言いたいことがあっても、上司が怖くて言い出せないという人も多いものです。また、上司に相談して「それはお前が甘い」「頑張れば待遇だって上がる」と正論をぶつけられて、1on1にストレスを感じてしまう、もう言ってもしょうがない…という人も出てきてしまいます。
斜めの関係、上司の上司、人事による社内1on1などは、直接の利害関係を外すことで、心理的安全性を高めようという意図もありますが、それでも相手が上の階層や人事になれば、当然「より評価や配置等に近い人」であり、組織の利害と表面的に一致しないことは話しにくくなります。
こうした中で、利害関係のない社外の第三者が1on1を担当し、面談内容も会社や上司に知られないようになることで、思っていることを素直に話せる環境が整います。
最初はネガティブな感情やテーマから始まったとして、人は自分の感情をしっかりと吐き出しきる、言葉にし終わると、理性的で前向きな思考が働くものです。社内1on1では、すべてを吐き出さないまま、表面的にごまかすようなこともあり、それが1on1への不満足感につながります。
上司の負担軽減と成果への集中
一人ひとりと向き合う1on1は、面談スケジュールの調整や面談内容の記録など、手間や時間がかかるものです。多くの部下を抱える上司になると、1on1で多くの時間を取られてしまい、業務への支障も出てきます。
また、1on1は前述した通り、コーチングやカウンセリングの技術を必要としますし、日常の業務指示やレビューとは一線を画する必要があります。
こうした対応の工数や実施する負荷は、上司にとっては大きな負担となります。上司の負担を軽減し、1on1の品質を高めるために多くの1on1ツールも提供されています。
もちろんこうした1on1ツールを活用することは有効です。一方で、1on1のトレーニングを実施して、ツールを導入しても、すべての上司がすべての部下と信頼関係を築き、傾聴やコーチングを実践できるわけではありません。
チームや部課の成果に責任を担っている管理職は、つい業務の進捗に気がいってしまいますし、プレイヤーとして成果を上げてきたからこそ甘い姿勢や感情にはもの申したくなってしまいます。
また、人事や上司の上司、つまり、会社側に近い人は、よりフラットな立場で話は聴きやすいですが、逆に会社の立場に立ってコメントや誘導してしまいがちです。
そう考えると、やはり部下のエンゲージメントや成長を社内1on1、とくに管理職に依存してしまうことは負荷が大きいですし、リスクでもあります。
社内1on1を実施しながら、それを補完し、相乗効果を生み出すものとして社外1on1を組み合わせることで、管理職の負担を大きく減らすことができ、管理職は成果をあげることにより集中しやすくなります。そして、成果が上がると、管理職もフラット、また中期的な目線を持って部下に接しやすくなるものです。
しゃべることによる内省と思考の促し
上司が1on1を担当すると、1on1の中でも普段の指示・命令関係が影響を与えてしまいがちです。また、上司も「上司として部下をリードしていかなければ」や「課題を解決しなければ」と思うと、上司ばかりがしゃべってしまう状態になりやすくなります。
上司と部下は同じ職場で仕事をしているため、どんな仕事をしているのかは互いによく知っています。一方で、先述のようなキャリア等のテーマは触れづらい関係があります。その結果、話す内容に困ってしまい、しゃべることが無くて困った上司が、指示・命令・説教に流れてしまうといったことも起こりがちです。
面談の中身がアドバイスや説教になってしまうと、部下の側は、思ったことを自由に話して内省を深めたり、感情を言語化したりすることは難しくなります。表面的な回答や上司の意に沿うような回答ばかりになってしまえば、1on1の目的は達成できません。
傾聴のトレーニングを受けて資格を持った第三者のプロ等が担当することで、心理的安全性が確保され、面談を受ける人はしっかりとしゃべることができるようになります。
人は自分の感情をしっかりと吐き出し、言葉にすると、内省が生まれたり、前向きな思考が進んだりするものです。1on1の効果性を高めるためには、アドバイスよりも、喋り切ってもらうことが大切です。社外1on1はここに強みがあります。
社外人材による1on1(社外1on1)のデメリット
社外1on1は心理的に安全な場を作り、喋ってもらうことに価値がある一方で、以下のような点にデメリット・弱みがあります。
事業内容や会社制度への理解不足
傾聴やコーチング的なアプローチを主とする1on1は、必ずしも事業内容などの理解は必須ではありません。しかし、キャリア形成やワークライフバランス等の話をするうえで、事業や職種への理解があった方がスムーズなことも確かです。
また、社内の人事制度やキャリアパスについて知識があることで、制度活用に関するアドバイスができる側面もあります。
従って、社外1on1にすべてを期待するというのではなく、
- 業務の調整や日常のマネジメントに影響できる上司の社内1on1
- 制度活用のアドバイスや組織への介入が出来る人事や幹部層による社内1on1
- 感情や気持ちを吐き出して思考を整理できる社外1on1
これらをうまく組み合わせることが大切です。
解決への影響力
上司や人事、幹部層であれば、1on1の内容を踏まえて、業務の調整や融通、配置などで解決に向けた影響力を行使することができます。
一方で、社外1on1の場合には、社外人材は会社の意思決定に影響を与えられる存在ではなく、解決への直接的な影響力は持ちません。影響を及ぼせるのは面談を受けた相手の思考や行動であり、影響の内容も自己解決に向けた動きの促進になります。
ただ、本人が前向きになれば、上司や人事への相談がスムーズになることも事実です。前述の通り、この点でも、社外1on1をベースに社内1on1を組み合わせることが有効です。
社外1on1の活用方法
社外1on1の活用法としては、以下の2つが挙げられます。
1on1を完全外注して負担を軽減する
1on1は一人ひとりと向き合う必要があるため、どうしても時間がかかります。上司の側も、限られた時間をやり繰りしながら自分の業務も進めなければなりません。そのため、部下全員に対する1on1の実施は、大きな負担になります。
このような時間がかかってしまう1on1を完全外注することで、上司は自分の業務の時間を確保できるようになります。ただし、社外1on1には限界もありますので、1on1を完全外注することが好ましいか?という議論はあるでしょう。
社内1on1と社外1on1を併用して1on1の質を向上させる
前述の通り、社内の上司による1on1は心理的安全性の観点において本音を言いにくいという問題点があります。部下が本音で十分にしゃべることができないと、内省や感情の昇華も実現しません。
また、社内の人間である上司がコメントをすると、部下としては「辞められたくないから都合の良いことを言っているのでは?」といった疑念も生じやすくなります。面談相手が上司だけという状態では、どこまで話の内容を受け入れていいのかといった判断が難しく、自分の市場価値を正しく認識するのが難しく感じてしまいます。
だからこそ、利害関係の無い第三者との社外1on1と社内1on1を併用することがお勧めです。社外1on1と社内1on1を組み合わせて二階建て構造にすることが、1on1の目的を達成する上で一番効果的です。
どういった人材に1on1を依頼するか
社外の人材に1on1を依頼するとなると、具体的にどういった人に依頼するかが重要です。ここでは、以下の2つのパターンを紹介します。
実績のある副業人材やキャリアコーチとの専属契約
成長のモデルとなる人がいると、今の自分と比較して足りない部分や強みとして伸ばしていく部分が明確になります。
将来活躍したいと思っている分野での仕事で実績のある人やモデルになるキャリアを持ったコーチが社外メンターとして伴走することで、具体的なキャリア像を描きやすくなります。成長モデルがあれば試行錯誤する時間が大幅に短縮され、成長のスピードを加速させることができるでしょう。
こうした人材を専属の社外1on1担当として契約して社外1on1を依頼することはひとつの有効な方法です。
ただし、専属で社外1on1の人材と契約する時には関係性に注意も必要です。会社に近い人、たとえば、顧問や幹部の知人を専属という形で契約すると、従業員からすると「会社側の人」という感覚になります。
そうなると「面談で話したことが会社側に知られてしまうかもしれない」と感じて心理的安全性が低下してしまい、相談しにくいという社内1on1のデメリットが生じかねません。社外人材を選ぶ際には、従業員が安心して相談できるように配慮することも重要です。
国家資格キャリアコンサルタント有資格者
キャリアに関する専門的な知識やスキルを持っていて信頼できるのが、国家資格キャリアコンサルタントの有資格者です。キャリアコンサルタントは、2016年に職業能力開発促進法に規定された国家資格です。
キャリアコンサルタントになるためには、試験に合格してから登録を行います。また、5年ごとに資格を更新するために、所定時間数の更新講習の受講も義務付けられています。一定レベル以上の傾聴スキルがあることが資格により証明されており、安心して面談を任せることができます。
また、キャリアコンサルタントは、職場のメンタルヘルスや、パワハラ、セクハラといったハラスメントについても学んでいます。そのため、メンタル面でのフォローや職場内での人間関係の悩みといった相談にも対応することができます。
対人支援の資格を持っていない社外人材に比べると、面談スキルに大きなばらつきが少なく、安定して社外1on1を実施することができるでしょう。
国家資格キャリアコンサルタントによる社外1on1を提供するKakedas(カケダス)
1on1は、人と人とのやり取りです。そのため、1on1がうまくいくようにするためには、相性の良い人に面談してもらうことが重要になってきます。
従業員一人ひとりに合ったキャリアコンサルタントを見つけ出し、効果的な社外1on1を実施するのにお勧めなのが、キャリア相談プラットフォームのKakedas(カケダス)です。
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Kakedasには、多様なバックグラウンドを持った2,900人以上の国家資格キャリアコンサルタントが登録しており、従業員の多様な年代、経歴、職種等に対応することができます。
対応するキャリアコンサルタントの選定にあたっては、登録されたキャリアコンサルタント中からAIが相性の良い10人が選び出されます。面談を受ける従業員は、その中から自分が気に入った相手を選ぶことができます。
こうして自分が選んだ相性の良い外部キャリアコンサルタントと1on1を実施することで心理的安全性が高まり、本音を話しやすくなります。メンタル面でのフォローも受けることができ、普段上司に向かって言うことのできない仕事の不満や人間関係の悩みについても話すことができます。
身内である上司に対して言いたくても言えないこうした不満や悩みといった本音を吐き出せることで精神的な負担が減り、メンタルダウンにつながってしまうことを未然に防ぐこともできます。
面談によって得られた本音は、本人を特定されない形で分析レポートとしてまとめられ、組織にフィードバックされます。他社との違い等も分析したフィードバックを受けることで、組織の問題点の改善に向けた施策の立案も実現します。
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