株式会社プレシャスパートナーズ|組織が急拡大する中で、変えるべきもの、変わらないものを見極め成長する

更新:2024/05/16

作成:2024/05/08

株式会社プレシャスパートナーズさま

「仕事を通じて人々の人生を豊かにする」というミッションのもと、さまざまなサービスを取り扱い、採用の総合コンサルティングを行うプレシャスパートナーズ。Great Place to Work® Institute Japan「働きがいのある会社」ランキング中規模部門において、ベストカンパニーに7年連続で選出されています。

 

新たな事業展開に伴い急速に組織が拡大する中でいかに人事評価と育成を行い、定着へと結びつけているか、執行役員CHO 兼 人事部部長 中川 梓様にお話しいただきました。

会社名:株式会社プレシャスパートナーズ様
設立:2008年4月
従業員:184名(2024年4月1日時点)
採用手法のプランニングから求人媒体選定のご提案、面接や内定後のフォローアップ、HRテックによる業務効率化まで、包括的に採用のサポートを行うプレシャスパートナーズ。求人広告ではアルバイト・パート採用、新卒採用、中途採用など全国で100サービス以上の商材を取り扱い、アルバイト採用の応募受付と面接設定を自動化する採用業務自動化サービス「RECRAC(リクラク)」もサービス提供している。さらに新卒採用サービスとして社長・経営者と学生の出会いを創出する「社長就活」を軸にした就職支援サイト「WinC(ウインク)Career」のほか、就職イベント「WinC Audition」、新卒人財紹介サービス「WinC Agent」など、採用だけにとどまらず幅広い支援サービスを展開している。

<目次>

Q.貴社の沿革と事業内容、中川様の業務内容について教えてください

2024年社員総会

 

中川様:弊社は求人広告の代理店として、2008年4月にスタートしました。その後は人材紹介やメディア制作、ブランディング支援作などへと業務を拡大し、現在は採用支援のための商材を100サービス以上備え、総合人材サービス企業として広く展開しております。

 

事業内容は大きく3つに分類され、1つ目が「採用コンサルティング事業」で求人広告やフェア・イベントなど採用課題を解決するご提案を行っています。

 

2つ目は「社長就活事業」で、就職支援サイト『WinC Career』や就職イベント『WinC Audition』、新卒人財紹介『WinC Agent』を運営しています。

 

3つ目が「メディア事業」で、採用動画撮影や採用ホームページの制作などを行っています。

 

私は人事の責任者として、中途や新卒採用、人材開発、労務などの面で、急速に拡大する組織とその事業に呼応する制度づくりなどに携わっています。

Q.事業が大きく拡大していく中で、どのようなサービス提供を心掛けていますか?

中川様:弊社では「仕事を通じて人々の人生を豊かにする」というミッションを掲げており、お客様の人材課題に真摯に向き合い、【採用】だけにとどまらず、【定着】【活躍】までを見据えた総合的な支援を行っています。

 

設立以来行ってきた採用支援をベースに、採用後にその人が定着・活躍するまでをゴールとしており、最近では面接代行なども行う人事コンサル事業も加わって、サポートの枠を広げています。

 

会社にマッチした人材を見出すのも大きな課題ですが、企業の抱える人事面での悩みはそこで終わることはありません。採用後の定着・活躍があって組織は安定し、離職率の低下にもつながるのです。

 

弊社には1企業ごとに担当のコンサルタントがおり、お客様のニーズに沿って連携してフォローしています。そこに先ほど述べた自社サービスを絡め、お客様のニーズにマッチしたサービスを組み合わせ、課題解決に向き合います。

Q.「働きがいのある会社」ランキング7年連続での選出、おめでとうございます。GPTWで高い評価を受けている理由を教えていただけるでしょうか?

社内風景 (3)

 

中川様:ありがとうございます。GPTWでは大きく「人事評価の改善」「昇進試験のブラッシュアップ」という、2つのポイントで評価を頂けたかと思います。

 

「人事評価の改善」では、これまで評価の目安は目標達成度だけであり、あとは上長判断に委ねられていました。そうした曖昧さを是正し、評価ポイントを明確化させて管理職が公平な評価をできるようにしました。

 

どのくらい達成できれば、どれくらいの給与アップが見込めるかなど、しっかりと利益分配まで“見える化”したことによりメンバーの評価に対する理解とモチベーションアップにつながりました。

 

「昇進試験のブラッシュアップ」は、これまでも自己申告による昇進を行ってきましたが、各役職に求められる能力や役割定義、昇進後にどういう姿が求められるかなど、こちらもより基準を明確化させたことにあります。

 

その他、残業時間の削減取り組みやリモート業務の拡大など、毎年働き方改訂は行っており、それらも含めて評価いただき、ランクインすることができました。

Q.人事評価のポイントについて、もう少し詳しく教えてください

社内風景 (2)

 

中川様:はい。評価の基準となる目標づくりについては、あまりに高い目標を掲げるのではなく、「努力すれば達成できる目標」をまずは設定するようにしました。

 

頑張りすぎると辛い状況のうえ成果も見えず、離職にもつながってしまいます。「無理をさせないこと」を念頭に、目指しやすいところから、階段設計で目標設定しています。

 

また定性・定量的に会社が期待値を設け、それらも目安にしています。例えば定量であれば、お客様に顧客満足度のアンケートを実施しているのですが、顧客満足度の結果も重要になります。

 

職種や役割に応じてそれぞれ基準を明確化し、評価につながるようにしています。当初は営業・非営業くらいの分け方しかありませんでしたが、事業が拡大されるにつれ改訂し、明文化されてより精度は上がってきました。

 

人事部や管理部など、対顧客以外の部署については評価を2軸に分け、各担当による専門領域での個人目標と、各ポジションの責任者が定める能力定義に準えて評価をします。

 

人事であれば採用・労務・人材開発などの能力について細かく基準設定し、ここでもやはり高すぎず、低すぎない目標を評価しています。

 

評価の方法は外部コンサルタントにもチェックをしていただいており、社内で全て行うことによる偏りなどを無くし、メンバーが安心できるように透明性をもって取り組んでいます。

Q.自己申告による昇進試験導入のきっかけや、メリット・デメリットについて教えてください

中川様:この制度は代表である髙﨑の「やりたい人にチャンスを与えたい」という思いから始まりました。単に結果が出ている人を自動的に昇進させるのではなく、“やりたい”という思いを大切にしています。

 

そこにはベンチャー企業としての挑戦的姿勢を忘れないという背景もありますが、会社はそうした挑戦する人への環境づくりの努力は惜しみません。

 

しかしデメリットもありました。確かに挑戦したいという従業員は多くいるのですが、昇進したあとのギャップに苦しんでしまうケースも見受けられたのです。リーダーや課長へと上がるにつれ、他人の人生を背負うプレッシャーも想像以上です。

 

昇進できた従業員をみると、人事評価上での数値に関する問題はないのですが、そこは実践ならではの難しさがあるようでした。

 

そこで「課長職とはどんなものか」「求められる能力はどんなものか」など、「評価」とは別の「役割における基準値」を分かるよう可視化したうえで試験に臨んでいただくようにしています。

 

半面、若手社員にとっては早期キャリアアップを目指せるので、大きなメリットになっています。各自のモチベーションは高く、プレゼンでは「こうした組織づくりをしたい」「こんなリーダーになりたい」と熱意をもって話してくれます。

 

そうした思いとのギャップが生じないよう、各部門と連携しつつ人事部主導で昇進試験のエントリーシートを改善、定量判断なども明確化し、別添資料なども用意することで、基準値をはっきりさせて「しくみ化」させました。

 

最近では2022年卒の新入社員が、自分で企画・立案したサービスをどうリーダーとして発展させていきたいかプレゼンし、入社1年半でリーダーになった事例があります。これらは同期への良い刺激にもなるでしょうし、さらに社内で切磋琢磨し、お客様にも還元することができると期待しています。

Q.近年急速に組織拡大していますが、採用やマネジメントについて教えてください

中川様:一般には30人、50人の壁といわれますが、弊社では経営層と現場でのリレーションをうまく保ち、互いの理解のもと比較的問題なく増員できたと思います。

 

ただ100人を超えた現在はそうした調整等の機会を増やしても難しいことが多く、採用ペルソナに立ち返るようにしています。採用基準がブレないように、より細かなペルソナを作り、「今期はどういった人をどういう理由で採用したいのか」などを採用チームに落とし込み、ブレない採用となるようにしています。

 

例えば一次面接・二次面接でそれぞれ「この部分を見たいからこれを聞く」のように、ジャッジを分かりやすくしていきます。これにより現場課長や若手にも任せられるようになっています。

 

また、先ほど述べた昇進試験の明確化と同様、「課長職にはこの能力が必要」のような階層別に社内の研修プログラムも充実させました。100人を超えた時点から、そうした「しくみ化」でマネジメント面での解決を図っています。

 

さらに2020年10月に定めた行動規範「プレシャスDNA10ヶ条」も、組織拡大の中で足並みを揃えるための大切な存在となっています。

 

採用時はこちらをもとに会社のカルチャーや、どういう人材が活躍しているか、または期待される人物像などを説明し、理解を頂いたうえで入社となるので、社員への浸透は深いものとなっています。

 

10カ条

 

日ごろから、代表である髙﨑の声(意志)が社内隅々まで伝わりやすい環境にあることは、人事部としてはラッキーです(笑)。代表の考えを、容易かつブレずに従業員へ伝えることができるのですから……。

 

従業員は代表の想いに共感・賛同して入社しているので、メンバーは社長の考えやビジョンを自分も成し遂げたいと考えています。

 

そうした社員の幸せを考えたブレない働き方・組織づくりができているからこそ、その働きがお客様に還元され、ひいては会社に還元されてきて、また社員が楽しく働くことができます。この三者のサイクルができて、初めて人事戦略は成功となります。

Q大量採用で意識していることはありますか?

中川様:新卒・中途採用を含め2022年度、2023年度でそれぞれ約50名以上の増員がありました。

 

確かにこの1~2年で人数は大きく増えましたが、採用ではブレない視点を常に保ち続けており、新卒の最終面接には「この人に入社してほしい、代表に会ってほしい」と思った人だけに臨んで頂いています。

 

応募者には数ある企業の中で、「プレシャスパートナーズに入社してもいい」ではなく、「プレシャスパートナーズへ入社したい」という想いをもって最終面接に臨んでいただけるよう、人事もそこに至るまでに応募者との伴走が必要です。

 

そのため、会社側としても包み隠さず話します。残業はどの程度あるのかをはじめ、コンサルの仕事の大変さなど、疑問に思われることや不明点をできるだけ無くしていきます。

 

さらにビジョンを見せていき、代表との最終面接までに弊社が第1希望の会社となるよう想いを醸成させていきます。こうした対話が互いのミスマッチを無くしていきます。

 

事業拡大は人数が必要となりますが、そこで重要なのは数ではなく、そうした「思い」の共有です。一方で50人採用となるとエントリー数も多くなりますし、不採用の数もそのぶん多くなります。

 

落としてしまえば、それだけ弊社へのファンも減るということになるでしょう。「1エントリー、1面接、1採用」が理想であり、数にこだわらず、今後もマッチングを重視していきたいですね。

Q.これからの人事部での取り組みについて教えてください

中川様:昇進制度の充実化に伴って、リーダー育成手順についても着手しています。これまでは、こうやってほしいという期待値のフィードバックをしていましたが、2024年10月より方法を変えていきたく思っています。

 

より基準を明確にすることはもちろんですが、それ以前に課長やリーダーになったとき、能力向上への教育プログラムも必要となるので、現在構築中です。

 

また、会社としては2028年までに300人態勢も構想にあり、そこに向けた定着も考えなければいけません。

 

労働人口が減る中で、人が定着し活躍し続ける組織を作り上げるのは容易ではありませんが、逆に見れば、それができれば採用はしやすくなっていきます。そのためには福利厚生など、離職率低下も見据えた、従業員が安心して働ける環境づくりが不可欠です。

 

若い従業員にもこれから介護や育児などのライフイベントが多くなってきますが、そうしたことに対応できれば、先述した「従業員→お客様→会社」という、三者の「幸せのサイクル」が実現しやすくなります。

 

なお人事部主導ではないですが、弊社では従業員が有志で集まる社内交流イベント「Precious Wednesday」の開催や、従業員同士が趣味やスポーツを通じて交流できる社内部活動も推進しています。

 

よく社外の方々から、私たちがそうした活動で生き生きしている様子や、一つの目標に向かって励まし合っている姿を見て、「部活みたいな楽しい雰囲気」「社会人になっても青春を感じる」など評価してくださっています。こうしたところは、いつまでも変わらずにいたいですね。

 

ダンス部

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