「you happy, we happy!(あなたが幸せだったら私達も幸せです!)」という理念を掲げ、イベントを通し、人と人が出会い、絆を深めるコミュニケーションの場をクリエイトするイベント21。
2024年版Great Place to Work® Institute Japan「働きがいのある会社」ランキング小規模部門において、第5位に選出されています。そして、女性ランキング小規模部門第1位に選出、地域別ランキング近畿地方第1位に選出されています。
社員が最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、いかに働き方の整備や、エンゲージメントの向上に注力しているか、セールスマネージャー 蛎久 勇様(下記写真左)とセクションチーフ 坂上 奈穂様(下記写真右)に伺いました。
会社名:株式会社イベント21様
設立:1991年4月
従業員:167名(イベント21グループ全体)
イベントのトータルサポートを主軸事業とし、イベント用品レンタル、イベント会場の設営・装飾・施工、イベント企画・運営・手配、看板制作及び販売などを行う。事業内容を「ハッピークリエイト業」と称し、年間44,000件以上のイベント主催者側からの問い合わせや、その多岐にわたるイベントニーズに応え、単にイベント用品のレンタル等だけでなく、コンサルティングとしての役割も担っている。さらにコロナ禍を経て、離れた場所からでも参加できるイベントを模索し、オンラインイベントのサポートも開始した。
<目次>
- Q.貴社の沿革と事業内容について教えてください
- Q.着実に事業を拡大させ、全国展開していく中での苦労点は?
- Q.組織が拡大していく中で、一体感をいかに生み出していますか?
- Q.経営理念である「you happy, we happy!」もそうした中で浸透したのですね?
- Q.貴社の採用活動についてお聞かせください
- Q.そのように入社し、どのようにエンゲージメントを高めていくのでしょうか?
- Q.評価制度について教えてください
- Q.ポジションごとに求められる要素はあるのでしょうか?
- Q.GPTWでの評価の理由について教えてください
- Q.さらにGPTW女性ランキングでは1位となりました。おめでとうございます。
Q.貴社の沿革と事業内容について教えてください
蛎久様:当社は1990年に現在の代表の父、中野武雄によって創業されました。奈良で数名のスタッフからスタートし、最初は式典関係の仕事が中心でした。
そこから徐々に仕事の規模を広げていたのですが、2007年1月に武雄氏が病によって突然に逝去し、創業者の息子である中野愛一郎が事業承継しました。
そこからが第2創業期となるのですが、現在弊社の事業内容はイベント用品レンタル、イベント会場の設営・装飾・施工、イベント企画・運営・手配、看板制作および販売、ノベルティやイベント用品の販売・デザイン、日本商品の海外販売、Web広告代理店業務などがあり、それらを総じて「ハッピークリエイト業」と称しています。
ここではイベントに関わることで、たくさんの人が喜んでもらえる事業は何でもやろうという事業内容としてとらえています。
Q.着実に事業を拡大させ、全国展開していく中での苦労点は?
蛎久様:本社がある奈良から東京に支店を展開すると公言した当時は、周囲から反対の声も多くあったようです。
私はまだ入社しておらず、当時を聞くところによると奈良の小さな会社が東京で仕事をするなんてありえない、と。もちろん代表はそんな声に折れることはなく、なぜそんな夢のないことを言うのかと奮起したそうです。
当社は事業継承後からWeb事業部を設立・強化していたので、東京からの仕事のご依頼もあり、関東出張も増えてきていました。Webを中心としたビジネルモデルを構築していたおかげで地域的な問題はあまりなく、その後の東京から神奈川への進出もスムーズにできました。
さらに関西・中部・九州でも支店展開し、人集めや倉庫の確保、地域の企業といかに競合していくかなど苦労もありました。現在、M&Aも行い、さらなる全国展開は継続中であり、南は福岡、北は宮城まで展開し、拠点数はグループで26にまで増えました。
Q.組織が拡大していく中で、一体感をいかに生み出していますか?
蛎久様:当社では大きな年間行事が3つあり、7月に「東京サマーコンベンション」、12月に「横浜ウィンターゲート」、3月期末に「経営方針発表会」があります。
そこで全社員のうち8割の社員が集まり、グループ会社を含む全拠点メンバーが一同に参加し、コミュニケーションを取ることによって、全社員が一致団結し、ベクトルを合わせる機会が増えています。
またアワードなどもあり、そこで成長した仲間を称え合い、全社員が理念実現に向けて同じ想いを持ってエンゲージメントを向上させる機会を得ています。
ほかにも月に1回、オンラインによるエリア全体会議や拠点メンバーで行う全体会議、委員会活動など、コミュニケーションの場は数多くあります。
そのため私も、他拠点の社員であっても名前はもちろん、趣味、苦手・得意なことなど言えるくらい、お互いが近い存在となりました。
坂上様:さらに毎月、各支店でのMVP表彰も行っています。そこでは単に業績の貢献だけではなく、新しい挑戦などの会社が定める評価軸をもとに人としての成長も対象であり、それら両面を合わせた評価でMVPを選出しています。
先述の3つの年間行事では、各期間での全体のMVP選出もありますし、新人賞、営業エース賞など個人の表彰のほかに拠点の表彰(ナンバーワンセクション賞)など、様々な賞を設けています。
個人・団体に向けて広く表彰して称え合うことで、全社員が一致団結して新たな目標達成に向かう気持ちを醸成しています。
Q.経営理念である「you happy, we happy!」もそうした中で浸透したのですね?
坂上様:そうですね、当社ではその理念をさらに具体的に行動に移せるように、中核となる価値観である「コアバリュー」を現在18個掲げ、当社ならではの企業文化のブラッシュアップと全社員共有化を推進させています。
ここではあえて浸透ではなく、「共有」というワードを用いて意識し、トップダウンではなく皆でひろげ、ひろめていくビジョンのイメージがあります。
理念制定後に全員が同じレベルで理解・実践できるようにするべく、代表を中心に取り組んでいたそうです。今では、理念もコアバリューも当たり前に社内にあり、その文化を共有する企業文化ができています。
理念・コアバリューを通して会社の価値観を皆で共有し、共に目指すことで全社員が一致団結することを大事に考えていたのです。
新入社員には入社前から理念やコアバリューを説き、「you happy, we happy!とはどういう状態だと思うか」等をディスカッションし、イメージ共有を深めています。そうしたことを一度ではなく何度も行っています。
また、代表からは理念に基づく「圧倒的に面白くて強くて良い会社を創って、夢と希望でこの世界を鼓舞する」という「10年ビジョン」が共有されています。
この10年ビジョンが自己解釈になってしまわないように、会社がどのように定義しているかを上司から部下に説明をし、その後一緒に会社を創り上げるメンバーとして、全員が実現のための計画に関わったり、提案をしたりする場があります。
さらにアウトプットにも注力しており、社内でも「アウトプットは最大のインプット」が合言葉になっています。
アウトプットの機会を持つ文化づくりをすることで、「理念の実現はこういうことか」と、イメージがわいてくる社員が増えたように感じています。一方通行ではなく、双方向でコミュニケーションが取れることが大事ですね。
Q.貴社の採用活動についてお聞かせください
坂上様:当社では人事部というものがありません。そこが当社の特色や強みであり、プロジェクトチームである「新卒採用委員会」を中心に全員が人事で採用活動に携わります。
メンバーには全国から5~6人が選出され、採用時の説明会は現場の社員が行い、面接も学生が希望する現場の配属部署の上司が面接に同席します。
それが学生とのミスマッチを減らし、さらに採用する側にも「この人と働きたい」「入社したらこの人を一生懸命育てよう」という責任感が芽生えたりします。
さらに言えば、面接で学生に理念をアウトプットし、当社はこういう人を求めている、こういう考えなんだ、ということを述べることで、自分たちもより深く理念を理解する機会になっています。採用に関わることで一人ひとりが成長することができているのです。
採用決定に関しては、拠点長とマネージャーで最終面接し、そのうえで判断しています。トップである代表が人事を現場社員に任せていることも社内への信頼によるものだと思います。
蛎久様:弊社は今まで、大手求人会社による求人を出していません。自社ホームページでの求人や、専門学校や大学から入社した社員が実績を積み、後輩に輝いている先輩の姿を見てもらって採用に結び付けています。
人事部がないということは、逆に言えば会社のことを全員が語れるということです。学生からすれば、身近な去年まで一緒に学んでいた先輩がそうして生き生きと輝いている姿を見て、自分もここで働きたいというような流れができています。
Q.そのように入社し、どのようにエンゲージメントを高めていくのでしょうか?
蛎久様:イベント業というと土日や夜間勤務で、仕事がきついのではと思われるかもしれませんが、私自身はあまりハードワークと思ったことがありません。そもそもそうした仕事内容だと理解して入社しているはずなので、入社を決めた時点である程度の覚悟はあるかと思います。
イベント21はイベント業ではありますが、意外と土日や、ゴールデンウイーク、お盆も休みを取れています。
さらにバーチャルオフィスシステムを社内で導入しており、他拠点の社員にも相談しやすい環境で、常に「チームで仕事をしている」ということが実感できることも、仕事の大変さを払拭する要因になっています。
他にも、イベント現場での仕事が終わってその報告の写真を社内の連絡チャットに送ったときに「お疲れさまでした」などのリアクションがあるので、その点もエンゲージメントの向上につながっています。
あとは、有名なイベントに関われているという自己肯定感もあります。イベント自体は個人の誕生会から国際的なイベント規模のものまであります。
例えば地元で昔自分が参加していたイベントに、大人になって自分が設営して地域の人に喜んでもらえているということは嬉しさもありますし、自分が成長したという実感も得られるでしょう。
事前準備は大変ですが、無事にイベントが成功して「またお願いします」という感謝の声をいただけるのはかけがえのないもので、これは私たちの職種ならではの有難いところだと感じています。
また当社では学生に、入社前からなりたい人物像や夢をイメージさせています。例えば「頼られる人になりたい」という目標があったとき、その「なりたい人物像」に対して、そこに向かってどう業務を通して成長していくかを一緒に考えて、フィードバックしているので目標がブレにくくなります。
そのように共有し、成長していくからこそ働きがいが見出され、エンゲージメントも高まっていくと考えています。
Q.評価制度について教えてください
蛎久様:全体評価のうち、半分が業績の評価、もう半分がカルチャーを体現できているかなどプロセスに対しての評価があります。
ここでは、仮に社員が目標以上の売上を実現させていても、一方で会社の文化を悪くするような行動があれば、高い評価は与えられません。
評価ツールとしては、全社員共通のレベルアップシートがあります。これは会社が求める人物像を明文化しているものです。これを新人社員から私たちマネージャークラスまでが自己評価を行い、それを上司とすり合わせます。
また、部署や役職ごとのアセスメントシートが別途にあります。それらを用いて年3回の人事評価を行っています。
Q.ポジションごとに求められる要素はあるのでしょうか?
蛎久様:当社では、役職は代表、CEO(子会社社長)、ゼネラルマネージャー、マネージャー、セクションチーフ(拠点長、事業部長)、サブセクションチーフなどがあります。
基本的に社員自ら手を挙げる主体性を求めています。リーダーの条件に適った時点で役職に就かせるというわけではなく、「期待を持たせている人事」となります。
私もマネージャーに上がったときや、拠点長になったときも、正直まだその器ではありませんでした。ただ自分としては「この会社をより良くしていきたい」という強い思いがあり、マネージャーになったら「自分のやれることが増える」という希望がみえたので、手を挙げました。
昇格は、やりたいという人がいて、そこにどれだけの思いがあり、覚悟があるかが伝われば、新たなポジションに就くことができます。
ただ想像以上に責任はあり、私も最初は負荷が大きくうまくいかないことも多かったのですが、どうすればいいのか試行錯誤しながら、成長することができています。
なお、役職が上がるときの研修制度はあります。年1回、合宿形式で自分のチームをどういうものにしたいのか、ビジョンや行動計画を考え、リーダーとしての在り方という点で、スタンス面やマインド面の人間力を高めるような場になっています。
さらに月1回、アライアンスという形で同じレイヤー同士がオンラインで集まり、課題解決を一緒に行ったり、気持ちを高めあったりしています。
Q.GPTWでの評価の理由について教えてください
蛎久様:評価いただいた要因として考えられるのは、働きがいや社内の仕組みや環境などについて、役職者から新人まで含めて話し合う場を設けたことが挙げられます。
また当社では福利厚生もユニークなものが多くあり、その一つに「コミュニケーション予算」の導入があります。
これは社員に人気の制度で、例えば神奈川支店所属の私が奈良まで行って、奈良本社の社員と一緒に隣のデスクで仕事をしたり、ご飯に行ったりなどを通して、コミュニケーションを取るという制度です。
交通費・宿泊費・食費は会社負担です。とくに福岡や愛知では、近い拠点が他になく、オフラインのコミュニケーションが特に難しい状況でした。
そこで、この予算を使って福岡の社員が関西まで新幹線で行き、泊まって飲み会をして福岡に帰ることもできるようになり、大変喜ばれています。
この制度導入により、そのあとのオンラインミーティングの様子が変わったり、仕事の相談がしやすくなったと社員から喜びの声が挙がったりました。
さらに私たちの仕事では、福岡の社員は九州エリアだけを対応するわけではなく、大阪や関東の案件対応もします。オフラインで1度でも過去に直接顔を合わせてのコミュニケーションをとっておけば、連携が取りやすくなります。
なにかあったときに、互いに「なんとかしたい、助けたい」というような一致団結して業務を行う環境ができていると感じられるようになりました。
Q.さらにGPTW女性ランキングでは1位となりました。おめでとうございます。
坂上様:ありがとうございます。実際のところ、今年度最新の役職比率では女性が55%となり、ついに女性の方が過半数となりました。
女性比率を高めようと特別何かを行ったわけではなく、個人の能力を公正に評価した結果なのですが、リーダー素養に恵まれた女性人財が数多く集まった結果だと嬉しく思います。
そこには女性に対する働き方への柔軟な対応ができている背景もあります。男性の育休取得実績は2018年からありましたが、今年の年明けに、会社として初めて産休・育休を取得する社員がいました。
その社員はマネージャーの女性社員ですが、マネージャーでありながらプライベートを充実させつつ、産後の復帰プランなども立てています。
こうした産休・育休はもちろん、時短勤務・在宅勤務など多様な働き方を推進することで、女性のみならず、社員の働きやすい職場の実現に一役買っています。
一方で仕事内容も、女性にとって多様性にあふれた職場になっていると感じています。例えばイベント現場に行くことが好きということで、トラックドライバーや現場ディレクターとして現場に行くような女性社員もいます。
一方で、私は事務系の仕事がメインですが、そうした皆をサポートすることで活躍できる幅のある舞台が揃っています。
ほかにも、音楽に興味があるなら、こんな音楽イベントの話が来たからどう?など仕事の内容も多種多様にあるため自分の好きなイベント現場に関われるチャンスがあります。
その他、15年ほど前から「マザーワーク」という働くママさんのための制度があり、例えば保育園の送り迎えのため15時で退勤することや、急に子供が発熱した場合など、家庭の事情があればペナルティなく出勤時間をずらしたり、休めるような仕組み・雰囲気づくりをしています。
これも普段から仕事を共有し合い、フォローしあえる場づくりがあるからこそでしょう。こうした働きやすさ、やりがいのある職場づくりは、今後も積極的に継続・発展させていきたいと思います。