株式会社ARISE analytics|「人」こそが会社運営の原動力 CWOによる働きがいのある会社とは

更新:2024/09/19

作成:2024/08/29

Marketo用記事サムネv29_株式会社ARISE analytics

最先端のデータ処理・分析技術をもち、企業のマーケティングやDX支援サービスなどを展開しているARISE analytics。2024年版Great Place to Work® Institute Japan「働きがいのある会社」ランキング中規模部門において、ベスト100社に選出されています。

 

コーポレートミッションである「Best Partner for innovation, Best Creator for the future」の実現のためにどのような人材を集め、さらにスタッフ同士が働きやすくフラットな立場で意見を言い合える環境・文化構築のため、いかに組織づくりをしてきたかを、Chief Workstyle Officer 佐々木 彰様に伺いました。

会社情報

会社名:株式会社ARISE analytics様
設立:2017年2月27日
従業員:183名(業務委託・派遣含め約600名、2024年9月現在)
KDDIとアクセンチュアのジョイントベンチャーとして2017年に設立され、KDDIのビッグデータとアクセンチュアの技術・知見を活かしたデータサイエンスによる企業のデータドリブン経営支援を行っている。350名を超えるデータサイエンティストが活躍しており、分析設計やモデル構築、データ基盤構築・運用や分析人材育成など、様々なプロジェクトを幅広く支援している。

<目次>

Q.貴社の沿革と事業内容について教えてください

佐々木様:当社はKDDIとアクセンチュアの合弁会社として2017年に設立しました。役割としては、KDDIのデータドリブン経営推進支援です。

 

この7年、KDDIとグループ会社向けにデータドリブン化やDXの支援を広く実施してきたことで、順調に成長することができました。現在では、それらで培った経験・ノウハウを生かし、外部企業向けの事業も開始し、新たなチャレンジをスタートしています。

Q.佐々木様はCWO(Chief Workstyle Officer)として、どのような業務を担っているのでしょうか?

 

佐々木様:ワークスタイルという言葉が含まれる通り、CWOは働き方に責任を持つ役職です。担当領域を一言で表せば人事となりますが、社員の働き方全般に対して改善していく責任を持っています。

 

当社の事業では特定の製品やサービスを提供するわけではありません。当社の商材はデータサイエンティスト、つまり「人」です。

 

社員はお客様の課題を把握し、データを活用してアプローチを考え、分析結果をもとに施策を提案・実施することにあります。したがって当社の事業を維持・拡大していくためには、優秀な人材をどれだけ確保できるかが重要です。

Q.佐々木様の思う、「働きがい」の定義について教えてください。

佐々木様:私が考える働きがいを生み出す要素は「成長実感」「貢献実感」「働きやすさ」の3つです。

 

最も重要なのは「成長実感」であり、自分が成長していることを感じられる環境にいるかどうかがポイントです。この成長実感さえあれば、どんなに仕事が大変でも「これを乗り越えれば成長できる」というモチベーションにつながります。

 

特にデータサイエンティストの領域は生成AIなどの新しい技術が次々と生まれています。そのため、データサイエンティストは常にそれら新しい技術をキャッチアップし成長することが求められます。会社としても社員が成長しそれを実感できる環境を整えることに注力しています。

 

しかし、成長実感だけでは働きがいを構築するには不十分で、誰しもどこかで行き詰まりを感じるようになります。自分自身の成長だけ見ていると、何のために仕事をしているか、疑問が出てくるものです。

 

そのときに重要となるのが「貢献実感」です。社会やお客様、チームメンバーに対して貢献できている実感を持つことで働きがいにつながります。

 

こうした成長実感や貢献実感を得られやすい環境を整えつつ、個人の生活リズムやライフステージに合わせて働く時間や場所を選択できる仕組みも整えていくことで、「働きがい」は向上していくと考えています。

Q.これまでの急成長で、どのように組織を拡大させてきましたか?

佐々木様:他社でもよく言われるように、30人、100人といった節目で、組織の成長に伴う壁を感じることはありました。当社では、こうした壁に早期に気づき対処するために、設立時より半期毎にエンゲージメントサーベイを行ってきました。

 

このサーベイを通じて組織がどのような壁に直面しているかを早期に把握し、適切な対策を講じることで、スムーズに組織を拡大することができたと考えています。

 

特に最近は、組織が大きくなったことによって、経営層と社員との直接的なコミュニケーションが難しくなり、サーベイの結果にもその兆しが見られるようになっていました。そのため、経営層と社員の距離を埋める取り組みの一つとして、ここ数年はミドルマネジメントの役割強化に力を入れています。

 

ミドルマネジメントが経営層の考えを理解し、社員に伝える役割を果たすのと同時に、社員の声を拾い上げ、経営層へフィードバックすることで、組織が一体となるように努めています。

Q.採用ではどのような点を重視しているのでしょうか?

佐々木様:「若手のポテンシャルがある人を採用する」というポイントは、設立当初から変わっていません。データサイエンス業界はまだ歴史が浅く、リーダーとして十分な経験を持った人材は多くはありません。

 

他の業界であれば、マネジメント層を中途で採用し、彼ら/彼女らを中核として成長させる方法もありますが、この業界はまだ経験豊富な人材が少なく、業界全体で育成していく必要があるように思います。

 

そのため、当社としては早期にリーダーになれるポテンシャルのある人材の採用を重視しています。

 

そこで当社が求めているのは、「真面目」「素直」「謙虚」という特質を持つ人材です。これらの特質を持つ人材が最も成長できると考えています。自身に足りない部分を謙虚に受け止め、他者からフィードバックを素直に受け入れて、真面目に改善する努力ができるかどうかが、成長スピードに大きく影響します。

 

この理念をさらに体系的に示したのが当社のコアバリュー「Ambition(チャレンジする)」「Respect(他者を尊重する)」「Interest(学び続ける)」「Sincerity(自分に向き合う)」「Execution(やりきる)」であり、その頭文字を並べると社名のARISE(アライズ)となります。

 

技術力は後から身に着けることもできますが、コアバリューに合致する「真面目」「素直」「謙虚」を兼ね備えた成長できる若い人材を多く採用しています。

Q.貴社の人材育成や教育体制についてお聞かせください

佐々木様:育成方法は大きくOJT(On-the-Job Training)とOff-JT(Off-the-Job Training)の2つに分けられます。Off-JTは必要な知識を学ぶための体系的なトレーニングであり、あくまで知識を得るための取り組みです。

 

やはり社員が成長し、リーダーとなり、仕事で成果を出していくために必要なのはOJTであり、業務を通じ、学びながら成長していくことが重要であると考えています。

 

仕組みについては親会社であるアクセンチュアのスキームを基に構築しています。アクセンチュア出身のメンバーがリーダーとして指導役となり、その下にプロパー社員や同世代のアクセンチュア出身者がいます。

 

プロパー社員は、このアクセンチュアの上下関係の中で「学びながら成長する」姿を見て、自らも成長していく形を取っています。このように、アクセンチュアの人材育成の仕組みを当社に取り入れ、体系的に実施しています。

 

さらに若手にも権威移譲していることも特徴の一つです。若手社員が自ら考え、自分の責任として行動することで、成長が促進されます。もちろん、実際の責任は上司が負いますが、自分の仕事としてやりきる意識を持つことが重要です。

 

その他、成長を促進するための当社独自の様々な施策を設けています。例えば「おせっかいファミリー」という施策では、新入社員に対して、別部署の先輩社員が「おせっかい役」となり、業務で困っていることなどを相談できる体制を整えています。

 

直属の上司との1on1では話しづらいことも別部署の先輩に相談することで解決できることもあり、部署を越えたコミュニケーションも図ることができます。

 

また、毎週金曜日の午前中は会議などの業務を行わず、社員が自己研鑽に充てる時間にしています。これは会社設立初期から続けている制度です。

 

設立当時は、業務が山積みで自己研鑽の時間確保が難しく、技術的なスキル向上が十分に行えないことが課題となっていました。そのため、会社として技術的成長のための時間を確保するべく、金曜午前中を自己研鑽の時間としたのです。

 

これらは「ARISE university」という当社独自の教育体系の一つであり、On-Boarding、Learning、Training、Careerという4つのカリキュラムで構成されています。その他にも、様々な勉強会やトレーニング、ワークショップをはじめ、書籍購入、外部講習受講など、社員の成長をサポートするための様々な制度を整えています。

Q.ミッション・バリューの浸透はどのように行っていますか?

佐々木様:いかに各レイヤーで浸透させていくかがポイントです。特に、ミドルマネジメントの役割は重要だと考えています。

 

通常、マネジメント層への浸透がまず重視されるべきですが、当社の場合、現在のマネジメント層は設立時からのメンバーが中心で、彼ら自身がミッション・バリューを共に考え、一緒に浸透させてきたため、すでにその点はクリアしています。そのため、そこから下のレイヤーへの浸透を主に進めています。

 

当社の人員構成上、ミドルマネジメント層には、プロパー社員の他、KDDI、アクセンチュアと各原籍会社のメンバーが混在しています。半年に1度、それらメンバーを集め、経営課題などを共有し、ミドルマネジメントとしてどのように行動すべきか、メンバーにどのようにアプローチすべきかをミッション・バリューに基づき伝えています。

 

これにより、ミドルマネジメント層がその内容を自身の配下メンバーに効果的に伝達することが可能となります。

 

また、忘年会や年度末の感謝祭などの全社イベントを原籍会社の枠を超えて開催し、一体感をもって働けるような仕掛けづくりを行っています。全社員が同じARISEのメンバーとして考え、行動するための共通的な取り組みをすることで、ミッションやバリューがより浸透しやすい環境を作り出しています。

Q.人事評価について教えてください

佐々木様:公平に透明性高く評価することが最も重要だと考えています。

 

新入社員から役員まで等級制度が整備されており、例えばデータサイエンティストのマネージャー層であれば、「いかにお客様に価値を提供できているか」、「いかにプロジェクトを適切にマネジメントできているか」「いかにメンバーを育成できているか」など、マネージャー層に求められる役割が等級ごとに明確に定義されています。

 

評価制度は、この定義に対してどれだけ期待に応えられているかを評価する絶対評価制度を採用しています。定められた基準を満たしていれば昇進が可能です。相対評価とは異なり、他の社員との比較で昇進が決まることがありません。

 

これにより社員は自分の役割や期待される成果を理解しやすくなります。自分の現状を把握したうえで、上司と「どの点が不足しているのか」「どのような経験・スキルが必要か」といった具体的なキャリアプランの話し合いができるようになります。

 

そのため、上司と部下で月1回行う1on1では、具体的なアドバイスも可能になり、上司と部下の目線が一致しやすくなります。

 

もちろん、昇進が絶対評価に基づくため、基準を満たしていなければ昇進はありません。次のステップに進めなかった社員には、何が足りなかったのかを具体的にフィードバックし、改善点を明確に示すようにしています。これにより、評価のあいまいさを排除し、より厳密で公正な評価が行われる仕組みを構築しています。

Q.評価側のスキルも上がってきているのですね?

佐々木様:はい。評価者研修をしっかり行っており、それがミドルマネジメント層の強化の一環でもあります。ミドルマネジメントの役割には、適切な評価とフィードバックが重要な要素として含まれており、原籍会社に関係なく、これらのスキルを向上させるための研修プログラムを整備しています。

 

また、評価会議には、社長と私は必ず参加しています。これにより各等級を横断的に見ることができます。評価者によって判断が甘くなったり、厳しくなったりすることを避け、部署間や各等級内の評価の公平性を担保しています。

 

さらに、この社員がなぜ昇格したか、あるいはしなかったかを記録をし、ミドルマネジメントにフィードバックしています。そうすることで、どのような観点で人材を評価するべきかが明確化されるので、評価スキル向上を目指せます。

Q.CWOとして、今後の展望をお聞かせください

佐々木様:私のミッションは「世界一働きがいのある環境を作る」ことです。「成長実感」「貢献実感」「働きやすさ」という3つの要素のもと、それぞれをいかに高められるかを考え、仕組みづくりを進めていきたいと思っています。

 

特に「成長」は重要なキーワードであり、人が成長しリーダーとなり、さらにリーダーからマネジメント層に上がっていく仕組みを体系化していくことが目標です。

 

どの業界でもリーダーになるまで時間がかかったり、マネジメント層にたどり着かなかったりする人がいますが、そこには本人に原因(資質やマインド)があるだけではなく、会社側が的確に育成できていない側面もあると考えています。

 

機会提供ができていない、適切なフィードバックがされていないなど、会社としてできることがまだ多くあります。成長ステージに応じた適切な配置変換や機会提供を行うことで、成長スピードは大きく変わってくるので、個々の状況に合わせて成長をサポートしていきたいと思います。

 

さらに働きがいを計測するツールとしてGPTWのサーベイは貴重な存在です。現在、当社は中規模部門で17位なので、1位を目指していきたいですね。まずは日本一を達成しなければ、世界一には到達できませんから。

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