株式会社ウェザーニューズ|「いざという時、人の役に立ちたい」という思いをもとに働きがい、働きやすさを見出す

更新:2024/11/21

作成:2024/11/12

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日本を拠点に、世界21カ国、30拠点において、気象コンテンツおよびリスクコミュニケーションサービスを展開する世界最大の民間気象情報会社、ウェザーニューズ。2024年版Great Place to Work® Institute Japanの「働きがいのある会社」ランキング中規模部門において、ベストカンパニーに選出されています。

 

社員がイニシアチブを持ち、会社はその活動をサポートすることで、新たなコンテンツや社内の仕組み、ビジネスを構築するなど、チャレンジできる土壌を作り上げています。働きがいのある職場を作るための取り組みを、人事総務部 人事責任者 花田 孝之様にお伺いしました。

会社情報

会社名:株式会社ウェザーニューズ様
設立:1986年6月11日
従業員:1152人(2024年5月31日現在)
気象に関するIT開発、観測機器等の研究開発、気象・海象の解析や予報、国内放送局の防災・気象キャスター業務などを行う。事業分野は多岐にわたり、航海気象、航空気象、陸上気象、環境気象、スポーツ気象、モバイル・インターネット気象、放送気象、気候変動など多岐に渡る事業分野へサービスを提供している。さらに様々な気象データとビジネスデータを組み合わせ、新たな価値をサポーター(エンドユーザー)へ提供するコンテンツ開発・運営も行う。

<目次>

Q.貴社の沿革と事業内容を教えてください

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花田様:設立のきっかけとなったのは、1970年に福島県小名浜港で起きた海難事故です。創業者の石橋博良が商社に在籍していた際に関与していた荷物運送の船が、爆弾低気圧で沈没し、15名の尊い命が奪われました。

 

当時は船乗りに対して気象情報が十分に提供されておらず、事故を防ぐ手段がなかったためです。この経験を通して石橋は、「本当に役立つ気象情報があれば、この事故は防げたかもしれない」と考え、「船乗りの命を守りたい。いざという時、人の役に立ちたい。」という思いから、会社設立を決意しました。

 

この「いざという時、人の役に立ちたい。」という思いは、今も社員に受け継がれて、事業の枠を広げています。提供する気象サービスは、陸・海・空へと広がり、さらにモバイルやインターネットへも事業拡大しました。

 

トリニティループ

 

当社のサービスは、気象やビジネスなど様々なレイヤーの情報(Data)を高度な未来予測(Forecast)に活かし、未来予測の価値を共有する場(Community)を拡大・発展させることで、新たな情報(Data)が得られるようなループするバリューチェーンを描いています。

 

また、航海士や鉄道コミュニティへ提供した気象情報やビジネス情報が正しかったか、対策がうまく機能したかなどのフィードバックを得て、次のビジネス向上へと結びつけています。

Q.今後の事業兼展開についてはどのようにお考えですか?

花田様:創業以来、当社の事業は元々はBtoBが主体であり、海運会社や航空会社など法人向けに気象情報とビジネス情報を提供してきました。その後、個人向けにも情報提供を展開してきています。個人向けのビジネスを弊社ではBtoS と呼んでいます。

 

BtoSの「S」は従来のC(コンシューマー)に代わる「サポーター」を意味しています。今後はこのBtoSとBtoBのシナジーをより高め、次のステージへの展開を目指しています。

 

また、最近ではAIをはじめとしたDXの潮流にも注視しています。ビッグデータやマシンラーニングを活用し、情報の精緻化やスケール化への対応を進め、SaaS化によるグローバル展開も視野に入れています。

 

我々の事業の根底には、「All for one, One for all」の精神、つまり「お互いに助け合おう」という思いがあります。「いざという時、人の役に立ちたい」という理念をもち、サポーターの価値創造を実現し続けることを目指しています。

Q.貴社の理念は、どのように浸透しているのでしょうか?

花田様:創業者である石橋の思いや言葉は、社内の至る所に残っています。

 

経営理念である「サポーター価値創造『Always with you』」の下には、「サポーターとの共感・共創」「感謝のリサイクル方程式」「愛され期待され続けるコンテンツ・メーカー」「革新的なサービスへの挑戦」「地球環境への貢献」「地球の情報交信台」「メリトクラシー」「高貢献・高収益・高分配」「自己実現や他者実現」といった9つのキーワードがあります。

 

これらに込められた創業者の石橋の想いを受け継ぎながら、時代に合わせて常にバージョンアップしています。

 

また、当社では行動指針として「イニシアチブ」「相互信頼」「共同体の一員としての自己認識」の3つの文化(価値観)を掲げています。これらは社員の共通価値観として位置づけられ、人事評価項目の中にも含まれています。また、採用においても価値観への共感性は重視しています。

 

さらに、当社では毎週月曜日に全社集会を行っており、その中で3代目社長の石橋知博が全社員にメッセージを送っています。全社集会の場でも、経営理念や行動指針は頻繁に伝えられ、会議や業務の中でも日常的に使用されることで浸透しています。

Q.21か国30拠点とグローバル化する中、海外への文化浸透はいかがですか?

花田様:海外でも国内と同様に文化浸透に取り組んでいますが、課題も存在します。打開策として、海外からスタッフを年に数回日本に呼ぶなどの工夫を行っています。しかし、言葉の違いや、日本文化に立脚した考え方が多いため、容易には通じません。

 

創業者の石橋も、日本人と海外スタッフの間には距離感があると感じ、あえて共通の社内用語を作り出すなどの工夫をしました。

 

例えば、半期に1回の全社方針策定会議の呼び名である「DECK」という最近できた社内ワードは、「Dream Enthusiasm Concept Kickoff」の頭文字から作った造語です。このようなオリジナルの用語を作り、共通の意識を持たせるようにしています。

 

一方で、海外事業を展開する上では、ローカライズして、その土地の文化や商習慣に合わせていくことも重要だと考えています。

Q.グローバル展開をするためには、ダイバーシティの側面も重要ですか?

外国籍とのミーティング

 

花田様:そうですね。当社のスタッフは現在、外国籍が約28%、女性社員が約33%を占めています。国籍や性別にとらわれず、イニシアチブを持った個性ある人材を採用してきました。

 

その上で、一人ひとりが何を動機に仕事をし、何を大切にしているかを考慮して配置先を決定し、それぞれの能力が発揮できるように社内で運用しています。

 

最近はダイバーシティ委員会も設立しました。創業以来の企業文化が強い中でダイバーシティを進めていくことは容易ではありません。どこまで許容し、どうバランスをとるかが大きな課題となっています。

 

共通しているのは、世のため、人のために役立ち、地球を守りたいという思いです。やりがいを求めている人々の集団であることは間違いなく、個々の目標実現を前提に、多様な価値観を理解しながら進めていきたいと考えています。

Q.採用で重視している点についてお聞かせ下さい

花田様:応募者としては、やはり気象分野を勉強している学生が多いです。他社と比べて特徴的な採用活動をしているわけではありませんが、先述した3つの文化への共感度や適応度は重視しています。

 

また、仕事をする上で「何をしたらいいか」と聞いてくる人材よりも、「自分はこれで貢献したい」「ここを追求したい」と言える人材を採用しています。

 

気象に関する専門知識やITの技術は必要ですが、まずは文化適応度が重要です。例えば、以前、知識や経験が豊富で他社でもすぐに採用されそうな方がいましたが、「Dreamや実現したいことの方向性が合ってないのではないか?」という理由で現場から採用を反対されたこともあります。

Q.貴社の社員の働きがいを高める要素・施策についてはいかがでしょうか

Award Celemony

 

花田様:当初に述べた創業者の「いざという時、人の役に立ちたい」という思いの下、当社では「働きがい」「働きやすさ」を常に追求しています。

 

当社では、社員にエンゲージメント調査を行うと、働きがいの部分が特に強く評価される傾向にあります。「人の役に立つ」ことに共感し期待を持って入社した社員が、当社で社会に貢献できる業務に就くことで、働きがいを見出しているということがよく現れています。

 

全社集会では数値目標の話もしますが、むしろ「どれだけ社会の役に立っているか」「もっと役に立てるようにするためにはどうしたらよいか」というような話が多く出てきます。「人の役に立つ」ことに共感している人が集まっているからこそ、いかに働きがいを実現させるかという点が重視されています。

 

一方で「働きやすさ」については、かつては「weather never sleeps(天気は眠らない)」と謳い、自分たちも寝ないで頑張ろうとしていた時代もありました。しかし今は、24時間働くのではなく、しっかり休みを取りつつ、いつでもどこでも働ける環境づくりに努めています。

 

最近では、ボランティア休暇を導入しました。これは今年(2024年)起きた能登地震や豪雨の時に、何か役に立ちたいと考えた社員が多数いたことに端を発しています。現地への交通費などをサポートするなど、会社も支援しています。

 

また、「Hydepark」という社員が集まれる場も設けています。これは新しい技術を開発した際などにナレッジシェアができる場であり、社員が自分で資料を作り、自ら発信できるようになっています。

 

このようにイニシアチブを持って取り組む意思があれば、社歴や世代を越えて、社員に責任と権限を持たせてサポートします。可能性を最大化し、社員が活躍できるようフォローしていくことがモチベーションにもつながっているようです。

 

さらに、アワードセレモニーも半年に1回開催しています。アワードセレモニーは仲間が自分を助け、励ましてくれたことや、表立ってはいないが陰で頑張っている社員同士が称え合う機会となっています。

 

感謝の言葉と共に投票を行い、多くの票を集めた人を中心に委員会で選考し表彰しています。表彰された内容を見れば、会社がどんな人を求め、何を重視しているかがわかり、さらなる文化浸透のきっかけにもなるでしょう。

Q.人事評価はどのように行われていますか?

花田様:評価は四半期ごとに行っています。評価には主に2つの軸があり、1つは文化に沿った仕事ができているかどうかであり、これを「実力表1」を用いて評価します。

 

もう1つは、それぞれの職務(ジョブディスクリプション)に合わせた成果があり、その成果を「実力表2」を使って評価しています。この2つの掛け合わせで総合評価を行っています。

 

さらに、評価の透明性を保つために、マトリクス評価委員会(課長職以上)を設けています。そこで社員のどの面を考慮して昇格したかなどを確認し合っています。

 

加えて、社員の番付表も作成しています。これは文字通り相撲の番付表のようなもので、誰がどの格付けにあるかが一目でわかります。例えば、横綱が部長、大関が課長などと示されており、格付けごとに年収も明記されているため、収入に対してどれだけ仕事をしているかの目安になります。

 

物言いがつくこともあり、場合によっては降格(当社ではこれを“しゃがむ”と呼びます)することもありますが、それだけ透明性を持った公平なシステムになっています。誰もが意見を言うことができ、社内での有利・不利といったこともありません。

 

透明性を持たせることには、厳しい側面もありますが、その分自分を律することになります。若い社員でも番付を上げることができるため、年功序列は存在しません。また、これまでは当社に定年がありませんでしたが、1年半前に選択定年制を導入しました。選択の範囲は60〜70歳となり、自分の出処進退を自分で選べるようになっています。

Q.研修制度など、今後の人材育成についてお聞かせください

花田様:課長に昇進した際には新任リーダー研修を行っていますが、これまで目立った研修は他にありませんでした。

 

今年から、組織力を高めるために、まずマネジメント力を強化しようと課長職以上を対象にしたマネジメント研修を開始しました。この研修では、経営戦略や人材マネジメントを体系的に学んでいます。

 

これまでお話しした通り、当社は「イニシアチブ」「相互信頼」「共同体の一員としての自己認識」の3つの文化を通じて、社員のやる気を引き出そうとしてきました。やりたいことを止めることはまずありませんでしたが、逆に言えば教育による引き伸ばしが行われていなかったのです。

 

その結果、個々の成長に差が生じ、パフォーマンスが最大限に発揮されていない場合もありました。そこで、研修などを通じて対人関係を築き上げ、組織力を向上させ、イニシアチブをさらに発揮できる環境を作っていきたいと考えています。

 

ヒューマンスキルの向上については発展途上にあり、今年から360度レビューも開始しました。こちらは人事評価には結びつけていませんが、リーダー層の成長を促すきっかけとなるでしょう。今後も人材育成のための施策をさらに検討していきたいと思っています。

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