トレック・ジャパン株式会社|ファンを魅了するホスピタリティで 世界に愛されるバイクブランドを確立

更新:2025/03/10

作成:2025/03/06

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米トレックバイシクル社の100%子会社として、自転車やその用品について、卸売および全国で直営店を運営するトレック・ジャパン。2025年版Great Place to Work® Institute Japan「働きがいのある会社」ランキング中規模部門に認定され、若手ランキングで第5位にランクインしています。

 

自転車通勤をはじめ、昼休みや週末のグループライドを促進、支援する制度など、バイクカンパニーらしい環境をいかに強化し、組織づくりを行っているのかを、HRGA Manager 池田 寛通様に伺いました。

 

会社情報

会社名:トレック・ジャパン株式会社様
設立:1991年2月
従業員:160名(2025年2月時点)
自転車や関連商品の輸入および販売を行う。世界中のサイクリストがユーザーであり、ロードバイク、マウンテンバイク、クロスバイクから最先端の電動アシスト付きスポーツ自転車e-bikeまで、開発するラインナップは多岐に渡る。ユーザーの求めるカスタマイズにも幅広く対応し、業界でも類を見ない過酷な品質テストを行い、サイクリストの安心と安全を考慮した製品づくりで、生涯補償も提供している。

 

<目次>

Q.貴社の沿革と事業内容について教えてください

 

池田様:当社は1976年米国ウィスコンシン州で創立した、スポーツバイク(自転車)メーカーです。スポーツバイク本体だけでなく、ヘルメットやライトなどの製造も行っており、幅広い商品展開が一つの強みです。

 

日本法人であるトレック・ジャパンは1991年に発足し、日本国内でブランドの卸売や小売業を展開しています。世界有数の総合スポーツバイクメーカーとして、最先端の技術により革新的な自転車を世に送り出し、プロレーサーをはじめ、本物を求める多くのコアなファンの人々に愛され、今日に至ります。

 

外資系のスポーツブランドとしては珍しく、30年を超えるベテラン社員が在籍しているのも特徴といえるでしょう。

 

我々はミッションを「we build only products we love, provide incredible hospitality to our customers, and change the world by getting more people on bikes.(愛する製品のみを作り、お客さまに最高のおもてなしを提供し、より多くの人々をバイクに乗せて、世界を変えよう。)」と掲げています。

 

「Ride bikes. Have fun. Feel good」というタグラインもあり、これは様々な人をバイクに乗せて、楽しんでもらいたいという意図を込めています。来年2026年にはグローバルで50周年の節目を迎えますが、この思いは変わらず継続していきます。

 

Q.トレックファンが社内外で多い中、マネジメントをいかに推進していますか?

 

池田様:私は2024年に入社したのですが、入ってみると社員の自転車への思いというのは様々で、熱の入れ方の違いや温度差はあるなと感じました。しかし、そうした中でも「トレックブランドが大好きだ」という社員の思いに差はなく、社員各自が責任感を持って、積極的に業務を推進できることは強みだと感じています。

 

私たちの社内の表現で「DRI」という言葉があるのですが、これは、Directly Responsible Individualの略で、様々な場面やプロジェクトでの責任者のことを指します。

 

当社の全ての社員にリーダーとしての自覚を促し、行動に繋げることを意図しているのですが、ブランドロイヤリティの高い会社だからこそ推進できているのだと、普段から感じています。

 

一方で、全く自転車に通じていない人もいますが、そうした方々は、私たちの働き方がライフスタイルにマッチしていたり、店舗の雰囲気やホスピタリティに共感して入社しています。前述の通り、やはり会社への愛情に差はありませんので、社員同士ができるだけ同じ目線を持てるように、社内コミュニティづくりを推進しています。

 

例えば、社内でコミュニケーションを取りやすいようにお菓子スペースを設けたり、「TREK100」という全社イベントを開催しています。こちらは、ウィスコンシン州で開催している地域コミュニティのためのボランティアライブイベントが原型です。

 

それを2年前からトレック・ジャパンでも行い、去年はオフィスだけでなくストアスタッフも参加し、皆が揃った形で開催できました。

 

そのほかにコミュニティづくりの一環として、店舗に慰労の意味を込めて、オフィスから小さいメッセージカードとゼリーを送ったりと、社員間のコミュニケーションで熱量の差は徐々に埋まりつつあります。

 

なお、当社はロードバイクが有名だと思いますが、ロードバイク以外にもキッズバイクやクロスバイクなど幅広い商品を展開しています。会社のミッションは、「より多くの人々をバイクに乗せて」とあるように、一つの商品群に興味が集中し過ぎると潜在顧客を逃すことになってしまいます。

 

社員間でも全員がロードバイクを目いっぱい漕ぐのが楽しいというだけではなく、ポタリングという比較的ゆっくり自転車に乗ることを楽しむことが好きなグループがあったりと、それぞれが楽しむカルチャーを作り、そこで一体感を生み出せることが大事だと感じています。

 

Q.貴社の指標「L5L(Level 5 Leadership)」について教えてください

池田様:L5Lはコンピテンシー項目として、「Humility」「Will」「Best Team On The Field」「Vision」(謙虚さ、意志、ベストチーム、ビジョン)で構成されています。すべての社員がL5Lを意識して、実践していくための評価制度や教育プログラムがあります。

 

私は昨年この会社へ入社しましたが、これだけリーダーシップを重要視し、そこでの学びを大切にしている会社に出会ったのは久しぶりのことでした。

 

個々がパフォーマンスをあげるのはもちろん、なぜパフォーマンスを上げるのか、その先に何があるのか。その過程で何を大事にしなければいけないのかなど、ブランドとして示しているのがL5Lとなります。

 

社員がそれぞれL5Lを自覚して行動し、共通指標としているのですが、どれだけ意識して業務に当たっているか、どこに改善のポイントがあるかなどを、上司とチームメンバーの1on1ミーティングで半期に1度必ず見返すようにしており、それを「ホワイトボードセッション」の形で行い、評価にもつなげています。

 

ホワイトボードセッションはグローバル社長のジョン・バーク氏が重要視したもので、上司と部下のセッションの中で、その人の強み、弱み、関係性、今取り組んでいるパフォーマンスの改善点、キャリアのオポチュニティ、アクションなどを視覚的に落とし込むものです。

 

単に1on1をするのではなく、フレームワークの中でしっかり落とし込むことでフィードバックが図れるようになっています。ディベロップメントを含めたセッションとなるので、L5Lを起点にコンピテンシー開発やパフォーマンスマネジメントまでを見据えており、これらを一連のサイクルとして全世界で行っています。

 

なお教育プログラムとして、全社員が受講できるオンライン学習システム”Trek-U”が全世界で導入されています。ここで新入社員たちはL5Lはもちろん、販売スキルや自転車に関する技術的な知識も学ぶことができます。

 

このように、グローバルで共通のコンピテンシーを評価項目、育成項目の中で持っていたり、共通言語やシステムがあることは組織開発の視点でも有用であり、人材要件の定義を議論したり、今後の人材育成の方向性を議論する場でも大いに活用できています。

 

Q.社員が共通の価値観を持つ中で、貴社へのお客様の期待値はどこにあるのでしょうか?

池田様:まずプロダクト製品に対するクオリティの高さは、特にコアファンに求められているところでしょう。「自転車産業の中で最新鋭の創造的な最高のバイクを提供してほしい」という声に応えること、だからこそ、200万円のバイクが売れているのだと思います。

 

またホスピタリティの精神も大事にしており、評価シートには、おもてなしを測る指標があります。来店されたお客様や、購買客にNPS(ネット・プロモーティング・スコア)を答えていただき、それを指標として、さらにお客様のニーズに応えられる最高のサービスを提供していくようにしています。

 

また近年はいわゆる“街の自転車屋”が減っており、近場の店が少なくなっています。そこで当社が通いやすいショップとなり、コアファンから初心者まで幅広く展開することも重要なポイントとなります。

 

Q.GPTWへ参画された経緯を教えてください

池田様:GPTWのサーベイは、もともとグローバルで参加していたところに、リージョンで参加した経緯があります。ここで重要なのは、働く人たちに快適な環境を提供して、はじめてお客様のサービスにつながるということです。

 

米国でもトップテンへの目標を掲げており、当社も国内ナンバーワンになるという目標をしっかり構えており、働きやすい環境を整え、その先にいるお客様に最高のサービスを提供したいと考えております。

 

当社では、サーベイの結果をしっかりと人事部門や代表と振り返った上で、具体的な行動に移すことで改善を図っています。また大事なのはサーベイへの参加率であり、サーベイに参加し、回答をいただけないと改善アクションには繋がりません。

 

幸運なことに過去数回は社員からの回答率は100%を達成していますが、もちろんサーベイを押し付けるような形にはせず、自主的な参加と自由なフィードバックを促しています。

 

さらに結果を社内で共有するときには、単に発信して知らせるだけではなく、必ず開始前にトップからの参加を促すメッセージを送るようにしています。終わったらサーベイに関してのポイントを人事が分析して代表の坂下に共有し、その結果と会社としての方向性を発信するなど、透明性を高めています。

 

Q.米国本社の日本法人では、組織開発をどのように展開していますか?

池田様:求められる人材要件はグローバルで常に変化しており、当社もその影響を受けています。社内キャリアパスについては会社から与えられるものではなく、自ら切り拓いていく形を推奨しています。

 

そこで前述のホワイトボードセッションが重要となり、本人の短期~中長期のキャリア目標を上司が確認するようにしています。

 

これからの展望としては、社員一人ひとりのキャリアパスを確実にするため、このホワイトボードセッションでの内容をグローバルの人事システムに落とし込み、国内外へのキャリアパスへビジュアライズしていくのがHRサイドでの課題となっています。

 

なお当社は現状で新卒採用は実施していませんが、そのぶん在籍する社員の育成に注力しています。自転車メーカーですので、接客スキルや自転車の知識などへの教育が中心になりがちですが、人事ではもっと根っこの部分から人を育てるための教育体系を構築しました。

 

その根幹がL5Lであり、そこに込められた考え方を理解し、それに基づき行動することに価値があります。ここで足並みをそろえることで、価値観がバラバラにならず、同じ方向に向かって走っていくことができます。

 

もちろん中途採用は随時行っています。面接ではブランドに対するロイヤリティにあり、バイシクルインダストリーに対する愛はもちろん、自社商品を愛してもらえるところを採用の軸としています。

 

採用の基準はグローバルと同じですが、ストアマネージャーのリテンションが難しいところです。ストアマネージャーは店舗の売り上げを担う重責があり、その分リスクも高いものがあります。

 

ここに適任者を採用するのはもちろん、どのように育てるべきか、どういうキャリアを歩んでもらえるのか、その仕事に見合った報酬をどのように提供できるのかなど、採用するうえで職務の明確化、それに見合ったスキームを構築していくのがAPACやグローバルでも課題になっています。

 

Q.今後どのような会社にしたいとお考えですか?

 

池田様:現状に引き続き、バイクカンパニーらしさを追求し続けていきたいですね。当社では自転車通勤の奨励やグループライドを促進していますが、何より前述の「トレック100」が年に1度の一大イベントとなっており、社内のバイクカルチャーを醸成する側面があります。

 

そんなバイクカルチャーは社内で留めているだけでは勿体なく、社外に対しても発信していかなければならないと感じています。近年は、自転車運転中のスマホのチラ見が厳罰化されたり、ヘルメットの着用が義務化されたりしています。

 

こうした背景を踏まえ、一般の方へは、安全講習の発信を強化すべきでしょう。セミナーなども提案しはじめており、こうした活動をきっかけに、社会に受け入れられる会社へと成長できるのではないでしょうか。

 

また繰り返しになりますが、GPTWで国内ナンバーワンとなるため、社員がさらに前向きで明るく働く会社にしていきたいです。それには「Ride bikes. Have fun. Feel good」という、我々の価値観にマッチした人が入社し、最大限能力を発揮してパフォーマンスを上げられる環境づくりが不可欠です。

 

それによってお客様への最大限のサービスが提供できるようになり、当社の商品を介して皆様の生活がより豊かになるようにサポートできればいいですね。

 

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