株式会社コンカー|“高め合う文化”の作り方

更新:2024/03/05

作成:2022/01/08

コンカー

 「働きがいのある会社」ランキング4年連続1位!コンカーに学ぶ“高め合う文化”の作り方

<目次>

Q.コンカーが手がけている事業内容や強みを教えてください。

 コンカーは、米国ワシントン州に本社があるコンカー・テクノロジーズの日本支社です。この母体が2014年にSAPと経営統合し、現在は「SAP Concur」としてサービスを提供しています。

 当社の強みは2つあります。1つは、経費精算を中心とした間接業務クラウドサービスのデファクトスタンダードであることです。実際、米国において、コンカーは、フォーチューン誌が選ぶ「Fortune 500」企業のうち75%以上に採用されております。日本でも大企業を中心に利用が拡大し、国内時価総額トップ100社のうち、56社が導入しています。

 もう1つの強みは、日本企業の利益率向上と従業員の生産性向上を目的に、関連法の規制緩和を政府与党、関連省庁などに主体的に働きかけてきた実績があることです。企業、業界団体、競合企業、パートナー企業を巻き込みながら、スマートフォンによる領収書などの電子化を認める規制緩和を実現させました。

 おかげさまで事業環境は好調です。コロナ禍でリモートワークが浸透したこともあり、主力の経費精算クラウド「Concur Expense」に加えて、請求書管理クラウド「Concur Invoice」も伸びています。

Q.今後注力する事業を教えてください。

 今後は中堅中小企業やベンチャー企業への導入を積極的に進めていきたいと考えています。そのために、中堅中小企業やベンチャー企業がよりリーズナブルな価格で利用できる特別パッケージ(Concur Expense Standard)を提供しています。幅広い業種の企業に当社のサービスをご利用いただくことで間接業務の生産性を高め、99%が中小企業である日本マーケットのDX(デジタル・トランスフォーメーション)を支援したいと考えています。

 日本支社の売上高は、本社がある米国に次いで2位です。日本支社の取り組みを通して世界からも模範になるような事業を展開したいと思います。

Q.Great Place To Work Institute Japanが調査する、日本における「働きがいのある会社」ランキング(中規模部門)で2018年から4年連続となる1位を獲得しています。従業員のエンゲージメントを深めたり、モチベーションを高めたりする秘訣は何でしょうか?

 一番の根幹は「高め合う文化」、この企業文化の醸成に尽きると思います。当社が最も重視しているカルチャーであり、上司や同僚、部下の観点から双方向に、互いにフィードバックし合ったり、教え合ったり、感謝し合ったりすることで、スキルや人間性などを高め合うことを目指しています。この「高め合う文化」は、3つの文化で構成されています。

「フィードバックし合う文化」…自分自身/同僚/上司の観点から双方向に、良いことも悪いことも含めフィードバックをする
「教え合う文化」…社員同士教えたり助けたりすることでお互いに成長する
「感謝し合う文化」…日々感謝の気持ちを持ち、それを言葉にして伝える

 一般的にも「働きがい」を感じるシーンを想像すると、例えば、サービスを提供しているお客様から感謝の言葉を言われた時、提供しているサービスによって企業変革ができた時は、「働きがい」を感じる瞬間だと思います。コンカーでは、社内の中でもこのやり取りが多いんですよね。

 社内の誰かにタスクをお願いするとき、社外の人に比べて、やってもらって当たり前というスタンスがあり、「ありがとうございます」の一言で終わることが多くなりがちです。ただコンカーでは一歩深く、お互いの成長を思って、上下・自他部門に対して、しっかり感謝を伝える・称賛する・こうすればもっと良くなるとフィードバックをします。

 これは私の体験ですが、人事として社員に対して研修を開催することがあります。開催終了後にアンケートをとりますが、そのアンケートとは別にチャットで、「今日の研修良かったです!」「スムーズに運営してくれて助かりました」「ここをこうすればもっと研修満足度高くなると思います」と様々なフィードバックを個別にもらいました。これは私自身、初めて経験したことでした。人事として社員によりいい研修を提供したいと「働きがい」が高まった瞬間でしたね。
 
SAP Concur_office3

Q.この「高め合う文化」を醸成するために必要なドライバーは何でしょうか?

 「社員全員が夢や志、大儀との一体感」を持つことだと思います。これにより自分の仕事に対する誇りが高まります。また、自分の成長も大事ですが、会社のビジョンを本当に成し遂げたいと思えるからこそ、チーム、他のチーム、上長、同僚、あらゆる方向の成長を促進させたいという気持ちが生まれます。

Q.社員全員が夢や志、大儀との一体感を持つために、具体的に取り組んでいる施策を教えていただけませんでしょうか。

 仕事への誇りや会社との一体感を高めるために行っているのが、当社の信念を共有してベクトルを合わせることです。具体的には、当社のミッション、ビジョン、コアバリューなどを記した「Concur Japan Belief」を定め、社員に共有しています。

 特長は、単に共有するだけではなく、社員自身に会社のビジョンや経営課題について考えてもらう機会を設けていることです。それが年に1回行う合宿(オフサイトミーティング)です。昨年はコロナ禍ということもあり、ZOOMを使用してオンラインで開催しました。1チーム5~6人で構成された合計50チームが会社のビジョンを約1時間議論し、その後プレゼン資料を作って各チームが発表します。どのチームのビジョンが優れているか、トーナメント形式で争います。最後は経営陣がビジョンをとりまとめます。

 こうした経営陣や社員が一緒に議論したり、対話したりする機会は他にも積極的に作っています。4半期に1度行う「オールハンズミーティング」もその1つです。これは、経営陣がそれぞれ担当する事業の現状や課題、今後の戦略などを半日かけて全社員に説明する場です。その後、社員はチームごとに持ち帰って検討します。社員の視座を高めて、経営者的な視点を持ってもらうのが目的です。

 その他にもリモートワークで社員のコミュニケーションが希薄化しがちな中、社長自ら社員を「笑っていいとも」形式で紹介するオンライン会議「絆ミーティング」を隔週で行っています。社員がどのような思い・志で働いているのか、その社員の人柄が見えるので、社歴の浅い社員にとって既存社員や会社への理解度や共感度も高まり、コミュニケーション不足解消に繋がっています。

Q.高め合う文化を支えるために新卒採用や中途採用で意識している点はありますか?

 採用する人材に求める資質で特に重視する点は2つあります。

 1つは「コーチャブル」であること。コーチャブルとは、コーチングなどを素直に受け入れられる受容性を指します。フィードバックが多い会社ですので、コーチャブルな人材であることが求められます。

 もう1つはチームワーク「他者の成長を願う気持ち」がある方です。自分だけが成果を出せばいい、という方よりも、他者の成長を願って他者・他チームにフィードバックができる、フィードバックをする方は、より他者・他チームからフィードバックをもらえるので、成長範囲が広がり、高い成果を出すことができます。

 この2つは当社の文化を支えていくための根底を支える要素だと考えています。
 
SAP Concur_office

Q.リモートワークの浸透でチームワークや一体感が低下すると懸念する声は多いですが、工夫されている取り組みはありますか?

 コンカーはもともと出社前提の働き方でしたが、2020年以降段階的にリモートワークに切り替えました。リモートワークに移行したことで「働きがい」の低下に悩まされる企業も多い中、コンカーは、リモートワーク定着後の2021年の「働きがいのある会社」ランキングにおいても、総合部門・女性部門・若手部門で三冠をいただくことができました。「高め合う文化」のおかげで活発にやり取りがあるため、リモートワーク浸透後の大きな懸念とされているコミュニケーションの減少を食い止めることができたと考えています。

 一方で、普段業務上であまり接点のない人との偶発的な出会い・会話が生まれることがオフィスに出社することにおける価値だと考えています。リモートワーク下では、その偶発的な出会いは生まれません。その代替手段として「タコめぐり」といった社歴が短い社員と管理職の方の雑談の場(1時間に3人の管理職とローテーションで話ができる制度)を始めました。コンカーでは働きがいを高めるために約80の施策がありますが、環境の変化に応じて、さまざまな施策をアップデートしていくことも重要だと考えています。
 

 -働きがいを高めるための経営戦略や人事施策の考え方、さらには職場ですぐに実践できそうな具体的なアイデアをありがとうございました。

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