ファシリテーションのパワー【人を残すvol.117】

経営者向けメールマガジン「人を残す」fromJAIC

ファシリテーションのパワー

皆様

いつも大変お世話になっております。
株式会社ジェイックの梶田です。

先日、中学生の娘が友達の話をしてくれました。
普段から仲の良い4人のグループです。

・クラス委員も務める中心的存在のW子ちゃん
・いつもポジティブだけど少し天然気質のR子ちゃん
・少し控えめだけど素直で誰とでもうまくやれるS子ちゃん
・周囲をよく見て考えて行動する慎重派のT子(←ウチの娘)

その日、W子ちゃんとR子ちゃんが喧嘩をしてしまったそうです。

普段から思ったことをストレートに悪気なく言うR子ちゃん、
W子ちゃんは、いつも、大人の対応で上手にいなしているのですが、

この日は、虫の居所が悪かったのか、鬱憤が蓄積していたのか、
W子ちゃんは大爆発してしまったようです。

さすがのR子ちゃんも、いつもと違うW子ちゃんの様子に驚き、
周囲にも緊張が走ったそうです…

「ソーシャル・スタイル理論」という考え方があります。

人の思考や言動から、その人のタイプを4つに分類するのです。

・統率力に優れ結果に向けて迅速に行動するオオカミタイプ(W)

・奔放で前向き、周囲を盛り上げるお調子者のウサギタイプ(R)

・優しくて温和、気配りと協調性に優れたヒツジタイプ(S)

・冷静沈着で合理性を重視、堅実なしっかり者のカメタイプ(T)

小林様ご自身は、どのタイプに当てはまると思いますか?

この理論によると、人間関係は自然にうまく調和できる相手と、
そうでない相手がいるそうで、何もしなくても上手くいく相手は、
4人に1人の割合で、残る3人とは、努力が必要だといいます。

しかし、お互いのタイプ(特性)を理解し適切な対応を行うことで、
苦手な相手とも上手に付き合うことはできます。

そして、お互いのタイプを理解することは、1対1の関係では
なかなか解決に至らない懸案を解消することにもつながります…

娘の友達の話に戻ります。

R子ちゃん(ウサギタイプ)の不用意な言動に、
いたく立腹したW子ちゃん(オオカミタイプ)。

もともと物事に厳しい性格のW子ちゃんだけに、
R子ちゃんだけでなく、ウチの娘(T子)とS子ちゃんにも
今までに感じたことのない緊張が走ったそうです。

そして、その緊張に耐えかねて、
なんと、S子ちゃん(ヒツジタイプ)が泣き出してしまったのです。

それを見たW子ちゃんは驚いて、
S子ちゃんを慰めようとしたそうです。さすがの姉御肌。

S子ちゃんは、ふたり(W子とR子)が喧嘩するのは、
自分のことのように悲しい…こんな状態が続くと思ったら、
悲しくて悲しくて仕方がない、仲直りしてほしいと懇願します。

その中でW子ちゃんは、自分を顧みた様子だったそうです。

一方、ウチの娘T子(カメタイプ)は、
もう一人の当事者R子ちゃんを別の場所に連れて行きます。

そこで、なぜW子ちゃんが怒ったのかをR子ちゃんに考えさせ、
反省すべき点はどこだったのか、今後どうしていくのかを、
一緒に考えて話したそうです。

結果、二人はその日の下校途中に仲直りをしたそうです。

お互いの非を認め合い、今後も友達関係を維持していくために、
気を付けることを話し合いながらの帰り道だったそうです。

無論、そこには、我が娘のT子とS子ちゃんも並んで歩き、
話し合い、いつもの仲良し4人組に戻れたということでした。

我々は、人間関係を1対1で考えがちです。

しかし多くの場合、我々は組織の中の1人であり、
対応すべきは“特定の個人”ではなく自分を含む“集団”です。

集団に働き掛ける力、すなわち「集団対応力」は、
リーダーシップにもマネージャーシップにも必要な能力です。

今回、期せずして、娘たちが1対1の枠組みを外して、
集団の中でお互いの役割を認識し(本能的な面が強いですが)、
それぞれの特性を発揮できたことには、学ぶべきことがあります。

「集団対応力」は「ファシリテーション」とも言えます。

リーダーやマネージャーが、問題が起こった際に、
1対1の関係で直接解決に向かわせようとするのではなく、
メンバーの特性や強み等を考慮し、線ではなく円の関わりを演出。

「ティーチング」でもなく「コーチング」とも異なる、
多様性の土台の上に、組織シナジーを生み出す根本思想。

ここに組織開発の基本も含まれているように思います。

「マネジメントとは“ファシリテーション力”」

人づてに聞いた話ですが、昔、アメリカのある製造業で、
毎朝従業員に話しかける陽気な守衛さんがいたそうです。

“いい天気だね!こんな日はピクニックにでも行きたいね!”

“難しい顔してるな、今日は大一番を迎えるのかい?”

“Mr.●●が、昨日、キミのことをホメていたよ!”

“昨日ヤンキースが勝った!今日もきっと良いことあるぞ!”

そんな守衛さんの声掛けは、この会社の名物となっていて、
ほとんどの従業員が、この守衛さんと話したことがありました。

しかし、彼が定年を迎え退職すると、間もなく、
業績は低下の一途をたどり、ついには倒産してしまったそうです。

リーダーでもマネージャーでもない、一人の守衛さんが、
実は“偉大なファシリテーター”だったというお話です…。

今回の執筆者:「梶田貴俊」
(株式会社ジェイック 西日本代表講師)

著者情報

梶田 貴俊

元株式会社ジェイック シニアマネージャー(現ジェイック契約パートナー)

梶田 貴俊

前職、通信機器ベンチャー商社勤務時代にリーマンショックを経験。代表取締役として、事業再生計画を推進し同社のV字回復を実現した。現在はジェイックの講師として研修事業を牽引している。

著書、登壇セミナー

『会社を潰さないためのSunday Management List ―中小企業のリーダーがやるべき日曜日のマネジメントリスト』

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