映画「生きる」(黒澤明監督)より~【人を残すvol.120】

経営者向けメールマガジン「人を残す」fromJAIC

映画「生きる」(黒澤明監督)より~

いつも大変お世話になっております。
株式会社ジェイックの梶田です。

新年度が始まり1カ月が経ちました。

その間、弊社より新入社員向けの基礎研修や
定着フォローに関する様々な情報提供をさせて頂いています。

弊社のみならず、

「“Z世代”の新入社員や若手育成の落とし穴!!」
「ニューノーマルで現代の若者をどう育成するか?!」etc

…というような触れ込みで、ウェビナーや資料提供で、
情報収集を煽られる機会が活性化しています。

いつの時代でも、〇〇世代と若者は一括りで呼称されますね。

ちなみに、私の世代は“氷河期世代”と呼ばれました。

しかし、向き合ってみれば、どの若者にも個性があり、
自分の若い時と、内面的に、そう変わりがあるとは思えません。

誰も彼も、自分なりに社会人たろうとしています。

皆様は、黒澤明監督の「生きる」という映画を
ご覧になったことはございますか?

私は、セミナーやメルマガで映画の紹介をすることが多いので、
たまに“社員教育によい映画はないか?”と訊かれます。

「生きる」は古い映画で、初めて観たのは高校生の時、
社会科の授業で先生が視聴覚室を借りてみせてくれました。

全編モノクロの映画でしたが、今でもよく覚えています。

癌で余命わずかとなった役所勤務の平凡な男が、
“生きる”ことの意味を見つけるべく、様々な困難を乗り越え、
市民のために公園をつくる、そして、惜しまれつつ逝く…

という内容です。

映画冒頭のナレーションで、主人公のことをこう評するのです。

“これが、この物語の主人公である。
しかし、今、この男について語るのは退屈なだけだ。
なぜなら、彼は時間をつぶしているだけだからだ。
彼には、生きた時間がない。
(中略)
今や意欲や情熱は、少しもない。それは、役所の煩雑すぎる機構と、
無意味な忙しさの中で、全く磨り減らしてしまったのである。”

(「生きる」(1952年製作/黒澤明監督/配給:東宝)より引用)

物語の最後は、彼が作った公園で子供たちが遊んでいる姿とともに
彼の部下?後輩?が役所で意見を発しようとするのですが…

これ以上はネタバレになるので控えます。

ともかくも、黒澤明監督は

綺麗ごとではなく、組織で働く難しさ、社会の不合理さや不公平、
そういった現実をアイロニーたっぷりに表現しながら、

「生死の矛盾や働く上での不条理とどう戦うか」

を観客に問いかけています。そこにはもちろん、

「生きがいとは何か?」

という深遠なテーマがあります。

高校生ながらに、働く=生きることの苦しさと喜びの対比を、
そして、なんとなく虚しさのような感覚を持ちました。

社会人となり様々な現実に直面している1年生の皆さんへの
課題映画として面白い教材になるのではないでしょうか。

「マネジメントとは“生きがいを見つける”こと」

欲求階層説で有名な人間性心理学の祖、アブラハム・マズロー氏は、
著書「完全なる経営」のなかで、この「生きる」を引用しています。

マズローは人間の欲求を大きく二つに分けています。

・欠乏欲求(自分に足らないものを外から補おうとする)
・存在欲求(自分の存在意義を満たそうと自己成長に向かう)

その上で、「生きる」を引用しながらも、

自己実現(存在欲求)に向かう人たちが、良い会社をつくり、
良い会社は、自己実現(存在欲求)に向かう人をつくる、と言います。

皆様は、現代の若者に何を教えてあげたいですか?

今回の執筆者:「梶田貴俊」
(株式会社ジェイック 西日本代表講師)

著者情報

梶田 貴俊

元株式会社ジェイック シニアマネージャー(現ジェイック契約パートナー)

梶田 貴俊

前職、通信機器ベンチャー商社勤務時代にリーマンショックを経験。代表取締役として、事業再生計画を推進し同社のV字回復を実現した。現在はジェイックの講師として研修事業を牽引している。

著書、登壇セミナー

『会社を潰さないためのSunday Management List ―中小企業のリーダーがやるべき日曜日のマネジメントリスト』

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