【事例付き】リーダー向け!目標設定ポイントとは?成果につながる必要スキルも紹介

更新:2023/12/25

作成:2021/12/30

リーダーの役割は、組織メンバーに方向性を示しゴールに先導することです。したがって、リーダーは目標設定においても、組織全体の目指すべきところを示したり、また、各メンバーの目標設定を通じて組織の目標達成や能力向上を実現したりすることが求められます。

 

記事では、目標設定の重要性や、リーダーに求められる目標設定スキルや設定のポイント、流れ、さまざまな業種や部門の目標設定サンプル例を紹介します。

 

<目次>

目標設定の重要性とは?

ビジネスでは、以下のような理由で目標設定が非常に重要です。

  • チームの方向性やゴールを示す
  • メンバー一人ひとりへの期待事項を明確化する
  • メンバーの自走を促す

目標があるからこそ、現状把握や結果の振り返りを行なえます。目標がなければ、目指すゴールも不明瞭で、ゴールに向けて疾走することは困難になるでしょう。

 

目標設定されないということは、ゴールに向かうための計画も作れません。したがって、良い成果が出たとしてもしっかりとした振り返りも行なえず、成功の再現も難しくなるでしょう。

 

意味がない形骸化した目標設定

目標設定していても、運用が形骸化することで、あまり効果が得られていない組織も多くあります。例えば、以下のように形骸化した運用では、目標設定の効果を発揮することはできません。

  • 目標管理シートに好きな目標を書かせる
  • メンバーが設定した目標のチェックをしない
  • 目標達成の進捗や結果の振り返りをしない

「目標管理シートに目標記入させて提出させればいい」というやり方では、メンバーが目標に向かって主体的に動くことはなく、チームの成果は期待できません。

成果に繋がる目標設定の流れ【リーダー向け】

 

リーダーとして成果につながる目標設定を行いしっかり運用するためには、以下7つのポイントが大切になります。

 

経営方針や事業計画と紐づける

目標設定においては経営方針や事業計画、部門目標などの上位目標を確認し、上位目標の達成に紐づく形で、チーム目標・メンバー個人の目標を具体的に落とし込んでいきます。

 

視点としては、各メンバー、チームが目標を達成すれば、上位目標を達成できるようになっていることが大切です。特に、上位目標を達成するうえでの「肝」となるポイントがしっかりと押さえられていることが重要です。

 

メンバーの価値観などに紐づけて設定するを引き出す

目標設定を行うとき、経営方針や事業計画だけを紐付けた目標設定にするのではなく、メンバーの意思や価値観を尊重した設計にすることが重要です。

目標設定を行った後、インセンティブ等で外的に動機付けを行うのも大事ですが、メンバーのキャリアや将来の理想像を事前に引き出し、それに沿って設定することも大切です。

はじめからメンバーの価値観や意欲にも紐づいて目標を設定することで、たとえば「目標達成することによって描いているキャリアに対してどう近づけるか」などの内的な動機付けも非常にしやすくなります。を説明することでメンバーの意識も変わってきます。

分かりやすい話でいえば、成長意欲が高いメンバーであれば同じストレッチゾーンの中でも、かなりアッパーな水準で目標設定してもいいかもしれませんが、いまは意欲が低いメンバーであれば、ストレッチゾーンに設定しつつも押さめな水準にしたほうがいいでしょう。

経営方針だけに沿った目標設定にするのではなく、メンバーの価値観も尊重された目標設定を行うことで、この後の実行支援も円滑に進むでしょう。

 

ゴールが明確なSMART設計にする

目標=ゴールです。目標設定では、以下の「SMARTの法則」を守ることが大切です。

  • Specific(具体的)
  • Measurable(測定可能)
  • Achievable(達成可能)
  • Related(上位目標に紐づく)
  • Time-bound(明確な期限)

リーダーが目標をチェックする際には、以下の点がポイントです。

  • 表現の具体性、測定可能性
  • 求められる水準や難易度の妥当性
  • 上位目標との紐づき

納得できる目標を設定できたら、目標達成のための行動計画、タスクリスト、スケジュールなどをメンバーに設定してもらいます。

 

ストレッチな目標を設定する

目標設定を行うとき、ギリギリ達成できる水準で設定されているかどうかも大切です。

 

目標設定水準を心理的な成長の考え方に照らし合わせて考えるとは大きく3つのゾーンがあります。「コンフォートゾーン」「ストレッチゾーン」「パニックゾーン」です。

 

まず「コンフォートゾーン」は、いまの能力などのなかで十分に達成できる水準です。こういった水準で目標を設定すると、極端にいえば「頑張らなくても達成できる」目標設定であり、能力的な向上などは見込めません。当然、待遇向上に向けた生産性UPなども見込みづらいでしょう。

 

続く「ストレッチゾーン」は、今の状態では背伸びしてやっと届くか届かないかの水準であり、簡単には届かない水準のことです。簡単には届かないため一定のストレスを感じるかもしれませんが、背伸びすることによって個人や組織の成長にもつながるゾーンです。

 

最後の「パニックゾーン」は極度な不安やストレスを感じるレベルの高い目標で、どれだけ頑張っても届かない目標ラインを指します。パニックゾーンの水準で設定してしまうと「頑張っても届かない」と割り切ってしまいメンバーのコミットやモチベーションは低下してしまいます。

 

従って目標設定する際には、ストレッチゾーンで設定されているかを意識して策定しましょう。

 

目標達成の動機付けを行なう

目標設定において非常に重要となるのが、目標を「自分事」にして、主体的に動いてもらうための動機づけです。

 

プライベートと違ってビジネスにおける目標設定は、上から与えられたものになりがちです。目標達成への動機付けをきちんと実施しなかった場合、設定した目標は他人事になり、計画も「絵に描いた餅」で終わってしまいます。

 

なお、動機付けに関しては、設定段階でSMARTの法則内の「Achievable(達成可能)」は必ず押さえておく必要があります。目標に対して実現不可能と思えば、ほとんどの人がやる気を失います。

 

また、動機付けで本質的に大切なのは「Related(上位目標に紐づく)」を個人と紐付けることです。つまり、目標を組織の上位目標と紐付けると同時に、以下のような個人にとっての上位目標や目的、やる気の源泉と紐付けていくことが大切です。

  • ビジョン
  • キャリア
  • 自己成長
  • 仕事のやりがい
  • 評価
  • 報酬 など

目標達成の動機付けや紐付けは、メンバーとの対話(1on1など)を通じて実施することが重要になります。

 

計画の実行支援を行う

目標設定するときには、同時にメンバーに達成計画実行を支援するかも併せて考えておきましょう。リーダーは目標を設定することが仕事ではなく、目標を立てた後、達成できるように支援し、目標を達成することが仕事です。

 

目標達成に向けて動く中でどこの部分で苦労しやすいかを事前に洗い出し、仮にメンバーのモチベーションが下がった時にどのような実行支援を行うと良さそうなのかなども整理しておきましょう。

 

進捗確認を定期的に行なう

目標設定して十分な動機付けを行ない、しっかりとした計画が作成できれば、目標設定のフェーズは完了です。次は、定期レビューなどを通じて、目標達成の進捗や障害、懸念事項などを確認する場を設けることが重要となります。

 

また、目標達成に対する実務支援だけでなく、1on1などで業務目標以外を含めたメンバーの懸念や心配事、関心事をケアすることも大切です。

 

振り返り・評価を行なう

目標の設定期間が終わったら本人の自己評価とリーダーからの評価を実施します。良かった点、反省点の振り返りもシートに記入させて、次のクォーターの目標設定・達成に活かしてもらいましょう。

 

目標達成に対する振り返りと同時に、目標設定が妥当だったか?目標達成のプロセスはどうだったか?を振り返ると目標設定力の強化につながります。

リーダーの目標設定サンプル例

 

リーダー個人の目標設定は、前提として担当チームの業績責任をリーダー自身が担うことです。そのうえで、リーダー個人の目標設定としては、チームや組織目標を達成する肝となるKPIやステップ率を動かすための目標、メンバー育成などに関する目標を設定するとよいでしょう。

 

したがって、リーダーの目標設定を実施するには、チームや組織目標を達成するための方針や行動計画、KPIプランの作成などがポイントになります。なお、前述したような上位目標との紐付け、SMARTな目標表現、セルフでの動機付けなども大前提です。

 

以下では、リーダー個人の目標と、目標達成するための行動や計画のサンプル例を紹介していきます。

【営業部門①】リーダーの目標設定サンプル例

目標
  • 営業職1人あたりの売上を前期対比10%アップして〇〇万円とする
目標達成のための行動や計画
  • SFAを導入し、営業活動データの分析をする
  • 毎週水曜日に全員参加でロープレを行なう
  • 隔週で売上と商談状況チェックと個人データのグラフ化をする
  • 月1で全メンバーと1on1面談をする(実績が低いメンバーは隔週)
  • 月1で営業スキル研修を実施する
  • 実績が出ないメンバーの営業活動に同行する

【営業部門②】リーダーの目標設定サンプル例

目標
  • 営業担当の社内作業を軽減し、チームの訪問件数を20%増やし、月間〇件にする
目標達成のための行動や計画
  • SFA導入で社内業務を効率化する
  • 毎月行なう保守業務の請求書発行などを営業事務担当に任せる
  • 事前申請で客先への直行・直帰を認める
  • 日次でSFAをチェックし、アポイントメント件数が増えないメンバーにヒアリングする
  • 1on1面談を隔週で実施する

【カスターマーサポート①】リーダーの目標設定サンプル例

目標
  • お客様相談窓口のサポート満足度の評価3.7から4.2に向上させる
目標達成のための行動や計画
  • お客様相談窓口のサポート満足度アンケートで「不満の声」を洗い出す
  • お客様に不満や不安を与えるNGトーク集を作成する
  • NGトーク集に関する研修を実施する
  • 難しい事例についてロープレでトレーニングをする
  • 商品開発の担当者を研修に招き、商品の動作環境などを解説してもらう
  • SV(スーパーバイザー)が問い合わせ対応中の声のトーンをチェックする
  • オペレーターに対応記録を作成してもらい、不安や疑問点のデータ収集をする(フォローも必要)
  • SVとオペレーターの1on1を月1回実施する

【カスターマーサポート②】リーダーの目標設定サンプル例

目標
  • リピーター率を高め、初回購入からの1ヵ月以内リピート率を30%改善し〇%にする
目標達成のための行動や計画
  • 新チーム立ち上げ説明会の内容を充実させる(従来2時間→半日に増やす)
  • 想定質問に対するトークスクリプトの作成担当者を設ける
  • スクリプト作成担当者に一次解決率が低い質問をピックアップしてもらう
  • オペレーターが受電(架電)に入る前に、最新の想定質問に目を通す時間を設ける
  • 一次解決率が低いオペレーター向けに、業務概要や想定質問の勉強会を定期開催する
  • 解決できないときにはSVに早めの相談を促す(相談しやすい雰囲気づくりも必要)

【飲食店】リーダーの目標設定サンプル例

目標
  • 土日祝日における注文カウンターでの平均接客時間を、レジ係1人あたり前年同月比で20秒短縮する
目標達成のための行動や計画
  • 適切な接客用語や効率的なオーダーテイク(注文取り)の研修を実施する
  • 毎週水曜日にロープレを実施する
  • カウンター前に並ぶお客様にメニュー表を配布する
  • それぞれのレジ係に毎週1回フィードバックを行なう

【ネットショップ】リーダーの目標設定サンプル例

目標
  • 初回購入からの1ヵ月以内のリピート率を30%改善し〇%にする
目標達成のための行動や計画
  • リピート顧客の購買分析を実施する
  • 会員サービス(リピーター割)を始める
  • リピート購入を促進するタイミング、特典を模索する
  • SNSアカウントを開設する(Instagram、Twitter、Facebook、ブログ)
  • アンケート結果や口コミを分析し、購入方法や商品の改善を行なう
  • SNSやメールで、新商品入荷やセール、イベント情報を週1~2回配信する

【美容室】リーダーの目標設定サンプル例

目標
  • 半期後の客単価を600円アップさせ、〇〇円にする
目標達成のための行動や計画
  • 商材をサジェストしやすくなるために、ラポール形成の研修を隔週実施する
  • 新規顧客とのラポール形成に力を入れる
  • 高グレード商品(パーマ液やトリートメント)のサジェストトークのロープレを実施する
  • サロンのSNSアカウントを作成し、スタイリングや新製品紹介などを週1~2ペースで発信する
  • お客様にSNS登録と商品紹介のお願いをする(SNSシェア特典を付ける)

リーダーが目標設定する時に重要なスキル

目標設定は、企業のチームリーダーにとって非常に重要なスキルです。適切な目標を確立し、チームを正しい方向に導くことは、成功への鍵となります。以下の3項目で、リーダーが目標設定を行う際に重要なスキルについて紹介します。

 

上位目標や事業計画の把握力

効果的な目標設定を行うには、リーダーは組織の上位目標や事業計画をしっかりと理解することが必要不可欠です。リーダーは組織全体のビジョンや戦略、事業計画を把握し、それを踏まえてチームの目標を設定するスキルが求められます。そのため、上位目標を把握しチームが取り組むべき重要な課題や方向性を明確にしましょう。

 

傾聴力

リーダーは目標設定する際にも傾聴力が必要です。前述したようにメンバーの価値観やキャリアプランなどを知ることで効果的な目標設定や動機付けが可能になります。また、日頃からチームメンバーや関係者の意見をよく聞き、現状課題や改善すべき点、逆に上手くいっている点や可能性などをしっかりと把握することで、ストレッチゾーンでの適切な目標設定も可能になります。

 

達成計画の策定力

目標設定だけでなく、設定して目標を達成するための計画を立案することもリーダーにとって重要なスキルです。達成計画は、目標達成への手順を示すものであり、リーダーはチーム全体のリソースやスケジュールを考慮しながら、具体的なステップやマイルストーンを設定する能力が求められます。しっかりとした達成計画の策定により、チームメンバーは目標達成に向けて結束し、チーム一丸で取り組むことが可能になります。
 

「リーダーの目標設定」に関してよくある質問

Q.「リーダーが行うべき目標設定のポイントは?」

リーダーは、経営方針や部門目標の達成に必要な数値目標を設定することがポイントです。また、目標設定する際は、SMARTな目標設定を心掛けましょう。

 

Q.「チームリーダーの目標例ってなに?」

具体例には、

 

  • 2022年4月までに、新商品Aを5,000万円分販売する
  • 2021年の年末までに、クリスマスと年越しのオードブルを3,000個販売する
  • 半年後の3月31日までに、東京エリアBチームの実店舗で、ポイント会員数を現状の20%前後から35%までアップさせる

などが代表例です。

 

Q.「チームで目標達成するコツは?」

チームメンバーが達成に向けて意欲的になるような目標設定をしましょう。

 

チームの目標設定の手順としては、

 

  • 目標設定を決めるミーティングに参加してもらう
  • メンバーに目標の意味づけを行う
  • 目標達成するために「何をすべきか」を考えてもらう

などが効果的です。

まとめ

リーダーの役割は、メンバーに組織の方向性を示したりゴールに向けて導いたりすることです。そのため、目標設定では、以下のポイントを大切にする必要があります。

  • 経営方針や事業計画の達成と紐づける
  • SMARTな目標設定でゴールを明確にする
  • 個々のメンバーに目標達成の動機付けを行なう
  • 進捗確認を定期的に行なう
  • しっかりと振り返り、評価を行なう

リーダー自身の目標設定では、担当チームの業績責任を担うことが前提になります。そのうえで、チームや組織目標を達成する肝となるKPIやステップ率を動かすための目標、メンバー育成などに関する目標を設定するとよいでしょう。

 

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