ミスが多い部下の4つの特徴とは?指導すべきポイントも解説

ミスが多い部下の4つの特徴とは?指導すべきポイントも解説

マネジメントの経験が長くなってくると、部下のなかにミスが多いタイプのメンバーもいることもあります。

本記事では、ミスが多い部下の特徴やミスが多くなってしまう原因、また指導するポイントやNGな対応を解説します。

<目次>

ミスが多い部下の特徴

勤務中にスマホを触るビジネスマン

 

ミスが多い部下は以下のような特徴があることが多いでしょう。逆に言えば、中長期的には下記、とくに上3つの能力や基本行動を指導していくことが大切です。

  • 段取りが悪い
  • 仕事の全体像や目的を認識していない
  • 報連相(ホウレンソウ)ができない
  • ミスを改善しない

 

段取りが悪い

仕事の基本は事前の段取りです。仕事をうまくこなしていくためには、1つのタスクに使える時間や納期を見通した計画が必要になります。

 

また、ホワイトカラーは複数の仕事を同時に与えられることも多いですので、仕事に優先順位を付けたり、並行していくつものタスクを実行に移したりする必要があります。

 

ミスが多い人は、このような段取りを考えて行動することが苦手な傾向にあります。
納期を確認できておらずギリギリの提出になったり、見直す余裕がなくてミスをしてしまったりすることも多いでしょう。

 

仕事の全体像や目的を認識していない

仕事の全体像や目的、ゴールを意識して作業することは、「どの作業に多く時間を割くべきか」「クオリティはどの程度に収めればいいか」などの段取りや品質を考える上で非常に大切です。

 

しかし、ミスが多い人は全体や目的を把握していない結果、重要でない作業に時間を割いてしまったり、重要な仕事に対してしっかりと確認ができていなかったりすることがよくあります。
その結果として、ミスが多発するのです。

 

報連相(ホウレンソウ)ができない

報告・連絡・相談の頭文字をとった“報連相(ホウレンソウ)”は、ビジネスパーソンの基本行動ともいえるものです。

 

しかし、ミスが多い人は報連相ができていないことが多く見受けられます。報連相ができていないのは以下のような要因があります。

  • 報連相の重要性、必要性が分かっていない
  • いつ何を報連相すればよいか分かっていない
  • 何となく言いづらい

報連相の不足に対しては原因を考察しながら対策することが必要です。基本行動ともいえる報連相の不足は、部下に責任があることが多いです。

 

しかし、きつく叱り過ぎたりすると、ますます叱られること・責められることを恐れて報連相ができなくなることもあるでしょう。

 

ミスを改善しない

何かミスをしてしまったときに「次は失敗しないようにしよう」と思い、失敗を分析して行動できる人は回数を重ねるうちにミスが減少します。

 

一方でミスの多い人は、原因を考察したり改善しようしたりする行動がないため、何度も繰り返してしまうのです。

 

ミスに対する自覚がない、ミスをなくすことの重要性やミスの危険性を理解していないなど、原因はさまざまですが、きちんとミスを自覚させて、改善行動をとらせる必要があります。

部下のミスが増える3つの原因

ミスが多い部下の特徴に加えて、ミスが増える要因となるポイントを紹介します。部下の資質とは少し違う側面を紹介しますが、原因となっているものがないか確認してみてください。

  • 指示を理解できていない
  • キャパオーバーしている
  • 萎縮している

 

指示を理解できていない

部下は上司が思っているほど、指示内容を理解していない場合もあります。

 

説明を理解できていないときは、話を真剣に聞けていないパターンと真剣に聞いていてもあまり理解できていないパターンがあります。
指示内容を復唱させるなどして、そもそもの指示をしっかり理解して仕事に取り掛れるようサポートすることが必要になります。

 

キャパオーバーしている

アメリカの心理学者アンダース・エリクソンは、「人が一日に集中できるのは4時間ほど」と述べています。つまり、そもそも1日8時間という労働時間の間、ずっと集中していることは不可能です。

 

そして、実現可能な仕事量を超えて残業をしなければならない状態になれば、容易にキャパを超えてしまいケアレスミスが起こりやすくなります。

 

従って、仕事量が部下のキャパに収まっているのかを確認しながら、無理なくこなせる仕事量を与えるようにすることが有効です。

 

厳しく指導したり叱責したりしてミスを減らそうとする方もいますが、逆にミスの増加につながることもありますので注意が必要です。

 

委縮している

経営学者のエイミー・エドモンドソンが行った実験で、ミスに厳しい職場ほどミスが起こりやすいことがわかっています。

 

実験では、ミスが怒る度に厳しく問いただす”ミスに厳しいチーム”と”優しいチーム”に分けて仕事を与えました。
実験の結果、“ミスに厳しいチーム”のほうがミスの報告数は少なくなりましたが、報告のないミスが多く見つかり「総量としてはミスが多かった」という結果になっています。

 

心理的安全性が確保できない環境では、萎縮してしまいかえってミスが増加してしまいます。そして、さらにミスが報告されないという最悪の状況を生み出します。

 

マネジメント側は部下のミスを減らす上で、職場が萎縮してしまうような雰囲気になっていないかを気にかけておく必要があります。

ミスが多い部下へ指導する際のポイント

本章では、ミスが多い部下を指導する、対応するポイントを5つ紹介します。

  • 指示を細分化・具体化する
  • コミュニケーションの量を増やす
  • 部下に考えさせる余地を残す
  • 改善が見られたらポジティブにフィードバックする
  • 仕事を変える

 

指示を細分化・具体化する

仕事の段取りがうまくできない場合には、仕事を細かく分けることも効果的です。例えば、与えた資料をまとめる場面であれば、以下のように工程を細分化しましょう。

  • 1.資料の内容理解
  • 2.資料の章立て・流れの構成作成
  • 3.章ごとにまとめる
  • 4.全体の見直し
  • 5.上司に提出

このように仕事を分けて、いつまでに何をすれば良いのか伝えることで段取りを理解して取り組みやすくなります。

 

前述の通り、指示が理解できているかを確認しておくことも、ミスを減らすために有効な手段です。

 

さらに、それぞれのタイミングで報連相させることにより報連相不足によるミスも減らすことができます。

 

コミュニケーション量を増やす

それぞれが黙々と自分の仕事をこなす職場は、部下からすると質問しにくいものです。

 

報連相が少ないといった状況に困っている場合には、上司の側から意図的にコミュニケーション量を増やすアプローチも有効です。

 

コミュニケーション量を増やすことで自然と報連相が生まれやすくなりますし、コミュニケーション機会を生かして「上司から報連相を取りにいく」も意識するとよいでしょう。

 

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部下に考えさせる余地を残す

ひとつめの細分化するというアプローチと矛盾するようですが、「ここを〇〇に修正してください」などを細かく指示することが習慣化すると、部下は受け身となり自ら考えることなく行動してしまいます。

 

改善指導する際には事細かにすべて指示するのではなく、あくまで提案に留めて、部下自身に考えさせたり意思決定させたりすることも有効です。

 

考える余地を残すことで、考えて作業する習慣が身に付き、ミスが減っていきます。

 

改善が見られたらポジティブにフィードバックする

何事も成功体験は次のモチベーションにつながります。ハーバード大学のテラサ・アマビール教授は、「成功体験は脳内にドーパミンという物質を生成させて喜びになる」ことを明らかにしました。

 

報酬物質であるドーパミンが放出されることで、自尊心が高まって「もっとミスを減らしたい」というさらなる動機につながります。

 

ミスが減少したりうまく仕事ができたりした際には、ポジティブな言葉掛けを意識しましょう。ミスばかりで苛立っていたり、褒めるほどの成功でなかったりすることもあるかもしれません。

 

ただ、部下の成長のためと捉えて、成長ポイントにはポジティブな声掛けを行なうようにしましょう。

 

仕事を変える

ここまで紹介してきたポイントでも改善しない場合には、そもそも仕事内容が合っていない・向いていない可能性があります。

 

任せる仕事内容や配置を変えることも選択肢の一つとして考えておくとよいでしょう。

ミスが多い部下への指導でやってはいけない行動

部下を叱っている上司

 

ミスが多い部下に対して以下のような指導をしている場合、かえってミスを悪化させている危険性があります。以下の行動は控えましょう。

  • 大勢の前で注意する
  • 否定的なことをいう
  • 人格を否定する

 

大勢の前で注意する

ミスをした部下に対して指導する際には、別室に呼び出して他の社員に見られないようにすることが大切です。
他の社員に聞こえるように注意することは、自尊心が傷ついてしまい、恐怖心につながります。

 

恐怖心はまた指導されることへの不安感に変わってしまい、結果的にミスが増加するリスクが高まってしまい逆効果です。

 

また、別室に呼び出して指導する場合であっても、ミスを執拗に責めることは避けましょう。ミスを責めることでは、改善のために考える行動が身に付かなくなってしまいます。

 

ミスの改善を目指すのであれば、指導の仕方には十分配慮するようにする必要があります。

 

否定的なことをいう

ミスをした時点で、部下は上司よりも弱い立場になっていることが一般的です。

 

その状態で否定的・断定的な発言を含んだ指導を受けると、ネガティブな感情が強まってしまい、改善策を考えるどころではなくなってしまいます。

 

ただし、肯定的な発言ばかりをしていると、緊張感を持てずにミスを続けてしまうことがありますので、一定の緊張感は保持しておくことが大切です。

 

ミス自体へのフィードバックはきちんとしたうえで、改善しようと思えるような言葉掛けを行ないましょう。

 

人格を否定する

前提として、ミスやそれによって起こった事、その背景などはしっかりと注意する必要があります。

 

ただし、指導する場面で「やる気あるのか?」「お前は使えない」など、人格に原因を求めて責めることは絶対に避けましょう。

 

人格に原因を求めるような叱責は部下を委縮させてしまうと共に、ハラスメントになります。あくまでも事実や行動のみを指導するように意識しましょう。

ミスが多い部下をしっかりマネジメントしよう

ミスが多い部下は指導に時間がかかってしまうことがよくあります。指導の仕方に悩んでしまったり、うまくいかずに苛立ってしまったりすることもあるでしょう。

 

今回紹介した内容を参考にしながら、より効果的なサポートを実践してみてください。

 

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著者情報

近藤 浩充

株式会社ジェイック|取締役 兼 常務執行役員

近藤 浩充

大学卒業後、情報システム系の会社を経て入社。
IT戦略事業、全社経営戦略、教育事業、採用・就職支援事業の責任者を経て現職。企業の採用・育成課題を知る立場から、当社の企業向け教育研修を監修するほか、一般企業、金融機関、経営者クラブなどで、若手から管理職層までの社員育成の手法やキャリア形成等についての講演を行っている。
昨今では管理職のリーダーシップやコミュニケーションスキルをテーマに、雑誌『プレジデント』(2023年)、J-CASTニュース(2024年)、ほか人事メディアからの取材も多数実績あり。

著書、登壇セミナー

・社長の右腕 ~上場企業 現役ナンバー2の告白~
・今だからできる!若手採用と組織活性化のヒント
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