世の中には部下をダメにする上司が一定数います。部下にとって「上司がどんな人であるか」は、働きがいや成長に大きな影響を与えます。部下をダメにする上司は、部下のモチベーションが下がる、成長を妨げる、時には離職となってしまいます。
記事では、部下をダメにする上司の特徴や口癖を紹介し、なぜそうした上司が発生するのか、原因と対策を紹介します。
<目次>
- 組織が壊れる原因は上司にある
- 部下をダメにする上司の特徴的な行動
- 部下をダメにする上司の口ぐせ
- 部下をダメにする上司が与える影響
- なぜ不適格な上司が発生するのか
- 管理職にしてはいけない従業員とは
- 部下をダメにする上司を作らないための対策
- まとめ
組織が壊れる原因は上司にある
企業にとって、従業員のモチベーションやエンゲージメント、そして、成長などは業績と将来を左右する非常に重要な関心事です。しかし、部下をダメにする上司は従業員のモチベーションやエンゲージメントを下げ、時には離職を生み、組織を壊す要因となります。
上司との人間関係が従業員の離職の大きな原因
厚生労働省が行った「令和2年雇用動向調査結果の概要」によれば、従業員が会社を辞める理由のトップ3は、
1.職場の人間関係
2.労働時間、休日等の労働条件
3.給料等の収入
となっています。
* 令和2年雇用動向調査結果の概要(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/21-2/index.html
トップである「人間関係」の問題は、もちろん同僚や部下との人間関係もありますが、圧倒的に多いのが“上司との人間関係”です。
上司に問題があることで従業員が退職したり、メンタル不調に陥ってしまったりするなどが発生し、企業にとって大きなマイナスを生んでいます。
モチベーション調査やパルスサーベイなどをすると、「特定の上司のところだけ満足度が低い⇒離職が多い」といったことはよく聞かれますが、これも上司が与える影響の大きさを物語っています。
部下の成長は上司に依存する
職場における仕事の割り振りや日常的な指導を行う上司が部下の成長に大きな影響を与えることは、組織で働いたことがある人ならば実感していることでしょう。上司の人材育成への思いや姿勢、能力は部下の成長に大きな影響を与えます。
また、経営学者として有名なドラッカーの言葉に「リーダーと普通の人たちとの距離は一定である」ともある通り、上司が成長すれば部下も成長し、上司が成長しなければ部下の成長も滞るものです。
部下は上司を選べない
部下にとって上司がどんな人であるかは重大な問題であり、会社生活を大きく左右します。しかし、最近では「上司ガチャ」という言葉があるように、部下は上司を選べないことが問題の根本にあります。
組織に「部下をダメにする上司」が発生してしまうと、その上司に当たってしまった部下は苦労するだけでなく、仕事を続けることも難しくなるケースもあります。もちろん“反面教師にする”という考え方もできますが、すべての一般社員にそれを実践しろというのは無理がありますし、部下をダメにするような上司はいない方がよいことは間違いありません。
部下をダメにする上司の特徴的な行動
部下をダメにする上司とは、具体的にはどのような上司でしょうか。特徴を知ることが、そういった上司を生み出さないようにする指導にもつながります。本章では、部下をダメにする上司の特徴を紹介します。
部下をダメにする上司の特徴① 計画性がない
上司、組織の“長”は、担当組織の目標設定、方針決定、計画立案などに、大きな影響を与える立場にあります。
組織の規模や上司の役職によって影響度は異なりますが、適切な目標を設定することや、外部環境、市場の変化を読んだ計画を立てることができない上司では、組織として成果を上げることができないでしょう。
結果として、部下の能力が生かされることもありませんし、成長の機会も得られないことになります。
部下をダメにする上司の特徴② 決断力がない
組織としての目標や方針の決定、また、実行過程で発生する問題の解決において、上司には意思決定力が求められます。
ビジネスの世界では、正解が分からない意思決定が多くなりますが、その中で上司には常に決断することが求められています。決断ができない上司のもとでは、問題が解決されない、課題が放置されたままとなる、物事が決まらずに前に進まないといった状況が生じます。
部下がいくら主体性を発揮しようとしても、決裁権を持つ上司が意思決定してくれないと、なかなか行動できず、モチベーションが下がっていってしまいます。
部下をダメにする上司の特徴③「叱る」と「怒る」の区別がついていない
大勢のメンバーがいる前で必要以上に強く叱責したり、人格を否定するような言葉で部下をなじったりする上司も、部下をダメにする上司の典型です。
もちろん、上司として必要な指導はきちんとする必要があります。しかし、「叱る」と「怒る」の区別がついていない上司、部下をダメにする上司は、「部下を育成する」「成果をあげる」といった目的を忘れ、怒りの感情に支配されて、感情のままに行動してしまっています。
怒りをぶつけるような行為は、部下に対する教育効果はなく、精神的な苦痛を与えたり、モチベーションを下げたりするだけです。また、人格否定するような叱責はパワハラに当たるものであり、コンプライアンス上のリスクともなります。
人間ですから感情すべてをコントロールすることはできませんが、現代の管理職は、怒りをコントロールする「アンガーマネジメント」を最低限身につける必要があるでしょう。
部下をダメにする上司の特徴④ 一貫性がない
部下に対する指示や評価が、タイミングや相手によって変わってしまう上司がいます。
チームに与えられたミッションや計画に基づいた考えではなく、思いつきやその場の判断だけで、「ああしろ、こうしろ」と指示を出すため、部下は振り回されることになります。場合によっては、部下はどうすればいいのか分からなくなってしまい、現場の混乱を招くケースもあります。
こうしたことが続くと部下からの信頼はなくなり、積極的に取り組む意欲もなくなっていきます。
部下をダメにする上司の特徴⑤ 結果だけしか見ない
「仕事は結果で評価されるものである」というのはある種の真理です。しかし、結果だけしか見ない上司は、部下をダメにしてしまうことも多いでしょう。
もちろん仕事の評価は結果を中心に行うべきですが、上司から部下への関わりとしては、結果に対するフィードバックとともに、次につなげるフィードバックをしていくことが大切になります。
時には、いろいろ考えて工夫しても、結果的にうまくいかないことがあります。そうした際に、努力や成長を承認することがなければ、モチベーションは低下してしまうでしょう。また、成果が出たときにも結果をだけを褒めるのではなく、成果を出したプロセスや努力を褒めることが再現性や部下の成長につながるものです。
部下をダメにする上司の特徴⑥ 必要な指導ができない
部下に優しい上司は一見すると“良い上司”のように見えます。しかし、上司の役割としては、ときに厳しい指導が必要な場面もあるでしょう。そこで必要な指導ができない上司は、中長期的には部下や組織をダメにしてしまいます。
部下の顔色を伺って言うべき指摘ができない。批判されるのを恐れてきちんと指導できない。遅刻やルール違反の部下を叱れない。こうしたことが続くと、結果的に部下のためにならず、成長を妨げることになります。
上司は「叱る」ことも、部下の成長を実現する、組織の基準を高めるために上司がなすべき指導であることを理解して、必要なコミュニケーションをとる必要があります。
部下をダメにする上司の特徴⑦ マイクロマネジメントする
仕事の細部にわたって事細かに指示し、何度も経過報告させるマイクロマネジメントをしてしまう上司もいます。
マイクロマネジメントは、上司の責任感やマジメさから生じる側面もあります。ただ、ひとつひとつ指示を受けて上司にお伺いをたてるようなやり方では、部下は自分で考えることをしなくなり、指示待ちが定着していくことになります。
部下は自分で考えてやってみる事で大きく成長します。マイクロマネジメントする上司はその機会を奪っていることになります。
また、人は自分の行動を自分で決めたいという心理があります。すべての行動を細かく指示される状態では、モチベーションはどんどん低下していってしまいます。
部下をダメにする上司の口ぐせ
部下をダメにする上司には特徴的な口ぐせもあります。本章では代表的な5つを紹介します。
部下をダメにする上司の口癖① 「言われたとおりにやればいいんだ」
部下の言葉に耳を貸さず、一方的に命令する上司のもとでは、部下は委縮して指示待ちになり、自分で考えることをしなくなります。
上司は豊富な経験を持ち、組織の成果をあげる責任も担っています。従って、意見が分かれたときなど、上司の権限で自分の意見を通すこともあるでしょう。しかし、上司の意見が必ずしも正しいとは限りません。
「言われたとおりにやればいいんだ」といった口癖は、上司の視野の狭さ、部下の能力を信じていない表われです。マイクロマネジメントと同じように、部下のモチベーションを奪い、受け身の部下をつくり出すことになります。
部下をダメにする上司の口癖②「いや、〇〇だから」全て否定から入る
相手の言葉に対して、常に否定の言葉を先につけて発言するタイプの上司もいます。
部下:「この商品に新しい機能を追加してみてはどうかと思うのですが」
上司:「いや、それはいいから、資料作りを先にやって」
部下:「SNSでの発信を増やそうと考えているのですが」
上司:「いや、そういうことより今月の売上はどうなってる」
これも結論としては、上司の意見や指示が正しいこともあるでしょう。ただ、自分の提案や発言が全て否定され続ければ、部下は、何を言っても無駄だと考えるようになり、新しいアイディアや改善はされなくなっていきます。
コミュニケーションも必要最低限になり、組織の活力はどんどん低下していきますし、こうした組織でイノベーションが起こるようなことはないでしょう。
部下をダメにする上司の口癖③「○○さんと比べて…」
他の人と比較して叱責するのは、言った上司としては部下を発奮させるための言葉かもしれません。しかし多くの場合、比較して叱責する行為は相手に強い劣等感を与えることになります。結果的に部下を成長させることにはつながらないのです。
では、賞賛する場合はどうでしょうか。他の人と比較して賞賛することは、一見すると問題ないようにも見えます。しかし、「Aさんは、Bさんと比べてすばらしいね!」というのは、裏返せば「Bさんは、Aさんと比べてダメだ」と言っているのと同じです。
比較された相手を貶めている言い方ですし、褒められた側も嬉しさはある一方で、「この上司は部下を貶す人なんだ…」「本人がいない所ではこういうことを言うんだ。自分に対しても陰では貶すようなことを言っているかもしれない…」と感じて、上司への信頼を下げることになります。
人と比べて非難や賞賛するのではなく、相手と向き合って、絶対的な基準で、また過去からの成長を賞賛する、相手が発揮できる能力と比較して叱るといった伝え方をすることが望ましいでしょう。
部下をダメにする上司の口癖④「だからお前はダメなんだ」
「だからお前はダメなんだ」という言葉は、明らかな人格否定であり、今の時代にはパワハラに該当します。
叱る時は、相手のすべてや人格を否定するのではなく、修正すべき言動にフォーカスを当てて叱ることが大切です。上司としては、何気なく使っているのかもしれませんが、精神的な攻撃となり、部下の自己肯定感を奪ってしまいます。
部下をダメにする上司の口癖⑤「私が若い時はこうだった」
過去の苦労話や自慢話は、苦労して成功し自信を持っている上司にありがちです。
上司としては、自分の経験を通じて部下を指導したり、役立つアドバイスをしたりしているつもりですが、得てして過去の経験は目の前の状況では当てはまらない部分も多く、自分の過去の話を持ち出して部下のことを揶揄しているようにも聞こえます。
部下にしてみれば、「状況が違う…」と反論したくなる気持ちも生じますし、「なぜお前はこうしないんだ」と強要する意思を感じさせることもあるでしょう。
部下をダメにする上司が与える影響
ここまで紹介したような部下をダメにするような上司がいると、部下や組織にどのような悪影響があるかを確認しておきましょう。
組織の成果が出ない
上司に必要な能力が不足していることで組織の成果が出なくなります。部署のマネジメントに問題があると、部下は上司の顔色を伺うようになり、指示待ちで行動するようになっていきます。
部下が自分で考えて行動したり、自分の意見や提案を出したりすることがなくなりますので、部署内の活気がなくなり、組織としての成果もどんどん上がらなくなっていくでしょう。
部下が成長しない
仕事を任せない、必要なフィードバックができないといった上司の下では、部下が積極的に仕事に取組むことがなくなります。指示されたことだけをしておけばいいという考えが定着し、部下の成長が大きく阻害されます。
結果として、短期的に組織としての成果が出ないことに加えて、中長期的に見て組織の成長が損なわれることになります。
とりわけ成長意欲が高い若手にとって、こうしたダメな上司の下で働く環境はモチベーションが下がるものであり、離職につながっていきます。
離職者が増える
これまで述べてきたような上司の下で働く部下には、精神的に大きな負荷がかかり、モチベーションも低下します。異動希望などを出す機会がなければ、別の会社に転職しようと考えるのは当然です。
組織においては一定の新陳代謝はあってしかるべきですが、過度の離職は採用や育成コストの増加、また、組織内のノウハウの継承、従業員のスキルレベルの停滞・低下といった形で、組織の成長を妨げることになります。
メンタル不調に陥る従業員が発生する
性格的にまじめな部下ほど、上司の言動を受け流すことができず、ダメな上司による悪影響を受けやすくなります。一方的な命令や人格否定が続けば、逃げ場がない部下がメンタル不調に陥ることも珍しくありません
職場のメンタル不調は本人の責任や能力に問題がある場合もありますが、上司のマネジメントが引き起こしている側面も大いにあります。メンタル不調による休職や退職が発生すれば、対応に必要な工数や費用は大きなものとなりますし、組織が責任を問われることもあるでしょう。
なぜ不適格な上司が発生するのか
部下をダメにするような不適格な上司はなぜ生まれるのでしょうか。その理由を考えてみましょう。
昇格基準に問題がある
勤務歴が長く、現場の仕事で成果をあげた人を、それだけで管理職にしている会社も少なくありません。
現場の仕事ができるということは、実務について経験や知見を充分に持っており、会社のルールに従って働くことができるということです。しかし、プレイヤーとしての仕事と管理職の仕事は別ものです。
管理職として求められるスキルや能力、考え方を持っていないにもかかわらず、現場の延長で管理職にしてしまうことは不適格な上司を発生させる要因になります。
行き過ぎた成果主義
部下に対するハラスメントなどがあっても、結果さえあげれば許される風土にあると、部下をダメにする上司が発生しやすくなります。
目先の売上ばかりを追いかけていると、こうした考えになってしまいがちです。結果はもちろん大切ですが、行き過ぎた成果主義は、組織に悪影響を及ぼします。
管理職を育てる仕組みがない
上述の通り、管理職の仕事は、現場の仕事ができるだけでは勤まりません。プレイヤーは自分で動いて自分の成果をあげることが主な責任ですが、管理職の責任は人を動かして組織の成果をあげることです。
この2つは違う役割であり、仕事に対する姿勢や必要とされるスキルも変わってきます。個人の特性や強み・弱みはありますが、基本的に管理職としてのスキルは後天的に身に付けられるものです。管理職をきちんと育成する・評価する仕組みを組織として持てば、部下をダメにするような酷い上司は生じにくくなるでしょう。
管理職にしてはいけない従業員とは
不適格な人を管理職にすることは、部下をダメにするだけでなく、組織にとって大きなマイナスになります。管理職にしてはいけない従業員とはどのような人でしょうか。改めて確認しておきましょう。
会社や仕事へのエンゲージメントが低い
指示された仕事はやるが、会社や仕事へのエンゲージメントが低い人は管理職にしない方がよいでしょう。
管理職の姿勢はマニュアルなどだけで規定できるようなものではありません。目標達成するための計画立案、組織内の人間関係への介入、生じるトラブルや不測の事態への対応などは、管理職が積極的に取り組む姿勢を持っていなければうまくいかないでしょう。
また、最低限の仕事だけやって、会社や周囲に対する愚痴や不満を言っているような人が管理職になれば、部下などにどんな影響を及ぼすかは想像に難くありません。
セルフマネジメントができない
セルフマネジメントができない人が、他の人のマネジメントを適切にすることはできません。従って、セルフマネジメントのレベルが低い人は、上司として不適格です。
セルフマネジメントとは、自分のタスクや時間のマネジメントに加えて、自分の心身を良い状態にすることなども含まれます。とくに管理職にとって、心身を良い状態に整え、高いパフォーマンスを発揮できるようにすることは非常に大切です。
例えば、心身を良い状態に保てなければ、感情のコントロールも難しいでしょう。記事の前半で述べたようなアンガーマネジメントなども、機能するためのベースはセルフマネジメントだといえます。
人に興味がない
管理職の仕事は、部下を動かして組織の成果を上げることです。部下と信頼関係を築く、また、部下の育成をするためには、人への興味・関心が必要です。
コミュニケーションスキルなどは後天的に身に付けられるものです。ただ、根本的に人への興味関心がない人は管理職にはしない方がよいでしょう。プロフェッショナル職のキャリアパスを作り、自己研鑽してもらってパフォーマンスしてもらった方が本人にも組織にもよいでしょう。
嫌われたくない人
前述のとおり、管理職になれば部下を厳しく指導しなければならない場面も生じます。ここでいう“厳しい”とは、部下のミスや気の緩みなどに対して、相手の成長を願ってしっかりとフィードバックする、正しく叱る行為をします。
人に嫌われたくないと思ってしまい、必要なフィードバックすることができない人は、管理職としての仕事はできません。「皆と仲良くしたい」という想いは素晴らしいものですが、それだけでは、部下を育てたり、組織としての成果を出したりすることはできません。相手の中長期的な成長や幸福を願って、必要なフィードバックをする優しさが上司には求められます。
部下をダメにする上司を作らないための対策
部下をダメにする上司が発生しないようにするためには、経営陣や組織はどのような対策をすればよいでしょうか。基本となる3つのポイントを紹介します。
適切に管理職を選ぶ
組織における人の処遇は「功ある者には禄を、徳ある者には地位を与えよ」というのが原則です。
つまり、成果に対する短期的な報酬は昇給や賞与として与え、一方で、管理職などのマネジメントポジションに就けるかどうかは、管理職としての適性があるかどうかをしっかりと確認してから判断することが大切です。管理職や上司のポジションを、プレイヤーとしての“成果のご褒美”にしてはいけません。
適切な成果主義と人事体制
上記を実現するためには、過度に成果を重視しない、適切な成果主義に基づいた人事評価制度を構築する必要があります。
企業において成果主義を評価の根本に据えること自体は自然なことです。ただし、行き過ぎた成果主義は組織に悪影響を及ぼします。役職等も考慮しながら、成果だけでなく、人材育成の面や、人間力・エンゲージメントなども評価の対象としていくことが大切です。
なお、“マネジメント職にならないと昇給や昇格がない”人事制度になっていると、組織側でも不適切な人をマネジメント職に据えてしまいがちです。キャリアパスとして、マネジメントコースとプロフェッショナルコースなどを作り、マネジメントに不適格であっても、プロフェッショナル職として昇格できる道筋を作ることもダメな上司な作らないための解決策です。
ヒューマンスキルの育成を実施する
上司となる人に対してヒューマンスキルの育成をしっかりやる仕組みを社内で持つことも大切です。
ヒューマンスキルは、伝える・聴く、また、プレゼンテーションやファシリテーション、コーチングといった具体的なコミュニケーションスキルに加えて、セルフマネジメントやセルフリーダーシップといった自分を律する能力、信頼される人格といったことが含まれます。
全社的にヒューマンスキルの育成を行っていくとともに、仕事への姿勢やリーダーシップのあり方等に関する共通言語を社内で構築すると、部下をダメにする上司は発生しにくくなります。
新任管理職研修
繰り返しになりますが、プレイヤーとして成果を上げていた人であっても、プレイヤーと管理職では求められる責任も必要な能力も異なり、管理職になって戸惑うことも多いでしょう。
手探りでやっていると、必要なスキルの習得までに時間がかかりますし、部下にも負荷がかかることになります。従って、管理職になるタイミングで、管理職に求められる姿勢や責任、スキルといったことを学ぶ新任管理職研修を提供することはとても大切です。
360度評価を組み込んだ内省研修
管理職になると、部下にフィードバックする機会は増えますが、自分自身にフィードバックをもらう機会は大幅に減ることになります。
特に業績に対するフィードバックや振り返りの機会はありますが、管理職としての自分の姿勢や働き方に対するフィードバックをもらったり、振り返ったりする機会は非常に少ないでしょう。
これは管理職としての成長が停滞したりマンネリ化してしまったり原因となります。管理職として数年経過してあたりで、360度評価を受けたり、360度評価なども踏まえて内省したりする場を設けることが有効です。
まとめ
部下をダメにする上司は、部下の成長を妨げるだけでなく、モチベーションの低下や離職の要因ともなります。もちろん、組織の成果を上げられないことも多いでしょう。
従って、管理職として不適格な社員を昇格させてしまうことは、組織に大きな悪影響を与えてしまいます。
プレイヤーとして成果をあげる力と、上司として組織の成果をあげる、部下を育てる力は共通する要素もありますが、異なる部分も多々あります。管理職としての適性を持った人を昇格させる、管理職に不可欠なヒューマンスキルを身に付けさせる、新任管理職研修を実施するなど、不適格者を除外する、また育成の仕組みを作ることが重要です。
部下は上司を選べません。企業側は、部下の成長を阻害したり、精神的な被害を受けたりするダメな上司を作らないように、しっかりと任命と育成を行う必要があります。
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