内々定とは、面接を受けた応募者に「内定を出す意思がある」と口頭などで伝えることです。新卒の場合、採用ルールとの関係で、内定の前に内々定を出す企業が一定数あります。
ただ、内定承諾と内定、内々定などに関して、法的な位置づけを理解していないことでトラブルにつながったケースも存在しますので、人事に携わる方であれば基本的なことは知っておく必要があります。
記事では、内定に関する基礎知識と、内定通知書の目的と法的効力を確認します。後半では、内定辞退が起こる原因と、内定承諾後の内定辞退を防ぐ内定者フォローアップ対策についても実践的なノウハウをお伝えします。
<目次>
- 内々定と内定の違いと法的な意味
- 内定通知書の目的と法的効力
- 内定辞退の申し出は基本的に拒否できない
- 企業が内定/内々定を取り消せるケース
- 【承諾前・承諾後】内定辞退が起こる原因
- 承諾前の内定辞退を防ぐ内定者のフォローアップ対策
- 承諾後の内定辞退を防ぐ内定者のフォローアップ対策
- まとめ
内々定と内定の違いと法的な意味
まずは、内々定~採用、雇用契約までの流れ、内定の意味、内定と内々定との違いを確認しましょう。
内々定~採用、雇用契約までの一般的な流れ
企業が面接などを受けた人に内々定を出す場合、採用・雇用契約までの手続きを以下の流れで進めていきます。
①応募者に内々定の連絡をする
内々定は、新卒採用において、政府が主導する就職/採用ルールにおける「内定解禁は4年次の10月1日」というルールを形式的に守ろうとするなかで生まれた仕組みです。
10月1日の内定式よりも前のタイミングで、実質的に採用を決めた応募者に対して、内々定という形で採用担当者が採用の意志を伝えるものとなります。
②応募者に採用通知書、内定承諾書を送る
上記の流れを取る企業では、内定通知書・内定承諾書は、10月1日の定解解禁になってから内定者に送付します。内定通知書は、内定者に対して正式に内定を伝える書面です。
また、内定承諾書は、内定者の入社の意志を確認するためのものとなります。
日本の場合、10月1日の内定式の際に印鑑を持ってきてもらい、その場で内定承諾書に署名してもらうやり方を採用する企業も一定数あります。
③応募者が内定承諾書にサイン、捺印して提出する
サイン・捺印した内定承諾書を、応募者から提出してもらいます。内定承諾書には、提出期限が決められていることがほとんどです。
④企業側が内定承諾書を受諾し、採用が決定する
内定承諾書を提出したとしても、個人が持つ職業選択の自由の方が優先されるため、厳密には内定承諾所に法的な効力はあまりありません。しかし、それでも内定承諾書は実質的な入社意思を示すものであり、内定承諾書を回収によって企業は一安心できる風潮があります。
なお、内定通知書が、法律に定められた「労働条件通知書」の要件を満たしている場合には、内定承諾書の提出をもって雇用契約が成立すると解されています。ただし、その場合でも、個人が持つ職業選択の自由の方が優先されますので、内定辞退を断ることなどはできません。
近年、就活生の間で内定承諾後に辞退することは「問題ない」ということがよく知られるようになり、2023卒頃からは、「内定承諾後の辞退」は増加傾向にあります。
内定の意味
内定とは、先述のとおり、自社の選考・採用基準をクリアした求職者に出す、「あなたと雇用契約をしたいと思います」というオファーと同じ意味です。
雇用契約を締結する際、企業はさまざまな労働条件を明示した労働条件通知書を準備して、候補者に提示することが法律で義務付けられています。
労働条件通知書に含まれる項目は下記のようなものです。
- 1.労働契約の期間に関する事項
- 2.就業の場所及び従業すべき業務に関する事項
- 3.始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換に関する事項
- 4.賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払の時期に関する事項
- 5.退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
ただ、内定通知の際に、労働条件を通知しない場合もあります。このケースでは、内定通知=雇用契約を締結する意思の表明だけになるため、労働条件は別途で通知することになります。
一方で、内定通知の際に、労働条件通知書の内容も含む場合には、求職者が内定通知書の内容を承諾することで、雇用契約が成立するものと考えられます。
内定と内々定の違い
内々定は、名前のとおり、内定が「内々(うちうち)」、つまり非公式で決まっている状態です。
従来の新卒採用では、先述のとおり経団連の指針によって、卒業・修了年度の10月1日になるまで、企業は正式な内定を出さないことが一般的でした。
一方で、企業としては、自社が採用を決めてから10月1日までの間も、優秀な人材をキープしておきたいものです。
こうしたなかで考え出されたのが、内々定というものになります。内々定の段階では、内定通知書も出されません。
ただし、口頭であろうが書面であろうが、内々定と内定は基本的には“変わらないもの”と考えられます。
ただし、一般的に内々定時点で労働条件の通知をしたり、承諾書を回収したりすることはありません。内々定の段階では、雇用契約などは成立していない状態です。
内定通知書の目的と法的効力
内定通知書の概要は先ほども少し触れましたが、この章では、内定通知書をつくる目的と法的効力について、もう少し掘り下げて確認していきましょう。
内定通知書を送付する目的とは?
内定通知書は、応募者に対して内定が決定したことを通知する書類です。労働契約を締結する意思を示すものといえます。
内々定の場合は口頭が主流となりますが、一方で内定の場合は、内定通知書という「内定を出した」という証明となりえる書面を出すことが一般的といえるでしょう。
内定通知書の送付には、内定者の辞退を抑止し、他の企業より先に人材を確保する目的があります。
なお、内定通知書自体は、法的な定めのある書面ではありません。ただし、法律で定め出られた労働条件通知書の必要項目を記載することで、内定通知書を労働条件通知書も兼ねるものとして送付する企業もあります。
内定通知書に記載する項目
内定通知書には、以下の項目を記載するのが一般的です。
- 日付
- 採用者の氏名
- 採用内定の通知
- 予定の入社日
- 内定取り消し事由
- 発行者
記載内容には、決まったひな形はありません。企業ごとに独自のテンプレートを用意していることがほとんどとなります。
内定通知書の法的効力と発行義務
内定通知書は、法的に定められた書類ではありません。企業側の発行義務はありません。
ただし、企業として正式に発行した書面であれば、当然「採用意思の提示」として有効となるため、内定通知を企業側が一方的に取り消すことはできません。
なお、繰り返しになりますが、企業側が労働条件通知書を兼ねた内定通知書を発行し、その書類に対して承諾の意思・承諾書をもらう形をとった場合、承諾されたタイミングで労働契約が成立すると考えられます。
内定辞退の申し出は基本的に拒否できない
先述のとおり、労働条件の記載された内定通知書の発行と、通知内容に対する求職者の内定承諾書への署名捺印を通じて、雇用契約が成立するものと考えられます。
このことについて、詳しく解説します。
雇用契約成立後の内定辞退は一種の「退職」と同じ
雇用契約成立後の場合、内定辞退は一種の「退職」行為にあたるわけです。
法的には上記の場合の内定辞退は、民法627条で定められた「労働契約の解約権の行使」に該当するものです。
民法627条では期間の定めのない労働契約に対して、労働者はいつでも解約の申し入れができる、また、解約の申し出をした日から2週間経てば、企業の同意がなくても労働契約が終了することを定めています。
なお、上記を踏まえると、法律的には企業の同意がない内定辞退が可能になるのは、入社の2週間前までということになります。
上記は、憲法22条に定められた「職業選択の自由」を前提としたものであるため、企業側は、内定辞退を拒否することができません。
入社2週間前まで企業の同意がない内定辞退が可能
また、労働基準法第16条で「賠償予定の禁止」なども定められており、企業は内定者に対して「内定を辞退したら違約金を……」などの条件などもつけられません。
もちろん、内定辞退に際して、書面の取り交わしを強制することもできません。
なお、内定通知で労働条件を通知しない場合には、内定承諾しても雇用契約は成立していないことになります。
しかし、それでも、「職業選択の自由」を保護するという考え方は、雇用契約の成立時と同様です。
出典:民法(e‐GOV法令検索)
出典:労働基準法(e‐GOV法令検索)
出典:憲法22条で規定する「職業選択の自由」について(厚生労働省)
企業が内定/内々定を取り消せるケース
ここまでお伝えしたように、労働条件を記した内定通知書に対して、内定者が署名捺印することで、労働契約(雇用契約)が成立します。雇用契約成立後の内定取り消しは、法律上は「解雇」扱いとなり、正当な理由なく企業側から内定を取り消すことはできません。また、雇用契約の成立前であっても企業側から正式にオファーした内定等を、企業の一存で取り消すことはできません。
ただし、そもそも内定を出したプロセス自体に大きな瑕疵があった、また、会社として解雇せざるを得ない客観的・合理的かつ社会通念上相当であると判断されるなど、いくつかの要件を満たす場合には、内定取り消しが認められる場合もあります。どのような場合に内定取り消しが認められるかを知っておかないと思わぬトラブルを招くこともあります。
企業側からの内定取り消しが認められる可能性が高いケースについて、以下の記事で分かりやすく解説しています。ぜひご確認ください。
【承諾前・承諾後】内定辞退が起こる原因
内定辞退が起こる原因は、内定の承諾前・承諾後で異なります。この章では、内定辞退が起こる原因を詳しく確認しましょう。
内定承諾前に辞退する原因
承諾前に内定辞退される根本的な原因は、求職者に自社の魅力が十分に伝わっていない、また、他社との相対比較で自社が劣っていることです。
近年では、就職活動の長期化や少子化による採用市場の売り手化などの理由で、求職者側が時間をかけて企業の比較をしやすくなっています。
こうした背景から、内定承諾までの辞退は、増加傾向にあります。
なお、給与や知名度などの場合、「他社との相対比較で自社が劣っている」ということを、ある程度定量的に比較できるでしょう。
しかし、内定辞退の要素として非常に高いのは、働きがいやキャリアパス、社風などの定性的な要素が中心です。
定性的な要素の高さは、絶対的な差ということよりも、どちらかといえば、以下のような感じ方や相対的な違いによるものが大きいことを意味します。
- 自社の魅力をどう感じられたか?
- 自社の魅力がどう伝わったか?
ここまでの内容をまとめると、内定承諾前の辞退は、以下のようなケースで起こりやすくなるといえるでしょう。
- 説明会や面接で担当者から話を聴いたが、魅力的な企業に感じられなかった……
- たくさんの情報をもらったうえで、自分の希望条件とは合わないように感じた……
- 最終面接まで進んでいるA社のほうが、この企業より魅力がある……
- 第一志望だったB社からも内定をもらってしまった…… など
また、自社の魅力をたくさん伝えても、それぞれの求職者が抱える不安や疑問の解消ができなければ、やはり求職者との信頼関係を築いた競合にはかなわなくなるでしょう。
内定承諾前の辞退を防ぐためには、内定を出すまでにどう求職者と信頼関係をつくり、一人ひとりの求職者のニーズ等に向き合って魅力付けをしていくことが求められます。
内定承諾後に辞退する原因
内定承諾後の辞退原因には、以下のようなものがあります。
- この企業で働く自分をイメージできなかった……
- 内定承諾後に音沙汰がなくなったので「この企業は大丈夫かな?」と不安になった……
- 入社に向けて不安・迷いが生じているときに、A社からスカウトや内定をもらった……
- いわゆる“親ブロック”の状態に陥っている……
- 病気や家庭などの個人的な事情で入社が難しくなった…… など
最近では、先述のとおり、内定承諾の法的効力などを知ったうえで、当初から辞退するつもりで複数社の内定承諾するような学生も出てくるようになりました。
しかし、大半の学生は、内定承諾の際に一度はその企業に入社することを決意しています。
したがって、内定承諾後に生じる辞退の多くは、時間の経過などが原因で募って来た不安が承諾時の記憶や熱量を上回ったときに生じることが多いでしょう。
なお、辞退の理由を内定者のせいにしていては、辞退率は下がりません。内定辞退を防ぐためには、内定辞退の理由を理解したうえで、具体的な対策を考える必要があります。
承諾前の内定辞退を防ぐ内定者のフォローアップ対策
前章でお伝えしたように、内定辞退が起こる原因は、内定の承諾前・承諾後でそれぞれ異なります。内定辞退を防ぐためのフォローアップとして、本章では最初に内定承諾前の段階での対策を紹介します。
選考をスピーディーに実施する
対策の1つ目は、選考をスピーディーに進め、求職者に迅速に結果をフィードバックするということです。
スピーディーな選考は、企業が応募者に対して積極的であるという印象を与えます。また、選考プロセス各段階で迅速なフィードバックを提供することで、応募者は自分が重要視されていると感じ、内定承諾の意思が上向くことが期待できます。
内定の出し方を工夫する
内定の通知方法に工夫を凝らすことで、内定者に強い印象を残し、他社との差別化を図ることができます。
例えば、社長からの直筆メッセージを添えたり、内定通知を特別なパッケージで送るなど、個性的で記憶に残る方法を取り入れることが有効です。これにより、内定者は自分が特別に扱われていると感じ、企業への愛着が深まることも期待できるでしょう。
経営陣から評価や期待を伝える
経営陣が内定者と接触し、具体的な評価や期待を伝えることも大切です。期待を伝えることで、内定者は自分が企業にとって重要な存在だと実感できます。このような関り方があるかないかでは、内定者が自社を選ぶ優先順位にも大きく影響するでしょう。
承諾後の内定辞退を防ぐ内定者のフォローアップ対策
承諾後の内定辞退を防ぐ施策の大前提として重要となるのは、内定者との接触頻度を高く維持することです。
本章では、内定者との高い接触頻度を維持することの重要性、また、具体的なフォローアップ施策を紹介します。
定期的な情報発信
先ほども少し紹介したとおり、内定承諾後にまったく音沙汰がない場合、内定者には「この企業は大丈夫なのだろうか?」などの不安・疑念が生じやすくなります。
一方で採用企業側の自然な動きとしては、内定承諾前の求職者との接触が増えやすく、承諾後の内定者との接触頻度は少なくなりがちです。
しかし、承諾後の接触頻度が落ちることは、先述のとおり、内定者における不安の発生や増大させるものになります。
上記のような問題を防ぐためには、内定式や内定者研修の日程連絡といった事務的な連絡だけでなく、SNSを通じて日常的に情報発信する、社内報や社内イベントの様子などを共有するなど、高い接触頻度を保つことが大切でしょう。
定期的なコミュニケーション
高い接触頻度を保つうえでは、定期的なコミュニケーションを通じて、個別の相談ができる良好な関係を構築することも大切です。
人事担当者と内定者の間で信頼関係が構築できれば、内定者も心を開いてくれるようになります。
ただ、内定者とのコミュニケーションのなかで、個人的なことに干渉しすぎたり頻度があまりに高すぎたりすると、相手の負担を増やすことになりかねません。
場合によっては、コンプライアンス上の問題につながることもあります。
定期的なコミュニケーションをする際には、適度な距離感を保つことを心がけましょう。
内定者同士の人間関係の醸成
内定者の多くは、同期に関心を持ち「早く会いたい」と思っています。これは、「どのような人と働くのか?」という不安の裏返しでもあります。
上記のようなニーズを叶え不安を解消するには、内定者懇親会などを実施したうえで、内定者同士が交流できるクローズな場を設けることがおすすめです。
内定者同士でコミュニケーションをはかれば、内定者研修や入社に向かうなかでの不安などを共有していくうちに「みんなも同じ悩みを抱えているんだ!(私は一人じゃない!)」などのポジティブな想いが生まれることもあるでしょう。
ただし、企業の対応に不満を抱いている内定者がいた場合、そうした不満が共有されてしまったり、内定者間での人間関係のトラブルが起こったりすることもあり得ます。
したがって、内定者同士のコミュニケーションの場を提供する場合、運用ルールやフォローを行なうなどの注意も必要となります。
また、入社1年目社員(内定者の1つ上)の世代などをうまくコミュニケーションに巻き込むことも有効でしょう。
魅力の再訴求
「内定ブルー」という言葉もあるように、内定承諾後にはさまざまな不安や迷いが生じやすくなります。
こうした状況で入社後の不安を解消するには、内定者に企業の明るい将来像などを話して、魅力の再訴求をすることが大切です。
再訴求をする場合、“弊社はいま勢いがある”などの抽象的な内容ではなく、以下のように内定者の視点や悩みに寄り添う話をすることが大切になります。
- 弊社にも女性管理職が誕生したんですよ……(女性活躍できるか不安な内定者に対して)
- ◯◯アプリの開発チームが始動したので、Aさんにも早く入っていただきたいです……(自分でもアプリ開発できる不安な内定者に対して) など
内定者が抱えた不安のなかには、「社会人になったら大変だ」のように学生の甘えのようなものがあるかもしれません。
しかし、内定辞退を防ぐフォロワーをする際には、その甘えを指摘するのではなく、将来は明るく希望に満ちているイメージを共有し続けることが大切になります。
入社後イメージの強化と動機づけ
内定者を入社につなげるうえでは、不安解消と同時に、以下のような入社後イメージを明確にしていくことも有効です。
- この企業なら、自分の力を発揮できる!
- この企業の先輩たちと早く一緒に働きたい!
- 自分の夢を叶えられるのは、この企業だけだ! など
たとえば、先述の座談会や交流会には、魅力的な既存社員とのコミュニケーションをはかることで、「この先輩と早く一緒に働きたい!」などの動機を強くする効果もあります。
また、内定者研修で、入社後のキャリアプランや実現したいことなどを描くようなワークも有効です。
企業トップに会う機会を設ける
経営者が、内定者個人に対する期待や歓迎の気持ちを自ら言葉で伝えることは、効果が高いうえにコストがかからない方法です。
「社長から声をかけてもらった!」などのインパクトが大きいことから、内定辞退を踏みとどまる効果が高い方法となります。
企業トップからの言葉を伝えるうえで大切なことは、“内定者”という漠然とした対象ではなく、AさんBさんなどの“内定者個人”に対してメッセージを伝えることです。
具体的には、社長自身が「〇〇さん」と個人の名前をいい、握手をして「女性エンジニアとして頑張ってくださいね!」などの具体的な期待のメッセージ伝えるなどの方法になります。
時間は、1回2~3分程度でよいでしょう。
このように社長から個人に対する声がけを行なうと、内定者に大きなインパクトを与えられます。
まとめ
内定とは、企業が最終選考を通過した求職者に対して、「雇用契約を結ぶ意思」を示すことを指します。
また、新卒の場合は、採用期間が長期間におよぶため、内定を出す前に「内々定」を出す企業も存在します。
内々定から採用、雇用契約までの流れは、以下のとおりです。
- 1.応募者に内々定の連絡をする
- 2.正式な内定後、応募者に内定通知書(採用通知書)、内定承諾書を送る
- 3.応募者が内定承諾書にサイン、捺印して提出する
- 4.企業側が内定承諾書を受諾し、採用が決定する
内定通知が労働条件通知書を兼ねている場合には、企業が出した内定通知を求職者が確認し、通知に対して承諾の意思・承諾書を提出したタイミングで労働契約が成立することになります。
内定通知書には、おもに以下のような項目が記載されます。
- 採用者の氏名
- 応募に対するお礼
- 採用内定の通知
- 内定の取り消し事由 など
内定通知書には、おもに内定者の辞退を抑制して他の企業よりも先に人材を確保する目的があります。
内定辞退に関しては、大前提として日本では憲法で定められた「職業選択の自由」を守ることが基本となっています。
民法627条(労働契約の解約権の行使)でも定められているとおり、雇用契約が成立しているからといって、企業が内定辞退の申し出を拒否したり、条件をつけたりすることはできません(雇用契約が成立していない状況であれば、なおさらです)
内定辞退が起こる原因としては、さまざまな理由が考えられます。内定承諾後の辞退を防ぐためには、内定者との接触頻度を高く保つことが大前提です。
そのうえで、以下のフォローアップを実施するとよいでしょう。
- 定期的な情報発信
- 定期的なコミュニケーション
- 内定者同士の人間関係の醸成
- 魅力の再訴求と承諾理由の再確認
- 入社後イメージの強化と動機づけ
- 企業トップに会う機会を設ける など
内定辞退を防ぐポイントをもっと詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。