中途採用に取り組む企業にとって、求人サイトや人材紹介(エージェント)以外に転職イベントも求職者と接点を持つための選択肢になります。
転職イベントは、「直接自社の魅力を伝えることができる」「転職意欲が高い層が集まってくる」「スピーディーに採用までつながりやすい」といったメリットがあります。
本記事では、転職イベントの概要、他チャネルと比較した出展のメリットとデメリット、おすすめイベントや出展して効果を上げるためのポイントを紹介します。
<目次>
転職イベントとは
転職イベントとは、採用企業と求職者が一堂に集まって、企業説明などを行うものです。
新卒採用でいうところの“合同企業説明会”や“マッチングイベント”の中途採用版となります。
転職の場合、新卒の就活のようにほとんどの学生が同じスケジュールで動くわけではないので、新卒ほど大規模、また高頻度では開催されていませんが、定期的に実施されています。
主催する企業やイベントのコンセプトによって来場者の層は異なりますが、20代〜30代の転職希望者が多く訪れる傾向にあります。
会場内には求人募集している企業のブースだけではなく、無料の転職講座やキャリア相談が受けられるエリアが設けられるなど、求職者の参加意欲を促すよう工夫されています。
企業側はブースを出展することで、直接転職者に自社の特徴や魅力を説明できる、また、求職者側も関心のある会社の雰囲気を知る、一堂に集まった企業を見たりすることで思わぬ出会いを得ることができます。
直接双方向でコミュニケーションを取れるのが転職イベントの特徴であり、採用企業にとっても求職者にとっても、その点が転職イベントの魅力です。
転職イベントで企業ができること
一般的な“合同企業説明会”タイプの場合、イベント当日は出展企業ごとにブースが準備され、ブースで会社説明やエントリー受付などが可能です。
イベントの開催前にもWeb上で参加予定の求職者に企業の魅力をアピールすることができることもあります。
また、“マッチングイベント”と言われるタイプの場合には、企業と参加者が総当たりでコミュニケーションして、場合によっては一次面接的なことまで実施するスタイルが多くなります。
母集団を形成したい場合には“合同企業説明会”タイプ、一気に採用成功まで進みたい場合には“マッチングイベント”タイプが向いています。
転職イベントの主な開催時期
新卒採用と違って、中途採用は通年で行われるため、転職イベントも1年を通してどの時期にも行われています。
ただ、採用活動が盛んになる3月と9月は開催数が多く、大規模なイベントが開催されやすいのも3月と9月です。
民間企業が開催する転職イベントは、比較的大都市で行われることが多くなりますが、ハローワークや行政などが開催する転職イベントは各エリアで開催されます。
転職イベントの出展費用
行政やハローワーク等が主催するものは基本的に無料ですが、民間企業が主催する転職イベントの場合は、基本的には出展料が必要となります。
費用はイベント規模や、対象となる業界・職種、出展日数、出展ブースの広さなどによって異なってきますが、数十万円程度、大規模なイベントに大きなブースで参加する場合には100万円を超えるでしょう。
なお、リアル開催のイベントであれば、出展料以外にも「自社パンフレットなどの配布資料」「ブースの装飾費用」「当日参加するスタッフの人件費」等の費用が必要となります。
ブースの規模を大きくしたり大々的にアピールしたりすれば、その分費用も大きくなります。費用対効果をよく検討して判断しましょう。
転職イベントに出展するメリット
転職イベントに出展することは、求人サイトへの出稿や人材紹介会社(エージェント)を利用する場合と比べてどんなメリットがあるかを紹介します。
数多くの転職希望者と会える
大手人材系企業が開催する転職イベントでは、数日間の開催で延べ来場者が1万人を超えるような規模になることも珍しくはありません。
一気に数百人の求職者と会えるのは、転職イベントならではのメリットだと言えるでしょう。
媒体で伝わりづらい自社の魅力を直接語れる
求職者と直接話すことができるのが、就職メディアなどとの一番大きな違いです。
媒体では伝わりづらい魅力もダイレクトに伝えることができ、媒体では応募に至らなかった求職者の応募意向の形成も可能となります。
対面イベントであれば、商品サンプルなどを持ち込むことも出来ますし、相手の反応や理解度を見ながら、自社の魅力をアピールできます。
知名度がない、事業内容や商品・サービスがイメージしにくい、少し敬遠されがちな業界などの場合には、直接魅力を訴えられるメリットは大きいと言えるでしょう。
求職者とダイレクトに話せる
転職イベントは企業と求職者が直接話せるので、求職者本人の人柄や人間性などを含めた情報を確認しやすくなります。
初期段階で企業と求職者の相互理解が深まれば、ミスマッチの可能性も低くなるでしょう。
その場で面談・面接ができ採用フローを短縮できる
小規模な転職イベントやマッチングイベントであれば、1対1で個別面談の時間を設けられる場合も多くあります。
求職者と個別で話し、次回の面談設定などまで出来れば、スピーディーに採用活動が進みます。
マッチングイベントであれば、その場で一次面接を実施してしまうようなケースもあり、イベントから1週間程度で一気に採用が決められる場合もあります。
転職イベントのデメリット、注意点
多くのメリットがある一方で、転職イベントには次のようなデメリットや注意点もあります。確認したうえで、自社に向いているかを判断しましょう。
工数がかかる
転職イベントの中でも、オフライン(対面)での合同企業説明会タイプは、とくに工数がかかります。
まず当日の運営スタッフだけでも2~3名程度は必要になります。
大型イベントの場合や、現場の社員を呼ぶ場合は4~5人のスケジュールを終日×2~3日間押さえることになります。
その場で、当日に一気に選考を行いたい場合は、採用のキーマンや決裁者クラスが参加した方がよい場合もあるでしょう。
また、転職イベントは基本的に土日開催が多く、その点も考慮が必要です。
もちろん準備段階でも工数はかかります。
プレゼンテーション用の資料作成、当日の段取り、ブース内に展示するパネル類、また、配布資料の準備など、検討や作成、発送などの手間が必要です。
コストがかかる
イベントの規模、開催エリア、コンセプト等にもよりますが、一般的な大手人材系企業が開催するイベントの場合は50万~100万円程度の参加費用が掛かります。
前述した通り、行政系のイベントであれば無料ですが、民間企業が開催するものは小規模なイベントで20~30万円程度、大規模イベントでブースを拡張したりする場合には200~300万円ほどかかる場合もあります。
求人広告と同じように、イベントに出展したからといって必ずしも求めている人材と出会える、採用できるとは限りません。
但し、そこから採用成功する、さらに複数名を採用できれば人材紹介会社(エージェント)等を利用するよりもかなり割安にはなります。
上記のように費用が無駄になるリスクもありますので、参加するイベントをきちんと見極める必要がありますし、当日に向けた準備や後工程もしっかりと考える必要があるでしょう。
転職イベントの種類
転職イベントにもいくつかの種類があります。ここでは代表的な転職イベントの種類を紹介します。
大規模総合型
大手の転職サイトなどが主催する転職イベントは、大半がこのスタイルです。
広告費も大量に投下されて、多くの転職希望者が参加し、出展企業も3桁を超えるような規模で開催されます。
大規模な転職イベントは幅広い人材に出会える場であり、一気に多くの求職者と接点を持つことができます。
ただし、大規模総合型のイベントには、知名度のある大手企業や人気業種が参加することもあります。
知名度のない中堅中小企業やベンチャー企業は、自社ブースに立ち寄ってもらいづらく、コストパフォーマンスが悪くなる場合もあります。
業界・職種特化型
転職イベントには、特定の業界や業種だけに絞り込んだタイプのものもあります。
大規模総合型と比べると規模は小さくなりますが、当該の業界や職種を希望している人や、職務経験を持っている人が参加するため、マッチング率が高くなります。
例えば、エンジニア、農業、飲食店などに特化した転職イベントです。
当然、その業界や仕事に興味を持っている求職者が参加しますし、業界や職種経験者が参加する可能性も高いでしょう。
ただし全ての業界・業種向けに特化型イベントがあるわけではありませんので、自社の事業とマッチする転職イベントがあるかどうかを調べてみるとよいでしょう。
エリア特化型
行政や公的機関が開催する転職イベントなどは、エリア特化型になっていることが多いでしょう。
各エリアで開催されている他、地元への転職、Uターン・Iターン希望者向けに、地方のエリア特化イベントが東京や大阪などで開催される場合もあります。
特定の地域で人材を採用したい企業にとっては、求める人材を効率よく見つけられる場になり得ます。
また、雇用を創出し、地元経済の発展に貢献していくといった企業姿勢のアピールにもつながるでしょう。
主要な転職イベント
ここでは主な転職イベントを紹介します。ざっとご覧いただくと、転職イベントがイメージも膨らむでしょう。
マイナビ転職フェア
総合人材サービスのマイナビが運営する転職イベントです。全国各地25ヶ所以上で年間50回以上も開催され、日本最大級の規模となっています。
参加者の年齢層は20代~30代が80%を占めており、若手採用を狙っている企業に向いています。
企業の採用ターゲットを理解したイベントコンシェルジュが、来場者を直接ブースまで誘導してくれるので、ブース着席数の多さ、マッチング精度の高さが強みとなっています。
https://tenshoku.mynavi.jp/event/
リクナビNEXT「はじめての転職フェア」
総合人材サービスのリクルートグループが開催する転職イベントです。関東、関西、東海を中心に開催されており、あらゆる業種の企業が参加しています。
イベント名の通り、「初めて転職する求職者」をターゲットにした転職イベントです。
年齢で、~34歳までが76.7%、また、はじめての転職という人が61.0%と若手採用を考えている企業に適しています。
https://www.direct-recruiting.jp/topics/shohin/rikunabi-next-fair/
typeエンジニア転職フェア
首都圏最大級の、エンジニア職に特化した転職イベントです。転職サイトtypeを運営するキャリアデザインセンターが運営しています。
交通広告やWEB広告などのプロモーションで、平均来場者数は1,000人以上の実績を誇っており、1日約30名のエンジニア経験者と面談できるのが特長となっています。
エンジニア経験者を中心に、転職サイトに登録してない転職潜在層も多く来場しているため、ターゲットとなる人材に出会える確率が高いです。
同時にセミナーや座談会なども行われており、それらを目的に参加してくる求職者にもアプローチが可能です。
女の転職type「女の転職イベント」
typeエンジニア転職フェアと同じくキャリアデザインセンターが開催する女性に特化した国内最大級の転職イベントです。
販売・事務・クリエイター・介護医療・営業・企画・専門など、女性に人気の職種を募集する企業の出展が多いのが特徴となっています。
イベント規模は来場者数で1500名、その85%が20代30代の女性となっており、今後活躍していく女性人材の採用を考えている企業には適しています。
https://woman-type.jp/keisai/event/
就職カレッジ 集団面接会
HRドクターを運営する株式会社ジェイックが運営するマッチングイベントタイプの転職イベントです。
合同企業説明会ではなく、マッチングイベントになっており、参加すると20名前後の若手人材を一気に面接することができます。
仙台、東京、横浜、名古屋、大阪、広島、福岡などで毎月開催されており、札幌や静岡、新潟などでも不定期で開催しています。
イベント当日に一次面接を行うため、スピードが早く、最短でイベント参加から数日で内定、平均でも1週間から2週間で採用決定できることが魅力です。
求人サイトなどでなかなか若手の応募がないという中堅中小企業、また、「この支店で採用したい」といった拠点展開企業の採用ニーズに向いています。
集団面接会の資料は下記でダウンロードできますので、ご興味あれば、ぜひ詳細をご覧ください。
転職イベントで成功するためのポイント
転職イベントに出展して、成功するためのポイントを分かりやすく紹介します。
ポイント①「呼び込み」の人員を投入して求職者接点を作る
転職イベント参加を成功させるために、まず一番大切なことは求職者と接点をつくることです。
待っていれば求職者が集まってくる大手企業や人気業種であれば別ですが、知名度の低い中堅中小企業などにとっては、来場者にどれだけ足を止めてもらって、接点を作れるかどうかがカギとなります。
そのため、「呼び込み」だけに絞った人員を投入することが、転職イベントのパフォーマンスを上げるのには有効です。
ブースの前を通りがかる求職者に声をかけて、自社に興味を持ってもらう、ブースに立ち寄ってもらうことが大切です。
社員のスケジュールを確保できなければ、アルバイトや派遣スタッフを活用するのも選択肢です。
ポイント②会社説明用の「ツール」や「台本」を用意する
ブースに着席した求職者用に会社概要、募集職種、採用条件等が一目でわかるパンフなどの説明ツールを用意し、自社をアピールしましょう。
呼び込みのアルバイトなどを雇用する場合は、呼び込むときに手短に自社の事業を説明するような簡単な「台本」も事前に用意しておくと良いでしょう。
ポイント③「営業力」がある人をアテンドする
転職イベントは、求職者と対面で直接コミュニケーションできることが最大の魅力です。
従って、対面でグッと引き付けて次のステップ(来社しての面談や面接、会社説明会への参加)に進んでもらう営業力が大切になります。
その方面に長けた人員をアテンドするようにしましょう。
ポイント④当日の「終わり方」や「次ステップ」を明確にしておく
せっかく自社ブースに求職者を呼び込んで会社説明しても、「興味を持ったらぜひご応募くださいね!」と終わってしまうと、なかなか成果は生まれづらいでしょう。
例えば、会社説明会の日程を事前にいくつか準備しておき、その場で参加日程を仮予約してもらう。
また、小規模イベントであれば、1対1のカジュアル面談日程をその場で決めてしまうなど、次ステップにつなげる終わり方をすることが大切です。
イベントの規模や自社の採用ステップを踏まえて、次ステップをどうするか、転職イベント当日のゴールが何かを明確にしておきましょう。
ポイント⑤マッチングイベントの場合、「決裁者」層が参加する
転職イベントの中でも、マッチングイベントタイプの場合、イベント内で面談や一次面接まで実施するような形になります。
この場合には、その場で面接の合否を決められる、また、とくに採用したい人がいた場合は特別選考を提示するなど、柔軟に調整、意思決定できる決裁者クラスの人が参加するとよいでしょう。
中堅中小企業の場合には、経営層と近い距離で働けることが大きな魅力になりますし、会社のビジョンや事業計画などをしっかりと語ってアピールできるのも決裁者層になるでしょう。
まとめ
転職イベントは、中途採用において求人サイトや人材紹介会社(エージェント)の利用と並んで選択肢になる採用手段です。
転職イベントの最大の魅力は、求職者に直接接触して自社をアピールできることです。
従って、求人サイトなどでは応募が集まりづらいといった企業にとっては、非常に有効です。
数千人規模の大規模な総合型イベントもあれば、業界や職種、エリアなどで特化したような転職イベントもあります。
また、自社ブースを構えて会社説明するような合同企業説明会タイプ型のイベントもあれば、すべての参加者に会社説明会を実施してイベント内で面談や一次面接まで実施できるようなマッチングイベントもあります。
記事内で紹介した主要な転職イベントも参考に、自社の採用ターゲットや採用力、採用ニーズなどを踏まえて、適した転職イベントを選択してください。
多くの転職イベントは参加費型になりますので、出展を決めたら成功できるようにしっかり準備することが大切です。
記事で紹介した5つのポイントを参考に、ぜひ転職イベント参加を成功させてください。
なお、HRドクターを運営する株式会社ジェイックでは、若手層の採用に特化したマッチングタイプ型の転職イベント「就職カレッジ 集団面接会」を開催しています。
集団面接会の資料は下記でダウンロードできますので、ご興味あれば、ぜひ詳細をご覧ください。