社会全体で人材不足が深刻化している昨今、新規採用で苦戦を強いられる中小企業がますます増えています。人材獲得競争が激化の一途をたどる中、中小企業の採用活動を成功させるためには何が必要なのでしょうか。
記事では、中小企業が人材採用に苦戦する理由、また採用で苦戦しないためのポイント、中小企業におすすめの採用手法をすると共に、このような状況の中で人材の採用に成功している中小企業の事例を紹介します。
<目次>
中小企業を取り巻く採用市場の動向
東京商工会議所が実施した「中小企業における人手不足の現状等について」(2019年12月9日付)調査によると、中小企業の人手不足は年々深刻化しています。
人手が不足していると感じている企業は、
2015年:50.3%
2016年:55.6%
2017年:60.6%
2018年:65.0%
2019年:66.4%
と、年々増加しています。少子高齢化という状況の下、中小企業の人手不足は今後も高まっていくと考えられます。
また、従業員規模別でみたときの人員の過不足状況としては、従業員規模が大きいほど、人員が「不足している」と回答した企業の割合が高くなっています。人数が大きくなった中小企業で人手不足が起こると、より多くの従業員に負担がかかることとなります。早急に人員を採用しなくてはならないでしょう。
ただ、「2020年卒マイナビ大学生就職意識調査」では、「やりがいのある仕事であれば中堅・中企業でもよい」+「中堅・中小企業がよい」が43.4%と前年を2.0pt上回ったというデータもあり、企業規模にこだわらず、中小企業を志望する学生も増えてくる可能性があります。
中小企業が採用に苦戦しやすい理由
なぜ中小企業は採用に苦戦するのでしょうか。記事では最初に、中小企業が採用で苦戦しやすい主な理由4つを解説します。
理由①母集団が少ない
まず前提として、大企業と中小企業を比べると、そもそも大企業の方に人が集まりやすい状況が存在します。母集団が少ないので採用が難しいのです。
以下は、リクルートワークスが調査した従業員規模別の新卒採用における求人倍率(≒求職者1人に何件の求人があるか)です。
・従業員数 5000人以上 :0.41倍
・従業員数 1000人~4,999人 :0.89倍
・従業員数 300人~999人 :0.98倍
・従業員数 300人未満 :5.28倍
*リクルートワークス研究所|大卒求人倍率調査(2022年卒)
調査結果をご覧になると分かるように、イメージとしては、「従業員数300人未満の会社は、1人の学生を5社で奪い合っている」状況で、大手企業との差は歴然です。
この状況に拍車をかけるのが、少子高齢化による労働人口の減少です。2021年の総務省統計局調査では、15~64歳の労働人口は7450万4千人と、前年に比べ58万4千人の減少となり、比較可能な1950年以降過去最低を記録しています。
*総務省統計局|人口推計(2021年(令和3年)10月1日現在)
労働人口の減少は、企業規模に関わらずどの企業にも共通する課題ですが、それでも大手企業であれば、中小企業に比べ圧倒的に人が集まりやすいわけです。採用基準を調整するなどすれば、今後も母集団を作り続けることは可能でしょう。
しかし、中小企業の場合はそうもいきません。ただでさえ人が集まりにくい中小企業にとって、労働人口の減少は死活問題となる課題です。
理由②知名度がない
前述のように、中小企業は圧倒的に人が集まりにくい状況にあります。要因のひとつは、「知名度」の低さです。知名度が低いことは、中小企業の採用活動において、大きなハードルとなります。
たとえば、ナビサイトに求人を掲載した際の事例で考えてみましょう。新卒の求人サイトであれば、2万~3万社の求人が掲載されています。たとえば、「東京のIT企業」と絞り込んでみても1,000社を超えます。
自分がGoogleなどで検索するときを想像してみれば分かるかと思いますが、検索結果のうち、クリックされるのは1ページ~2ページ目の数件程度です。そして、求人サイトで「クリックされるか?」を分ける大きな要素は、「自分が知っている社名か?」です。やはり、人は自分が知っているものに親しみを覚えるものです。
だからこそ、名が知れた大手企業であれば、求人サイトに掲載しても、ダイレクトリクルーティングを使っても、人材紹介に求人を出しても、「社名が知られている」というだけで高い効果を得やすいものです。
しかし、知名度の無い中小企業の場合、企業名で注目を集めることは難しく、競合の求人に埋もれてしまうことの方が多いでしょう。そもそも、社名を知らないと求人自体が見られにくいのです。
加えて新卒採用の場合、中小企業が応募学生に内定を出した後に、家族や知人から「そんな名前も知らないような会社で大丈夫か?」などと反対を受け、内定辞退になることもあります。このように、知名度が低いことは中小企業の採用苦戦に拍車をかけて大きな要因といえます。
理由③採用費の絶対額が限られる
企業の採用活動には、広告費や人件費などの費用が必要になります。大企業と比べると、中小企業が採用にかけられる予算は限られることが一般的です。
マイナビによる企業の新卒採用予算の調査結果を見ると、大企業が多くを占める上場企業の採用費の平均が約771.9万円であるのに対し、非上場企業では約267.4万円と、大きな開きがあることが分かります。
もちろん、採用人数が多くなれば同じ採用単価でも必要な採用費は増えますので、大企業・上場企業の採用費(総額)が多くなることは、当たり前の話です。しかし、採用費の絶対額が限られてくるとどうしても打ち手が絞られてくる部分もあります。
たとえば、採用費が5,000万円あれば、そのうちの200万円を採用サイトの刷新に使う意思決定はわりと実施しやすいかもしれません。トライアル的に、新しい媒体やダイレクトリクルーティングを契約したりすることも可能です。
こうした新たな施策や採用力を改善するための打ち手は、ひとつひとつは小さなことかも知れませんが、積みあがってくると大きな差になってきます。
また、シビアな話ですが、求人広告の代理店やメディアなどと付き合う上でも、広告費1,000万の顧客と広告費100万の顧客では、代理店はやはり予算額が大きな顧客に優秀な営業やクリエイターを付けるでしょうし、オプションの値引き率なども大きなものになると考えられます。
理由④採用ノウハウが蓄積されづらい
採用力を高めるためには、採用活動のノウハウを蓄積していくことが重要です。しかし、中小企業では、採用業務の仕組み化が整っていない、採用担当者を専属で置けないといった理由から、採用ノウハウが蓄積されづらい傾向にあります。
加えて、上述したように予算の問題で実施できる新たなトライアルが少なければ、ノウハウも蓄積されにくいでしょう。
また、中小企業では、採用人数が少なくなりますので、エントリーの母集団自体も小さくなります。これにより採用プロセスを振り返るうえでも、分析の分母が少ないことで、再現性のある採用ノウハウに落とし込むことが難しくなります。
このような事情から、中小企業では、なかなか採用ノウハウが蓄積されにくい状況が生まれやすい部分があります。
中小企業が採用を成功させるための5つのポイント
前章でお伝えしたように、中小企業が採用で苦戦しやすい理由は複数あり、単体の努力では如何ともしがたい部分もあります。こうした状況も踏まえて、中小企業が採用で苦戦しない、成功するためにはどんなことが必要になるのでしょうか。本章では、中小企業が採用で苦戦しないために大切となるポイントを5つ解説します。
ポイント①自社のイチ押しポイントを作る
知名度の低い中小企業は、単に求人広告を出しただけでは競合の求人に埋もれてしまい、期待する成果にはなかなかつながりにくいでしょう。中小企業の採用活動でまず大事になるのは、「自社のイチ押しポイント」を作ることです。
イチ押しポイントを作る上では、今いる社員に「何がきっかけで入社したのか?」をヒアリングすることがおすすめです。ヒアリングしていくと、例えば、以下に挙げたような、給与や待遇面以外での入社のきっかけがいくつも出てくることでしょう。
・働き方の自由度の高さに魅力を感じた
・これからの社会に必要とされているサービスに感動した
・事業部長の掲げているビジョンに共感した
・社長の器の大きさ、人間性に惚れた
給与などの待遇や条件面は、中小企業が大手企業に太刀打ちすることは難しいかも知れません。しかし、上記の例のように、自社ならではの魅力を探して、イチ押しポイントを見出すことが大切です。
なお、イチ押しポイントを考える際は、「他社に絶対にない」「独自の」という視点に拘りすぎない方がいいでしょう。それよりも「何が我が社の売りか?」「どこに魅力を感じて入社してくれた人が活躍しているか?」ということを軸に考えてみましょう。
ポイント②採用ペルソナを作成する
中小企業が採用を成功させるためには、採用ペルソナを明確にすることも重要です。採用ペルソナとは、自社が採用したい人(採用ターゲット)に、価値観や個性、キャリア観、転職理由といったものを肉付けして、架空の人物像にしたものです。
採用ペルソナを明確にすることで、以下のような効果が期待できます。
・どんな魅力を、どう表現すればいいかが考えやすくなる。
・採用媒体や採用手法を、より効果的に検討できるようになる。
・応募者とのマッチング精度が高まり、ミスマッチによる離職率を減らせる。
採用ペルソナを作成にする際は、「どんな人に来て欲しいのか」という人材像を、あらためて再検討することが大切です。HRドクターでは採用ペルソナの作り方について、分かりやすく解説した記事を用意していますので、ご興味あればご覧ください。
ポイント③経営者が採用活動に主体的に関わる
経営者の顔が見える、経営者と近い距離で仕事ができることは、中小企業ならではの強みです。この強みを存分に活用するためには、採用活動に、経営者に主体的に関わってもらうことが重要です。
合同説明会や質疑応答、選考面接などで、社長や役員陣が積極的に参加することで、求職者が経営陣と直接話す機会が生まれ、企業の魅力や展望を力強く伝えることができます。結果として採用力は向上するでしょう。
中小企業で、一番の熱量とビジョンを持って事業に取り組んでいるのは経営者です。だからこそ、中小企業ではトップが採用活動に主体的に関わり、積極的な姿勢を示すことが、来て欲しい人材を惹き付ける一番の説得材料になります。
経営者には、採用イベントや面接などに参加してもらうとともに、採用媒体においても積極的に発信をしてもらうようにしましょう。
ポイント④露出を増やす
前章でお伝えしたように、中小企業は知名度では、なかなか大手企業には勝てないでしょう。しかし、その中でも自社の露出を増やしていく工夫を地道に積み重ねることは大切です。
採用サイトの作成、SNSでの情報発信、プレスリリースや業界紙で取り上げもらうなど、多くのお金をかけなくても露出を増やす方法は色々あります。
何がきっかけになって応募につながるかは分かりません。また、何かしらの求人チャネルで自社の存在を知った求職者が社名で検索した時、どんな情報に触れられるかは非常に大切です。
また、「若手のITエンジニアを採用したい」など、ターゲットが明確であれば、技術系のブログやエンジニアのコミュニティサイトなどで自社の技術力や開発ノウハウを共有する、積極的にリファラル紹介の依頼やカジュアル面談を実施するといったことも効果的です。
こうした取り組みは、一朝一夕で知名度や採用力に寄与するわけではありませんが、予算をあまりかけずにできるので、地道に継続し続けることが大切です。
ポイント⑤採用手法を柔軟に切り替える
採用活動を進めるに当たり、現在取り組んでいる手法では期待する結果が得られていない場合には、他の手法に切り替えることも重要です。
たとえば、来て欲しい人材のエントリーが集まらないのであれば、指定した条件でピックアップした人材を直接スカウトできる「ダイレクトリクルーティング」を検討しても良いでしょう。
他にも「人材紹介」や「リファラル採用」など、目的やターゲットに応じて様々な採用手法があります。来て欲しい人材を集める上で、今取り組んでいる方法が本当に効果的かどうか、十分吟味した上で、柔軟に切り替えていくようにしましょう。
ポイント⑥メッセージを工夫する
様々な手段を利用して露出を増やしていく、また、採用方法も柔軟に切り替えて最適なものを利用することが大切ですが、同時に発信するメッセージの工夫も重要です。
採用媒体に掲載する求人情報は、求人広告と呼ばれます。目的は、求職者の関心を引き、まずは読んでもらう、そして、応募してもらうことです。事実をしっかりと掲載することはもちろん重要ですが、広告として人々を惹きつける必要があります。
とくに知名度の点で不利な中小企業がありきたりなメッセージを掲載してしまうと、条件面だけで大手企業と比較され、応募が集まらないことも起こりがちです。
メッセージを作成するときには、ポイント②で作成したペルソナがどのような点に関心を持つかを考え、ペルソナが魅力に感じるようにメッセージを作成することが大切です。さらに、ポイント①で作成したイチ押しポイントをメッセージにしっかりと含めましょう。タイトルや見出し、キャッチコピーなどでもイチ押しポイントを含めるのが大事です。
求職者がついつい見てしまい、応募したくなるようなメッセージを作成しましょう。
ポイント⑦会社全体で採用に取り組む
中小企業が採用を成功させるためには、会社全体で採用に取り組むことも重要です。
採用活動の計画や企画をするのは人事や採用担当者になるでしょう。しかし、経営陣にも協力してもらい、経営陣はもちろん全社員に採用活動に協力してもらう。自分たちが欲しい人材は自分たちで採用しにいくという文化をつくることが大切です。
経営者が説明会や選考に関わるのと同じように、現場のエースや管理職が採用活動に協力してくれることで、よりリアルな情報、また、温度感のある魅力、そして、求職者が知りたがっている情報を発信することができます。
また、情報発信する上でもリファラル採用やSNS活用などは発信する人が増えれば、その分強力なものとなります。たとえば、数十人の社員が自分のSNSで「●●職で中途採用しています」と発信すれば、多くの人の目に触れるでしょう。
中小企業が採用で成功した事例4選
繰り返しになりますが、大手企業と比べ、採用活動で苦戦しやすい中小企業ですが、しかし、中には、アプローチや取り組みの工夫・改善で採用を成功させた企業も存在します。記事の最後では、採用に成功した中小企業の事例を4つ紹介します。
事例①宇都宮工業株式会社
宇都宮工業株式会社は、愛知県に拠点を置く従業員112人の金属プレスの会社です。同社は、新たな事業領域として住宅関連業界に進出しましたが、住宅関連製品の売り上げを拡大するため、工学部出身の新卒者の採用が急務となりました。
新卒工学部系の人材に対して、自分のアイディアやデザインが採用され、世の中に出ていくという住宅関連製品の開発業務の魅力を推すことで、見事に人材確保に成功することができました。
事例②株式会社東日本技術研究所
株式会社東日本技術研究所は、茨木兼日立市に拠点を置く、医療や情報システムの開発会社です。同社が希望するSEやプログラマーなどのIT技術職には、業界の採用ニーズが集中しており、常に同業種の企業と人材をめぐって張り合う状況が続いていました。このまま同業他社と同じ土俵で勝負し続けても、採用で競り勝つのは困難と判断。
自社にとって必要な人材像を見直すことで、ブルーオーシャンにいる新たな採用ターゲットを模索することにしました。
浮かび上がってきたのは、学生時代にITの勉強をしていたものの、不景気でやむを得ず、希望する職に就くことを断念した「就職氷河期世代」でした。就職氷河期世代であれば、同業他社と採用ターゲットが重ならないと見て、同社は、ものづくりを勉強しなおしてキャリアチェンジを目指す人が多く参加するポリテクセンターに求人を出すことにしました。
また、採用の基準として、一つの事を長く続ける根気のある人を重視する方針も立てました。その結果、ポリテクセンターやハローワーク経由でのコンスタントな応募に繋がりました。
*経済産業省|中小企業・小規模事業者の人手不足への対応事例集(令和3年度地域中小企業人材確保支援等事業)
事例③有限会社アウトバーン
有限会社アウトバーンは、北海道旭川市に拠点を置く、車両販売・サービスや、来店型保険ショップを運営する企業です。
アウトバーンのいる保険業界は人材の流動性が高く、また自動車業界は若者の関心が低下している状況で、同社でも、常に求人を出してはいるものに、応募が少ない状況が続いていました。
同社は北海道内外の拠点で複数の事業を展開いるにも関わらず、専属の採用担当者は1名。求人内容も前例に倣った内容が使われており、求職者への魅了付けなどの効果がきちんと検証されずにいることも課題でした。
この状況に対し、社長が採用のテコ入れプロジェクトを発足、より効果的な採用の取り組みに着手します。各店舗が求めている人材ターゲットを明確化し、採用の重点ポイントも統一して、面接でも標準化を進めました。
また求人内容も「ワーク・ライフ・バランスを重視する長く働ける職場」という同社の魅力を前面に押し出すものに改善し、Web媒体や事業所のある地域イベントに参加などにも取り組みました。求人内容をブラッシュアップしたことで、月平均1~3件のエントリーが7~8件に増え、結果として9名の採用に繋がりました。
*経済産業省|中小企業・小規模事業者の人手不足への対応事例集(令和4年度地域中小企業人材確保支援等事業)
事例③株式会社ヤマナカゴーキン
株式会社ヤマナカゴーキンは、ベアリングなどの精密鍛造機械を製造するメーカーです。同社では、新卒理系学生の採用に注力していましたが、売り手市場が続く中、大手志向が強まったこともあって、優秀な理系人材の確保に課題を抱えていました。
専門家の助言を基に、採用活動を見直した結果、自社のPR発信や学生とのコミュニケーション不足という課題が浮かび上がりました。これを受けて同社は、学生との接触イベントを発信するなど、各種媒体で露出を拡げる取り組みに着手。
また、採用ターゲットを明確にした上で、採用したい学生が参加するようなイベントへの出展も行い、説明会では社長が登壇するなど、接触の機会を積極的に設けるようにしたそうです。その結果、若手専門人材の確保に見事成功。外国籍を含む毎年5名程度の新卒採用ができるようになりました。
中小企業の採用におすすめの採用手法
中小企業が採用をするうえで利用できる方法は様々なものがあります。ここでは、中小企業の採用におすすめの採用手法を紹介します。
求人サイト
求人サイトは、サイトに登録している求職者に向け自社の求人情報を掲載し、応募者を集めるWebサイトです。広告等もよく打たれており、採用手法と言われてまず頭に思い浮かぶ人も多いでしょう。
求人サイトの特徴は、顕在的なニーズを持った求職者、つまり、転職活動を既に実施している人が多い点です。従って、母集団形成がしやすいといえます。
求人サイトのなかには、全業界・職種を網羅する総合型、エリアや業界、業種で情報を絞った特化型のサイトがあります。総合型サイトは、ユーザー数・掲載企業ともに多いので、業種の人気度や企業の知名度などがあれば、効率よく採用ができます。
また、特化型のサイトは経験者や資格保有者、スキル保有者などが多く、即戦力となる経験者や専門性が高い職種を採用したい場合に有効です。
求人サイトでは、他社の求人情報と一緒に検索されて、その中で選ばれる必要があります。従って、比較的知名度がある会社、また、人気がある業種や職種であればおすすめの手法といえます。
また、求人サイトを利用する際には、情報の登録や応募者との連絡、面接の調整・実施などは、自社で行わなくてはならないので、一定の手間がかかります。ある程度担当者の工数が確保できる状態でないと運用に手間がかかってしまうでしょう。
人材紹介(エージェントサービス)
人材紹介(エージェントサービス)とは、人材を募集している企業に対して求職者を紹介してくれるサービスです。
条件やスキル、特性などをエージェントに伝えると、求人票の作成、条件を満たした求職者の検索、求人紹介と応募意思の獲得までエージェント側で実施してくれます。さらに、書類選考後は面接日程の調整、内定後の条件調整や承諾意思の獲得まで代行してくれます。
従って、非常に効率よく採用を進めることができます。また、プロのエージェントやキャリアアドバイザーが企業の魅力抽出や紹介などを行ってくれるので、知名度はなくても技術力や専門性、独自性がある企業に向いている採用手法です。
また、一般的な人材紹介は成功報酬が基本であり、費用面のリスクを抑えながら採用活動ができるのも魅力です。
人材紹介は採用活動にかかる工数をエージェント側で代行してくれますので、採用活動の工数が取れないベンチャーや中小企業にはお勧めの手法です。また、エージェント側で一次選考をしてくれますので、専門性や経験を問うキャリア採用をする際にも効率よく実施できます。
採用イベント
採用イベントは、転職フェアや合同企業説明会、人材マッチングイベントなどのように、企業と求職者が一堂に集まり接点を持てるイベントです。大規模な採用イベントだと100社以上が集まったり、求職者が数千人規模で集まるものなどがあります。
採用イベントの魅力は、求職者に直接顔を合わせて自社の魅力を伝えられることです。従って、求人サイトなどだと魅力が伝わりづらいが、対面であれば魅力を伝えられるという企業に向いています。
なお、採用イベントは大規模な方が多くの人に会えそうなイメージもありますが、大規模になってくると、今度は知名度や業種などによっては人が集まらないという可能性が出てきます。
採用人数がおおくないのであれば、アピールしやすい小規模な採用イベント、また、参加者全員に自社の紹介をできるようなマッチングイベント型のものに参加するとよいでしょう。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、企業が求職者に対して直接アプローチができる採用手法です。ダイレクトリクルーティングでは、サービスに登録している求職者に対して、企業がプロフィールなどを確認した上でメッセージを送ることができます。
求人サイトは転職意欲が高い人が多い一方で、求人を掲載したら応募を待つしかありません。しかし、ダイレクトリクルーティングは、まだ転職意欲が顕在化していないユーザーが多い反面、自社のターゲットになる人を検索して、直接アプローチすることが出来ます。
従って、文章等を工夫することで、通常であれば接触ができないような人材からも応募を獲得できることが大きな魅力です。
ダイレクトリクルーティングはデータベースを検索して、メッセージを送信、結果を見ながらPDCAを回す必要がありますので、担当者の運用工数がかかります。一方で、上記のような“攻めの採用活動”を行えますので、ベンチャー企業や専門性の高い人材、キャリア人材などを採用するにはお勧めの手法です。コストとしても、コンスタントに採用できれば、人材紹介よりは圧倒的に安い単価とできるでしょう。
リファラル採用
リファラル採用とは社員からの紹介による採用です。社員やつながりのある人から紹介をしてもらう方法であり、採用コストを抑えながらも、自社にマッチした人材を採用することができます。
リファラル採用では、すでに自社のことを知っている人物から紹介をしてもらえるので、業務内容やスキル感、人柄などがマッチする人材を採用できる可能性が高いでしょう。コストとしても、紹介者や入社する人材に対するインセンティブのみで済むので、外部の採用サービスを使うよりもコストを抑えられます。
ただし、“知人を紹介してもらう”というやり方の特性上、計画的な採用にはあまり向いていません。また、中小企業では社員や関係者の数はどうしても少なくなってしまうので、大人数を集めるのは難しいでしょう。さらに、大前提として社員に自社を紹介したいというエンゲージメントが必要です。
SNS採用
SNS採用も、知名度や資本の小さい中小企業におすすめの採用手法です。FacebookやTwitter、LinkedInなどのSNSを利用して情報を発信することで、自社のことを知ってもらい、応募を集めます。企業側からアプローチすることも可能です。
上述したようなSNSは、基本機能はすべて無料で利用できる点が大きな魅力です。ただし、SNS経由の採用を成功させるには、一定のフォロワー数などの影響力が必要ですし、普段から地道に発信を積み重ねる必要があります。
短期的に採用のメイン手法にできる手法ではありませんが、長期的な施策としてはぜひ取り組むとよいでしょう。今の時代には、どんな採用手法を使う場合でも、必ず自社のWebサイトやSNSなどは確認される時代です。温度感が伝わるSNSを運用することで、採用活動全体によい影響をもたらすことができます。
まとめ
記事では、中小企業が採用で苦戦する理由や、採用で成功するためのポイントについて紹介しました。中小企業の採用は、単独では如何ともしがたい苦戦理由があります。
しかし、工夫を積み重ねることで知名度が低い中小企業でも採用苦戦を脱却することは十分に可能です。自社の魅力を見つけて伝える、応募者のニーズに合わせて採用活動を行う、経営者の関与を高めるなど、記事で紹介したポイントも参考に、ぜひ採用活動を成功させてください。
HRドクターを運営する株式会社ジェイックでは、中小企業の新卒採用、中途採用を支援しています。新卒採用においては、大学提携新卒採用イベント『学内選考会』(新卒カレッジ®)、また、新卒ダイレクトリクルーティング「FutureFinder®」などを提供しています。また、中途採用に関しては、主に20代の若手層に特化して、集団面接会、人材紹介サービスを提供しています。
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