最近では、国策として女性の採用や活躍に力を入れる動きが強まっており、2022年4月1日には、改正女性活躍推進法も施行されました。
一方で、国策となる理由のひとつでもありますが、日本における女性活躍率、たとえば女性の管理職比率は先進諸国のなかで低く、産休を契機に退職する女性も非常に多い実態があります。
記事では、企業が女性採用に取り組むメリットと女性採用が求められる背景、女性採用が企業にとってリスクになるのかどうかを確認します。
そのうえで、女性採用にフォーカスした採用手法や、女性採用を成功させるためのポイントも紹介します。
<目次>
女性採用に取り組む5つのメリット
企業が女性採用を積極的に行なうと、職場に以下5つの効果やメリットが生まれます。
採用ターゲットが倍になる
男女雇用機会均等法があることは前提として、いまだに“男性のみを採用したい”という企業も一定数いるのは否めない事実です。
ただ、採用対象に女性も加えれば「男性だけを獲得したい!」と動くよりも採用ターゲットは倍になるわけです。
日本において少子高齢化が進み、労働人口が減少していることは周知のとおりです。
しかし、じつはこれまで、大卒新卒の採用は、大学進学率の上昇に隠されて少子化の影響を受けてきませんでした。
しかし、大学進学率がある程度上限に達したことで、いよいよ少子化の影響が一気に出始めます。
こうしたなかで、優秀な人材を獲得するには、女性を採用対象に加えることが有効です。
優秀人材を採用しやすくなる
採用ターゲットを拡げたほうが、優秀な人材を獲得しやすくなります。
また、入社1~3年目程度の早期戦力化は、男性よりも女性のほうが早いという声は多くの企業で聞かれるものです。
「採用選考の評価順に取っていくと、女性ばかりになってしまう」という声も、新卒採用をしている企業から毎年のように聞きます。
そのため、優秀な人材に早く活躍してほしいと考えるなら、女性採用に力を入れることをおすすめします。
女性ならではの感性や発想を活かせる
女性メンバーが増えれば、「若手女性の視点」や「働くママの悩み」などの視点を新規事業や新製品に活かせるようになります。
もちろん視点や価値観は、性別だけでまとめられるようなものではありません。しかし、ライフスタイルや置かれた立場の違いで生じる違いは確実にあります。
企業や組織に多様な属性の意見・視点が集まるのは、新たなイノベーションを生み出すうえで非常に良いことです。
業績向上につながる
統計データとして、正社員の女性比率や管理職の女性比率は、企業の利益率と関係しています。
理由として考えられるのは、上述のような女性ならではの感性や発想、男性的な視点や強みとの相乗効果などです。
データでは正社員の女性比率が3割~4割の場合、利益率が顕著に高くなっていますし、30代の正社員の女性比率が高い企業ほど利益率が高い傾向もあります。
全米の売上上位500社である“フォーチュン500”のなかでも、女性役員が多い企業と少ない企業を比較した場合に、以下のことがわかっています。
- 女性役員が多い企業のほうがROI(株主資本利益率)で13.9%と9.1%で4.8pt高い
- 売上高粗利率も13.7%と9.7%で4pt高い
- ROICS(投下資本利益率)でも7.7%と4.7%で3pt高い
こうしたデータから考えても、自社の業績を向上させていくには、正社員や管理職の女性比率を意識した採用活動が大切になるでしょう。
出典:上場企業における女性活用状況と企業業績との関係-企業パネルデータを用いた検証-( 慶應義塾大学 山本勲)
出典:女性活躍推進の経営効果について(参考1:経済産業省作成資料)
職場環境の改善につながる
たとえば、男性正社員だけの職場では、「みんながフルタイム勤務で、急な残業にも対応できること」などが暗黙のルールになっているような場合もあります。
一方で、女性メンバーの積極採用を始めると、女性のライフステージ変化や育休復帰の短時間勤務などに対応できる働きやすい環境整備が促進されます。
これは、結果として、介護などの事情を抱えた男性社員、また遠隔人材の雇用や複業人材の採用など、多様な人材が無理なく活躍できる職場になっていきます。
- 産休・育休が取得しやすい環境
- 家庭の事情による有給休暇が取得しやすい環境
- 必要に応じて、テレワークや時短勤務に切り替えられる体制・環境
- 急な欠勤等にも対応できる相互サポートの体制
- 各業務における属人化の解消 など
女性採用が求められる背景とは?
少子高齢化が進み、労働人口が減少するなかで、活用ポテンシャルがある女性の就業・活躍が求められています。
冒頭で紹介したとおり、日本は先進国の中で女性活躍比率が低いとされており、その点も踏まえて、女性の活躍推進は国策となっています。
女性活躍推進法に基づく以下の取り組みは、企業にも対応が求められていますので、押さえておく必要があります。
- 自社の女性の活躍に関する状況把握、課題分析
- 状況把握、課題分析を踏まえた行動計画の策定、社内周知、公表
- 行動計画を策定した旨の都道府県労働局への届出
- 女性の活躍に関する状況の情報の公表
参照:事業主の皆様へ 女性管理職の中途採用が行いやすくなりました!(厚生労働省)
また、先ほど業績向上への影響をメリットとして紹介しましたが、海外では、金融大手が「女性取締役がいない企業の上場支援は実施しない」と発表するなど、女性の採用・活躍に取り組めていないことは企業の成長性に課題があるとみなされる状況にもなっています。
こうした国内外での動きから、これからの日本企業に女性採用は不可欠なものとなっていくことが予想されます。
女性採用にリスクはあるのか?
女性の優秀さなどを認める一方で、女性を採用するにあたって以下のような懸念を感じる中小企業などもいまだに多いでしょう。
- ・産休・育休
- ⇒仕事を覚えて一人前になったところですぐに辞められるのではないか?
- ・復帰後の時短勤務
- ⇒生産性が下がったり職場に不公平感が生じたりするのではないか?
たしかに、人数が少ない中小企業の場合、女性社員の産休や育休による離脱などに対して、カバーする体制を整える努力が必要な部分はあるでしょう。
しかし女性の採用には、仮に離脱したとしても、優秀層を採用できる大きな効果もあります。
また、前述のとおり、産休や育休で人の入れ替わりが生じるからこそ、業務が属人化しなくなり、全体の生産性が向上するメリットもあるでしょう。
最近では、リモートワークやオンライン商談など、時短勤務の人が働きやすい環境構築も容易になっています。
ほかには、働き方改革が進められて、残業で仕事をカバーするような働き方ができなくなっているなかで、時間制限があり、かつ、育児や家庭を通じてマルチタスク能力が鍛えられている社員は大きな戦力にもなります。
また、女性の視点、感性やコミュニケーション能力などを取り入れることも、サービスの改善などにつながるでしょう。
上記以外にも女性採用に伴うリスクや対応が必要な点はあるでしょう。
ただし、しっかりと制度等を整備して対応していくことで、リスクやデメリットを越えるメリットがあるはずです。
女性採用にフォーカスした採用手法
優秀な女性人材を獲得するには、女性採用にフォーカスした採用手法を使うこともおすすめです。
この章では、女性採用を効率的に行なえる4つの手法と、それぞれの特徴を紹介します。
女性特化型の求人媒体
まず、女性の求職者や女性が多い職種に絞った以下のような求人媒体の活用が挙げられます。
- 女の転職@type
- しゅふJOB
- とらばーゆ
- マイナビ転職 女性のおしごと
- エン転職WOMAN など
上記のような大手媒体は認知度の高い大企業のほうが有利になる傾向にあり、認知度が低く求人広告に多くのコストを使えない中堅・中小企業の場合、大企業ほどの集客効果は期待できない側面はたしかにあります。
とはいえ、女性の活躍状況や産休や育休、働くママ社員の情報など、女性の求職者にとって魅力的な事実を掲載することで、中堅・中小企業でも募集を増やせる余地はあります。
女性特化型転職エージェント
自社の条件に合う女性人材を紹介し、アプローチから入社までをサポートしてくれるサービスです。
女性特化型転職エージェントのメリットは、エージェント側で魅了付け・動機付け・内定承諾へのクロージングまでをしてくれることになります。
そのため、女性特化型転職エージェントは、採用力(企業力×採用スキル)が低い中堅・中小企業にもおすすめです。
ただし、女性特化型転職エージェントは、採用確定時の成功報酬型が基本となり、採用単価が少し割高になります。
女性特化型採用イベント
女性の求職者と出会える採用イベントに参加するのもおすすめです。
HRドクターの運営企業である株式会社ジェイックでは、「女子セールスカレッジ」という女性特化型の採用イベントを実施しています。
「女子セールスカレッジ」の特徴は、コミュニケーション研修やテレアポ実習などを5日間やり抜いた、キャリア意識の高い若手女性とだけ出会えることです。
女子セールスカレッジの求職者は、「組織にどう貢献できるか?」「何のために仕事をするのか?」などの仕事の軸が自分のなかで腹落ちされています。
そのため、入社後の成長スピードも速いです。
採用イベント参加から採用決定まで最短3日、平均でも1週間となっており、スピーディーな採用が可能になります。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、企業がサービス提供会社のデータベースを自ら検索して、気になる人材にアプローチできる「攻めの採用手法」です。
ダイレクトリクルーティングを活用すれば、以下のような自社が求める女性人材へのアプローチも可能になります。
- 管理職経験のある女性人材
- 30代の女性のエンジニア
- 自社の価値観に合った女性の営業職 など
女性採用を成功させるためのポイント
女性採用は、女性人材をただ獲得すれば終わりではなく、優秀な人材を定着・活躍させて初めて成功になります。
女性採用の成功につながる環境整備では、以下のポイントを大切にする必要があります。
産前産後のサポート体制・環境の整備
株式会社MAPの「会社の産育休制度と自身のライフプラン」に関するアンケート調査によると、男性と比べると約4倍の女性が、「結婚や出産育児などのライフイベントが、女性のキャリアにマイナスに影響する」と考えていることがわかっています。
出典:【アンケート調査】 産休・育休制度が整っても不安拭えず 女性の3人に1人が「結婚・出産は自身のキャリア形成にマイナスになる」と回答 | 株式会社MAP
このデータから見ても、積極的な女性採用をするには、「この企業なら、キャリアのなかで出産育児も両立できる」と思える環境整備が必要となるでしょう。
- 産休や育児休暇を取得しやすいチームづくり
- テレワークや時短勤務制度の導入
- 産休・育休からの復帰実績を積み重ねる など
上記のような仕組みが整備されて運用されることで、女性メンバーが定着できるようになります。
また、育児にともなう急な欠勤、自社イベントへの子連れ参加など、女性のライフステージや働きやすさに考慮した制度やサポートも整えていけるとよいでしょう。
人事評価制度の見直し
産休後の勤務等を考えると、時短勤務等が生じてきます。この時に不公平感が出ないように人事評価制度、また報酬制度を整えておくことが大切です。
報酬制度側では、時短勤務に応じて報酬額の引き下げを行う仕組みを整えておくことで既存社員からの不公平感が生じ無くなります。
同時に、人事評価制度を“たくさん頑張っている”などの「時間・印象」ではなく、「成果・貢献度」を重視した人事評価制度にすることも大切です。
テレワークや時短勤務を導入するうえで、「長時間労働をするメンバー=頑張っている」などの従来型の印象重視の評価はやめる必要があります。
ハラスメントの起こらない環境整備
人間関係やコミュニケーションに重きを置く女性は、ハラスメントに対して男性以上に敏感です。
当然のことながら、職場でのパワハラ・セクハラ・マタハラなどが黙認されていれば、女性メンバーは定着できなくなります。
また、これまで男性中心だった職場の場合、メンバー同士の日常会話にセクハラ要素が入っていることに気付かないようなケースもあります。
こうした問題を防ぐには、まず、企業のトップが組織の方針としてハラスメントの防止のメッセージを発信することが大切です。
そのうえで、現場のリーダーである管理職とメンバーそれぞれに、ハラスメント防止の教育をすることが必要となります。
現場でハラスメントが起きたときの相談窓口や、調査体制なども整備したほうがよいでしょう。
まとめ
日本では、少子高齢化が進み労働人口が減少するなかで、就労ポテンシャルがある女性の就業・活躍が重要になっています。
先進国の中で女性活躍が進んでいないということもあり、女性の活躍推進は日本の国策にもなっています。
こうしたなかで、これからの時代に企業がビジネスを進めていくには、女性採用・女性活躍できる環境の整備が不可欠になっていくでしょう。
企業が女性採用に取り組むと、以下4つのメリットが得られます。
- 優秀人材を採用しやすくなる
- 女性ならではの感性や発想を活かせる
- 業績向上につながる
- 職場環境の改善につながる
ポテンシャルの高い女性の採用を求めるなら、HRドクターを運営する株式会社ジェイックが実施する「女子セールスカレッジ」という女性特化型採用イベントもおすすめです。
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