若手採用を成功させるには?ターゲットに応じた採用手法の選び方とポイント

更新:2023/07/28

作成:2020/03/31

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック執行役員

若手採用を成功させるには?ターゲットに応じた採用手法の選び方とポイント

企業が採用を考えるうえで「若手を採用したい」と考えることは多いでしょう。将来のリーダーを育成したいと考えれば、若手のうちから長期的に育成したいと考えるのが自然ですし、単純に“若いほうが教えやすい”という視点もあります。しかし、優秀な若手を採用したい企業は多く、第二新卒の採用は新卒採用以上に難易度の高い市場と言えます。

 

若手に自社の魅力を伝え、自社を選んでもらうためには何が必要なのでしょうか。中堅中小企業が若手採用を成功させるためのポイントを解説します。

<目次>

若手採用とは?

「若手」の採用とその定義

 

一般的に企業が「若手」という場合、具体的にどのくらいの年齢を指すかは企業の年齢構成によって様々です。「20代前半までが若手」という会社もありますし、「30代後半までは若手」という会社もあります。同様に「若手採用」という場合も、企業や人によってイメージしているものが異なることも多いです。

まずは「若手採用」の中に、どのようなセグメントがあるのかを確認しておきます。セグメント分類としては、主に以下のような4種類があります。

  • 新卒  :社会人経験のない新卒生(主に大卒)の採用
  • 既卒  :社会人(正社員)経験のない若手採用
  • 第二新卒:社会人(正社員)経験が1~3年程度ある20代前半~中盤層の採用
  • 中途  :社会人(正社員)経験が数年以上ある20代後半~30代の採用

区分に応じて難易度は大きく変わってきます。上記の中では、「中途」や「第二新卒」は採用難易度が高い区分であり、その中でも“営業経験者”などになると、更に難易度は上がります。

 

なお、市場を細分化していくと「採用のブルーオーシャン」と言うべきセグメントもあります。例えば、「高卒」「中退者」「専門卒でサービス業(理容・製菓など)に就職した若者」などは、上記の市場と比べるとブルーオーシャンと言える採用市場です。

 

分類を踏まえて、自社が行いたい「若手採用」はどこかを考えて、適したアプローチを行うことが若手採用を成功させるポイントです。

例えば、自社の平均年齢が40代という場合に、20代前半の新卒や第二新卒を採用すると、年齢ギャップが大き過ぎて育成しにくい、早期退職しやすい傾向があります。

 

逆にリーダー層が20代後半~30歳という若手中心のベンチャーや成長企業であれば、未経験でも20代前半〜中盤を採用したほうが育成しやすいでしょう。

 

中小企業における若手採用は、組織の若返りを目的に行われる場合も多くありますが、一方で、既存社員との年齢ギャップが大き過ぎると離職してしまう可能性が高まります。

 

若手採用を考える際には「若いほうが良い」ということではなく、社内の年齢構成を踏まえて考えることが大切です。

 

なお、一般的に「若手採用」という場合は、「新卒」は対象にしていないことが多い傾向にあります。本記事でも、新卒を除いた既卒・第二新卒・中途を対象とした「若手採用」を解説していきます。

若手採用の目的を整理する!自社の優先順位は?

企業にとって若手を採用するメリット・目的を改めて確認しておきます。自社で若手採用を行う目的の優先順位は何でしょうか。目的に応じて、選ぶべき採用市場も変わってくるかもしれません。

 

組織の若返り、職場の活性化

若手人材は、これからの成長によって将来的に大きな活躍が期待できる、また、未来に向かって成長していく可能性と活力を持っていることが大きな魅力です。若手が入ることによる既存社員への刺激も期待できます。

 

特に中小企業の場合には、社内の平均年齢が上がってきている、既存社員が定年で引退する、事業承継を視野に入れている、などの状況を踏まえて、「10年ぐらいの時間軸で考えて、次の世代を担う若手を採用したい!」というニーズはよくお声がけいただきます。

教育しやすい

若手は経験値が浅い分、新しい考え方や価値観を取り入れる柔軟さがありますし、経験がないからこそ吸収力が高いとも言えます。
自社の理念や価値観に馴染みやすい分、中途よりも定着率が高いという側面もあります。

 

組織の平均年齢が若い

“若返りをしたい”というニーズとは逆に、社内の平均年齢が20代後半~30代前半という場合も若手採用を中心に考えることが多いでしょう。

 

多くの会社で「年下の上司」がどんどん登場していますが、まだまだ心理的に“年下のほうが教えやすい”、“変に気を遣わずに済む”という感覚も残っています。

いま採りたい

“採用活動から入社までに1年近い時間がかかる新卒採用”と違い、既卒や第二新卒、中途層は“内定後すぐに入社してくれる”ということを魅力に感じる会社もあります。
「退職者の補充で今すぐ採用したい」「数ヶ月後の繁忙期に向けて人手が欲しい」という場合もありますし、「1年2年先の経営状況は見通しづらい」という場合もあるでしょう。

 

若手採用は、長期的な目線で企業の将来を担ってくれるという期待が持てるとともに、直近の繁忙期・人手不足といった問題への対応としてもメリットがあります。

 

即戦力化への期待

若手採用の中でも、第二新卒や中途層の採用を考える場合には、「早期の戦力化」を期待するケースが多いでしょう。

 

第二新卒や中途層は、社会人経験がある層ですので、基本的な社会人スキルは既に身に付いている、場合によっては職種経験もあるなど、すぐに実務的なスキルの教育に移れそうという期待が持てます(だからこそ、「第二新卒や20代の後半ぐらいの中途を採りたい!」という企業が多く、採用難度が高くなっています)。

若手採用を成功させるために有効な手法と採用を成功させるための勘所

若手の採用と、採用を成功させるための勘所

 

若手採用のメリットをお読みいただいた中で、自社がどこに優先順位をおいて若手採用を行うかが見えてきたかと思います。実際に若手を採用するために、どのようなやり方で採用活動を行い、何に注意しておくべきかを解説していきます。

 

若手採用を成功させるための採用手法

若手採用を行うには求人サイト、ダイレクトリクルーティング、人材紹介(エージェント)、合同企業説明会、マッチングイベントなど、様々な手法があります。

 

採用手法は「自社の採用力」と「採用の難易度(ターゲット選定)」を掛け合わせて考えることが大切です。例えば、自社の採用力が高いなら求人サイトが最も効率的ですし、自社の採用力が高くない場合には、エージェントやダイレクトリクルーティング、マッチングイベントなど、「会える」「工夫できる」採用手法がおすすめです。

 

採用手法の詳しい解説や自社の採用力との組み合わせ方は以下の記事でも紹介していますので、ぜひご覧ください。

魅了付けのポイント

若手採用における魅了付けのポイントは、ターゲットによって変わってきます。セグメントだけでも「社会人経験のない既卒層」と「社会人経験のある第二新卒、中途層」では企業を見る視点が変わってきます。また、相手が独身か既婚者かによっても、待遇に対する条件や会社選びの軸が変わってきます。

 

更に「ブラック企業に入ってしまって転職したい」人と「いまの会社が面白くなくて、刺激が欲しい」人でも魅了付けのポイントが変わってきます。

 

このように若手採用は中途採用と同じように、相手のバックボーンによって魅了付けのポイントが大きく変わってきます。相手がどんな背景で就職/転職しようと思っているか、どんな軸で会社選びをしているかを把握することが重要です。

 

なお、社会人経験がある第二新卒や中途層の場合、「会社選びを失敗した」からこそ転職しようと考えているわけです。従って“転職理由や前職で得られなかったものが何だったのか”の本音を確認して、転職理由に応じた魅了付けを行うことが大切です。

 

第二新卒や中途層の場合、“待遇などは前職や競合との比較になりやすい”ということも意識しておくべきポイントです。正社員として働いたことがあるからこそ、「給与提示=自分への評価」といった意味合いで捉える層もいますし、既婚者であれば待遇を落としての転職は配偶者の反対を受けやすくなります。

 

従って、自社の給与テーブルにこだわり過ぎて、前職や競合を下回る提示になってしまうと、採用したい人材を採れない可能性は高くなります。

ただし、待遇はあくまで必要条件に過ぎません。高待遇で採用すると、会社側としても入社後の期待(要求)が高くなりがちです。あくまで横並びを意識したうえで、待遇以外の条件(仕事の魅力、社風、組織風土など)での魅了付けを行うことが原則です。

 

情報はすべて事実ベースで提示することも重要です。第二新卒や中途層は正規雇用で働いたことがあるからこそ、“盛られた”情報に敏感です。とはいえ、伝える際には、事実を羅列するだけではなく、求職者にとってのメリットと結び付けて説明していくことが大切です。

 

例えば、「こういう制度があります」という事実の説明だけではなく、「○○さんがうちに入社した場合には、制度をこう使えます」「〇〇さんと同じこんな経歴の中途入社の社員が制度を使ってこう成長しています」といった形で説明しましょう。

「第二新卒~20代後半の即戦力」だけにこだわるのは危険

繰り返しになりますが、「正社員経験が数年あり、即戦力候補になりそうな20代中盤~後半」は大手企業も含めて、若手採用の中で最も採用競争が激しいゾーンです。

 

自社の採用力に自信がない場合、「第二新卒~20代後半の即戦力」だけにこだわるのはリスキーです。「採れなくてもかまわない」という場合はベストなところにこだわって進めるのも1つですが、「いつまでに○人採りたい」といった目標がある場合には、未経験層の採用も視野に入れたほうが成功確率を高められます

 

市場を細分化していくと「採用のブルーオーシャン」といえるセグメントもあります。こういった市場を狙うのも良いかもしれません。

 

“自社の採用力を知る”うえでは、使う/使わないという判断はさておき、自社の母集団形成力、仕事の難易度、市場の相場観などを、客観的に指摘してくれる人材紹介会社などに、話を聞いてみることも選択肢の1つです。

まとめ

若手採用は、組織の若返りや活性化が期待できる、教育がしやすいなどの「フレッシュさ」が魅力です。

 

また、第二新卒や中途層の場合には即戦力化への期待も持てるでしょう。一方で、セグメントによって採用難易度が大きく変わってきますので、自社の採用力も踏まえながら、採用に取り組んでください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック執行役員

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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