コロナ禍の影響で一気にオンライン化した新卒採用。今後、対面の面接やインターンシップに戻る部分もありますが、かなりの比率で新卒採用のオンライン化は維持されると考えられます。
記事では、学生満足度が高いインターンシッププログラムの内容、オンラインインターンシップのプログラム作成で大切なこと、オンラインインターンシップを成功させるポイント等を紹介します。
<目次>
- インターンシップの重要性
- オンラインインターンシップのメリット
- オンラインインターンシップのデメリット
- オンラインインターンシップの設計
- オンラインインターンシップで役立つツール
- オンラインインターンシップの内容や事例
- よりリアルに職場を感じさせる工夫
- オンライン特有の対応
- しっかりしたフォローが成功の秘訣
- まとめ
インターンシップの重要性
インターンシップの実施企業が増えた中で、「やっている企業が増えたし、うちもやろう」「去年も実施したし、今年も」と何となく始めて実施している企業も増えています。インターンシップを効果的に実施するためにも、まずはインターンシップの重要性を確認しておきましょう。
早期学生に自社をアピールできる絶好のチャンス
日本の就職活動において学生は大企業や人気業界からエントリーや応募を始める傾向があり、人気のない業界や中小企業は後回しにされがちです。インターンシップは知名度がないという不利を打開し、早期から動く優秀層に自社をアピールできるチャンスの場です。
インターンシップで充実した体験を学生に提供できれば、学生が自社を志望する可能性は向上します。全般的に早期の活動層は意欲の高い学生が多いですし、インターンのテーマを工夫することで優秀層をグッと集めて、レベルの高い母集団形成にも役立ちます。
注意!学生が「勉強になった」だけでは意味がない
インターンシップは学生に仕事の魅力や現場経験を提供する場はありますが、学生が「勉強になった」で満足してしまっては、企業にとって意味がありません。
「インターンシップに多くの学生が参加して優秀層にも接触できたけど、インターンシップからは採用出来ていない」という企業が意外と多くいます。「手間だけがかかった…」とならないためにも、学生には仕事の面白さや経験を伝えるだけでなく、自社の魅力や働きやすさをアピールすることが大切です。
参加してもらった学生の感想・意見を集約して改善点を模索し、学生のニーズに応える受け入れ体制の構築がいかにできるか、魅了付けや選考の導線となるインターンシップにできるかが重要です。
また、インターシップは学生に「教える」だけでなく、「今どきの学生の考え方や求めているもの」を、企業側がキャッチアップする機会にもなります。学生の感性や思考をキャッチアップすることも考慮して、インターンシップを行うと良いでしょう。
学生満足度の高いインターンシップは?
学生満足度の高いインターンシップを実施するためには、まず学生がインターンシップに何を求めているかを理解することが前提です。リクルートの「就職白書」によると、学生がインターンシップに参加する目的として最も多いのが「仕事理解」、次に多いのが「業種理解」であることが分かります。
インターンシップの参加目的 | |
仕事理解 | 67.0% |
業種理解 | 65.6% |
企業・各種団体等の事業内容理解 | 37.3% |
企業・各種団体等・職場の雰囲気を知る | 36.6% |
自分のスキルの見極め | 17.4% |
自分自身のキャリア観を明確にする | 15.4% |
内定獲得 | 12.9 |
社会人との人脈構築 | 9.4 |
他の就職活動生との人脈構築 | 7.8 |
大学カリキュラムの単位獲得 | 7.3 |
とくに意識していた目的はなかった | 4.7 |
報酬 | 1.3 |
その他 | 1.8 |
(出典:リクルート|就職白書2018 -インターンシップ編-)
マイナビが行った調査においても、「どの業界を志望するか明確にするため」という目的が最も多く、次いで「どの職種を志望するか明確にするため」という結果になっています。
インターンシップの参加目的 | |
どの業界を志望するか明確にするため | 68.1% |
どの職種を志望するか明確にするため | 62.2% |
自分が何をやりたいのかを見つけるため | 50.9% |
仕事に対する自分の適性を知るため | 41.2% |
社会勉強のため | 42.7% |
特定企業のことをよく知るため | 38.0% |
志望企業や志望業界で働くことを経験するため | 34.2% |
就職活動に有利だと考えたため | 36.7% |
(出典:マイナビ 2022年卒 大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(10月)
リクルートとマイナビ、2つの結果を見ても、学生がインターンシップに期待する主要なニーズは「仕事理解」と「業種理解」であることが分かります。2つのポイントは前提としてしっかり押さえておきましょう。
オンラインインターンシップのメリット
新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、インターンシップをオンラインで実施する企業も急増し今後も継続する見込みです。
オンラインインターンシップは、従来の対面型インターンシップと比較して、以下のメリットがあります。
移動がないため学生を集めやすい
オンラインインターンシップへの参加は、学生がいる場所を問いません。そのため、遠方の学生を集めたり、自社の立地が不便な場所にあったりしても、参加する学生を募やすいという点は大きなメリットとして挙げられます。
移動が発生しないため、学生からしても手軽に参加できる点は魅力です。参加のハードルが下がり、ターゲット人数を集めやすいことがメリットです。
開催の手間やコストが抑えられる
対面でインターンシップを行う場合、インターンシップを行うための会の確保、学生が使う機材の確保、配布資料の準備、担当者の選出など、開催するための手間やコストがかかります。
オンラインインターンシップは、上記の手間やコストがかかりません。学生側にインターネット環境とパソコンさえあれば開催することが可能です。
通常のインターンシップでは、受付等の実施もありますし、学生のケアをするためにも複数の人をアテンドすることが大半です。地方で実施する場合は、担当者も移動しなければなりません。オンラインであれば、対応する社員の人数も絞れますし移動も生じませんので、人件費や担当者をかり出される部署の負担も抑えられます。
オンラインインターンシップのデメリット
オンラインでインターンシップを行うことによってデメリットが発生する可能性もあります。どんなデメリットが起きうるのかを把握し、あらかじめ対策を練っておきましょう。
学生の人物像がつかみにくい
オンラインで行うインターンシップの場合、顔を合わせる対面でのインターンシップと比べると学生の人物像がつかみにくい傾向があります。オンラインでモニター越しにやり取りをする環境では雑談の機会が設けにくく、同じテーブルを囲んで食事をすることもできません。結果として、プログラム本編以外の場で学生とコミュニケーションがとりづらいのです。
結果的に、オンラインインターンシップでは熟練の担当者であっても学生の人物像をつかみ損ねる可能性もあり得ます。意図的に雑談の時間を作る工夫や、表情や声色などから相手の人物像をつかみ取ったりする技術が担当者には求められます。
対面より細かな設計や高いクオリティーが求められる
人物像がつかみにくいのは学生側も同様です。オンライン環境では雑談等のコミュニケーションや雰囲気のつかみにくさが生じます。オンライン時は、通信環境のトラブルや学生の持っているパソコンのスペックによっては進行がスムーズにいかないこともあるでしょう。
対面とは違い、「場の雰囲気」等でプログラムを調整したり、融通を効かせたりすることが困難です。従って、オフライン時と同様の進行で進めようとすると、学生の満足度が下がってしまうことも考えられます。
オンラインインターンシップは、複数の進行プランを用意したり、学生の満足度が高まる工夫を施したりするなど、対面時よりも細かい設計と高いクオリティーが求められます。
学生の集中力が続きにくい
同じ姿勢のままモニターを見続けならないオンラインインターンシップは、集中力が対面時と比べて続きにくい傾向があります。例えば、対面では60分に1回の休憩ですが、オンラインでは40分に1回ぐらいの妥当です。同様に進行方法を変えたり、グループワークを実施したり、発表してもらったりといった場面転換を10~20分に1回程度入れることもポイントです。
さらに人間の体は、同じ姿勢でPCを見続けると非常に疲れます。30分に1度は体を動かす時間を意図的に作ったり、こまめな休憩時間を設けたりなど、学生を疲れさせないための工夫も必要です。
オンラインインターンシップの設計
オンラインインターンシップのカリキュラムを作成するうえでは、どのようなプロセスを踏むのが最適でしょうか。カリキュラムを設計するための手順を解説します。
「誰に、どうなってほしいか?」から考える
カリキュラム設計は「誰にどうなってほしいか」(ターゲット&ゴール)から考えることが大切です。
まずターゲットから掘り下げていきましょう。一口に学生といっても、文系か理系か、上位校の出身なのか、専門的な技術は持っているか、志望業界や応募企業は、どんな志向性や価値観なのか…など様々です。ターゲットの幅が広すぎたり曖昧になったりすると、そもそも欲しい人材にしっかり訴求できません。
プログラム自体も全体的に無難なカリキュラムになってしまい、魅力に欠けるものにもなりがちです。どんな学生に向けたインターンシップなのか、ターゲット像をはっきりさせることから行いましょう。ターゲットが明確になったら、次に参加した学生にどうなってほしいのかというゴールを考えます。インターンが終わった時の参加者の状態を想像しましょう。
「自社に応募したくてワクワクしている」「営業の仕事が面白そうだと感じている」「自社の成長可能性がしっかり伝わっている(なんなら友達に説明できる状態)」といったイメージです。
場合によっては、学生側の状態以外にも「自社で採用したい学生を見極められている」「学生から自社がどう見えるのかをヒアリングできている」「幅広くターゲット層の接触する(母集団形成が最優先)」といったゴールが設定されることもあるかもしれません。ゴールを決めることで、作るべきカリキュラムの内容も変わってきます。
4項目を軸にプログラムを作成
実際にプログラムを決めていくにあたっては、次の4項目を軸に考えてみましょう。
形式 | ● 仕事体験 ● 職場見学 ● 講演・レクチャー ● グループワーク ● 実務 |
プログラムの内容 | ● 業種・業界理解の促進 ● 仕事理解ややりがいの認知 ● 会社理解の促進 ● ビジネススキルアップ ● 社員と学生の交流 ● 優秀学生の選抜 |
開催期間 | ● 1日 ● 数日間 ● 数週間 ● 1カ月 |
行う時期 | ● 夏(7月~9月初旬) ● 秋(9月半~12月中旬) ● 冬(12月末~2月中旬) |
4項目の組み合わせによって、プログラムはある程度固まります。一般的に3年生向けに実施するのであれば開催期間は1日か2日間が大半です。一方で、1,2年生を対象とした長期インターンから採用に繋げている会社もあります。
ポイントは「優先すべきゴール」です。例えば「実務をしてもらうことで、優秀学生を見極めたい」のであれば、1日では難しいでしょう。応募ハードルは高くなっても期間を長くして、その代わり他社のインターンシップと被らない時期にすることが良いでしょう。
逆に母集団形成を目的とするのであれば、参加しやすい0.5dayや1日間で学生の活動が活発な時期にオンライン開催することが良いでしょう。時期によっては学生のモチベーションや前提知識も変わってきます。会社として何をゴールにしたいかを掘り下げて検討しましょう。
合格基準を設定し、見極めにつなげる方法も
インターンシップを人材発掘の場として使う企業もあります。学生に課題やレポートの提出を求める、グループワーク等の結果を発表させるなどを通じて、絞り込みを実施して、合格基準に達した学生には本選考での優遇や早期選考を案内するなども一つです。
企業からすれば優秀な人材を早めに確保できますし、学生からすれば選考での優遇は嬉しいものです。学生と企業の両方にとってメリットがある方法です。
制限がある中で可能なことを考える
オンラインインターンシップは、対面開催と違っていろいろな制限はあります。実際の職場に配属して仕事を体験してもらったり、実技を教えたりすることは難しいでしょう。
オフィスワークの場合も、通常のインターンシップより習得に時間がかかることが多いようです。オンラインならではの制限を考慮し、実行可能なプログラムを作成する必要があります。このときのポイントは、オンラインインターンシップを対面の劣化版と捉えず、オンラインならではの強みを生かすことです。
グローバルな企業では、インターンシップに海外の社員を参加させて異文化交流を試みたり、ネットを使ったリサーチの課題を出したりしています。オンライン環境を制限とするのではなく、オンラインの強みを生かしたプログラムを作成する視点が重要です。
オンラインインターンシップで役立つツール
オンラインインターンシップでは、便利なツールをしっかり使うことがプログラムの質に繋がります。インターンシップの前に担当者と学生の両方にツールを導入してもらい、使い方にもある程度慣れておいてもらうと、当日のやり取りがスムーズに進むでしょう。
Web会議ツール
「Zoom」のサービスが有名ですが、Web会議ツールは何種類も存在します。自社にあったツールを選びましょう。なお、ツールによっては無料版の場合、参加人数や会議時間、機能に制限をかけられているものがありますので注意しましょう。
セキュリティや品質、操作性などを考慮したうえで、あまりIT機器の操作に慣れていない社員や学生でも扱えるツールを用いることが重要です。
チャットツール
チャットツールは、画像や動画の共有、ログの記録を残しておくのに便利です。多人数とコミュニケーションをとる場合に重宝します。
チャット機能はWeb会議ツールにも必ずついています。0.5dayや1dayなどのプログラムであればWeb会議ツール内のチャット機能で十分でしょう。しかし、学生同士で数日間のグループワークを実施してもらったり、中長期にわたるインターンシップだったりする場合にはチャットツールを導入して、コミュニケーションを取りやすくすることがおススメです。
チャットツールには「Chatwork」や「Slack」などの種類がありますので、使いやすいものを選びましょう。
オンラインインターンシップの内容や事例
オンラインインターンシップで具体的にどのようなことをするのでしょうか。プログラムの内容や事例を紹介します。
ツールを活用したグループワーク
課題の研究や発表などのグループワークはオンライン環境に適しています。リサーチもしやすいため、オンラインインターンシップでグループワークを行う企業は多いです。課題は学生に求めるレベルや目的に合わせて選定しましょう。
Googleドキュメントやスプレッドシート、ジャムボード(オンラインホワイトボード)などのツールを併用すると、各グループ内での議論等も進行しやすいでしょう。上記はGoogleが提供しているツールですが、他社でも類似のツールは提供されています。オンラインドキュメントやホワイトボード、オンライン付箋などは一つのデータを同時に複数人で編集可能したり、アイデアをどんどん投稿したりできるため、グループワークに最適です。
仕事内容の体験プログラム
仕事の内容を実際に体験してもらうカリキュラムを組んでいる企業もあります。以下の例が代表的な体験プログラムです。
営業ロールプレイングは、社員がお客様役を担い、学生が営業職役として商談等の疑似体験をするものです。顧客へのヒアリングや提案を通じて営業の面白さを知ってもらう、また提案の過程を通じて自社商品やサービスを深く知ってもらうことができます。
人事体験とは、人事部としての仕事を体験してもらうというもので、人事目線を体感できるというのが特徴です。学生が採用面接の面接官役を演じることで、「人事は応募者のどこを見ているのか」が理解できます。また、面接官役だけではなく応募者役も体験できるため、インターンでの体験を就職活動に生かしやすくなります。
人事体験は上記のように「直接的に就職活動に役立つ」ため、学生を動員しやすいことも特徴です。企業によっては、学生ニーズにエッジを立てて、「面接対策」や「自己分析」といった就職対策を直接的に訴えるプログラムも展開していることもあります。その場合、「職業体験」として打ち出しづらくなるため、大手求人媒体での掲載は困難ですが、学生の参加意欲は高い傾向にあります。
また、同じ考え方に基づいて、上位学生等を狙う企業は、職業体験以外のプログラムを実施できない大手求人媒体の利用は止めて、自由度の高い独立系媒体を使って「経営者セミナー」「キャリアセミナー」等を開催する企業も増えています。
コンサルティング体験は、実際の事例を活用して、コンサルティングのモデルケースを体験するというプログラムです。実際にあった事例を用いて行うことで、働き方をイメージしてもらいやすくなります。
また、実際の分析手法等を教えれば、難しく思われがちなコンサルタント業務をより身近に感じてもらうことができますし、成長実感や満足度を作ることも容易です。
企画体験とは、新規事業の立案やマーケティング施策を企画するプログラムです。自社の商品やサービスに対してグループワークを行い、サービス向上を目的とした企画書を作成します。その後、作成した企画をプレゼンテーションするというのが一般的な流れです。
比較的シンプルなプログラムですが、「企画」や「新規事業」というキーワードに反応する学生層を集められる、運営が簡単、グループワークの様子を見ながら学生の評価ができるといった理由で、多くの企業で取り入れられています
IT系企業のインターンでは、SE体験のプログラムが主流となっています。学生のほとんどはプログラミングの実務経験がないため、顧客の課題をヒアリングして、要件設計するまでの上流工程を体験するプログラムが大半です。パソコン等を準備する必要がありませんので、運営が比較的容易であることも、上流工程の体験が主流となる要因です。
よりリアルに職場を感じさせる工夫
職場の臨場感や雰囲気は、ぜひ学生に感じ取ってもらいたいものです。リアルに職場を体験してもらうために、次のような工夫を施してみてはいかがでしょうか。
職場見学ムービーの作成
オンラインインターンシップでは実地で現場を見学してもらうことは出来ません。対策として学生目線に立った職場見学のムービーを作成し、疑似体験してもらうというアイデアがあります。
現場で働く社員の様子や社内会議の様子を撮影したり、インタビューなどの映像を流したりしてもよいでしょう。現場の生の声や社員同士のやり取りを通じて、学生に職場の雰囲気をイメージしてもらえます。
複数の部署・仕事内容を体験
インターンシップのプログラムは、複数用意することで学生の満足度アップを図ることが出来ます。例えば、1回のインターンシップで営業と企画、両方の業務を体験できると、学生の興味も引きやすくなります。
映像を見ながら手元のパソコンで実際に仕事をしてもらうような疑似体験と組み合わせても、よりリアルに職場を感じられるでしょう。
座談会の開催
オンラインインターンシップでは、職場や社員を写真で紹介したり、社員との座談会を設けたりして、「職場の雰囲気」を感じられる場を設けることが、とりわけ大切です。言葉遣いを普段の職場で使っているものなどに意図的に崩して、場の空気を柔らかくすると、職場の雰囲気をより身近に感じてもらえるでしょう。
とくに座談会には、学生にとってはインターンシップで分からなかったことを質問するなど、より会社のことを理解してもらえる機会となるはずです。自社に興味を持った学生の心をつなぎとめて、クロージングへ導きましょう。座談会では学生側に伝わりにくかった点や課題をヒアリングして、次のインターンシップに生かすことも重要です。
オンライン特有の対応
オンラインインターンシップでは、対面時とは異なった配慮が必要です。どのような配慮や工夫が必要になるのかを解説します。
参加者の通信環境に配慮する
参加者によって通信環境はさまざまです。通信環境が悪いと、会議中の通話がぶつ切りになってしまったり、資料のダウンロードに差が出たりする事態が考えられます。
待たされる学生側にはイライラが募りますし、通信環境が悪く相手を待たせることになってしまう学生側は焦ります。そういった事態にならないような配慮をしましょう。
例えば必要な資料があれば、あらかじめダウンロードをしてもらう、必要なツールやパソコンのスペックを周知する、時間制限があったり通信が混雑したりしやすいフリーWi-Fiの禁止などの注意点も必要であれば伝えておきましょう。全員の通信環境をある程度統一することが重要です。
事前に参加方法を詳細に説明する
参加方法についても事前にしっかり説明しておきましょう。必要なツールがあればダウンロードしてもらうことをはじめ、何分前の集合や服装なども伝えておきます。
オンラインの場合はここに加えて、質問する方法やリアクションボタンの使用の是非、マイクはミュートで参加するかどうかなど、進行中に発生するであろうやり取りについても伝えておきたいところです。事前に詳しく説明しておくことで、当日の混乱が少なくなります。
プログラムを詰め込み過ぎない
感覚としては、オンラインでのプログラム量は対面実施の7割程度にすることが好ましいでしょう。オンライン環境では、どうしてもコミュニケーションのタイムラグ等が生じるため、対面と同じボリュームで設計すると時間をオーバーしてしまいがちです。時間内に終わらなかったり、尻切れトンボになったりする状況は参加者の満足度を下げてしまいます。プログラムを詰め込み過ぎないように注意しましょう。
また、意図的にオンラインにしない時間を設けることも有効です。Web会議に1日繋ぎっぱなしになることは、相当な疲労を感じます。適度に休憩を入れたり、個人ワークの時間(パソコンの画面を見ない)を作ったり、お昼は各自でとる形にして接続を切ってもらったり等、1dayインターンの間、ずっとパソコンの画面を見ることにはならないように注意しましょう。
40~60分に1回ぐらい、こまめに休憩を入れることも重要です。学生の集中力が長続きし、やる気をキープしたままカリキュラムを進められます。
しっかりしたフォローが成功の秘訣
母集団形成やブランディングのためには、インターンシップの終了後のフォローも大切です。次のような方法で、学生に対しフォローを行いましょう。
インターン後のコミュニケーションを設計する
サマーインターンを通じた早期採用のスケジュールは、6~9月頃にサマーインターンで母集団形成、その後、選抜型インターンやつなぎのインターン等も行いながら、10月頃から選考開始、12~2月頃に内定出し、2~3月に内定承諾というのが一般的です。従って、初めて接触してから、継続して6~8カ月間程度接触を維持することになります。
そのためには、コミュニケーションツールに関しても考慮が必要でしょう。学生にとって、e-mailはハードルの高いツールです。学生が最も馴染んでいるLINEを使うことで、コミュニケーションのスピード感や返信率が変わります。
そのほかにも、インターンシップで活用したグループチャットでコミュニケーションを継続する、SNSでつながりを持っておくといった方法もあります。いつでもコミュニケーションをとれる場所を用意しておき、学生側の気持ちや意思をキャッチアップできるようにしておきましょう。
メンターをつける
メンターとは、新人につける教育担当者という意味で一般的には使われます。インターンシップの学生にメンターをつけて、仕事のことをはじめ、会社の仕組みや人間関係など、学生が就職するにあたって感じた疑問や悩みを回答できる担当者をつけるのも良いアイデアです。
学生にとって就職で一番困るのでは、悩みを相談する人間がいないという点です。メンターの存在は学生にとって大きな心の支えになり、「この会社に入りたい」という気持ちを強めてくれます。
フィードバックで「成長」を感じさせる
フィードバックとは、第三者による意見・感想のことです。インターンシップの参加態度や発表内容等に対して的確なフィードバックをすることは、成長意欲の高い学生の満足度を高めます。フィードバックによって学生に成長を促すことは、より自社で欲しい人材を得る結果につながるでしょう。
まとめ
インターンシップは早期採用の母集団形成に欠かせない要素であり、まずはターゲット学生のニーズに応えるプログラム作成が重要です。インターンシップは自社の魅了付けに絶好な場であるとともに、採用の母集団形成を担う重要な要素です。一方、学生はインターンシップに「リアルな仕事・職場を知りたい」という要望を持っています。
そんな中で、母集団形成と自社の魅了付けという2つの目的を果たすためには、それぞれの目的に対してどのようにプログラムを作成し、どう実施すべきかを考えることが大切です。
昨今はオンラインインターンシップが主流となっています。参加ハードルが低いオンラインインターンシップは今後も利用されることが増えるでしょう。オンライン環境を制限と捉えるのではなく、オンラインの強みを生かしたプログラムを設計していきましょう。