面接官トレーニングが必要な理由とは?面接官の重要スキルと鍛え方を解説

更新:2023/07/28

作成:2021/11/04

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック執行役員

面接官トレーニングが必要な理由とは?面接官の重要スキルと鍛え方を解説

面接官の仕事は、自社の未来を一緒に創り上げる人材を、面接のなかで「見抜く」とともに、求職者に「入社したい」と感じてもらうことです。企業の将来を左右する非常に重要な役割といえます。そんな面接官の見極める力や求職者を魅了する力は、トレーニングによって高められます。

 

記事では、面接官トレーニングが必要な理由を確認したうえで、面接官に求められるスキルや知識、スキルアップに効果的なトレーニング方法を解説していきます。

<目次>

面接官のトレーニングが必要な理由

面接官にトレーニングが必要な理由は、以下の2つです。

 

 

評価基準の統一

面接官がトレーニングされていないと、評価が主観的になり採用基準がバラバラになってしまいます。それでは、自社で活躍する人材の採用はできません。自社や職種ごとの評価項目・基準を設定したうえで、面接官が基準を理解している、基準に沿って相手を評価できる状態を作る必要があります。

 

評価項目や基準のうち、スキルや論理性、コミュニケーション力などは、比較的わかりやすい要素です。一方で、積極性や主体性、素直さなどの成果特性や価値観などは、表面的な質問ではわかりづらいことが多いでしょう。

 

したがって、しっかりとエピソードを深堀りしてコンピテンシー(ハイパフォーマーの行動特性)を見抜くポイントなど、面接内で「どうやって評価項目を見極めるのか?」をトレーニングする必要があります。

 

 

面接官のスキル向上

面接官の仕事は、見極めだけではありません。面接で求職者の志望度を上げられるかどうかは、内定辞退または内定承諾に直結します。そのため、求職者の志望度を上げることも、面接官の重要な仕事です。

 

自社で採用したい求職者は、他社でも内定が出ると考えるべきです。したがって、面接官が人材から内定承諾を得るための実力やスキルを持っているかが、企業の採用力に直結します。

<内定承諾を獲得するための面接官の必要スキル>

・ 就職の軸などを深堀りして自社の魅力に紐づける
・ 対応で好印象をえる
・ この人と働いてみたいと思わせる

 

面接官に必要なスキルとは?

面接を担当する男性社員・女性社員

採用面接の担当者には、以下3つのスキルが求められます。

 

 

見極める力

面接官には、自社の評価基準に沿った人材であるかどうかを見極めるスキルが必要です。自社における優秀な人材の定義をしっかりと理解し、一致度を見極めることが重要となります。

 

特に評価基準のなかでも、性格特性や価値観などの内面的な要素について、面接で見抜く質問のスキルは重要です。求職者の評価を揺るがせる無意識のバイアスも知っておくことで、より精度の高い見極めができるようになります。

 

 

魅了付けする力

面接を通して、自社への志望度を上げるスキルも必要です。求職者への理解・共感、自社の魅力との紐づけ、入社後のキャリア提示などが大切になります。

 

 

セールス能力

魅了付けとは、自社や自社でのキャリアを「商材」として相手に売り込む力です。営業力がある人は、魅了付けのスキルも高い傾向があります。トップセールスを人事に異動させる、あるいは、人事に異動させることは難しいとしても面接官としてアテンドすることも、自社の採用力を高めるためには効果的な選択です。

 

ビジネスマナーや求職者への対応姿勢、採用選考に関する知識も重要

ビジネスマナーや社会常識に、採用の成果を上げるような積極的な効果はありません。ですが、面接官にマナーや社会常識がない場合、求職者に嫌われてしまうことで、志望度を下げたり、企業イメージを毀損したりする可能性が出てきます。

 

面接官に、以下に挙げるような基本的なビジネスマナーや社会常識がない場合、指導する必要があります。

 

 

身だしなみや社会常識、モラルなどのビジネスマナー

面接は「企業が求職者を選考する場」であるとともに「求職者が企業を選ぶ場」でもあります。したがって、面接官は「求職者の本質を見抜く側」であるとともに「企業の顔」でもあるのです。

 

面接が終わったあと、求職者に「この企業に入ってみたい!」と感じてもらうには、大前提として企業の顔である面接官が社会人に必要な常識やビジネスマナーを持つ必要があります。

 

身だしなみにおいて、「清潔感」が基本です。第1印象の約90% が身だしなみ(外見)で決まるとされています。おしゃれは「自分のため」に行ないますが、身だしなみは「相手のため」に心がけるものといえるでしょう。

 

自社の服装規定にもよりますが、例えばスーツで面接する場合、面接官のシャツにアイロンがかかっていなかったり、靴が汚れていたり、髪が伸び切っていたりすると、求職者に不快感を与えてしまいます。したがって、面接官は、求職者に違和感や不快感を与えないビジネスマナーや身だしなみを押さえる必要があります。

 

 

求職者への対応姿勢

先ほど紹介したように、面接は「求職者が企業を選ぶ場」でもあります。したがって、面接官は、優秀な人材に対して高圧的に入社の覚悟を尋ねたりすることなく、丁寧な対応で「入社したい」と感じてもらう必要があります。

 

また、面接を通じて「自社が求める優秀な人材ではない」と見抜いた場合も、丁寧な対応は必須です。現在では、面接官の不適切な言動や発言がインターネット上に書き込まれた場合、すぐに拡散されてしまう時代です。

 

特に新卒採用の求職者は社会人経験がない学生であり、大半の場合、面接官よりも年下です。しかし、それでも、「一個人」として相手を尊重する姿勢が大切です。

 

相手を個として尊重する丁寧な姿勢は、求職者の以下のような感情にもつながります。

・ 「自分はこの企業に求められている」
・ 「この企業なら自分は大切にしてもらえそうだ」
・ 「この企業は自分に関心を示してくれている」

 

 

採用選考に関する知識

面接官は、採用選考に関する基本的な法律(男女雇用機会均等法)、厚生労働省が公示している面接で控えるべき質問、ハラスメントなどに関する知識についても、基本を押さえておく必要があります。

 

権利や平等に関する意識が強くなっているなかで、採用活動内でのハラスメントなどは、SNSなどでの炎上によって容易に企業ブランドを傷付ける原因になります。

 

面接官のスキルアップに効果的なトレーニング方法

笑顔の面接官

 

面接官のスキルは、以下のようにさまざまな方法を使って向上させていくのがおススメです。

 

 

研修

採用のプロによる研修を受け、知識・スキルを体系的に身につける方法です。代表的な研修提供会社と各社の研修プログラムを紹介しておきます。

 

 

・マイナビ研修
採用コンサルティングまたは面接経験豊かな講師が、直近の学生傾向などを踏まえて研修を行ないます。ロールプレイングを基本とする実践演習があるため、面接に必要な知識やスキルも身に付きやすい研修です。

 

 

・インソース
面接官に必要な心構えや役割から学べる研修です。ペアで行なうワークでは、相手を見抜くための質問や評価の仕方などの練習も行なえます。採用面接でやってはいけないことの再確認もできる研修内容です。

 

 

・リクルートマネジメントスクール
新卒採用とキャリア採用(中途採用)のプログラムが用意されています。新卒向けの研修では、新卒採用を取り巻く環境や有効な質問方法を学べます。1時間のロールプレイングで、学習内容もしっかり身に付けられます。

 

HRドクターを運営するジェイックでもリクルータートレーニングなどを大手企業に提供しているので、面接官研修やリクルータートレーニングに興味があれば、お問い合わせください。

 

 

ロールプレイング

面接官役と求職者役それぞれに分かれて、面接のロールプレイングを実施します。実際に口に出す・振る舞うことで、適切な質問方法などを効率的かつ実践的に身に付けられます。

 

ロールプレイングのなかで相手の内面を見抜く質問パターンに慣れておけば、面接会場でも抵抗感なく求職者とのやり取りを行なえるようになるでしょう。

 

ロールプレイングは「実践」することで、面接官ごとの課題や成長テーマが見つかる利点もあります。また、多くの優秀人材を採用している先輩面接官のノウハウを、フィードバックやロールプレイングを通じて共有する効果もあります。

 

 

レポートやホワイトペーパー

基本的な知識に関しては、レポートやホワイトペーパーを通じて周知することも有効です。ぜひ以下の記事を参考にしたり、資料をダウンロードしてみてください。

 

 

・オンライン採用で人材を魅了付けする5つの秘訣(オンライン採用立上げパッケージ⑦)
オンライン採用で難しいとされる、仕事のやりがいや事業への想い、人柄、雰囲気などの魅了付けの秘訣を紹介する資料です。

 

オンライン採用は、コロナ禍が収束しても、対面とのハイブリッド型として残ります。この資料では、企業の雰囲気を伝えるために面接官が行なうべきことや、バーチャルオフィスツアー、画面共有のポイントなども紹介しています。

 

 

・面接官がはじめて読む質問事例集!いい人材を見抜く方法と面接マニュアル

自社にとって優秀な人材を採用するには、自社で重視する評価基準を決めたうえで、そのスキルや性格特性があるかどうかを見抜く質問をすることが大切です。この記事では、以下のような各能力をチェックするための質問と掘り下げ方、評価のポイントを紹介しています。

 

  • 論理的思考力のチェックに使える質問例
  • コミュニケーション能力のチェックに使える質問例
  • 素直さのチェックに使える質問例
  • ストレス耐性のチェックに使える質問例 など

 

 

・「こんな企業は辞退したい」と若者に思われる絶対NGな面接官の特徴

新卒学生などの若手の魅了付けをするためには、「今どきの若手の特徴」を知ることも大切です。この資料では、NGな面接官の特徴をランキング形式で紹介しながら、魅了付けをするために注意したいポイントを確認していきます。

 

まとめ

面接官のトレーニングには、採用面接における評価基準を統一し、見極めや魅了付けなどのスキルを向上させる効果があります。面接官がスキルアップをするには、採用のプロによる研修を受けたり、ロールプレイングを通したりして見極め効果の高い質問などを身に付けていくのがおススメです。

 

若手人材に好印象を持ってもらうためにも、以下の資料もぜひご活用ください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック執行役員

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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