内定者へのフォローメールは何を書けばいい?パターン別の例文やNG例を紹介

更新:2023/07/28

作成:2023/05/15

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック執行役員

内定者へのフォローメールは何を書けばいい?パターン別の例文やNG例を紹介

内定者や内定承諾者には、内定通知~入社までの間に、以下のようにさまざまな不安や懸念が生まれがちです。

 

  • 「今回の内定を承諾して良いのだろうか?」
  • 「自分の能力でも活躍できるだろうか?」
  • 「内定承諾したA社より、競合のB社のほうが良かったのではないだろうか?」
  • 「いまの企業は大丈夫なのだろうか?」

内定ブルーとも呼ばれるこうした想いは、内定辞退や早期離職の原因になります。そのため、内定者には、個別のメールやメッセージ、情報提供、イベントなどを通じて、接触頻度を保ち、フォローしていくことが大切です。

 

本記事では、まず、内定者にメールなどでメッセージを送る重要性と、内定者へのメッセージを送信する4つの場面と例文を確認します。確認したうえで、内定者に喜ばれるメールを送る4つのポイントと、メール送信時の注意点を紹介します。

<目次>

内定者にメールやメッセージを送る重要性

内定者にメールやメッセージを送る重要性

 

内定者にメールやメッセージを送る場合、まず、メールなどの意味や重要性を押さえておきましょう。

 

新卒入社の場合は辞退防止に定期接触が重要

新卒の場合、内定通知/内定承諾~入社までの長い期間のなかで、冒頭で触れた内定ブルーが起こりやすい傾向があります。

 

標準的なスケジュールで4年生の6月に内定を出して承諾してもらったとして、内定通知~入社までに10ヵ月近くの期間があります。さらに早期採用の場合、内定通知~入社までに1年以上あることも珍しくはありません。

 

したがって、内定者に入社してもらうには、内定の承諾後も定期的なメールやイベント開催などで高い接触頻度を保ち、内定ブルーに陥らせない工夫が大切です。

中途入社の人にもメッセージの送信が有効

中途採用の場合、内定通知~入社までの期間は、短ければ1ヵ月程度、現職の人でも2~3ヵ月程度と短く、社会人の経験もあるため、新卒ほどの内定ブルーは生じにくいですし、承諾後の辞退も少ないでしょう。ただし、近年では、中途も売り手市場になっています。

 

そのため、高い経験やスキルを持つ引く手あまたの人材なら、たとえば、内定の承諾後でも、競合からスカウトメッセージが届いたりして気持ちが揺らぐこともあるでしょう。

 

高い意欲で入社してもらうためにも、入社までに期間が空くようであれば個別にメッセージを送ったり、ケアしたりすることが有効です。

メールやメッセージを送る5つの場面と例文を紹介

メールやメッセージを送る5つの場面と例文を紹介

 

前の章までで紹介したとおり、内定者へのフォローメールやメッセージは、内定者を入社につなげるうえでも非常に大切です。では、メールやメッセージは、どのようなシーンで送れば良いのでしょうか。

 

本章では、内定者へのフォローメールの作成に適した5つの場面と例文を紹介します。

 

なお、以下ではメール文としての形式で紹介していますが、違う媒体、また、場合によっては、メッセージカードや手紙などを使うことも有効です。

その1:内定承諾後

最も重要な場面です。個別メッセージにすることが大切になります。何を評価して内定を出したか、どう活躍して欲しいかも記載しましょう。

・件名:内定承諾のお礼
 
・本文:
〇〇〇様
 
株式会社×××の採用担当××です。
いつもお世話になっております。
 
先日は、内定承諾のご連絡をいただき、
誠にありがとうございました。
 
〇〇〇様は、今回の求職者のなかで唯一、
海外留学経験のあるエンジニアでした。
 
弊社では、ダイバーシティ経営にも力を入れているため、
〇〇〇様には高い語学力や留学経験を活かし、
ぜひとも外国人エンジニアとの製品開発を行なっていただきたいです。
 
入社にあたり、何か疑問や不安がございましたら、
採用担当××まで気軽にご連絡ください。
 
来月中旬頃には、
入社までのスケジュールをお知らせします。
 
〇〇〇様と一緒にお仕事できることを、楽しみにしております。
今後とも、よろしくお願いいたします。

その2:内定式前

内定式スケジュールなどの事務的な連絡になりがちですが、「ぜひとも参加したい!」「早く同期に会いたい!」などのポジティブな気持ちにさせる内容を入れることがポイントです。

・件名:【要返信】内定式のご案内
 
・本文:
〇〇〇様
 
株式会社×××の採用担当××です。
いつもお世話になっております。
 
今年は厳しい残暑が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。
 
本日は、内定式の連絡でメールをさせていただきました。
 
まず、内定式の日時と会場は、以下のとおりです。
 
・日時:2023年10月2日(月) 12時~15時(13時30分~懇親会)
・会場:株式会社×× 東京本社4階会議室(東京都渋谷区××××)
 
内定の受付は、12時から始まります。
 
本社4Fには、休憩スペースもございます。
午前中の新幹線で上京されるようでしたら、12時より早めに来ていただいても大丈夫です。
 
また、〇〇〇様のように遠方の方には、Zoomによるオンライン参加もご案内できます。
 
なお、2024年度の新入社員には、
〇〇〇様と同じ工学部・経営工学科の方が5人もいらっしゃいます。
 
内定式のあとは、顔合わせの懇親会も開催します。ぜひともご参加ください。
 
なお、このメールは、内定式の出欠確認も兼ねています。
お手数ですが、以下にご記入のうえ、返信をお願いします。

*****************************
・内定式には、どの方法で出席しますか?(〇をつけてください)
 
1.東京本社で出席する
2.オンラインで出席する
3.欠席する(理由:        )
*****************************

不明点などございましたら、採用担当××まで気軽にご連絡ください。
 
〇〇〇様にお会いできるのを、楽しみにしております。
今後とも、よろしくお願いいたします。

その3:内定者研修前

今回は内定者研修が内定式よりあとに実施される想定でのメールです。まず、内定式の参加のお礼をし、続いて内定者研修のスケジュールや詳細を記載しましょう。研修の場面でのメールでも、「早く参加してみたい!」や、疑問や不安の解消につながる内容を入れることが大切です。

・件名:内定者研修のご連絡
 
・本文:
〇〇〇様
 
株式会社×××の採用担当××です。
いつもお世話になっております。
 
先日は、内定式にご出席いただき、誠にありがとうございました。
懇親会では、〇〇〇様の近況なども詳しく教えていただけて良かったです。
 
さて、本日は、内定者研修のお知らせです。
内定者研修の初回(全3回)は、以下の日程で開催します。
 
・日時:2023年11月30日(金) 10時~15時
・場所:株式会社××× 東京本社4階(研修センター)
・研修内容:自社のミッション・ビジョンの理解、同期とのグループワーク、先輩社員とのランチ会
 
なお、内定者研修の前に、添付資料の3~10ページに目を通してきてください。
そうすることで、研修内容の理解度もアップすると思います。
 
また、ランチ会では、先輩社員への質問も可能です。
 
エンジニアの働き方やキャリア……など、
疑問や不安がありましたら、気軽にご質問ください。
 
〇〇〇様がお住まいの山形県も、かなり寒くなってきた頃かと思います。
卒業研究も終盤に差しかかりお忙しい時期かと存じますが、どうぞご自愛くださいませ。
 
不明点などございましたら、採用担当××まで気軽にご連絡ください。
 
内定者研修で〇〇〇様にお会いできることを、楽しみにしております。
今後とも、よろしくお願いいたします。

その4:入社前

まず、いままでの内定者イベントに参加してくれたことへの感謝をします。感謝したうえで、入社式の案内を記載しましょう。

・件名:入社式のご連絡

・本文:
〇〇〇様
 
株式会社×××の採用担当××です。
いつもお世話になっております。
 
これまで、遠方から弊社のさまざまな内定者イベントにご参加いただき、
誠にありがとうございました。
 
来月は、いよいよ入社式です。以下の日程で開催します。
 
・日時:2023年4月3日(月) 11時~13時
・場所:株式会社××× 東京本社1階(××ホール)
・服装:就職活動中と同じリクルートスーツでお願いします
 
入社式は40分程度を予定しており、そのあとは、
社長や経営陣とのウェルカムランチ会を開催します。
 
ウェルカムランチ会では、社長がお気に入りの
フレンチレストラン×××のお弁当を食べる予定です。
 
気になることがあれば、社長に直接ご質問してくださっても構いません。
 
理系学部では、そろそろ卒業研究の発表会が開催される頃かと思います。
まだ寒い日も続きますが、どうぞご自愛ください。
 
入社式の不明点がございましたら、採用担当××まで気軽にご連絡ください。
 
入社式で〇〇〇様にお会いできることを、楽しみにしております。
今後とも、よろしくお願いいたします。

その5:その他

ある程度のカジュアルな文面で、社内状況を定期的に発信することも有効です。

 

「社内状況を送ってもしょうがない…」と思うかもしれませんが、接触頻度が落ちて記憶が薄れていけば、気持ちや意欲も冷めていくのが人間の常です。社内状況を送ることで接触頻度を維持することが大切です。

  • 「創業10年記念の社員旅行は、〇〇でした……」
  • 「弊社の新製品Aが、業界ランキングで1位を獲得しました……」
  • 「2025年採用の会社説明会が始まり、人事部門も忙しくなってきました……」 など

内定者に喜ばれるメールを送る4つのポイント

内定者へのフォローメールを志望度アップにつなげるには、以下4つのポイントを大切にする必要があります。

 

個別の「あなた」に向けたメッセージの追加

各内定者の志望度を上げるには、内定式・内定者研修・入社式などのお知らせを一斉送信するのではなく、それぞれの「あなた(内定者)」に向けた以下のような文面を追加することが大切です。

  • 「〇〇学部のAさんなら、内定者研修の内容も理解しやすいと思います」
  • 「先週は〇〇で大きな地震がありましたが、Bさんの地域は大丈夫でしたか?」
  • 「〇〇先生がノーベル賞を受賞したことで、Cさんの大学名をよく目にするようになりました」

すべてのメッセージを個別にする必要はありませんが、内定時の連絡などと同じように、個別の「あなた」に向けたメッセージを何度か送ることが有効です。

今後の見通しを早めに示す

内定承諾したものの、いまから入社までの間に何があるのかわからない状況は、内定者を不安にさせてしまいます。そのため、内定通知の段階で具体的な日時が決まっていなくても、以下のように現時点でわかることを示す姿勢が必要です。

  • 内定式:10月1日
  • 内定者研修:全2回(11月の最終週・1月の第3週に予定。具体的な日程は、内定式までに案内します) など

 

不安を解消するアドバイスを含める

内定者には、「研修に付いていけるだろうか?」「同期と仲良くなれるだろうか?」などの不安が生じがちです。こうした不安から内定者ブルーに陥らせないためにも、メール内で以下のようなフォローやアドバイスをすることも大切になります。

  • 「お送りした資料をしっかり読み込めば、(研修内の)ディスカッションもしやすくなるでしょう」
  • 「先輩社員とのランチ会に向けて、2~3個の質問を用意しておくとよいでしょう」など

内定者の質問に答える

内定者からの質問に曖昧な答えをしたり、返信が遅かったりすると、返事の様子から「いまの企業は大丈夫だろうか?」などの不信感が生じやすくなります。そのため、内定者からの質問が来たら、現時点でわかることを迅速かつ明確に伝えることが大切です。

 

未決定事項の場合、「経営層に確認をして、来週月曜までにこちらからご連絡します」などの回答にするのも一つとなります。

 

スキルアップを後押しする

高い入社意欲を維持するには、築けるキャリアや自社で働くポジティブなイメージを抱いてもらうことが大切です。

 

業種や職種によってできることは変わってきますが、たとえば、IT企業に入社後、プログラマー⇒システムエンジニア⇒プロジェクトマネージャーとキャリアアップしていきたい人材には、入社前のE-learningで基本スキルを学んでもらう、入社までに資格取得を促すなども一つでしょう。

 

内定者に負荷をかけすぎることがないように注意する必要がありますが、ある程度のスキルアップ環境を提供することは「入社に向けて準備できている(不安の軽減)」「企業が気にかけてくれている(感謝や意欲の向上)」を実現できます。

メール送信の注意点

内定者へのフォローメールは、内定者の志望度を高め入社につなげるものです。しかし、書き方や人事担当者の姿勢によっては、内定者を不快にさせてしまったり、内定辞退の原因になったりすることがあります。本章では、内定者へのフォローメールの注意点を整理しておきます。

 

ビジネスマナーの基本を押さえる

内定者が学生であっても、ビジネスマナーの基本を押さえたメールを作成しましょう。もちろんビジネスマナーの基本は押さえたうえで、選考時の関係性や雰囲気に応じて多少カジュアルにするのはOKです。

 

適切なタイミングと頻度で送信する

株式会社ディスコの調査結果では、内定後の接触頻度で最も多いのは、37.9%の「1ヵ月に1回程度(毎月)」でした。なお、内定者側の視点で見ると、毎月フォローを受けたグループは、毎月のフォローを受けていないグループと比べて、不安に感じる割合が少ないこともわかっています。

 

出典:調査データで見る「内定者フォロー」-2021年卒調査-(株式会社ディスコ)

 

したがって、内定承諾のお礼のほかに、内定式・内定者研修・入社式などの案内を行ない、案内しても月1回に満たない場合は、自社の近況などをカジュアルに伝えるとよいでしょう。カジュアルな連絡であれば、2週間に1回ぐらい送っても良いかもしれません。

内定者からのメールは迅速に返信する

繰り返しになりますが、「放置されている」と感じると誰もが不安になるものです。そのため、内定者からの出欠連絡や質問には、迅速に返信するようにします。
質問内容の確認や調査に時間がかかる場合、「来週中には確認してご連絡します」といった取り急ぎの返信だけでもすることが大切です。

 

ハラスメントにならないように注意する

内定者メールは、内定辞退や入社後の早期離職を防ぐためのものです。そのため、以下のように内定者の不安や違和感を増大させる威圧的なメールはNGになります。

  • 「内定式に出席しないと、〇〇(不利益)を被ることになりますよ……」
  • 「Aさんは男性なのですから、内定者研修までに〇〇をしてください……」

まとめ

近年では、新卒の通年採用が普及するなかで、内定辞退が生じやすくなっています。こうしたなかで内定者の辞退を防ぐには、内定者メールを通じて定期接触を図ることが大切です。また、最近では、中途も売り手市場になっていることから、中途人材にも内定後のメッセージ送信が有効になってきます。

 

内定者メールを送る場面は、大きく分けると以下の5つです。

  • その1:内定通知後
  • その2:内定式前
  • その3:内定者研修前
  • その4:入社前
  • その5:その他

内定者に喜ばれるメールにするには、記事内で紹介したテンプレートも参考に、以下4つのポイントなども押さえていくとよいでしょう。

  • 個別の「あなた」に向けたメッセージの追加
  • 今後の見通しを早めに示す
  • 不安を解消するアドバイスを含める
  • 内定者の質問に答える
  • スキルアップをあと押しする

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック執行役員

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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