チームビルディングとは、上司(リーダー)とメンバー、そしてメンバー間の信頼関係を構築し、目標達成に向けて協働するチームをつくることです。
現代では、知識労働に従事する人の増加とともに、ダイバーシティ経営や働き方改革などの要因で多様な人材が同じチームで働くことが多くなりました。
結果として、チームビルディングの重要性が増しています。
また、近年のビジネス環境は、未来が予測不能で変化が著しいVUCA時代に突入しています。
こうした厳しい環境のなかで企業が事業を維持・成長させるには、チームビルディングを通じて協働できるチームを構築する必要があるでしょう。
記事では、まず、チームビルディングの基礎知識と目的、メリットを解説します。
そのうえで、後半では、チームビルディングの5段階を示す“タックマンモデル”の概要と、チームビルディングを成功させる実践ポイントを解説します。
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<目次>
- チームビルディングの基礎知識
- チームビルディングとチームワークとの違い
- チームビルディングの目的
- チームビルディングに取り組むメリット
- チームビルディングの5段階を示す“タックマンモデル”とは?
- チームビルディングを成功させる実践ポイント
- チームビルディングの効果を高めるポイント
- チームビルディングを行う際の注意点
- まとめ
チームビルディングの基礎知識
チームビルディングを実践するには、まず、チームビルディングがどういうものかを理解しておくことが大切です。
この章では、チームビルディングの概要と、チームビルディングにおける「チーム」の意味、対象者などを確認します。
チームビルディングとは?
チームビルディングとは、ある目的や目標を達成するために集められた人材の集まりを、「協働し相乗効果を発揮できるチーム」にする概念です。
チームビルディングによって上記のようなチームが構築されると、一人ひとりのメンバーが相互に信頼し、お互いの強みを認め合うことで、組織のパフォーマンスが上がり、個のパワーの合計以上に大きな成果を出せるようになります。
チームビルディングは、チームやプロジェクトの目標達成に向けた組織開発の基本です。
チームビルディングにおける「チーム」とは?
チームビルディングを実践し、成功につなげるには、チームビルディングにおける“チーム”がどういうものかを抑えておく必要があります。
組織研究などの著書で著名なジョン・カッツェンバック氏は、チームビルディングの“チーム”について、以下のように定義しています。
- チームとは「特定の目的のために多様な人材が集い、協同を通して相乗効果を生み出す少人数の集合体」である。
“チーム”の厳密な意味は、チームと似た単語である“グループ”と比較するとより理解しやすくなります。グループとは、以下のような意味を持つ単語です。
- 仲間
- 集団
- 共通の性質で分類した人や物の一団
- 同系列に属する組織 など
グループとはつまり “人の集まり”という意味を持つ単語です。グループがチームになるには、以下の2条件を満たす必要があります。
- 達成すべき共通目的
- 目的の達成に向けたメンバーの協働や相乗効果の実現
たとえば、営業部門のメンバーが共通目的を持たず、それぞれが自分の個人成績だけを考えて営業活動をしている場合、その集団は“チーム”ではなく、“グループ”です。
一方で、以下のような共通目的・目標達成に向けてメンバー同士で協力し合えている場合、その人たちは“チーム”であるといえるでしょう。
- 新製品Aの売上5,000万円達成をみんなで目指す「営業部門」
- 優秀人材30名の採用に向けて活動する「採用部門」
- 3月末のシステム納品を目指し協働する「開発プロジェクト」 など
チームビルディングの対象者
チームビルディングは、先述のとおり「チーム」をつくるための取り組みです。
そのため、対象となるチームを構成する全員が対象であり、リーダーと各メンバーが主体的に参画することが必要になります。
たとえば、「経営チーム」であれば、社長をはじめとした経営幹部層になりますし、新入社員研修におけるプロジェクトであれば新入社員、また、特定の部署などであれば部署の管理職から配属された新人まで階層を超えたメンバーが対象となるでしょう。
なお、チームビルディングを主導するのはリーダーの役割ですが、ほかのメンバーがどれだけ主体的に参加するかで、チームビルディングがスムーズに成功するか、また、うまくいくかが左右されることになります。
チームビルディングとチームワークとの違い
チームビルディングは、チームワークを発揮できる組織を作ることが目的です。つまり、チームビルディングのゴールがチームワークであり、チームワークを作るための手段がチームビルディングです。チームワークが発揮される、メンバー同士が信頼関係を持って強みを活かしあい、弱点を補いあうことで、組織のパフォーマンスが向上します。
チームとは、「バーナードの3要素」を満たす小組織を指します。「バーナードの3要素」は「バーナードの組織の三要素」とも言われ、アメリカの経営学者チェスター・バーナードが提唱した組織が成立するために必要な3つの要素のことです。
バーナードの3要素は、「共通の目標」「協働の意欲」「コミュニケーション」です。つまり、
共通の目的やゴールを持ち、それを達成するために個々のメンバーが主体性を発揮し、相互協力のためにコミュニケーションを取るのがチームです。
逆に言えば、3つの要素の1つでも欠けたものはチームではなく、単に人が集まっただけの「集団」に過ぎません。集団ではメンバーが個々に活動するため、チームワークは生まれず、メンバーの能力を足し合わせただけのパフォーマンス、もしくはお互いが邪魔することで能力の総和よりもパフォーマンスは低くなってしまいます。
チームビルディングでは、上記の3要素をより高いレベルで実現して優れたチームワークを発揮するために、
- 共通目的や目標
- 個々人にとっての参加する意味づけ
- 計画づくり
- 相互理解と信頼形成
- 強みや弱みの共有や役割分担
などを実施していきます。
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チームビルディングの目的
チームビルディングの目的は、おもに次の4つです。この章では、各目的を詳しく解説しましょう。
- チームの目標やゴールの達成
- チームの結束力強化
- チームビジョンの浸透
- 成長マインドセットの形成
チームの目標やゴールの達成
チームビルディングの最大目的は、チーム目標やゴールの達成です。
たとえば、メンバー同士の価値観や考えを把握することは、個々のパフォーマンスを最大化する最適な人材配置につながります。
また、チームの目標やメンバーの役割、プロセスなどの可視化により、連携や役割分担がしやすくなるでしょう。
そして、信頼関係のうえにコミュニケーションが活性化すると、相乗効果やイノベーションも生まれやすくなります。
チームの結束力強化
2つ目の目的は、チームの結束力を強めることです。
たとえば、“ゲーム”というリラックスできる場なども使いながら相互理解を深めることは、メンバーの関係構築に有効となります。
ゲームを通じてお互いの人間的な側面を理解することで、チームの結束力が強くなり、その結束力は業務でも活かされていくでしょう。
チームビジョンの浸透
3つ目の目的は、チームビジョンの浸透です。組織ゴールの共有と浸透は、組織の基本的な構成要件の一つになります。
組織ゴールや目標、達成計画を作成・決定するプロセスに関わってもらうことに加えて、ゴールを「達成したらどのような気持ちになるのか」「自分にとってどのようなメリットがあるか」など、ゴールの達成ビジョンを具体的に描きます。
ビジョンに加えて、チームのミッションなども作成し、繰り返し共通言語として確認し合うことで、チームのミッションビジョンの浸透が定着していきます。
チームの方向性が定まり一体感が高まることで、目標達成への連携も行なわれやすくなるでしょう。
成長マインドセットの形成
最近は、競争環境のなかで新たな挑戦やイノベーションが求められる時代です。チームとして活動するなかでも、さまざまなハードルにぶつかるでしょう。
こうしたなかでチームが目標達成に向かって協働していくには、メンバー全員に成長マインドセットを持たせることが大切になります。
成長マインドセットとは、“人は成長できる”という価値観を持ち、学びや成長を大切にする姿勢のことです。
各メンバーに成長マインドセットが形成されると、積極的な学習や挑戦ができるようになります。また、ポジティブな思考によって、逆境にも強くなるでしょう。
チームビルディングに取り組むメリット
チームビルディングに取り組むことで、次のようなメリットが得られます。チームビルディングのメリットは、目的と重複する点も多いです。簡単に確認しておきましょう。
- 心理的安全性の強化
- チーム内コミュニケーションの活性化
- メンバーのモチベーション向上
- 個人のパフォーマンス向上
- チームの生産性向上
- イノベーションが生まれやすい風土醸成
心理的安全性の強化
心理的安全性とは、「チームメンバーを信頼して、自分の能力不足や弱さを見せられるか?」をあらわす概念です。
チーム内の心理的安全性を確保することは、チームビルディングを成功させるうえでとても大切です。
チームの心理的安全性が高いと、各メンバーは信頼感から生まれる安心のなかで、叱責や批判を恐れず、のびのびと仕事ができるようになります。
その結果、後述するコミュニケーションの活性化や、パフォーマンス・生産性の向上といった効果が生まれやすくなるでしょう。
チーム内コミュニケーションの活性化
たとえば、営業部門の状態が“グループ”の場合、各メンバーは“協働する仲間”ではなく“ライバル”になります。
お互いがライバルであるということは、たとえば、自分が営業活動のなかで身につけたテクニックや競合の動向などの情報共有はあまり行なわれません。
また、“ライバルに負けたくない”などの想いから、自分の失敗やトラブルの連絡・共有が遅くなり、結果として早期解決が難しくなることもあるでしょう。
一方で、チームビルディングによって構築された“チーム”のメンバーは、共通の目的・目標を達成するために、情報共有や相談なども積極的に行ないます。
また、チームの目標達成につながる意見や提案も積極的に出し合えるため、結果として組織変革や成長、イノベーションなども起こりやすくなるでしょう。
メンバーのモチベーション向上
信頼関係ある仲間と共通の価値あるゴールを目指すことは、結束力やメンバーの「チームに貢献したい」というモチベーションやエンゲージメントを高めます。
メンバーのモチベーション向上は、個人とチームの生産性を高め、さらなるモチベーション向上につながるという好循環を生み出します。
個人のパフォーマンス向上
チームビルディングによって構築されたチームでは、各自がほかのメンバーの目を気にすることなく、のびのびと自分のパフォーマンスを最大限に発揮できるようになります。
また、自分のパフォーマンスが低下したときにも、メンバーに相談したり助けを借りたりすることで、改善に向けたアイデアや打開策などももらいやすくなるでしょう。
各メンバーが最大限のパフォーマンスを発揮し続けられるようになれば、目標達成の確度やスピードもアップします。その結果、組織や個人の生産性が向上するでしょう。
チームの生産性向上
チームビルディングを通じて、お互いの違いや多様性を認め合うことで、メンバーの信頼関係や心理的安全性が確保されます。
お互いに対抗したり、けん制したりするのではなく、活かし合う関係性が作られることで、チームの生産性が上がりやすくなるでしょう。
イノベーションが生まれやすい風土醸成
心理的安全性が確保されたなかで、異なるスキルや価値観を持つメンバーがコミュニケーションを図り協働すると、相乗効果が生まれやすくなります。
異なる価値観を持ったメンバーの発言に刺激されたり、異なる視点をかけ合わせたりすることは、新たなイノベーションを生み出しやすくするでしょう。
チームビルディングの5段階を示す“タックマンモデル”とは?
チームビルディングの実施に関する代表的な理論に、タックマンモデルがあります。タックマンモデルとは、チームの誕生から解散までを5つの段階で示したものです。
心理学者のブルース・W・タックマンが提唱する考え方になります。
タックマンモデルの各段階を理解すると、チームビルディングの現状分析や適切な施策が打ち出しやすくなります。この章では、タックマンモデルの5ステップを、各段階の特徴と共に解説しましょう。
1.形成期
チームが形成されたばかりの時期です。形成期のメンバーには、緊張やお互いに遠慮をしている傾向があります。
形成期は、ゲームなどでメンバー間の親睦を深めて人間関係を築いたり共通目的・目標を浸透させたりしながら、目標達成を妨げる要因や課題を見つけていく時期でもあります。
2.混乱期
目標やゴール達成までの計画が決まり、プロジェクトが動き出した段階です。
混乱期の当初は、相互理解もあまり進んでいないことから、各メンバーの価値観や仕事の進め方の違いによって、意見衝突や混乱も起こりやすい時期になります。
ただ、混乱期における意見のぶつかり合いなどを闇雲に避けてしまうと、お互いが消極的に様子見をする状態に陥ってしまい、次のステップに進めなくなります。
心理的安全性の高いチームを目指すのであれば、意見の衝突を恐れずお互いを知ろうとする姿勢が必要でしょう。
混乱期のリーダーには、個人としての信頼関係を維持したうえで、活発な討論やディスカッションを歓迎する姿勢が求められます。
また、各メンバーが議論を重ねるなかで、互いの意見の背景にあるものを想像する価値観をしっかり共有することのファシリテートをすることも必要でしょう。
3.統一期
混乱期を乗り越えると、メンバー間の相互理解も進み、チームとしての方向性も定まった状態になります。また、メンバー一人ひとりが、自分の役割や目標を理解している状態になるでしょう。
統一期に入ったら、リーダーには、各メンバーの個性や能力を活かした役割分担や目標設定が求められます。
また、リーダーは、仕事を進めるメンバーへのフォローや、チーム内の情報共有を徹底する役割も担う必要があるでしょう。
4.機能期
チームビルディングのゴールは、機能期の状態をつくりあげることです。
機能期に入ると、メンバーそれぞれがスキルや能力を発揮し、チームとして高いパフォーマンスを出せる状態になっています。
また、月間などの小さな目標でも達成できれば、成功体験から各メンバーのモチベーションや結束力も高まりやすくなるでしょう。
機能期のリーダーには、チームの一体感をさらに高めるために、アクティビティを通じた意見交換・対話の機会を設けたり、メンバーのフォローをしたりすることが求められます。
5.散会期
プロジェクトが終了し、チームとしての活動を終える段階です。チームの活動期間はさまざまですが、チームの“解散”は、以下の発生によって迎えることが多いでしょう。
- プロジェクトの終了
- 組織の改編
- 人事異動 など
散会期には、いまのチームに区切りをつけ、新たなチームでの仕事に切り替えるために、締めくくりのイベントなどを開催するのも一つです。
なお、チームビルディングは、実施して終わりではありません。散会期には、目標達成の成果とチームビルディングの効果を振り返り、検証することが大切になります。
たとえば、メンバーが協働できたことへの達成感を得ていたり、チームの解散を惜しんだりするような状態であれば、チームビルディングによって心理的安全性の高い“良いチーム”が構築できたと考えてよいでしょう。
散会期の振り返りを通じて得た気付きや学びは、新たに始まる次のチームビルディングに役立てられます。
チームビルディングを成功させる実践ポイント
チームビルディングを成功させるには、リーダー主導で心理的安全性の高い“良いチーム”の構築を目指す必要があります。
この章では、いわゆる“良いチーム”をつくるために必要な実践ポイントを解説します。
チームのミッション、ビジョンの明確化
チームとしての方向性を定めるため、まずは、チームのミッション、ビジョン、そして目標を明確にして共有することが大切です。
一方で、ミッションやビジョンが明確になっていなければチームは方向性を見失います。達成すべきゴールや判断基準が不明瞭な状態では、メンバー同士の連携も難くなるでしょう。
なお、ビジネスにおけるチームでは、“目標”だけは当初から設定されていることが多かったりします。
ただ、チームビルディングを実施する際には、ミッションやビジョン、目標の意味づけをきちんとすることが大切です。
“目標”だけある状態でスタートして、チームがうまく機能していないと感じるときは、根本に戻って、ビジョンの明確化や目標の意味付けから取り組むこともおすすめです。
リーダーの主導
タックマンモデルで紹介したとおり、メンバーが集まった当初は、互いのことを知らなかったり、ライバル意識を持っていたりする理由で、混乱や課題が生じやすいものです。
こうした組織を目標達成に向かわせるには、チームを率いるリーダーの役割が非常に大きくなってきます。
たとえば、形成期の朝礼やミーティング時には、チームリーダーが、メンバーの緊張を和らげ相互理解を深めるお題を出していくのもおすすめです。
そして、チームの状態が混乱期や統一期にシフトをしたら、リーダーの役割も各メンバーのフォローや情報共有などに移行していきます。
メンバーの相互理解
チーム内の信頼関係や安心感は、メンバーがお互いの価値観や考え方、強みの違いを理解してこそ高まるものです。
チームビルディング全体で見れば、目的・目標の「共有」と、違いの「相互理解」を両立させることが大切になります。
ただ、チームの形成期や混乱期には、先述のとおり、メンバー同士の相互理解ができないことで緊張や対立などが起こりやすくなります。
この問題を解消し、統一期につなげていくには、価値観を共有するために以下のような場を設けることも有効でしょう。
- 社内イベント:立場や年齢の異なるチームメンバー同士の相互理解を深める
- 研修・合宿:創造性の刺激や業務改善の新しいアイデアを出し合う
- ゲーム:自己紹介や信頼関係の構築をしやすくする
相互理解では、各メンバーがお互いの価値観が考え方の違いを受け入れることが大切になります。
役割や責任の明確化
役割や業務領域が曖昧な状態では、メンバーの主体性が発揮されにくくなります。
マネジメントする側は、個々のメンバーが最大限に能力を発揮でき、効率的に仕事が進められるように配置や役割を考えることも大切です。
役割や責任、目標を明確にするからこそ、個々が自立をして主体的に判断しやすくなります。
役割や責任を考える際には、各メンバーが能動的に取り組める個人目標の設定も大切です。一人ひとりが個人目標を持つことで、より責任感を持って主体的に行動できるようになるでしょう。
ただし、役割や責任を明確化することで、小さなチームが縦割り組織のようになってしまっては本末転倒です。
チームとしてのビジョン、共通目標などによる求心力と相互支援が失われないように注意しましょう。
メンバーの強み活用
チームビルディングを効果的に行なうためには、メンバーの強みを生かすことが大切です。強みを生かすことで人はやりがいを感じますし、生産性も向上するでしょう。
まず、チームを編成する時点で、弱みを補完し合い、強みを発揮し合えるようなメンバーを選定することが大切です。
また、役割や責任を明確化する段階でもチームメンバーの強みを生かせる分担を検討しましょう。
さらには、役割や責任を超えた相互支援を生み出すうえでは、再度、タスク分担などを通じて、お互いの強みを生かして弱みを補い合う関係を生み出すことが大切になります。
「心理的安全性」の確保
繰り返しますが、Google でも大切にする心理的安全性は、チームビルディングを成功させるうえで欠かせないものです。
心理的安全性の高い組織は、メンバー全員が不安や恐怖を感じることなく、安心して自分の意見を主張し、行動できる状態になります。
チームの心理的安全性を確保するには、先述の相互理解のほかに、ミーティングやディスカッションといった話し合いの場において、すべてのメンバーに意見を求めたり、発言機会が偏らないようにしたりする配慮も必要です。
また、目的・目標の共有を通して、競争ではなく協力を生まれやすくする風土づくりも大切になります。
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チームビルディングの効果を高めるポイント
チームビルディングの効果をより高めるためのポイントを紹介します。
目的や目標を「自分のもの」とするプロセスを大切にする
チームビルディングの効果を高めるためには、チームの目的や目標をメンバーそれぞれが「自分のもの」とするプロセスが重要です。
ビジネスにおけるチームは、ある程度トップダウンで組織が編成されることが多いでしょう。また、場合によっては目的や目標もチーム編成の際にある程度設定されることも多いでしょう。
つまり、チームとしての共通の目的や目標自体は設定されていても、チームに参加するメンバー個人としては、その目的や目標に思い入れを持つことが難しい状態です。自分以外の他者、つまり、企業の上層部から設定された目的や目標は、感情的に「自分の目標」「われわれの目的」として捉えにくいものです。
また、チームビルディングを進める中でよくある問題として、リーダーとメンバーの温度差もあります。リーダーは多くの場合、チーム編成と目標設定に関わり、目標の意味や背景にも深い理解があるでしょう。
しかし、ある意味「社命」で集められたメンバーには、リーダーほど、目標への理解や思い入れはありません。結果として、リーダーとメンバーの間に温度差が生まれ、メンバーがモチベーションを維持できなかったり、やらされ仕事として受け止めてしまうといった問題が生じます。
リーダーとメンバー間で温度差が生じることを防ぐためには、既にチームの目的や目標がされていたとしても、改めてチームの目的や目標を、メンバーそれぞれが「自分たちのもの」とするプロセスが大切です。
自分たちでチームのミッションやビジョンを再定義することも大切ですし、また、チームの目標を自分にとって意味あるものとしてもらうことも大切です。というのもビジネス上の目標は、組織や事業計画にとっては合理的ですが、個人にとって意味があるものではありません。「売上目標」などが顕著なものです。
従って、この目標が「組織にとってどんな意味があるか?」という理解と共に、自分にとってどんな意味があるかを落とし込んでもらうことが大切です。たとえば、「この売上目標を達成することに貢献すれば、今期の評価はA評価になり、係長に昇進できる可能性も高まる。給与も増えて、妻も喜んでくれるし、自分にもご褒美で欲しかったキャンプグッズを買おう!」といった形です。詳しくは下記の資料をご覧ください。
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強みを活かすチーム編成
チームとして有効に機能し、高いパフォーマンスを出すうえでは、メンバーそれぞれの強みを活かすことが重要です。
チームのパフォーマンスを高めるためには、チーム編成の段階で、リーダーと構成メンバーの強み・弱みを考慮して、メンバーを設定することが有効です。
チーム編成の際、特に重要なのは、チームを牽引していくリーダーが自分の強みを活かせるようにすることです。リーダーが強みを活かせるように、No.2・相談役的なメンバーとしてリーダーの弱みを補うメンバーを配置することが重要なポイントとなります。
たとえば、リーダーが外向型で営業力に秀でている場合には、調整型で事務能力のスキルが高いメンバーがNo.2のポジションにいると、リーダーは内側を気にし過ぎず、自分の能力をフルに発揮できるでしょう。
チームビルディングを成功させるためには、リーダーやメンバーがお互いの強み・弱みを補い合い、能力を発揮できるようにチーム編成をすることが重要です。
1人入れ替わるとチームは再スタートする
ビジネス組織は、異動や離職、産休など、一定のペースで人の入れ替わりが発生することが一般的です。
メンバーが1人入れ替わると、チームビルディングは再スタートします。つまり、たとえば、5人のチームで1人メンバーが入れ替わった場合、チームビルディングはリセットされるという認識を持っておくことが大切になります。
しかし、5人のうちの1人だけが入れ替わったような場合、新規で合流したメンバーに「チームに馴染んでもらう」という意識になってしまいがちです。しかし実はチームをそのまま維持して、「新規メンバーに馴染んでもらう」のではなく、「チームビルディングを再スタートする必要がある」のです。
もちろんチームが機能している基盤があれば、初回と同じ工数は必要ない可能性が高いでしょう。しかし、チームビルディングしなおすという意識が大切であることは間違いありません。
チームビルディングを行う際の注意点
チームビルディングのカギを握るのはやはりリーダーです。もちろんチームビルディングを成功させるためにはメンバーの主体性等も大切になりますが、最初からメンバー個々が正しい方向で主体性を発揮するのは難しいといえるでしょう。
初期の段階からメンバー任せになってしまうと、個々が違う方向を向いてしまい、まとまりのないチームになる可能性があります。チームビルディングをリードするリーダーがしっかりとリーダーシップを発揮し、チームが目指す目的・目標への方向性を示す、また、チームの文化を作る意識が必要です。
チームビルディングを成功させるためには、多様な価値観を認めること、心理的に安全な環境を作ることが大切です。リーダーがこれをリードすることで、メンバーそれぞれが主体性をもってパフォーマンスを発揮できるようになるでしょう。
またメンバーに丸投げをしないことも大切です。業務を丸投げしてしまうと、やらされ仕事に感じるメンバーが出てきます。丁寧にコミュニケーションを取り、業務の目的を説明し、目標に向かって主体的に行動できるように導くことも、チームビルディングを成功させるために注意すべき点となります。
まとめ
チームビルディングとは、目的・目標を共有して、協働して相乗効果を生み出せるチームをつくるための取り組みです。
チームビルディングでは、タックマンモデルの考え方を基本としながら、価値観共有を通して心理的安全性の高い組織を目指す取り組みが求められます。
チームビルディングによる組織・個人のパフォーマンス向上効果は、とても大きいです。
また、チームの体験は解散後も続くため、チームビルディングは企業のフォーマンス向上にとても役立つでしょう。
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