「カマスの実験」
お世話になっております。
HRドクターを運営する株式会社ジェイックにて
取締役 兼 教育事業部長を務めます
東宮美樹と申します。
今回は「カマスの実験」について
お話させていただければと思います。
カマスというお魚をご存知でしょうか。
このカマスは肉食魚なので、
他の小魚を食べて過ごしているのですが、
このカマスを使ったある実験があります。
まず、大きな水槽を透明な板で仕切って、
一方にはおなかを空かせたカマスの群れ、
もう一方には餌となる小魚を放します。
すると、カマスたちは餌を食べようとしますが、
透明な板にぶつかって食べることが出来ず、
それを繰り返しているうちに、
遂には食べることを諦めてしまいます。
そして、ここからが問題なのですが、
次に、水槽の中の透明な板を取り除きます。
カマスたちは自由に餌を食べはじめる…と思いきや、
一度食べることを諦めてしまったため、
目の前を小魚が泳いでもまったく反応せず、
最終的にはそのまま餓死してしまうそうです。
同じ実験を何度やってみても、同じ結果になるのだそうです。
この実験から私達が考えなければいけないのは何か。
それは、
自社にとっての「透明な板」は何か?
ということです。
「透明な板」はどの企業様にも
存在するものだと思います。
時にルールであったり、
時に社員の経験や思い込みであったり、
時に事業部や会社全体の社風であったり。
もちろん、それらが例えば
「先輩社員の経験から生まれた
ちょっとしたアドバイスで、
リスクヘッジに繋がる」
など、予期せぬリスクから社員を守っているような、
良い作用を及ぼしていることもあるでしょう。
ですが、一方でそれが、
「入社直後は元気に挨拶をしていたのに、
現場の上司の反応が薄く、
徐々に挨拶も『それなり』になってしまう」
など、社員の行動を制限してしまっているような、
悪い作用を及ぼしてしまっていることもあるでしょう。
(※心理学用語では「学習性無力感」とも言います)
改めて、自社にとっての「透明な板」は何か?
私達はそのような視点で
会社を見ていく必要があるのかもしれません。
と、今回のメルマガは
ここで終わっても良さそうなのですが、、、
実は、この実験には続きがあります。
先程の食べることを諦めてしまったカマスですが、
ある事をすると、再び餌を食べ始めるのだそうです。
それが、
水槽に新しいカマスを入れる
ということです。
水槽に入った新しいカマスは、
当然ですが餌を食べ始めます。
それを見て、元からいたカマス達は
餌を食べれることを知り、
再び食べ始めるようになる、とのことでした。
そして、私達が気を付けなければいけないのが、
この話を聴いて
「よし!じゃあ、
まだ何にも染まってない新人には
どんどん新しいことに挑戦してもらって、
社風を変えてもらおう!」
と、新人に何もかもを期待してしまうことです。
新人に新しい刺激を期待することはもちろん、
とても良い事なのですが、
この話は、大前提として
「透明な板」がしっかりと取り除かれているのです。
これがしっかりと取り除かれていないと、
せっかく採用した新人も徐々に、
「こんなもんなのか」と
自身の行動の範囲を狭めてしまう恐れがあります。
また、これは新卒採用に限らず、
新しい刺激を職場に取り入れられているか?
という意味でもあります。
新たに新人を入れなくても、
外の規準を見せるだけでも、
一時的にではありますが、効果は得られます。
そのため、
4月に行った弊社の公開型新人研修では、
まだ染まり切ってしまう前のこの時期に
「フォロー研修」と称して、
再度、受講者を集めて研修を行っています。
(ちょうど今、全国各地で「フォロー研修」を
実施しているので、来週号でその様子も
簡単にお伝えさせていただきます!)
貴社では、何か取り組まれていらっしゃるでしょうか。
もし「ちょっとこなれてきたかな~」と感じたら、
ぜひ改めて「外の基準を見せる」機会を
設けることをおススメします。
今週はここまでとさせていただきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
来週もよろしくお願いいたします。