係長とは?課長との違いや期待される役割と仕事・育成方法を解説

更新:2023/12/25

作成:2022/07/13

東宮 美樹

東宮 美樹

株式会社ジェイック 執行役員

係長とは?課長との違いや期待される役割と仕事・育成方法を解説

係長とは、一般的に多くの企業で昇進の第一ステップともいえる役職です。しかし、係長には課長や部長と同様に「長」がつく一方で、ほかの役職と比べて役割がわかりにくい側面もあります。

 

係長は、企業のなかでどのようなポジションになるのでしょうか。また、係長になった人材が伸ばすべきスキルはどのようなものでしょうか。

 

記事では係長の役割や仕事内容を確認します。そのうえで、係長になる人材が持つべき心得や係長育成のポイントを紹介します。

<目次>

係長とは?

係長は、一般的に課の下位組織である「係」の「長」となる役職です。最近では係長というポジションを「チームリーダー」などの呼称とする企業も増えています。この章では他の役職と比較しながら、係長の仕事内容や役割を確認していきます。

 

係長に期待される役割と仕事内容

仕事や組織が複雑化するなかで、係長の仕事内容も多様化しています。しかし、「係」という現場の最前線にいるリーダーであるという係長の一般的な役割は、仕事が複雑化しても変わることはありません。係長は、「係」の業務遂行に関する責任者です。

 

なお、係長の一般的な役割・仕事内容は、直属の上司である課長、1つ下の役職である主任と比べるとよくわかります。

 

課長との違い

係長は、課長と一般メンバーの間にいる役職です。多くの係長は、メンバーのお手本として高いレベルの業務をこなしながら、部下であるメンバーの管理を行ないます。一方で課長は、「係」の上である「課」という中規模組織をマネジメントする役割です。

 

もちろん、課長のなかにも、現場業務も行なうプレイングマネージャーは存在します。ただ、現業部門であれば、課長になれば部下の人数は10名以上、多ければ数十名の規模である場合もあります。一方、係長の場合は、数人程度であることが一般的です。

 

したがって多くの場合、係長がマネジメントする人数は小さく範囲も狭い一方で、マネジメントと併せてプレイヤーとしての動きを求められることになります。

 

また係長には、高所大所からの目標設定や計画よりも、業務のフォロー・指導・フィードバックなどの声かけというように、現場に近いところからメンバーを支える役割が求められるでしょう。課長などの管理職とメンバーの良きパイプ役になることも、係長の大事な仕事です。

 

主任との違い

係長は主任よりも上の立場です。主任は、現場のなかで熟練したスキルのある人に与えられることの多い立場であり、新人や後輩の指導などを任せられますが、あくまでプレイヤーとしてのポジションです。

 

係長の場合、チームリーダーとしての立場でメンバーのマネジメントやタスクの管理が期待されますが、一般的に主任はマネジメントを求められるポジションとはなりません。

係長は管理職なのか?

そもそも「管理職」というのは、正式な法律概念ではありません。そのため、係長が管理職かどうかの判断は、企業によって異なります。

 

なお一般的には、チームの目標達成に向けて「部下の指揮・管理」を行ない、「チームやプロジェクトの管理・運営」をする立場の役職を、管理職と呼びます。つまり、組織の目標や結果を達成することに対して責任を負い、必要な権限を渡されている立場が管理職です。

 

なお、労働組合への加入という観点も、係長という役職名ではなく、労組法第2条第1項に基づいて判断されます。本記事では詳細は割愛しますが、「使用者の利益代表者」であるかどうかが大きな判断基準です。

係長になる人材が持つべき心得

ファイルを確認する女性

 

係長は、次世代リーダーになる人材の登竜門といえる役職です。ここまで記載してきたとおり、係長の次ステップは課長であり、完全な管理職へのステップアップに向けて準備・パフォーマンスする立場です。

 

係長は、プレイヤーのように自分の業務さえうまくこなせれば良いわけではありません。プレイヤーが係長となるに際して、係長の役割や仕事を遂行するためには、以下の考え方を持つ必要があります。

 

主体性・率先垂範

先述のとおり、係長には、現場のプレイヤー的側面も強い特徴があります。当然のことながら、プレイヤーとして周囲の模範となる姿勢が求められます。

 

したがって、受け身や指示待ちの姿勢では、係長の役割は担えません。係長に求められるのは、現場の先頭に立って物事を行ない、メンバーに模範を示すことです。

 

また、課長のフォロワーであることも求められます。フォロワーとは、べつに課長に従順であるということではありません。課内に生じた課題や目標などに対して、自分事としてとらえたうえで、主体的に解決しようとする姿勢こそが大切です。

 

自己成長

係長には、自己成長につながる挑戦や学びを続ける姿勢が求められます。メンバーの成長を促すうえで、上司である係長が自己成長する背中を見せることが不可欠です。もちろん課長へとステップアップするうえでも、自己成長は必要です。

 

自己成長では、成果をあげるための業務スキルの向上は大切ですが、同時に課長などの管理職を目指すうえでは人格的な成長、ヒューマンスキルの向上も大切になります。

 

組織資源の活用

管理職として、組織の課題や目標を効率よく達成するには、人・物・金・情報などの組織資源をうまく活用することが求められます。

 

係長の場合、マネジメントが主な仕事となる課長と比べると、自由になる組織資源は少ないでしょう。しかし、管理職のスタート地点として「組織資源の活用」という視点を持つことは必要です。たとえば、以下のようなことを思考することが必要です。

 

  • 「係」の中の人的な資源:稼働工数や役割分担をどう最適化するか?
  • 「係」の外にある資源:課長の力を借りる、他の係や他部署と協力関係を築く
  • 「係」の資源を育てる:部下を成長させることでリソース自体を拡大する

上記で、記載したのは「人」の資源に関する話です。「人」以外、「物」「金」「情報」などに関しても同様に、「組織の成果を最大化するためにどのような資源が必要で、どう資源を調達して活用するか?」という視点を持ち始めることが求められます。

係長育成のポイント

研修を受ける風景

 

最後に組織視点で、プレイヤーから係長になる人材を育てるうえで押さえておくべきポイントについて紹介します。

 

ヒューマンスキルの習得

多くの係長は、プレイヤーとして成果をあげるテクニカルスキルによって、係長に抜擢されます。そのため、係長、また管理職としての業務遂行に必要なヒューマンスキルを最初から高いレベルで持ち合わせているわけではありません。

 

ヒューマンスキルとは、対人関係力のことです。ヒューマンスキルがなければ、メンバーとの信頼関係を構築し、成長を促すことができません。ヒューマンスキルには、信頼関係を築く基礎的な人格に加えて、以下のようなコミュニケーション能力も含まれます。

  • 聴く力
  • 伝える力
  • 引き出す力

 

タイムマネジメントの強化

先述のとおり、係長はプレイングマネージャー的な役割を期待されることが多いです。そのため、自身の業務遂行と部下のマネジメントを両立させるスキルが求められます。

 

自分の時間を効果的に活用する、また、他人の仕事やプロジェクトのマネジメントもきちんと進捗管理するために、プレイヤー時代よりもタイムマネジメント能力を磨く必要があります。タイムマネジメントでは、以下の方法で仕事を効率よく、また優先順位や重要性も踏まえて効果的に進めることが大切です。

  • タスクの一元管理
  • 適切な優先順位の設定
  • 時間の使い方の記録と振り返り
  • 業務の効率アップ
  • 不要な仕事や切り出すべき仕事の見直し など

 

ロジカルシンキングの習得

係長になると、マネジメントする範囲が自分一人からメンバーへと広がり、達成計画の立案、現状把握からの軌道修正、タスク管理などの役割も担います。そのため、純粋なプレイヤー時代よりも一段レベルUPしたロジカルシンキングが求められるでしょう。

 

ロジカルシンキングは、因果関係やMECE、ロジックツリーなどいくつかのフレームワークを学び、日常の活用を通して高められるスキルであり、計画立案や状況整理、またロジカルコミュニケーションに不可欠です。

 

組織的な研修やサポート

係長の役割を担うには、上述したようなヒューマンスキルやタイムマネジメント、ロジカルシンキングなどを習得する必要があります。また、完全な管理職としてのステップとして考えると、管理職として求められる役割意識やリーダーシップについても身に付けていく必要があります。

 

こうしたスキルやマインド習得を本人の自助努力に任せることは、スムーズな習得やパフォーマンスを妨げるものとなります。組織的な研修やサポートによって必要なスキルを身に付けさせることが大切です。

 

なお、中小企業の場合、係長に昇格する人間が一度に数十人、数百人の規模で生じるわけではなく、また、リーダー育成の経験やノウハウ、リソースが不足していることも多く、大企業のように社内だけで育成を進めるのが難しいケースもあるはずです。

社内でのリーダー育成が難しい場合は、外部研修を活用するのもおすすめです。HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、JAICリーダーカレッジというリーダー育成研修を提供しています。

 

JAICリーダーカレッジでは、まず、上司との面談や360度評価を通して自分の強み・弱み・周囲からの見え方などを自覚してもらいます。360度評価や面談を通じて、次のステップに進むためには成長や変化が必要なことを決意するからこそ、研修効果が高まります。

 

そして、「1ヵ月1回の研修での学び→職場での実践行動→振り返り」を繰り返すことで、行動変容を実現していきます。公開コースで、かつ完全クラス制・固定担任制となっているため、他社のリーダー陣と刺激し合いながら、確実な成長が期待できます。

 

関連資料ダウンロード:周囲をリードして結果を出し続ける!次世代リーダー・幹部を育てる継続教育プログラム「JAICリーダーカレッジ」

まとめ

係長は、部門・部署の下にある「係」と呼ばれる現場の最前線にいるリーダーの役職です。最近では、チームリーダーと呼ぶ会社もあるでしょう。係長は、課長と主任の間の役職となり、現場の業務をこなしながら、部下となるメンバーの管理やフォローを行ないます。

 

係長になる人材には、以下の心得が必要となります。

  • 主体性・率先垂範
  • 自己成長
  • 組織資源の活用

また、スキル面では、係長が現場の仕事をしながら部下の管理やフォローをするには、信頼関係の構築につながるヒューマンスキルの習得が欠かせません。マネジメントや仕事の範囲が広がることから、自分自身のタイムマネジメントやロジカルシンキングのスキル向上も必要でしょう。

 

係長になる人材のこうしたスキルは、組織的なサポートで向上させる必要があります。対象人数が少ない中小企業などで、社内教育が難しい場合は外部研修の利用もおすすめです。

 

HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは「JAICリーダーカレッジ」と呼ばれるリーダー育成のための研修を提供しています。ご興味があれば、ぜひ資料をダウンロードしてみてください。

 

著者情報

東宮 美樹

株式会社ジェイック 執行役員

東宮 美樹

筑波大学第一学群社会学類を卒業後、ハウス食品株式会社に入社。営業職として勤務した後、HR企業に転職。約3,000人の求職者のカウンセリングを体験。2006年にジェイック入社「研修講師」としてのキャリアをスタート。コーチング研修や「7つの習慣®」研修をはじめ、新人・若手研修から管理職のトレーニングまで幅広い研修に登壇。2014年には前例のない「リピート率100%」を達成。2015年に社員教育事業の事業責任者に就任。

著書、登壇セミナー

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