チームビルディングとは?目的とメリット・実行のポイントや具体例を解説

更新:2023/12/18

作成:2021/10/26

東宮 美樹

東宮 美樹

株式会社ジェイック 執行役員

チームビルディングとは?目的とメリット・実行のポイントや具体例を解説

組織目標の達成に向けて積極的に仕事を進めるには、チームメンバーが一丸となって協働できるようにするチームビルディングが非常に大切です。

 

記事では、チームビルディングの定義や重要性を紹介したうえで、チームビルディングの代表的な理論である「タックマンモデル」の解説と実行ポイントを詳しく解説します。

 

チームビルディング研修については以下でも解説しているので参考にしてください。

<目次>

チームビルディングとは?

チームビルディングの「チーム」について、組織研究などの著書で著名なジョン・カッツェンバックは、「特定の目的のために多様な人材が集い、協同を通して相乗効果を生み出す少人数の集合体」と定義しています。

 

チームの定義は似た単語であるグループと比較するとより理解しやすくなります。グループという単語は「仲間、集団、共通の性質で分類した人や物の一団、同系列に属する組織」等の意味 があります。要するにグループとは、人の集まりのことです。

 

一方で、グループがチームになるには「達成すべき共通目的」と「目的の達成に向けたメンバーの協働や相乗効果の実現」という2つの条件を満たす必要があります。逆にいえば、2つの条件を満たしたものが“チーム”なのです。

 

チームビルディングとは?

チームビルディング(team building)は、チームを構築する、チームをつくるという意味です。つまり、ある目的や目標を達成するために集められた人材を、協働し相乗効果を発揮できるチームにすることがチームビルディングです。

 

大半の組織は目的や目標をもっています。しかし、だからといって参画しているメンバーが目的や目標に深い共感やオーナーシップを持っているとは限りません。

 

また、メンバー間に協働したり相乗効果を発揮したりするための信頼関係があるとも限りません。だからこそ、チームビルディングが不可欠なのです。

 

チームビルディングに向けた取り組みは、会議や朝礼等を通じて日常、また、独立した研修といったさまざまな形で行なわれます。

 

チームビルディングの対象者

チームの定義から考えても、チームビルディングの対象となる人は多岐にわたります。ビジネスシーンで考えれば、特定の目的や目標をもった組織内のすべてのチーム、そして、チームに所属するメンバーすべてが対象です。

 

<チームビルディングの対象>

  • 経営会議等の「経営ボード」
  • 事業部の幹部等で構成される「マネジメントチーム」
  • 各店舗の店長やスーパーバイザーで構成される「店長会」
  • 各部門などに存在する「課」「店舗」「チーム」など
  • 新入社員の「同期」
  • 期間限定の「プロジェクト」
  • 研修等における一時的な「チーム」や「グループ」

<チームビルディングに参画する対象者>

  • 経営者
  • 経営幹部
  • 部門長
  • 管理職
  • 一般メンバー
  • 新入社員
  • 社外のパートナー
  • 研修で同じグループになった他社の人 など

チームビルディングの目的とメリット・重要性

ビジネスチームのイメージ

 

チームビルディングの目的は、「チームの目標を達成すること」です。また、チームビルディングの実施を通じて、目標達成を後押しする3つのメリットが得られます。

 

チームの目標が達成されやすくなる

チームビルディングの最大の目的と効果は、チームメンバーの主体性向上と連携による生産性向上でチームの目的・目標を達成することです。

 

組織内のメンバーがチーム目標の達成にオーナーシップを持ち、主体性を発揮するメンバー同士が協力・相談することで、組織全体の生産性が向上します。

 

チームのコミュニケーションが活性化する

それぞれが自分の目標達成のために動く“グループ”では、同チーム内で働くメンバーは一種の「ライバル」であり、相談や情報共有等のコミュニケーションは低下しがちです。

 

トラブルなどの報告や連絡等も遅くなり、問題の早期解決が難しくなる可能性も出てきます。また、チーム全体の業務改善や役割分担という提案は出てきません。

 

一方で、チームビルディングを行なった場合、チームメンバーは同じ目標達成に向けて協力し合う「仲間」になります。チーム目標の達成に向けた意見も積極的に出し合えるようになり、成長に欠かせない組織変革や新たなイノベーション等も起こりやすくなるでしょう。

 

チーム内の相互理解が深まり、心理的安全性を構築できる

チームビルディングを通して、メンバー間の相互理解が深まることは、チーム内の心理的安全性を高める効果があります。心理的安全性とは、他者からの評価等を気にせずに自分の率直な意見や状況を発言したり、リラックスした状態で仕事ができたりする状態です。

 

心理的安全性というキーワードは、Googleが実施した大規模プロジェクトの成果として、「チームの生産性向上に心理的安全性が最も重要である」という発表によって一躍有名になりました。

 

心理的安全性については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

 

個人のパフォーマンスも高まりやすくなる

組織がチームビルディングを実施することで、メンバー個々のパフォーマンスも高まりやすくなります。心理的安全性の高い組織では、メンバー同士も業務上の質問や相談がしやすい状態です。

 

信頼できる仲間と一緒に仕事に取り組むことで、各メンバーは安心して自身のパフォーマンスを発揮しやすくなります。

 

また、情報共有や目標達成、生産性改善に向けたアイデアや提案、ノウハウも共有されますので、新しい知識や技術の吸収、業務改善も進みやすい環境です。チームビルディングを通じて、組織力とともに個の力も強いチームへと成長を遂げられるのです。

チームビルディングにおける5つのステップ(タックマンモデル)

STEP(ステップ)のイメージ

 

チームビルディングの実施について代表的な理論として、タックマンモデルがあります。タックマンモデルは、個人が集まっただけの状態(グループ)から相乗効果を発揮するチームが生まれ、解散するまでの5ステップを示したもの です。

 

1.形成期

目的達成に向けて、形としてのチームが形成されたばかりの時期です。形成期のメンバーは、緊張や遠慮をしている傾向もあります。

 

したがって、形成期にはチームの親睦を深め、次のステップにスムーズに進めることが大切です。形成期のうちにチーム目標達成の支障となる問題を見つけ出しておくことも大切です。

 

2.混乱期

目標が決まり、プロジェクトが動き出した段階です。混乱期はチームメンバー各自の価値観ややり方の違いによって、意見の衝突や混乱が起こりやすい傾向があります。

 

闇雲に意見のぶつかり合い等を避けると次のステージには進まず、お互いに消極的に様子見する状態になってしまいます。心理的安全性につながる相互理解を深めるには、意見の衝突を恐れずにお互いを知ることも大切です。

 

相互理解を深めるための取り組みをしたり、意見の裏にある体験や価値観をしっかりと共有したり、活発な討論やゲーム等を活用したりすることもおススメです。

 

3.統一期

混乱期を乗り越えると、互いの価値観や考え方への理解が進み、安定した関係のなかでそれぞれの役割やチームの目的を共有できるようになっていきます。

 

統一期に入ったら、チームリーダーは各メンバーの能力や個性を活かしつつ役割分担を進めていきます。統一期のチームリーダーは、各メンバーをフォローしたり、チーム内の情報共有を進めたりする役割が求められます。

 

4.機能期

チームとしての結果が出てくる時期です。機能期に入ると、成功体験によって各メンバーのモチベーションや結束力が高まりやすくなります。機能期に重要なことは、チームが活性化した良い状態を維持することです。

 

チームリーダーはメンバーをフォローしたり、アクティビティを通して意見交換や対話を進めていったりすることが大切です。

 

5.散会期

プロジェクトの終了やメンバーの異動・退職で、チームが解散する時期です。チームビルディングがうまくいった場合、他のメンバーの仕事を称えたり、離れ離れになることを惜しんだりする声も生まれるでしょう。

 

散会期に入ったら、現在のチームに一区切りをつけて、それぞれが新たなチームでの仕事に切り替えられるように、締めくくりのイベント等を開催することもよいでしょう

 

なお、いま機能しているチームに新たなメンバーが合流した場合、チームは壊れます。新メンバーでもう一度形成期からやり直すことになります。

 

タックマンモデルについては、下記のメルマガでも取り上げていますので、ぜひご覧ください。

チームビルディングの実行ポイントや具体例

チームビルディングを実践するときには、以下のポイントに注意して実行していくことが有効です。

 

リーダーが中心となって「チームビルディング」を行なう

タックマンモデルで紹介したとおり、メンバーが集まった当初は、互いのことを知らなかったり、ライバル意識を持っていたりと、混乱や課題が生じやすいものです。こうした組織を目標達成に向かわせるには、チームを率いるリーダーの役割が非常に大きくなってきます。

 

例えば、形成期の朝礼やミーティング時には、チームリーダーが、メンバーの緊張を和らげ相互理解を深めるお題を出していくのもおススメです。そして、チームの状態が混乱期や統一期にシフトをしたら、リーダーの役割も各メンバーのフォローや情報共有等に移行していきます。

 

「心理的安全性」の確保に注意を払う

Google でも大切にする心理的安全性は、チームビルディングを成功させるうえで欠かせないものです。心理的安全性の高い組織は、メンバー全員が不安や恐怖を感じることなく、安心して自分の意見を主張し、行動できる状態です。

 

チームの心理的安全性を確保するには、ミーティングやディスカッションといった話し合いの場において、すべてのメンバーに意見を求めたり、発言機会が偏らないようにしたりする配慮が必要です。

 

また、目的・目標の共有を通して、競争ではなく協力を生まれやすくする風土づくりも大切です。

 

チーム内の「相互理解」を深める

チームビルディングの成功には、各メンバーが互いの価値観や考え方の違いを受け入れることが非常に大切です。目的や目標の「共有」と、価値観や考え方、強みの「違い」を両立させることがチームビルディングには大切です。

 

価値観共有の場には、以下のようなものがあります。

社内イベント

立場や年齢の異なるチームでメンバー同士の相互理解や絆を深める

研修や合宿

創造性の刺激や業務改善の新しいアイデアを出し合う。

ゲーム

信頼関係構築や自己紹介を行ないやすくする。

まとめ

チームビルディングとは、組織内で特的に目的や目標を達成するための“チーム”に集まったメンバーが、目的・目標を共有して、協働して相乗効果を生み出していくための取り組みです。

 

協働できるチームづくりをするには、価値観共有を通して心理的安全性の高い組織を目指す取り組みが大切です。これからチームビルディングを始める方は、記事で紹介したタックマンモデルと実行ポイントをぜひ参考にしてみてください。

著者情報

東宮 美樹

株式会社ジェイック 執行役員

東宮 美樹

筑波大学第一学群社会学類を卒業後、ハウス食品株式会社に入社。営業職として勤務した後、HR企業に転職。約3,000人の求職者のカウンセリングを体験。2006年にジェイック入社「研修講師」としてのキャリアをスタート。コーチング研修や「7つの習慣®」研修をはじめ、新人・若手研修から管理職のトレーニングまで幅広い研修に登壇。2014年には前例のない「リピート率100%」を達成。2015年に社員教育事業の事業責任者に就任。

著書、登壇セミナー

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