新人や若手社員、リーダー層などの離職を防ぐうえで、離職防止研修は重要です。単に研修を実施するのではなく、実施するタイミングや社員の年次に合わせた研修内容もまた非常に重要です。
本記事では、離職防止研修のメリットを解説するとともに、1~3年目の若手社員やリーダー層に対して「どのような研修を、いつ行えば離職防止に効果があるか」を解説します。また、研修以外で実施できるリテンションや離職防止の施策、おすすめの離職防止研修、離職防止研修の事例も紹介します。
<目次>
- 離職防止研修の実施メリット
- 離職防止研修の実施タイミング
- 離職防止研修の内容と実施のポイント
- 離職防止研修サービス&研修会社7選
- 離職防止研修実施の事例
- 研修以外に離職防止につながる施策
- 離職防止につながるリテンション施策
- 離職防止研修のまとめ
離職防止研修の実施メリット
離職防止研修を行うことで、様々なメリットが得られます。
採用や育成コストの削減
離職防止研修を行うことで、採用コストや育成コストの削減ができます。
従業員に離職されてしまうと、新規で採用しなくてはなりませんし、採用した従業員をイチから育成しなくてはなりません。採用には求人媒体や人材紹介など、外部へのコストだけでなく、社内の採用担当者の稼働費用も必要になり、大きな費用がかかります。また、育成にも育成担当者の稼働分のコストと、育成期間中の利益をもたらさない従業員の給与コストがかかります。
離職防止研修によって離職が減れば、これらのコストを抑えることができ、結果として大きなコスト削減になるでしょう。
採用への好影響
離職防止研修を行うことで、採用によい結果をもたらします。
離職率が低く定着率のよい会社というのは、求職者に良い印象を与えます。現在、新卒・中途共に採用時に離職率を開示することが求められるようになっています。離職率が高い企業は、休職者から「問題がある」とみなされ人材が集まらない傾向にあります。一方で、離職が少なければ、条件や就労環境がよいと認識され、応募されやすくなるでしょう。
エンゲージメントの向上
離職防止研修によって、従業員のエンゲージメントも高められます。
離職防止研修は、新たな学びや気づきを与えることになりますし、業務で成果をあげるための考え方やノウハウの習得をサポートすることになります。このように従業員の働きやすい環境を作るとともに成長を支援することで、従業員のエンゲージメントが向上するのです。
エンゲージメントが向上することで、モチベーションや生産性も高まります。従業員同士の関係性もよくなり、離職率を更に低下させる効果も期待できます。
離職防止研修の実施タイミング
新入社員や若手社員の離職を防ぐうえで離職防止研修の実施タイミングも重要です。1~3年目の社員やリーダー社員を対象に、主な離職理由と研修タイミングを紹介します。配属時期や壁にぶつかる時期は各社によって異なる部分もあると思いますので、自社の状況に当てはめながらご覧ください。
1年目社員
1年目は、社会人生活や仕事に対する期待と現実のギャップが主な離職要因となります。今まで学生をしていたわけなので、入社前に描いていた社会人生活は想像上のものであり、多くの場合、バラ色だったり甘かったりする可能性があります。
そのため、実際に入社して仕事内容や職場の雰囲気が想像していたものと違うといったリアリティギャップが多かれ少なかれ生じます。そして、加えて、職場の人間関係にうまく馴染めない、ライフスタイルの変化によるストレスや疲労と仕事によるストレスが重なるといったことが早期離職の原因になります。
現場配属のタイミングで、リアリティショックも人間関係や仕事のストレスも増えますので、配属して数ヶ月後ぐらいがおすすめの研修実施タイミングです。
なお、離職防止という意味では、配属前の初期研修の中でリアリティギャップに対する心構えをきちんと学んでもらうプログラムを組み込むことも必須でしょう。
2年目社員
2年目は、大きく2つの要因が重なることで離職につながります。
1つ目の要因は、扱われ方の変化です。入社1年が経過して、次の新入社員が入社してきたタイミング、また、現場に配属されたタイミングで、組織や上司の関心は次の新入社員に移ります。それまで「1年目」として、ケアされていたものが、急に「もう2年目だから」と自走を促されることもよくあります。こうした状況は一種の孤独感やストレスにつながります。
また、本人側も1年目は初めてのことも多く、まずは慣れよう・吸収しようというスタンスでいたところから、2年目に入ると徐々に仕事に慣れて、働き方や社風とのミスマッチ、仕事内容のことなどを考える余裕が出てきます。この余裕が、悪く働くと“悩み”や“不満”につながるのです。
従って、2年目の社員の離職防止は、後輩が配属されて上司や先輩の関心の変化を感じ始める、仕事に慣れて様々なことを考え始めるタイミングがおすすめです。
3年目社員
3年目は、2年目以上に実務能力も向上し、1人前に近づいてくる時期です。会社によって、後輩への指導を任せられたり、成長企業であればチームリーダーを任せられたりする人も出てきます。
そうした中で、会社のことも客観的に見ることができるようになり、キャリアのことを考え始めるタイミングです。いまの仕事で得られている成長実感、待遇や働き方、あと3年・5年働いた先といったことと、ネットや友人を通じて入ってくる他社の情報などを比較して、転職という選択肢を考え始める人も出てきます。
また、同期との差も見えてきた中で、本当にこの仕事が向いているか?と考え始める人もいます。
上記のような点を踏まえて、3年目にはキャリアパスの理解やキャリアデザインなどの研修を実施するとよいでしょう。
リーダー層・新任
入社3年程度を越えて1人前となり、リーダー層までなると離職の危険性は低下するように思いますが、そんなことはありません。
プレイヤーだった時は何かあればリーダーの指示に従えばよかったものが、リーダーになると正解が分からない中で自分で意思決定しなければなりません。また、責任範囲も個人ではなくチームの成果に対してコミットを求められます。その違いに戸惑う社員もいるでしょう。
実際にリーダーとして仕事をするなかで、成果をあげられない、チームをまとめられないという社員も出てきます。リーダーにとってメンバーとの関係性がうまくいかないことは大きなストレスとなります。また、リーダーになると、これまでとは異なるスキルや知識が必要になります。そういったスキルや知識面でも壁を感じる社員が出てくるのです。
他にも、ピラミッド型の組織のなかでリーダーから先の昇格について、「上が詰まっている」と感じたり、「ジェネラリストではなく専門性を発揮するプロフェッショナルになりたい」と考えたりする人も出てきます。
従って、リーダー層に対しては、リーダーになる前からリーダーに必要なスキルや知識をインプットするとともに、リーダーになった後も壁への対処やリーダーとしての苦悩を共有する、また、次のキャリアステップを考えるといった機会を作ることが大切です。
離職防止研修の内容と実施のポイント
離職防止研修は、上述したような時期や課題を踏まえて、リテンションやエンゲージメント向上に向けたプログラムのなかから、タイミングに合った最適なものを実施することになります。本章では、年次毎に行うべき離職防止研修の内容と、効果的に実施するためのポイントを説明します。
1年目社員への研修
新入社員の多くが、入社前の期待と現実のギャップに直面し、リアリティショックを感じます。前述の通り、1年目社員の離職原因は、入社後ギャップに起因するものが多くなります。
従って、1年目の早期離職を防ぐためには、入社後の初期研修で、入社後ギャップを防ぐためのマインドセットを形成することが重要です。大切なのは「ギャップがあることは当たり前である」という感覚を身に付けてもらうことです。同時に、「ギャップを超えて、成長した先に何を実現したいか?」という動機付けです。
まだ働いていませんので、具体的なものというよりは、多少抽象的でよいので、中長期の時間軸でのキャリアビジョン、成長の理想像などを描いてもらうとよいでしょう。
また、配属後数か月が経過したころは、実際のリアリティショックにぶつかる、また、業務を覚える、人間関係をつくるといったストレスにもぶつかっています。このタイミングでは、業務の不安や職場の人間関係の悩みを吐き出し、乗り越える方法を学ぶような研修内容がよいでしょう。
2年目社員への研修
2年目社員は、業務にある程度慣れてきた一方で、まだまだ1人立ちまではいかず、自分の成長や能力に不安を感じていることも多い時期です。加えて、組織や上司からのケアが1年目よりは大きく減少することで生じる孤独感や焦りなども不安に拍車をかけることになります。
2年目社員向けには、入社当時からを振り返ることで成長実感や仕事のやりがいを確認する、その上で、より大きなやりがいや成長実感を得る、業務で成果をあげることにつながる考え方やノウハウ習得に向けた研修がおススメです。
状況・必要に応じて時間管理やタスク管理などの基礎スキル、また、プロとしての姿勢や主体性、強み活用などの汎用性が高いリーダーシップ研修等がおすすめです。
3年目社員への研修
3年目社員は、業務遂行の基本スキルや経験が身に付いてきた中で、業務の慣れから生じる飽きや今後のキャリアに対する迷いを感じる時期です。
従って、3年目社員の離職防止にはキャリアデザイン研修の実施がおすすめです。自身のキャリアに当事者意識を持つ、作りたいキャリアを考える、また、「今のままではいけない」という意識改革を促すといった研修がおすすめです。
内観を通じて気づきを得るプログラムも効果的です。自分自身の価値観や考え方、これまでの仕事の経験を深掘りし、内観した内容や成し遂げたいビジョンを描き、キャリア構築や成長に向けた行動変化を生み出すようなプログラムです。
3年目などで最も大きいのは「このまま、今の会社にいて、仕事を続けていていいのか?」という迷いです。今の時代は、“隣の青い芝生”の情報がいくらでも入ってきます。また、3年目ぐらいだと、キャリア形成に対する時間感覚が「数か月」「来年」程度の短いものになっており、焦りが増幅する傾向にあります。
そこで、ある程度中長期でのキャリアビジョンをしっかりと描き、今の職場で働き続ける意味を見出してもらうことが大切です。
リーダー層・新任管理職層への研修
リーダーになると、チームを率いて成果を出すことが求められます。
リーダーの離職を防ぐための研修内容としては、リーダーとして成果を出すことを支援する内容、同時に、リーダーとして感じる苦悩やストレスを共有して壁を乗り越えていく、そして、次のキャリアを描くといった内容が考えられます。
スキル部分は、メンバー育成能力や目標管理能力、計画立案能力、少人数の集団をまとめるコミュニケーション能力、コーチングスキル、課題解決力を高めるなど、いわゆる管理職研修の内容です。
また、同じ階層や上の階層とぶつかっている壁やストレスを共有し、壁の乗り越えた方をワークショップ形式で考えるといった研修もおすすめです。研修ではありませんが、リーダー向けのメンター制度等も有効です。
一定の歴史や規模感を持つ組織では、ピラミッド型の組織のなかで上のポジションが詰まっていると感じたり、専門性を発揮する仕事のほうに関心が生まれたりといったことも出てくるでしょう。そういった理由による離職を防ぐためには、将来の自身のキャリアの展望が描けるように、可能なキャリアプランや社内に存在する選択肢を知ってもらうリーダー層向けのキャリア研修がお勧めです。
離職防止研修サービス&研修会社7選
ジェイック
HRドクターを運営するジェイックは、採用支援サービスや教育研修サービスを長年提供している企業です。ジェイックでは、新人研修や2~3年目研修、リーダー研修など、タイミングごとに様々な研修を用意しています。
若手社員に対しては、自己理解を深めるとともに、達成に向けて他者と連携する能力を学び、業務に能動的に取り組む姿勢を身につけます。また、リーダーに対しては、リーダーとして組織の中核を成す人材になるためのマインド、スキルを醸成します。
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他にも、『「人を動かす」リーダーシップ&コミュニケーション研修』や「7つの習慣®セミナー」など、世界中で導入されているフレームワークを用いた研修なども提供しています。
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リスキル
リスキルは、社会人の再教育を提供している企業です。若手社員の離職の現状や離職にいたる心理を分析することで、人材が活躍しやすい職場環境を作る方法を学ぶことができます。また、コミュニケーションの方法や若手にやりがいを感じさせる支援方法まで学ぶことができます。
- 特徴: 早期離職の現状を理解した上で、企業の損失を減らし良い人材が活躍しやすい職場環境を整えるためにできることを確認しながら、コミュニケーションの取り方からやりがいを感じさせるサポート方法まで網羅的に学べる内容。
- 料金: 詳細はサイトにてご確認ください。
- サービスURL: リスキル
インソース
インソースは、講師派遣型研修事業や公開講座事業、人材紹介、コンサルティングなどを行っている企業です。インソースの離職防止研修では、自社の状況を振り返り優先的に対策をすべき課題を把握し、公開講座や動画を活用して啓発を行っていきます。また、管理職向けの離職防止のためのコミュニケーションの研修なども提供しています。
- 特徴:『人生100年時代、「ありたい姿」を見失わないために』というテーマでキャリアデザインの概要を学ぶことができます。
- 料金: 24,400円/人(20代向け公開講座の場合)
- サービスURL: インソース
バヅクリ
バヅクリは、オンラインで200を超えるプログラムを用いて、社員の関係構築を促進するサービスです。離職防止に関しては、従業員モチベーションを向上させるとともに、社員の意識改革を行う研修を受けることができます。
- 特徴: 自らのキャリア・アンカーと自社理念の接点を見出して、自律的にキャリアデザインができる人材を創り出すことができます。
- 料金: 50,000円/人
- サービスURL: バヅクリ
アルー
アルーは、時代を読み、自律的に学び行動するプロフェッショナル人材、グローバル人材を育成している人材育成企業です。提案型のトータルソリューションを展開しており、育成の成果を可視化し、PDCAを行うための独自のプラットフォームがあるのが特徴です。
- 特徴:自身のキャリアを客観的に見直し、キャリア戦略を具体的に計画ができるようになります。
- 料金:要問合せ
- サービスURL: アルー
カケハシスカイソリューションズ
カケハシスカイソリューションズは、企業に対して成果を上げる研修を行っています。将来を見通し、継続的なプランを提案してくれます。企業ごとにオリジナル研修も提案してもらえます。
- 特徴:手法やポイントを学ぶだけでなく、離職を防止するための具体的なアクションまで知ることができます。
- 料金:要問合せ
- サービスURL: カケハシスカイソリューションズ
日本生産性本部
日本生産性本部は、生産性向上対策のために設立され、現在では人材育成研修や経営コンサルティングなども行っている民間団体です。新入社員が自ら働きがいを感じ、イキイキと働けるようにシフトできるように後押ししてくれます。
- 特徴:新入社員に対して、離職防止のためにチャレンジ力・自己理解力・ネットワーク力を向上させます。
- 料金:要問合せ
- サービスURL: 日本生産性本部
離職防止研修実施の事例
離職防止研修を実際に行った企業の事例を、ジェイックのインタビューから紹介します。
株式会社ラボネットワーク
導入の成果
とくに変わったところでいうと、他者に関わっていこうとする姿勢だと思います。これまで自分は決して積極的なタイプではないと思っていましたが、想像していた以上に話すことができ、自分に対するイメージが変わりました。
研修を受けて学んだことや効果
確かに今回の異動で環境が全く変わり、これからは、直接お客様や取引先の声を聴く機会が増えるので、今回の研修はその新しいチャレンジに向けた土台作りとなりました。社外の方とのコミュニケーション方法を学ぶうえでも、いい機会をいただいたと思っています。
研修全体を振り返り、「強みを生かす働き方」を教えていただいた印象があります。
これまでは弱みに直面するばかりで、「業務だから…」と何とか折り合いをつけながら仕事をすることもありましたが、研修でこの働き方を学んだことで、自分の意識や周囲の人との関わり方がみるみる変わってきました。
ジオパック株式会社
導入の成果
振り返って印象的だったのは、やはり自分の強みを知ったことです。業務経験がまだ浅かったので、その中で自分の性質や行動パターンを仕事にどう活かすべきか学ぶことができました。
研修を受けて学んだことや効果
印象に残った講義の一つに「物事の捉え方」があります。仕事で大変なことがあっても前に進まなくてはいけないとき、気持ちは物事の捉え方次第だと教わりました。
例えば自分が物事に取り掛かるとき、まずは自分の捉え方次第ということを意識して、「今大変でも成長している」と捉えていくことができるというものです。自分の機嫌は自分でとり、自分を律することが肝要になります。
「物事の捉え方」「自分の気持ちの作り方」を学んで、実際の業務でも「今必要だからやらなくては」と自分の中で気持ちを整理して、周囲にも意義や必要性を伝えながら進めることができました。
仕事への影響
振り返って印象的だったのは、やはり自分の強みを知ったことです。業務経験がまだ浅かったので、その中で自分の性質や行動パターンを仕事にどう活かすべきか学ぶことができました。
研修を受ける前は、仕事はスキルや経験が中心軸になると思っていましたが、自分の人生でこれまで積み上げてきたことが仕事に活かせるんだということを、研修で確信できました。
東宮先生とも面談でき、営業への活かし方を教わりました。私はポジティブで親密性が高いと分析いただき、それならば「営業」で、いかにもな「売り込み」をするよりも、寄り添って共感してニーズを引き出した方がいいとアドバイスもいただきました。
私は新規のお客様と接することが多いのですが、面談以降は「売り込む」スタイルだけではなく、お客様に興味を持ってもらったうえで先方に「教えてほしい」と言われるように努め、自分らしくお客様に接するようになれたのも成長ポイントかなと感じています。
研修以外に離職防止につながる施策
離職を防ぐためのアプローチは研修だけではありません。本章では、研修以外で実施したい離職防止の施策を紹介します。
メンター制度の導入
メンター制度は、新人や若手社員それぞれに対して、少し年上の社員を「メンター」として設定し、業務以外の疑問や悩みも相談できる仕組みです。
仕事におけるレポートラインや上司とは違う、利害関係が少ない関係性の社員をメンターとしてアテンドすることで、上司には相談できない悩みの解消や精神面のケア<>/spanをすることができます。
メンター制度の効果を高めるには、適任者をメンターにすることが重要です。メンターの適任条件としては、下記の要素が代表的です。
- 新人や若手の悩みに真摯に寄り添える
- セルフマネジメントやセルフリーダーシップが出来ている
- 人材育成に関心がある
- メンター自身に成長志向、学習意欲がある
- 人格的に先輩としてふさわしい
定期的な1on1
近年、上司と部下との1on1を導入する企業が増えています。1on1は、業務面のアドバイス以外に、メンバーのキャリアやプライベートに関する相談を通じて、離職防止を図る効果もあります。
しかし、1on1は“諸刃の刃”という側面もあります。たとえば、若手社員がキャリアの悩みを相談した際、上司が即答で「それはうちの会社だと無理だね」と回答した結果、若手社員が退職してしまったなどのケースもあります。
上述した状況は、上司の姿勢やマインドセットに加えて、上司自身がキャリア自律していなかったり、社内のキャリア制度などをきちんと把握していなかったりすることが要因である場合もあります。
上司には、「あなたが歩みたいキャリアがウチの会社にあるかはわからない」と正直に答え、「でも一緒に人事に聞いてみようか」と共に答えを探る姿勢を持ってもらうことが重要です。
その上で、1on1を通じて、上司が「キャリアを作っていくにはどうする?」「あなたはこの会社でどうしたい?」と若手に問いかけていくことでで、キャリア自律を促進し、長期的な離職防止に繋げることができます。
社外キャリアコンサルタントとの1on1
社外1on1は、従業員が社外の第三者と1on1面談を行うことを指します。上司との1on1とは異なり、中立的な立場からキャリアや人間関係、ワークライフバランスなどを話し合えることが特徴です。社外1on1の最大のメリットは、従業員の心理的安全性を確保できる点です。
従業員は評価者である上司ではなく、利害関係のない第三者と話すことで、日頃の悩みや不安を素直に打ち明けやすくなります。たとえば、人事との1on1なども直接的な評価者である上司よりは利害関係が薄まりますが、それでも会社の評価や異動等に影響を持つ人事であり、従業員からすると、本音、とくにネガティブな話や転職が関わってくるようなテーマは扱いにくいものです。
また、社外1on1を導入すると、上司の負担も軽減され、上司は、より組織の成果を生み出すことに意識を集中できるようになります。
社外1on1は、社内1on1との併用によって、従業員の自走を促し、組織全体のパフォーマンス向上に寄与する有効な手段となります。
HRドクターを運営するジェイックでは、多様なバックグラウンドを持った3,000人以上の国家資格キャリアコンサルタントが登録し、従業員の多様な年代・経歴・職種等に対応可能な社外1on1サービス「Kakedas」を提供しています。
「Kakedas」では、面談を受ける従業員は、AIが選定した相性の良い10人のキャリアコンサルタントの中から、詳細プロフィール等も確認して相談したい相手を選ぶことができます。従業員自身が選んだキャリアコンサルタントと1対1で面談を行うことで、心理的安全性が高まり、本音を話しやすい環境が整います。
社外キャリアコンサルタントとの面談では、メンタル面でのサポートも受けることができ、日常的に上司には言いづらい仕事に関する不満や人間関係の悩みを打ち明けることが可能です。会社や上司に言えていない本音や感情を吐き出すことで、従業員は精神的な負担が軽減され、メンタルダウンを未然に防ぐことができます。
また、本音を吐き出すことで、理性が働くようになり、前向きな思考や行動が生み出されます。
面談で得られた本音は、個人が特定されない形でデータ化され、分析レポートとして組織にフィードバックされます。他社との比較や分析を含めたフィードバックにより、組織の課題を明確にし、課題に基づいた改善策の立案にも繋がります。
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離職防止につながるリテンション施策
従業員のモチベーションUPやエンゲージメント向上を狙った取り組みは、リテンション施策とも呼ばれます。本章では、離職防止につながるリテンション施策の概略を紹介します。
リテンションとは?
リテンション(retention)は、直訳すると「保持」や「維持」という意味で、ビジネス領域ではマーケティングや人事分野でよく使われる言葉です。
人事領域におけるリテンションは、組織メンバーを定着させ、モチベーションを高めるための施策を指します。
リテンションの目的は、組織メンバーの定着率とモチベーション、エンゲージメント向上を実現し、人事コストの削減・組織の生産性向上を図ることです。
リテンション施策の具体例
リテンション施策は、大きく分けると金銭的報酬と非金銭的報酬の2つのカテゴリに区分できます。それぞれ具体的な施策を紹介しましょう。
<金銭的報酬>
- 給与や賞与
- 成果に応じたインセンティブ
- ストックオプション
- 家賃補助などの待遇面につながる福利厚生
- 学習支援や資格手当など自己成長を促す報酬制度
<非金銭的報酬>
- ミッション、ビジョン、バリューの浸透
- 会社に属する誇りや愛着を醸成するインナーブランディング
- 定期的な研修、資格取得の支援など自己成長を促す取り組み
- 働きやすさや働きがいを生み出す人事制度
- キャリア自律の支援
離職防止研修のまとめ
記事では1年目~3年目社員やリーダー社員など若手を中心に、離職防止研修を実施する時期や効果的なプログラムについて解説しました。
若手社員の離職は数百万円の損害につながります。若手社員の離職を防ぐためには、事業特性などから生じる組織構造や新人・若手の業務内容などを踏まえて、壁になるところ、離職につながる要因を洗い出し、適したタイミングと内容で研修や施策を展開していくことが大切です。
ジェイックでは、新卒社員向けには新人研修や同期結束研修、セルフマネジメント研修など、社会人としての基本を学ぶ研修を提供しています。また、社会人2~3年目に対する研修である「OSP(オスパ)」やリーダー研修、マネジメント研修、プレゼンテーション研修なども提供しており、幅広いタイミングの離職に対応しています。
目的ごとに様々な研修を組み合わせることで、離職防止が期待できます。ぜひお気軽にご相談ください。