本記事は、全2部構成でお送りします。Vol.1は下記よりどうぞ。
<目次>
【800名超】新入社員研修で垣間見えた”ホンネ”と”特徴”
ここからは、新入社員800名に入社後とったアンケート結果、その直近3年分の推移も比較しながら、新入社員の特徴を見ていきましょう。
①就職活動において重要視していた軸
一番多いのは業界・業種です。これは5年前までさかのぼっても同様です。続いて、風土や社員の雰囲気、転勤の有無が続きます。
そして、3年間の推移を見た時、2024年に数値が大きく伸びたところが「有給休暇の取得のしやすさと初任給」「福利厚生が充実しているか」です。
「有給休暇の取得のしやすさと初任給」「福利厚生が充実しているか」の2項目は、5年前の調査結果よりも10%上昇しています。ここは誰もが気になるポイントだとは思いますし、この数年で、その傾向が顕著に強くなってきたということです。
2024卒で見ると、「企業風土、社員の雰囲気」とほぼ同等になっています。
②入社の決め手
次は入社の決め手についてです。前述の「就職活動において重要視していた軸」のアンケートが示しているものは、「就活をスタートしたときの軸」ですが、「入社の決め手」となると重視することが変わります。
入社の決めてとして、事業内容への興味が高いのは納得いただけるとかと思います。
次点の、「成長できる環境があると感じた」「面接してくれた社員が魅力的だった」については、面接してくださった社員の方からの話に影響を受けていることが見て取れます。
ただし、気をつけておきたいポイントとして、面接を担当する社員は、活躍している人や、コミュニケーションレベルの高い方が多いと思います。じつは、それが配属後のギャップを生んでいる側面やリスクもありますので、注意が必要です。
③今後のキャリアで実現したいこと
今後のキャリアで実現したいことは、王道とも言える内容が上位3つを占めています。
終身雇用と年功序列が崩れた中で、キャリアに大した漠然とした不安を感じている新入社員は多く、2024卒は少し下落しましたが、「自己成長」に強い関心を抱いている人は非常に多くなっています。
10~20年ぐらい前ですと、「自己成長」という言葉は非常に前向き、ポジティブな意味合いだったと思います。それこそ“意識高い系”が使う言葉という感覚もあったかもしれません。
しかし、最近は大きく変わり、当たり前に使われる言葉になり、ポジティブさよりも危機感で「自己成長」という言葉を使っている新人や若手も増えています。
「成長しないと通用しなくなるのではないか、生きていけないのではないか」というところにアンテナが立っているということです。
また、2024年は「年収を上げる」という回答が増えています。
数年前までは「今の若い子は欲がない」と言われており、昇進にも関心が低いと言われていましたが、ここ最近になって「やっぱりきちんと給与を稼ぎたい」という方も増えています。
ただし、昭和の時代のように「何が何でも頑張って昇進する」というよりは、3位に「ワークライフバランス」が入っていることからも分かるように、「ほどほどに頑張って収入を増やす。何なら自社ではなく副業で稼ぐにもひとつ」という感覚である側面もあるでしょう。
④理想の上司像
これは3年間でそこまで大きな変動はありません。理想の上司像として、トップ3は「人間的に尊敬できる」「相談にのってくれる」「公平に評価してくれる」です。
そして、「成果を上げている」という回答は3年連続で最下位です。時代背景として、子供時代に“ブラック企業”や“パワハラ”といった言葉を聞いて育ってきており、「成果を上げている上司=当たりがきつい」というイメージもあるようです。
⑤上司に期待する関わり方
「ダメなことをきっちり指摘してほしい」が1位です。
これは意外に思われる方も多いかもしれません。管理職の方は、叱っちゃ駄目、叱るとハラスメントと言われてしまう、と思われがちなのですが、今の若手は、はっきり駄目なものは駄目という答えを求めています。
ただし、ネガティブに指摘する、ダメだしするだけではなく、褒めて長所を伸ばして欲しいという気持ちも強いです。
自分らしさや個性を重んじる時代を生きてきているので、自分の強みや良さ、個性を認めてもらえず、「個性とかいう前にこれをやれ=違う人になれ」というアプローチを非常に嫌います。
「メンバーの持ち味を生かしつつ、良いところを伸ばす。駄目なことはしっかり指摘しながら、指示を具体的に出す」ことが、これからの管理職に求められる素養です。
指摘をする際に、なぜ駄目なのかを説明できなかったり、また「決まりだから」「そういうものだ」「普通はわかるだろう」と言って一方的に押し付けたりすると行動変化が生まれません。
なぜ指摘しているのか、なぜダメなのか、直すことでどんなメリットがあるのか、相手の視点で理由をつけて説明する必要があります。
⑥一緒に働きたくない上司
一緒に働きたくない上司の上位3つは、「言う事とやる事が違う」「人として尊敬できない」「責任を取らない」です。これも3年間傾向は変わりません。
人間性にフォーカスして見ており、言動や態度をよく観察しているという印象です。逆に、能力面はあまり上位に入らない傾向があります。
新入社員の”ホンネ”と”特徴”まとめ
まず、1つめの特徴として価値観が合わない仕事や組織からは距離を置くという傾向があります。
これは、ワークライフバランスや価値観に対する考えを明確に持っている傾向があり、合わない仕事や組織に対しては、表立ってものすごく反発するわけではなく、すっと距離を置くような接し方をします。
企業に対する見極めも早くなっています。新入社員の研修期間中に見極めてぱっと辞めてしまう人もいます。大卒新卒の「入社3年で3割の退職」というデータは、数十年ほぼ変わっていませんが、退職の決め方や考え方は変わっています。
とくに、社会人や会社の正解が本人にとって不正解になることもあります。「普通社会人ってこうでしょ」と伝えても、合わない人には合わないので、「チューニングして、どうその人に合わせた伝え方をするか」ということも重要なポイントになります。
2つ目の特徴として、キャリア形成に対する感度は高く、堅実な考えを持ち、アンテナを立てています。
新卒で入社した会社にずっと所属して年功序列的に待遇もあがり、雇用も安定していた時代が終わっていることを明確に自覚しています。そのため、危機感から成長を望んだり、ワークライフバランスを考えたり、今いる会社で成長できないと考えれば転職を選んだりします。
また、キャリアといった時、昭和の世代は「仕事だけ」「仕事中心」で考える方も多いかもしれませんが、いまの若手世代は、キャリアという時に「人生全体」「ライフ&ワーク」といった感覚で包括して考えています。
最後に、3つ目の特徴として、上司や先輩に丁寧な指導を望む傾向が強いです。
正解や理由が明確に示された適切なフィードバックは、非常にすんなりと受け止めます。
一方で、前述の通り「何故それをやらなければならないのか?」「なぜそれをしてはならないのか?」の理屈や理由がはっきりしないまま、一方的に価値観や知らない常識を押し付けるような指導では行動変容は起こらず、むしろ反発を生むでしょう。
新入社員の育成ポイント
ここまで話してきたことはあくまで全体的な傾向であり、当然一人ひとりが異なる個性と価値観を持っています。そこに向き合って指導していくことが大切ですが、全般的な指導のポイントということを最後に紹介します。
①プロ意識
まずプロ意識の醸成です。
プロ意識というのは、学生から社会人への切り替えとしてだけではなく、そこから「プロフェッショナルな働き方というのはどういうことなのか?」をきっちり教えていくことが大切です。
そうしないと「休みは取りたい」「趣味にも時間を使いたい」「給与も上げたい」「責任は取りたくない」「でも成長したいです」と言うような人になってしまいます。
どっちかを取ったらどっちかがなくなると教えるわけではありません。ただし、「プロとして働くことが必要だし、プロとして働くことで両立ができるようになる」と教えることが必要です。
ガッツや根性論を指導してはいけません。
「“プロとして対価を得る”ということがどういうことなのか」、フレームワークやロジックに落とし込み、組織の価値観とも融合して説明しないと、「もっといい会社に行けば、希望がかなうはず」と安易な発想で辞めていく可能性も出てきてしまいます。
②キャリア自律
これは新入社員に限定されませんが、今の20代30代前半はキャリアに対する不安を強く持っています。前述の通り、「会社には守ってもらえない」という危機感があるからです。
だからこそ、先輩や上司を「今の会社で理想のキャリアが描けるのか?」という視点で、一種のモデルとして見ているケースも多いです。
また、若手の優秀層が「年功序列でいつまでたってもポジションが上がらない」「思ったスピードで機会が得られない、待遇が上がらない」という理由で転職するケースも増えています。
こうした流れに対応するには、社員のキャリアに対する支援が必要になります。支援するにあたり、重要なのは「自分で自分のキャリアを作っていくのだ」という主体性を持ってもらう、キャリア自律やキャリアオーナーシップを促進することです。
キャリア自律がないまま、会社が場や機会を与えても、本人が主体的に取り組まない限り、理想とするキャリアは実現しません。そして、「実現しないのは会社が与えてくれないからだ」という理論になります。
自分のキャリアを客観視させ、内省する機会を与えることが大切です。早い段階からキャリア自立できている方は、パフォーマンスも高く、また離職率も低いという相関もあるので、キャリア自律は非常に重要なテーマになってきます。
ジェイックではグループ会社Kakedasで1人1人のキャリア自律の支援に使える「キャリア面談プラットフォーム」を運営しています。今の時代、人間ドックや健康診断のように、キャリアの健康診断・キャリアドックも定期的に行うことが好ましいでしょう。
新人が現場に配属されてから、いろいろな壁にぶつかり、キャリアについて悩み出すときに、一人ひとりにAIが2,600名の中から選んだ最適なキャリアコンサルタントがついて、カウンセリングを提供するサービスです。
会社側には、個人が特定されない形で、面談データを言語解析して、他社との比較や退職リスクの高低などをレポートします。
20代の頃は、特にモチベーションの上がり下がりが激しいため、1対多での研修だけではなくて、個別での対応をしていくことが重要です。
③イクボス教育
雇用慣習や仕事に対する価値観が大きく変わっている中で、一番負荷がかかっているのは現場で新人や若手を受け入れてマネジメントする管理職の方々です。
自分たちが生まれ育った時代背景や、自分たちがされてきた育成・マネジメントと全く違う形でメンバーを指導していかなければならないので、大きな負荷もかかっています。
厚生労働省が推奨している「イクボス」という言葉は聞いたことがあるでしょうか?
部下の仕事の管理をするというのが管理職なわけですが、今の時代は、仕事(業務)だけではなく、キャリア形成や人生までサポートしてあげる必要があります。
今の若手は「キャリア」の捉え方が、プライベートも含めた包括的な人生になっているからです。ですので、メンバーのキャリアと人生を応援しつつ、組織に好ましい結果:業績と成長をもたらすことが必要です。
こういった支援をできる上司を「イクボス」と呼びます。
上司-部下の関係性がうまくいかなければ部下のパフォーマンスは低くなります。そして、結果として部下が辞めて、また会社で採用して、ということを繰り返していたら、管理職も組織も疲弊してしまいます。
そうした疲弊を取り除くには、管理職の方が、時代と価値観の変化を認識し、そして、今の時代に必要な育成スキルを学ぶ、マネジメントのバリエーションを増やすことが効果的です。
今の時代は、「背中を見て育て」「私の言うとおりにしろ」ではなく、部下の意見を吸い上げながら、部下とともに正解を作り出すような上司が求められています。そのためにどういう関わりを持てば良いかを、受け入れ側の上司も学んでおくことが大事です。
終わりに
働く価値観が変わる中で、新人や若手の育成・マネジメントも変化を求められています。
とくに知識労働が高度化し、ソリューション提案や現場での主体的な改善・イノベーションが求められる中で、「エンゲージメント」の概念は新ためて重要度を増し、それを実現するピープルマネジメントやキャリア自律が必要となっています。
ジェイックは、リーダーシップやヒューマンスキルに強みを持つ研修会社です。新入社員のプロ意識を醸成したり、管理職のコミュニケーションやマネジメントスキルを改善したりするトレーニングを提供しています。
また、エンゲージメント強化やキャリア自律に役立つKakedasのようなキャリア面談、社外1on1サービスも提供しています。
新人のプロ意識、新人や若手を育成できる「イクボス」、キャリア自律の支援といったテーマに関心があれば、ぜひジェイックのサービス資料をご覧ください。
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